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34話 22歳の領主様のお仕事
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「うん、よし。これでいいな」
「おお、綺麗なものですなあ」
そうだろ、そうだろ。
さすが領主の家って感じの豪華な噴水、完成だ。
魔術を組み込んでアレコレすること1年。
ようやく形になった。
川とかの水源ないところに水を引くっていうのがなかなかに堪えた。
魔力をバカスカ食っちまう。
けどな、俺の魔力をアテにしていたら、俺の死んだ後どうすんだよってなるだろ?
だからな恒久的なものを作りたかったわけだ。
最終的にはユキとヨイヤミの祝福の力を借りて、地下に水源を引っ張ってきてもらい、それを繋げることでなんとかなった。
「よーし、出でよ、タッツー!」
領主館の前に噴水を用意すると、中にタツノオトシゴ、通称タッツーを配備。
また領主様が何かやってるぞと人が集まってきたけど、あえて説明はしないぜ。
「いいか、タッツー。朝と夕に杭で囲われた畑に水遣りをしに行くのが、お前達の仕事だ。わかったか?」
《イエッサー!》
ぷぴっと口から水を出して返事をすると、それが霧状に舞い虹が生まれる。
めっちゃ綺麗だ。
さてこれで時間になると畑に勝手に水遣りをしに行ってくれる子を配備完了っと。
「これでワシらの負担が減りますなあ」
おっちゃん達が大喜びだ。
畑が大きくなるってことは、その分お世話も増えるってことだからな。
「そうだなー。いろいろ試してみて改善点があったら報告してくれ」
「分かりました」
王様の寄越してくれた人もすごい優秀で、ほんと助かっている。
俺に収支のことなんかわかるわけがないからな。
クワイードは小さいのにそこら辺もこなしていて、心の中ではいつも感謝と謝罪の気持ちでいっぱいだ。
さてこのタッツー、普段は拳大の大きさなのだが、お腹いっぱい水を吸い込むとバレーボール大になる。
その水を口から噴射して小さくなったら噴水に帰ってくるのだ。それを何度か繰り返してもらう。
畑も随分増えたから、ツッチー達は最初から多目に配備した。30匹もいるんだぞ。
ちなみに、噴水で遊んでいた子が溺れたりしたら救助するのもタッツーの仕事のうちだ。
子供は水を見たら飛び込む生き物だと思っておかないといかん。
☆
暫くすると、タッツー見たさに観光客が増えたと連絡があった。
みんな娯楽に飢えてんのね。
まあ、領地に金が落ちるのはいいことだが、宿も整備しないといけなくなったなあってことで、現在魔道具をふんだんに使った貴族向けの高級宿を建設中だ。
アイツらすっげえ金持ってるからな、たくさん使ってもらおうと思っている。
「販売を始めました土産物も、貴族にはお菓子が、平民には長期に保存できてなおかつ美味しいおかず物が売れているようです」
おばちゃん達お手製の食べ物を1年間の保存が効く小瓶に詰めて販売し始めたのが、思ったよりも好調だ。
「このまま続けば、初期投資にかかった費用も3年ほどで回収できる見込みです」
マジでかー。
「そりゃあすごいなあ」
利益がなくても、クワイード達に投資するつもりでいたんだけど、俺がいなくなったあとにもちゃんとした収益になりそうだ。
「あと、タッツー様の盗難騒ぎがありましたが、領外へ出たあとキラキラと光って消え、噴水に戻っていたそうです。被害はありませんでした」
「あ、そんな防犯機能も付いてたんだ」
あー、あれ達も『祝福』のある土地じゃないと過ごしにくいのかもな。
俺が魔術師として名前が上がっているからか、外から来る観光客はツッチーとタッツーを魔道具だと思っているらしいが、どちらかというと精霊に近い何かだ。
売ってくれと言われても売ることはできないのだ。
それにしても、ユキとヨイヤミが頻繁にここを訪れるようになって、彼らの祝福でそういうものが生まれやすい土地に変わりつつあるのだろう。
行くたびに数が増えているんだよなー。
可愛いからいいけど。
畑にゴロリと寝転んで微睡んでいるツッチーも可愛いし、噴水で水のかけっこして飛び回るタッツーも可愛い。
「あと、魔を持つ獣が現れなくなりました。もうこれで8カ月も現れていません」
あ、それもユキ達の祝福のせいかもな。
「ご報告は以上となります」
「うん、わかった。いつもありがとう」
さて、俺の次なる野望は、領民全てに魔石家電が行き渡ることだ。
魔石の魔力補充くらいはやってあげられるしな。
まあでも、金は取るようにって言われたから、領民には財布に優しい領民価格1個500カーネで、領民以外にはその10倍をふっかけて収益にすることになった。
それでも魔力を補充して欲しいと依頼があるところをみると、魔石家電は本当に高価な物なんだと思うわ。
魔力が貴重なんだろう。
お偉い貴族を呼び止めて『魔力をください』なんて、一般平民には言えるわけないもんな。
「じゃあ帰るなー」
「お気をつけてお帰りください~」
俺が荷物を背負うとイフト達もついてくる。
領民が手を振ってくれるのにテイリスが振り返すのが可愛くてニヤニヤする。
はあ、うちの子マジかわゆす。
よし、この子達のためだ。
次来るまでに、魔石家電をいくつか作っておかないとな!
