目指すは新天地!のはず?

水場奨

文字の大きさ
上 下
16 / 58

16話 戸惑うシャリオ

しおりを挟む
伊達に年を取ってないってことは、いいことなのか悪いことなのか。
いや、経験値が2人分てだけで年は取ってないんだけどな。

これ、あれだろ。悪徳代官が不正をでっち上げられちゃうっていうやつだろ。
時代劇で見たことあるぅ。

まあつまり、この場合は仕方ないよね。
デヨーテの方が経験豊富うわてっぽいもんな。
……けど、完全なる悪役だな、デヨーテ。

「それでデヨーテ様は何をお望みなのでしょう」
1日エッチなことするくらいなら、我慢する。
「シャリオ!」
この期に及んでもファガルの制止が嬉しいとかさ。
だからこそ俺のことで迷惑なんてかけられないだろ。
それに、なんかなんとかなる気がする。
ほら、悪は滅びるっていうか。勧善懲悪ていうか。
小物臭がするんだよなー、デヨーテさん。

「くはははは。聞き分けのいい子は好きですよ。私と共に王都へ行きましょう。なに、魔力を持たない貴族もおりますからね、何も心配することはありませんよ。私が君を、養子として貴族に引き立ててあげましょう」

貴族なんかになりたくねー!
とは言えず、俺は引き攣り笑いを浮かべた。
要望が予想の上いってたよ。
ちゅーとかお触りとかしつこかったから、1回エッチすれば気が済むと思ってたんだけど。
王都?養子?

養子って、言葉通り子供としてってこと?
それならまあと思わなくもないけど、そんなわけないよねー。
俺、男なんだけどなあ。

てかファガルとこんなことになってて今更の疑問なんだが、男同士て有りなのか?

「では、私も一緒に行きます。今までシャリオを世話していたのは私ですからね。シャリオを貴族として引き立てるのであれば、それは私の方が相応しいでしょう。何しろ私はシャリオをきちんと娶るつもりがあります。ただシャリオを弄びたい貴方とは違います」

いや、婚約って言われた時も思ったんだけど、そもそも結婚できるの?
男同士でも結婚てできるもんなの?

聞きたいけど、2人がヒートアップし過ぎてて聞くタイミングがねえし。

「な!こ、こちらこそきちんと娶るつもりで言っている!シャリオを妻に迎えるつもりでいるに決まってるではないか」
その言葉に、デヨーテと共に来た役人が驚いたようだった。
俺も突然のモテ期に驚いておる。

「先程は養子と言っていたではありませんか。本当は愛人として置くだけのつもりなのでしょう?私のシャリオへの愛とは行ってくるほど違いますね」
うむ、微妙に恥ずかしいが、ちゃんと嬉しいぞ。

「私だって娶るつもりでいるわ!」
「神に誓えるのですね」
「おう!」
「では証人を前に誓っていただきましょう。私の側から2人、そちらから2人出し合って神前の誓いを」
神前の誓いとは貴族特有の魔力を使った神への誓言で、嘘をついて誓いを反故にすると天からいやらしい罰が与えられるのだとか。

売りことばに買い言葉で後がなかったとはいえ、デヨーテ扱い易過ぎるだろ。

それがどれだけの罰かは知らないが、ファガルは俺がデヨーテに引き取られてもそれなりの扱いを受けられるようにしてくれた、ということだと思うんだ。
ファガルがきつく握る手から緊張が伝わってくるからな。

「ふ、ふん。どちらがシャリオの夫として相応しいか、王都で支持を仰ごうではないか」

デヨーテは王都に戻る指示を出し始めた。



んーと、それにしても俺の意思って考慮されないパターンなのか?
んでもって、領に対する不正でっち上げ案はデヨーテの頭の中からすっぽりと無くなったっぽいから、このまま何も言わない方がいいんだろうな。

てかチョロすぎねえか、デヨーテ。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

宰相閣下の絢爛たる日常

猫宮乾
BL
 クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。

処理中です...