54 / 55
54話 最終話
しおりを挟む
「ああ、上手ですよ」
「う、はっ、んー」
俺の目の前で、睦み合う2人。
カランがサフィ様を上に乗せて、サフィ様が自分でいいところを探して動けるようになるまでになっていた。
この1年で、サフィ様は随分と積極的になった。
それが俺のためだと思えば、胸にくるものもある。
熱くなる体温も、荒くなる息遣いも、そんなサフィ様を見ると止めることなどできるわけがない。
そんな俺を知っていて、カランが見せつけるようにサフィ様を反転させた。
上体を起こしサフィ様の足を持ち上げると、入る様子が見えるように、ゆっくりと挿入した。
「リク」
「!はいっ」
「サリス様をお慰めしろ」
え、いいのか?
この1年、どんなに焦がれても夜の営みとしては触れることすら許されなかったのに。
「サリス様、リクが動けないようです。おねだり、できますね?」
そう言いながら、カランが強めに突き上げた。
「う、あぁっ。あ、リクっ、さ、触って」
サフィ様に、求められている。
サフィ様に、触れられる。
歓喜と、一瞬で真っ赤になった視界で、むしゃぶりついていた。
「リクっ。強、すぎっ!!」
「くっぅぅっ!はっ、サリス様が締めるから、もう出てしまいました。サリス様は、まだ、足りなさそうですね」
サフィ様が締め付けすぎたせいか、カランはそのまま中で果てていた。
ずるりとカランが抜かれると、白濁も垂れ落ちる。
サフィ様のソコが、ひくついて、俺は思わず喉を鳴らした。
「サリス様、気づいていますか?」
「な、に?」
「私としている間に、日付が変わりましたよ。お誕生日、おめでとうございます。さあ、どうします?……何を、誰を望みますか?」
…………カラン。
サフィ様の目も、驚きに満ちていた。
「カランが許してくれるなら、リクを、リクを伴侶に、望みたい」
「本当に、サリス様はおねだりが上手になりましたね」
柔らかく笑むカランがサフィ様に口付けた。
「リク、こちらへ」
言われた通り服を脱ぎ捨て寝台に上がれば、夢にまで見た、サフィ様の姿。
「カラン……感謝する」
俺を許して受け入れてくれることも、俺のせいで傷ついたサフィ様を守り続けてくれたことも。
今、この時を迎えることができるのは、カランのおかげだから。
「カラン、カランも一緒にきて」
カランが俺に場所を譲ろうとすると、サフィ様がカランの手を取った。
「カランとリクと、俺、2人が大好きだから。一緒がいい。2人で、して」
「サリス様のっっっおねだりっ!!」
「上手になり過ぎでしょう!!」
☆
疲れ果てた2人はまだ寝ている。
俺は窓辺の椅子に腰掛けてあの日を振り返った。
急に視界が開けて前を見ると、あの日と同じ、兄上に切っ先が向けられていた。
兄上を守らなければ。
私は、そのために、遣わされたのだから。
走り、刺し、ふと見れば、同じく憎き元凶にとどめを刺したもう1人の兄がいた。
あまり話したこともない、たいして仲が良くもなかった兄。
どちらかといえば、血筋としては敵方だと思っていたくらいだ。
それなのに、何故だろう。
母の違う兄弟でも、志を共にすることがあると、直ぐに受け入れられた。
母の違う兄弟でも仲のいい、彼らを知っていたから。
彼らって、誰だ?
兄上達に倣い、事件を収拾すること1年。私の功績を、皆が称賛してくれた。
兄上の未来を輝かしいものとする。そのために1年、国を立て直すことに尽力した。
充分、それは充分な働きだったと、自分でもわかっている、のに、何かが足りない。
皆に称賛されても、嬉しくない。何かが違う。
本当に褒めて欲しいのは、あの人なのに。
……あの人って、誰だ?
「リキューリク、そんなに根をつめなくともいいんだよ。もっと我が儘になっていいんだ。お前は学院で、もっと楽しそうだっただろう?覚えてはいないかい?」
兄上は、心配そうにそれを口にした。
学院での記憶が、ない。
全てでは無いけれど、なぜあんなに競うように学んでいたのか、その理由が、なんであったのか。
「リキューリク、我が儘を言ってもいいんだ。お前には、どんな我が儘も受け止めてくれる、そんな人がいるだろう?」
俺の、我が儘を、全て受け止めてくれる人。
その言葉で、急に、鮮明になった。
目の前にかかる霧が晴れ、鮮やかにその人が蘇った。
どうして忘れていたのだろう。
なぜ、忘れていられたのだろう!
