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十話 淵曲支部⑦
しおりを挟む改は片腕を真っ直ぐに伸ばしてもう一方の手を上げた手の脇へ伸ばした。
『毛源・展開。脇診雲天ッッッッッ』
黒く縮れた鞭のようなものが手を伸ばすように無数に脇から湧き出す。
それは脇の毛達だ。
漲るように生え出す黒鞭のような太い脇毛達は畝りながら雲のような形状になり天井へ飛んだ。
ロミオは自動ドアの前から動かずジッとしている。
改がゆっくりと歩き始める。
革靴の音がコツコツとタイル響く。
蛍光灯の光が反射しているが薄汚れてそれ程眩しくはない。
年期が入っているタイルは
薄くヒビが入っている。
アイスクリームや冷凍食品のワゴンを通り抜け飲料が並べられた
扉の前を通過する。
一方、パノフフは刀を構えて動かない。
ゆっくりと目を瞑り徐々に膝を地へ近づけていく。
時計の針の音とワゴンのファンの音が低い音を鳴らしながら時が経過していく。
ホットスナックのコーナーから香る油の匂い。焼きたての衣が厚く肉の割合が少ない唐揚げが網の上でパチパチと音を奏でる。
カップラーメンを購入した客専用のポットから煙が湧き出す。コポコポと沸騰するお湯の音は自動ドア横のイートインコーナーから聴こえる。
眠った子供を抱いたまま座り込んで意識をなくした母親は寝息を立てている。
沈黙といえば沈黙。ゆったりとした時間がそこには流れている。
しかしこの中に脅威はいる。
改がお菓子が並ぶコーナーへ迫る。
倒れ込んでスナック菓子の陳列棚に顔を突っ伏した女のハイヒールはしゃがんだ衝撃で脱げそうになったままだ。
赤いネイルが蛍光灯に反射。
肩まで伸びた髪は整えていたのだろうがスナック菓子のパッケージを隠すかのように覆いかぶさっている。
この前食べたなこのバーベーキュー味。
とくにバーベーキューの味はしなかったが…
そんな事を不意に思いながら改は倒れこむ女性客を跨いだ。
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