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あっという間に19時半になりそろそろ家に戻らなければと思い、ホテルの部屋から出た。

私は家の前に着き、スマホを見ると19時55分だった。まぁ5分早いけどいいかと思い、インターホンを鳴らした。

ピーンポーン ピーンポーン

とインターホンが鳴り響き目の前のドアが開いた。
旦那の目元はクマができておりコンシーラーで隠してから会社に行ったのだろうが、今は微妙に隠し切れておらず、少し疲れていそうだ。

「早く入んなよ」

と言われたので、玄関で靴を脱ぎリビングの椅子に座った。その後に旦那もついてきて椅子に座った。思ったよりも部屋は汚れておらず私が出ていった時とほとんど変わんなかった。

「で、どうして離婚なんて……」

と旦那が言うので私は

「あなたにもう疲れたから」

と言い捨てた。

「じゃあどうしてあの時泣いてたの?」

と旦那に聞かれた。

「あれは…目にゴミが入っただけよ」

と私は言った。

「じゃあどうして今も泣きそうな顔をしているの?」

「それ…は…………」

と私は言葉に詰まってしまった。

「僕は離婚したくない。」

と旦那は意志の強そうな声で言った。その後に

「お願いだから本当のことを話して……」

と泣きそうな声で問われてしまった…

「私は……もう我慢できなかったの。全部私のわがままなんだけど…貴方が女性と一緒にいる姿や、楽しそうにしている姿、その女性を愛おしそうにみる姿。それに比例して私に冷たくなる所や話したくなさそうな雰囲気にする所とか全部がもう………辛いんだよ。」

「僕は…そんな風にした事はないし、その女性だって知らない。」

「そうだろうね。だって無意識にしている事だもの。本人はわからないよ。」

「僕は今でも君が好きだし愛してるよ。けど君が不安になる気持ちがわからない。」

「……じゃあ私もしてあげよっか?貴方と同じことを。いつも男性と話して、帰りには飲み会だと称して男性と2人で居酒屋に行って飲んだり、貴方と話すときだけ一言しか会話しないし、表情もつまらなさそうにする。それ以外は無言に徹するわ。」

「……僕、そんなことしてた…のか?でも待って!女性と二人で居酒屋に行ったのは認めるけど…断じて浮気じゃない!しかもその後の態度はただ……その…………………サプライズしたかったから……



だって君と話してるといつボロが出るかわからないじゃないか!」

「いや、逆ギレされても困るんだが……」

「だって本当なら今日が結婚5周年記念じゃん!記念日だよ!?何もしてないと思ったの?してるに決まってんじゃん!全部計画がパーだよパー!!誰だってきりの良い数字でサプライズしたいと思うじゃん!」

「いや、そう言われても…じゃあ女性との居酒屋は何?」

「あ、あれはねジュエリー専門店の人で君にあげるネックレスについて話してたんだ。そんでもって会社の愚痴をちょろっと言っちゃった。」

「へー、で?」

「で?とはなんでしょうか…」

「その後は?」

「その人既婚者だからネックレスを渡したら、満足して早々に帰ったので一人で飲んでました。」

「へー、じゃあそのネックレスは?」

「はい。手元にあります。こちらです。」

「で、それどうすんの?」

「もちろんヒクッ…君にヒクッ…あげるよ。
だってヒクッ…君のためにヒクッ…用意ヒクッ………したんだヒクッ……から」

「なに、泣きそうになってんのよ…もう怒ってないよ。」

「じゃあヒクッ……離婚しないでヒクッ…くれる??」

「うーん」

「え?!」

「嘘だよ。……しないよ。でももうさ、あんまり挙動不審になんないでよね。疑っちゃうから…貴方はただでさえ顔がいいんだからみんな近寄ってくるじゃない?」

「え?君だって………?まぁとりあえず善処します。」

「じゃあ仲直りということで離婚届貸して。」

「はい。それどうすんの?」

「ん?こうすんの!」

ビリッビリビリビリビリ

「はい真っ二つー。これで安心でしょ?」

「まぁそうだね。じゃあ今日からまたよろしくね。奥さん。」

「あははそうだね。旦那さん。」

「また一緒に寝ようね」

「えー別にひとr」

「寝ようね?」

「あーうん。わかった。」




そのあと私たちは一緒に寝ました。

これからも一緒に寝て、そのうちに子供ができ、みんなで仲良く幸せに暮らしました。

                                                        おしまい。
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