これほどまでに愛おしい、サフィ様のことを!!
「リキューリク。私はお前が幸せで有ればいい。お前は充分、私を助けてくれた。この国もだ。好きなように生きなさい。お前の行きたいところへ、行きなさい」
「兄上……!」
慌ててその場を辞して部屋へ走ったが、俺の大切なその人は既に学院にはいなかった。
もう、1年も経っていたのだ。
あれからもう、1年。
心当たりのある場所を順に辿って訪ねたけれど、そのどこにもサフィ様はいなかった。
時間が巻き戻って、あの時に戻れたら、もう一度サフィ様に拾ってもらえないだろうか。
こんなきちんとした服を着た俺ではなく、薄汚れた子供なら、あの人はもう一度拾ってくれないだろうか。
急に思いついた。
高価な服を脱ぎ捨て、ボロを纏い、泥に塗れた。
記憶を辿り、山へ行くと、そこにサフィ様はいた。
そして、喜びの気持ちのまま飛びついた。
けれど。
「リク。今頃なんの用だ」
そこに俺の場所は、もうなかった。
俺に気づいてくれたサフィ様を隠すように、カランは俺を拒絶した。
サフィ様がそれを止めることも、なかった。
「カラン?俺、サフィ様の」
側に戻りたい、と言う言葉は、言葉にならなかった。
カランが許さなかった。
2人は夫夫になったと。
だからここに、俺の帰る場所はないんだと。
それでも充分驚いたのに。
「サリス様は、お前がいなくなってから随分苦しんだ。だから、あれだけの恩を受けながらサリス様を捨てた薄情なお前を、私は受け入れることはできない」
「俺はサフィ様を捨てたりしていない!!」
捨てたりするわけがない!!
「馬鹿を言え!!なら、何故あれほどまでにサリス様が苦しんだんだ!!妻を傷つける敵から守るのは、夫の務めだ。私はお前を認めない」
「俺が、サフィ様の、敵?」
サフィ様を、傷つけた?
俺が?
俺が……サフィ様を?
そうなのか?
そうかも、しれない。
1年も、サフィ様を、忘れていたのは、俺だ。
案外、寂しがり屋なサフィ様を、俺は知っていたはずだ。
家から、家族から。
ポツリと呟くだけの本音を、俺は知っていたはずだ。
そんなサフィ様を、1年も放っておいて、ははははは。
寂しがり屋のあの人が、どれだけ辛かったかなんて。
ああ、そうか。
もう俺に、居場所なんかないのか。
「……とはいえ私の妻は美しいので、腕の立つ護衛の1人くらいは雇ってもいいかと思っております」
「え?」
今、都合の良い言葉が聞こえてきた、気がする。
「サリス様を守る者として、サリス様に仕えることができるなら」
「できます!!やります!!サフィ様の側に、置いてください」
どんな形でもいい。サフィ様の側に、いたい!
「サリス様、どうしますか?」
「カラン、いいの?」
「私は妻に弱いのでね。妻の願いはなんでも叶えてやりたいのです。サリス様の今年の誕生日は既に終わってしまいましたが、来年、サリス様が望むなら……彼を許し同じく伴侶の1人として迎えることも、やぶさかではありませんよ」
カラン……。
わかっている。
カランは俺を許したわけではなく、サリス様を思いやったのだと。
それでも、それでも!!
感謝する!
