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プロローグ
しおりを挟むいつからなのだろうか。時折、特殊な力に恵まれてる人間が居る。時を止められたり過去へ戻ったり、火を生み出したり、水を操ったり、風を操ったり土や泥を自らの手足のように使用できる人間がいる。
そんな特殊な恩恵を授かっている人間がこの世界には居る。
人々はその能力を『負担』と呼び、それを操る能力者のことを『負担者』と呼んだ。
それだというのに『不幸だ』の『幸せになりたい』だの『死にたい』だのこれ以上何を望むというのだろうか。隣の芝は青く見えるなんて言葉があるがそんな恩恵を片手に持つ人間が隣の芝を青く感じるというのであれば、我々が今進むこの芝はどれだけ枯れ果てた芝なのだろうか。むしろ芝なのだろうか。草木も育たぬ程に腐った荒地なのではないだろうか。考えもなしにふと思いつきで誰かが零した言葉が水のようであれば良いけれど
それは時折棘のように鋭い
小さな棘が指に刺さるとなかなか抜けないものだ。下手に触れれば奥へ奥へと潜り込んで取れなくなり、それはやがて体内へ行き最悪、臓器に刺さって知らぬ間に毒となって体を蝕むかもしれないしその棘が体内のカルシウムによって長い年月をかけて骨のように硬くより一層鋭く大きく成長して心臓まで血液と共に流されたら命すら奪いかねない
もっと下手をすればそれは棘ではなく針にもなり得る。まるでそれはため息のように出た言葉かもしれない。
吐いた本人からすればため息…されど空気。しかしその言葉が時折ありえないほど狡猾に残忍に、想像もつかないほどの殺意を相手へ受け流してしまうかもしれない。
まるでそれは呪い。
まるでそれは契約
まるでそれは忘れられない遺言かもしれない。
遺言なんて言い方をすれば形見という表現もできなくはないがそれはごく一部の人間に向かられた恩恵だ。
大抵の遺言は必ず精神を蝕む。
死後より一層強くなる念ようなものか…
特に悪意はなく、たまたま通りかかったから理由なく気がすむまで刺していく
通り魔のように深く深く心に残り
いずれ人の心を壊す。
この世から潰えたと言われる魔法のように
それは魔女の呪いとでもいえるように。
根深く陰湿な
執着にも似た貴方のように。
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