「おお、綺麗なものですなあ」
そうだろ、そうだろ。
さすが領主の家って感じの豪華な噴水、完成だ。
魔術を組み込んでアレコレすること1年。
ようやく形になった。
川とかの水源ないところに水を引くっていうのがなかなかに堪えた。
魔力をバカスカ食っちまう。
けどな、俺の魔力をアテにしていたら、俺の死んだ後どうすんだよってなるだろ?
だからな恒久的なものを作りたかったわけだ。
最終的にはユキとヨイヤミの祝福の力を借りて、地下に水源を引っ張ってきてもらい、それを繋げることでなんとかなった。
「よーし、出でよ、タッツー!」
領主館の前に噴水を用意すると、中にタツノオトシゴ、通称タッツーを配備。
また領主様が何かやってるぞと人が集まってきたけど、あえて説明はしないぜ。
「いいか、タッツー。朝と夕に杭で囲われた畑に水遣りをしに行くのが、お前達の仕事だ。わかったか?」
《イエッサー!》
ぷぴっと口から水を出して返事をすると、それが霧状に舞い虹が生まれる。
めっちゃ綺麗だ。
さてこれで時間になると畑に勝手に水遣りをしに行ってくれる子を配備完了っと。
「これでワシらの負担が減りますなあ」
おっちゃん達が大喜びだ。
畑が大きくなるってことは、その分お世話も増えるってことだからな。
「そうだなー。いろいろ試してみて改善点があったら報告してくれ」
「分かりました」
王様の寄越してくれた人もすごい優秀で、ほんと助かっている。
俺に収支のことなんかわかるわけがないからな。
クワイードは小さいのにそこら辺もこなしていて、心の中ではいつも感謝と謝罪の気持ちでいっぱいだ。
さてこのタッツー、普段は拳大の大きさなのだが、お腹いっぱい水を吸い込むとバレーボール大になる。
その水を口から噴射して小さくなったら噴水に帰ってくるのだ。それを何度か繰り返してもらう。
畑も随分増えたから、ツッチー達は最初から多目に配備した。30匹もいるんだぞ。
ちなみに、噴水で遊んでいた子が溺れたりしたら救助するのもタッツーの仕事のうちだ。
子供は水を見たら飛び込む生き物だと思っておかないといかん。
☆
暫くすると、タッツー見たさに観光客が増えたと連絡があった。
みんな娯楽に飢えてんのね。
まあ、領地に金が落ちるのはいいことだが、宿も整備しないといけなくなったなあってことで、現在魔道具をふんだんに使った貴族向けの高級宿を建設中だ。
アイツらすっげえ金持ってるからな、たくさん使ってもらおうと思っている。
「販売を始めました土産物も、貴族にはお菓子が、平民には長期に保存できてなおかつ美味しいおかず物が売れているようです」
おばちゃん達お手製の食べ物を1年間の保存が効く小瓶に詰めて販売し始めたのが、思ったよりも好調だ。
「このまま続けば、初期投資にかかった費用も3年ほどで回収できる見込みです」
マジでかー。
「そりゃあすごいなあ」
利益がなくても、クワイード達に投資するつもりでいたんだけど、俺がいなくなったあとにもちゃんとした収益になりそうだ。
「あと、タッツー様の盗難騒ぎがありましたが、領外へ出たあとキラキラと光って消え、噴水に戻っていたそうです。被害はありませんでした」
「あ、そんな防犯機能も付いてたんだ」
あー、あれ達も『祝福』のある土地じゃないと過ごしにくいのかもな。
俺が魔術師として名前が上がっているからか、外から来る観光客はツッチーとタッツーを魔道具だと思っているらしいが、どちらかというと精霊に近い何かだ。
売ってくれと言われても売ることはできないのだ。
それにしても、ユキとヨイヤミが頻繁にここを訪れるようになって、彼らの祝福でそういうものが生まれやすい土地に変わりつつあるのだろう。
行くたびに数が増えているんだよなー。
可愛いからいいけど。
畑にゴロリと寝転んで微睡んでいるツッチーも可愛いし、噴水で水のかけっこして飛び回るタッツーも可愛い。
「あと、魔を持つ獣が現れなくなりました。もうこれで8カ月も現れていません」
あ、それもユキ達の祝福のせいかもな。
「ご報告は以上となります」
「うん、わかった。いつもありがとう」
さて、俺の次なる野望は、領民全てに魔石家電が行き渡ることだ。
魔石の魔力補充くらいはやってあげられるしな。
まあでも、金は取るようにって言われたから、領民には財布に優しい領民価格1個500カーネで、領民以外にはその10倍をふっかけて収益にすることになった。
それでも魔力を補充して欲しいと依頼があるところをみると、魔石家電は本当に高価な物なんだと思うわ。
魔力が貴重なんだろう。
お偉い貴族を呼び止めて『魔力をください』なんて、一般平民には言えるわけないもんな。
「じゃあ帰るなー」
「お気をつけてお帰りください~」
俺が荷物を背負うとイフト達もついてくる。
領民が手を振ってくれるのにテイリスが振り返すのが可愛くてニヤニヤする。
はあ、うちの子マジかわゆす。
よし、この子達のためだ。
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