カラン、お前の寛大さに、感謝する。
☆
ビアイラから移動すること3年。
「おーい。大丈夫か?」
この人は変わらない。
魔物を斬り捨てると、襲われていた子供に走り寄る。
「こんなところで何してたんだ?」
「お母ちゃんが病気だから、薬を採りにきたんだ」
「そっか、エライなあ。あ、そうだ。兄ちゃんいい薬持ってるから分けてやるぞ」
泣く子供を抱き上げて、サフィ様は歩き出した。
俺は、変わらないサフィ様を、立ち止まって眺めた。
「おい、リク行くぞ」
「はいっ」
もう俺は、この人に置いていかれることはない。
遅れても、こうして振り返り必ず手を差し伸べてくれるから。
これからも、沢山の賢人が、偉人が、この国を導くだろう。
それでも、道端でひっそりと死んでいくような小さな魂の隅々まで、手を差し伸べる人はきっと多くない。
そのことに、サフィ様は気づかないだろう。
城を出立する時、兄上が教えてくれた。
俺は入ったことがないが、城の奥には隠された部屋があるのだと。
そこは代を継承する者と、それに異を唱えた兄弟だけが呼ばれる場所で『欲にかられて国を動かせば天罰を受ける』という未来を見せられる部屋だとか。
『ベルフォンスも入っただろうな』と兄上は言っていた。ただ彼は、それをどうすれば天罰を受けずに国を掌握できるのか、と解釈したのではないかとも。
『私はそこで、リキューリク、お前とサリスフィーナを見たのだ。お前があれほどつらい5年を生きていたとは知らなかった。あのまま2人が出会っていなかったら、この星が崩れ落ちていた様を、私は見たよ。
それはとても……とても恐ろしい光景だった』
この国を救ってくれたのは、あの子なんだろうね、と。
まあでも、この国の、いや、この世界の危機を救ったのがサフィ様だということを、どれほど力説したところでサフィ様には響かない。
そんなことがあるわけないって、一笑されるのが簡単に想像できてしまうから。
だから、彼だけが気づかないのだ。
貴方が確かに、この世界の救世主だったということに。
「う、はっ、んー」
俺の目の前で、睦み合う2人。
カランがサフィ様を上に乗せて、サフィ様が自分でいいところを探して動けるようになるまでになっていた。
この1年で、サフィ様は随分と積極的になった。
それが俺のためだと思えば、胸にくるものもある。
熱くなる体温も、荒くなる息遣いも、そんなサフィ様を見ると止めることなどできるわけがない。
そんな俺を知っていて、カランが見せつけるようにサフィ様を反転させた。
上体を起こしサフィ様の足を持ち上げると、入る様子が見えるように、ゆっくりと挿入した。
「リク」
「!はいっ」
「サリス様をお慰めしろ」
え、いいのか?
この1年、どんなに焦がれても夜の営みとしては触れることすら許されなかったのに。
「サリス様、リクが動けないようです。おねだり、できますね?」
そう言いながら、カランが強めに突き上げた。
「う、あぁっ。あ、リクっ、さ、触って」
サフィ様に、求められている。
サフィ様に、触れられる。
歓喜と、一瞬で真っ赤になった視界で、むしゃぶりついていた。
「リクっ。強、すぎっ!!」
「くっぅぅっ!はっ、サリス様が締めるから、もう出てしまいました。サリス様は、まだ、足りなさそうですね」
サフィ様が締め付けすぎたせいか、カランはそのまま中で果てていた。
ずるりとカランが抜かれると、白濁も垂れ落ちる。
サフィ様のソコが、ひくついて、俺は思わず喉を鳴らした。
「サリス様、気づいていますか?」
「な、に?」
「私としている間に、日付が変わりましたよ。お誕生日、おめでとうございます。さあ、どうします?……何を、誰を望みますか?」
…………カラン。
サフィ様の目も、驚きに満ちていた。
「カランが許してくれるなら、リクを、リクを伴侶に、望みたい」
「本当に、サリス様はおねだりが上手になりましたね」
柔らかく笑むカランがサフィ様に口付けた。
「リク、こちらへ」
言われた通り服を脱ぎ捨て寝台に上がれば、夢にまで見た、サフィ様の姿。
「カラン……感謝する」
俺を許して受け入れてくれることも、俺のせいで傷ついたサフィ様を守り続けてくれたことも。
今、この時を迎えることができるのは、カランのおかげだから。
「カラン、カランも一緒にきて」
カランが俺に場所を譲ろうとすると、サフィ様がカランの手を取った。
「カランとリクと、俺、2人が大好きだから。一緒がいい。2人で、して」
「サリス様のっっっおねだりっ!!」
「上手になり過ぎでしょう!!」
☆
疲れ果てた2人はまだ寝ている。
俺は窓辺の椅子に腰掛けてあの日を振り返った。
急に視界が開けて前を見ると、あの日と同じ、兄上に切っ先が向けられていた。
兄上を守らなければ。
私は、そのために、遣わされたのだから。
走り、刺し、ふと見れば、同じく憎き元凶にとどめを刺したもう1人の兄がいた。
あまり話したこともない、たいして仲が良くもなかった兄。
どちらかといえば、血筋としては敵方だと思っていたくらいだ。
それなのに、何故だろう。
母の違う兄弟でも、志を共にすることがあると、直ぐに受け入れられた。
母の違う兄弟でも仲のいい、彼らを知っていたから。
彼らって、誰だ?
兄上達に倣い、事件を収拾すること1年。私の功績を、皆が称賛してくれた。
兄上の未来を輝かしいものとする。そのために1年、国を立て直すことに尽力した。
充分、それは充分な働きだったと、自分でもわかっている、のに、何かが足りない。
皆に称賛されても、嬉しくない。何かが違う。
本当に褒めて欲しいのは、あの人なのに。
……あの人って、誰だ?
「リキューリク、そんなに根をつめなくともいいんだよ。もっと我が儘になっていいんだ。お前は学院で、もっと楽しそうだっただろう?覚えてはいないかい?」
兄上は、心配そうにそれを口にした。
学院での記憶が、ない。
全てでは無いけれど、なぜあんなに競うように学んでいたのか、その理由が、なんであったのか。
「リキューリク、我が儘を言ってもいいんだ。お前には、どんな我が儘も受け止めてくれる、そんな人がいるだろう?」
俺の、我が儘を、全て受け止めてくれる人。
その言葉で、急に、鮮明になった。
目の前にかかる霧が晴れ、鮮やかにその人が蘇った。
どうして忘れていたのだろう。
なぜ、忘れていられたのだろう!
これほどまでに愛おしい、サフィ様のことを!!
「リキューリク。私はお前が幸せで有ればいい。お前は充分、私を助けてくれた。この国もだ。好きなように生きなさい。お前の行きたいところへ、行きなさい」
「兄上……!」
慌ててその場を辞して部屋へ走ったが、俺の大切なその人は既に学院にはいなかった。
もう、1年も経っていたのだ。
あれからもう、1年。
心当たりのある場所を順に辿って訪ねたけれど、そのどこにもサフィ様はいなかった。
時間が巻き戻って、あの時に戻れたら、もう一度サフィ様に拾ってもらえないだろうか。
こんなきちんとした服を着た俺ではなく、薄汚れた子供なら、あの人はもう一度拾ってくれないだろうか。
急に思いついた。
高価な服を脱ぎ捨て、ボロを纏い、泥に塗れた。
記憶を辿り、山へ行くと、そこにサフィ様はいた。
そして、喜びの気持ちのまま飛びついた。
けれど。
「リク。今頃なんの用だ」
そこに俺の場所は、もうなかった。
俺に気づいてくれたサフィ様を隠すように、カランは俺を拒絶した。
サフィ様がそれを止めることも、なかった。
「カラン?俺、サフィ様の」
側に戻りたい、と言う言葉は、言葉にならなかった。
カランが許さなかった。
2人は夫夫になったと。
だからここに、俺の帰る場所はないんだと。
それでも充分驚いたのに。
「サリス様は、お前がいなくなってから随分苦しんだ。だから、あれだけの恩を受けながらサリス様を捨てた薄情なお前を、私は受け入れることはできない」
「俺はサフィ様を捨てたりしていない!!」
捨てたりするわけがない!!
「馬鹿を言え!!なら、何故あれほどまでにサリス様が苦しんだんだ!!妻を傷つける敵から守るのは、夫の務めだ。私はお前を認めない」
「俺が、サフィ様の、敵?」
サフィ様を、傷つけた?
俺が?
俺が……サフィ様を?
そうなのか?
そうかも、しれない。
1年も、サフィ様を、忘れていたのは、俺だ。
案外、寂しがり屋なサフィ様を、俺は知っていたはずだ。
家から、家族から。
ポツリと呟くだけの本音を、俺は知っていたはずだ。
そんなサフィ様を、1年も放っておいて、ははははは。
寂しがり屋のあの人が、どれだけ辛かったかなんて。
ああ、そうか。
もう俺に、居場所なんかないのか。
「……とはいえ私の妻は美しいので、腕の立つ護衛の1人くらいは雇ってもいいかと思っております」
「え?」
今、都合の良い言葉が聞こえてきた、気がする。
「サリス様を守る者として、サリス様に仕えることができるなら」
「できます!!やります!!サフィ様の側に、置いてください」
どんな形でもいい。サフィ様の側に、いたい!
「サリス様、どうしますか?」
「カラン、いいの?」
「私は妻に弱いのでね。妻の願いはなんでも叶えてやりたいのです。サリス様の今年の誕生日は既に終わってしまいましたが、来年、サリス様が望むなら……彼を許し同じく伴侶の1人として迎えることも、やぶさかではありませんよ」
カラン……。
わかっている。
カランは俺を許したわけではなく、サリス様を思いやったのだと。
それでも、それでも!!
感謝する!
カラン、お前の寛大さに、感謝する。
☆
ビアイラから移動すること3年。
「おーい。大丈夫か?」
この人は変わらない。
魔物を斬り捨てると、襲われていた子供に走り寄る。
「こんなところで何してたんだ?」
「お母ちゃんが病気だから、薬を採りにきたんだ」
「そっか、エライなあ。あ、そうだ。兄ちゃんいい薬持ってるから分けてやるぞ」
泣く子供を抱き上げて、サフィ様は歩き出した。
俺は、変わらないサフィ様を、立ち止まって眺めた。
「おい、リク行くぞ」
「はいっ」
もう俺は、この人に置いていかれることはない。
遅れても、こうして振り返り必ず手を差し伸べてくれるから。
これからも、沢山の賢人が、偉人が、この国を導くだろう。
それでも、道端でひっそりと死んでいくような小さな魂の隅々まで、手を差し伸べる人はきっと多くない。
そのことに、サフィ様は気づかないだろう。
城を出立する時、兄上が教えてくれた。
俺は入ったことがないが、城の奥には隠された部屋があるのだと。
そこは代を継承する者と、それに異を唱えた兄弟だけが呼ばれる場所で『欲にかられて国を動かせば天罰を受ける』という未来を見せられる部屋だとか。
『ベルフォンスも入っただろうな』と兄上は言っていた。ただ彼は、それをどうすれば天罰を受けずに国を掌握できるのか、と解釈したのではないかとも。
『私はそこで、リキューリク、お前とサリスフィーナを見たのだ。お前があれほどつらい5年を生きていたとは知らなかった。あのまま2人が出会っていなかったら、この星が崩れ落ちていた様を、私は見たよ。
それはとても……とても恐ろしい光景だった』
この国を救ってくれたのは、あの子なんだろうね、と。
まあでも、この国の、いや、この世界の危機を救ったのがサフィ様だということを、どれほど力説したところでサフィ様には響かない。
そんなことがあるわけないって、一笑されるのが簡単に想像できてしまうから。
だから、彼だけが気づかないのだ。
貴方が確かに、この世界の救世主だったということに。
14
お気に入りに追加
1,744
あなたにおすすめの小説
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
目指すは新天地!のはず?
水場奨
BL
ケガをして、寝込んで起きたら記憶が2人分になっていた。
そのせいで今までの状況が普通でないと気づいてしまった俺は、新天地を目指して旅立つことにした。……のに、ついてくんなよ!ってか行かせてくんない?!
逃げたい主人公(受)と手に入れたい彼(攻)のお話。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
孤独な蝶は仮面を被る
緋影 ナヅキ
BL
とある街の山の中に建っている、小中高一貫である全寮制男子校、華織学園(かしきのがくえん)─通称:“王道学園”。
全学園生徒の憧れの的である生徒会役員は、全員容姿や頭脳が飛び抜けて良く、運動力や芸術力等の他の能力にも優れていた。また、とても個性豊かであったが、役員仲は比較的良好だった。
さて、そんな生徒会役員のうちの1人である、会計の水無月真琴。
彼は己の本質を隠しながらも、他のメンバーと各々仕事をこなし、極々平穏に、楽しく日々を過ごしていた。
あの日、例の不思議な転入生が来るまでは…
ーーーーーーーーー
作者は執筆初心者なので、おかしくなったりするかもしれませんが、温かく見守って(?)くれると嬉しいです。
学生のため、ストック残量状況によっては土曜更新が出来ないことがあるかもしれません。ご了承下さい。
所々シリアス&コメディ(?)風味有り
*表紙は、我が妹である あくす(Twitter名) に描いてもらった真琴です。かわいい
*多少内容を修正しました。2023/07/05
*お気に入り数200突破!!有難う御座います!2023/08/25
*エブリスタでも投稿し始めました。アルファポリス先行です。2023/03/20
最弱伝説俺
京香
BL
元柔道家の父と元モデルの母から生まれた葵は、四兄弟の一番下。三人の兄からは「最弱」だと物理的愛のムチでしごかれる日々。その上、高校は寮に住めと一人放り込まれてしまった!
有名柔道道場の実家で鍛えられ、その辺のやんちゃな連中なんぞ片手で潰せる強さなのに、最弱だと思い込んでいる葵。兄作成のマニュアルにより高校で不良認定されるは不良のトップには求婚されるはで、はたして無事高校を卒業出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる