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「はぁー……お待たせいたしました」
セラフィナはリリスに指示された通り、食堂に入り座る前にそう言って膝を折った。深いため息は思わず出てしまった。
「そこに……」
セラフィナはクライドが何事が言いかけたような気がしたけれど無視をして空いている席に腰を下ろす。
リリスがその背後にピタリと立つ。
「いいですか?パンは一口大に千切って口へ」
「わかってるってば」
リリスの囁やきにセラフィナも小さな声で答える。
テーブルの上にはホカホカと湯気を立てたスープと瑞々しいサラダ、おかわり用なのか自分の手元にあるものとは別にバターと香ばしいかおりがするパンが中央の籠に山ほど入っている。
目の前にあるフカフカのパンに手を伸ばすと千切り、口に入れた。バターの風味が口いっぱいに広がって鼻へ抜けていく……
セラフィナは幸せに包まれた。
(なにこれ……お金持ちの食べる食事うまい……!)
セラフィナは以前いたところの食事を思い出す。
朝食はいつもパサパサの硬いパンと野菜屑の浮いた味のうすーーーーーーーーいスープ……
「……おい」
「…おい」
「おい!」
「…………」
「無言で睨みつけるな!おい!この女性のことが気にならんのか貴様は!」クライドは無言でそちらに目を向けたセラフィナに対してテーブルを叩きながら威嚇してきた。
「……猿みたい」
「なんだと?なんと言った!」その呟きはクライドの耳には届かなかったようだが、なんとなく悪口を言ったことは伝わったのか顔を真っ赤にして怒っている。
セラフィナが正面を向くとクライドの隣に美しい女性が座っているのが目に入る。本来は入室した時から気付いていたのだが、興味がないので特に何も聞かなかった。
清らかな空気を身に纏わせた彼女は説明されなくてもわかる……西の聖女だろう、とセラフィナは思った。
「はじめまして、私オリビア・バークリーと申します。西で聖女を務めさせていただいておりました。あなたは……東で聖女を?」
「はい。私、東の聖女です。あ……元」
「ねえ?これから私たち一緒に暮らすのだもの……仲良くやっていきたいわ?セラフィナ様……こうしてまた一緒に食事できると嬉しく思います」オリビアはそう言うとふわりと笑った。
女神様みたい……
セラフィナは見たことはない架空の存在にオリビアを当てはめた。
崇拝するものを見えない者たちのために具現化した存在だ。
神も、女神も……天使も。
皆容姿が美しい。
本来セラフィナに見えているものは違った。
セラフィナはキラキラと輝く空間をぼんやりと眺める。
形はない、ただ、そこにいる。
セラフィナは「加護」と表現しているが、自分に対しての「それ」とオリビアに対しての「それ」は形が違う気がしていた。
自分の「加護」は「死なないようにしている」に過ぎない気がする。
オリビアを纏う優しい加護を感じセラフィナは心の中で毒づく。
(平等ではない、神でさえも)
オリビアは確かに護られている。
温かく、壊れ物を扱うように。
自分はそうではない。
クライドもそれを感じたのではないか、とセラフィナは思った。だから私たちが釣り合わないことに気がついたのだ。
それにこの契約婚はきっとオリビアも知っている。
事情を知っていなければ新婚夫婦と共に暮らすことなど普通はできないだろう。
この結婚にこの先も愛など存在しないであろうことをオリビアは知っているのだ。
そんなことを微塵も感じさせない程ニコニコと笑うオリビアを見てセラフィナは悪態をつきそうになったが、にっこり笑うと「はい、そうですね。仲良くやりましょう」と言った。それを聞いたオリビアは満足そうに微笑むとクライドに目をやった。
「……あー……あのな。あの……夜会が……」
クライドはオリビアの方を向いたまま話し出したのでセラフィナは自分はもう関係ない、と再び食事を進めた。
(一緒に暮らすのか……でも、この旦那と二人きりよりいいか!息が詰まるもの!)
「サラダは一口分だけフォークで刺して、口に運びます」
「わかってるってば」セラフィナはリリスの囁やきに口を尖らせるとサラダの葉物をザクザクとフォークに刺した。
「…………おい」
「……おい」
「おい!」
クライドがテーブルをドンッと叩いたのでセラフィナはちらりとそちらを見て「……ったく……なんて下品な男なの?テーブルを叩くのはよしなさいな」そう呟くとサラダを再び口に入れる。
「話を聞いているのか!?」
「私?聞いてないわ。人の話に聞き耳を立てるようなこと……私しないもの」セラフィナはえっへんと胸を張るとリリスが小さくパチパチと拍手をしてくれたのでヘラリと笑う。
「人の話?何を言ってるんだ!これはお前と俺の話だ!一週間後に夜会があるから準備をしておけよ!」
「え?」
「や、夜会だ!夜会!……別に俺は出席したくないが……う、上がうるさいんだよ!……チッ……面倒くさいことをさせるもんだ」
クライドは腕を組みながら椅子の背もたれに寄りかかり面倒くさそうにそう言った。
「む……無理よ。夜会って夜でしょ?私……夜は出かけられないもの」セラフィナは下を向いてそう言った。
「いや……しかし、国が主催したもので……我々の婚姻を各国に披露するための……」
「む……無理……時間を早めてもらうか、代役を立ててもらうしかないわ。私が夜出かけられないのは東が知ってるはず……掛け合っていただけませんか?」
そう言って顔をゆっくり上げたセラフィナの顔は元々色白なのも相まって完全に血の気を失っていた。
それを見たクライドは思わず頭を縦に振ることしかできなかったのだ。
セラフィナはリリスに指示された通り、食堂に入り座る前にそう言って膝を折った。深いため息は思わず出てしまった。
「そこに……」
セラフィナはクライドが何事が言いかけたような気がしたけれど無視をして空いている席に腰を下ろす。
リリスがその背後にピタリと立つ。
「いいですか?パンは一口大に千切って口へ」
「わかってるってば」
リリスの囁やきにセラフィナも小さな声で答える。
テーブルの上にはホカホカと湯気を立てたスープと瑞々しいサラダ、おかわり用なのか自分の手元にあるものとは別にバターと香ばしいかおりがするパンが中央の籠に山ほど入っている。
目の前にあるフカフカのパンに手を伸ばすと千切り、口に入れた。バターの風味が口いっぱいに広がって鼻へ抜けていく……
セラフィナは幸せに包まれた。
(なにこれ……お金持ちの食べる食事うまい……!)
セラフィナは以前いたところの食事を思い出す。
朝食はいつもパサパサの硬いパンと野菜屑の浮いた味のうすーーーーーーーーいスープ……
「……おい」
「…おい」
「おい!」
「…………」
「無言で睨みつけるな!おい!この女性のことが気にならんのか貴様は!」クライドは無言でそちらに目を向けたセラフィナに対してテーブルを叩きながら威嚇してきた。
「……猿みたい」
「なんだと?なんと言った!」その呟きはクライドの耳には届かなかったようだが、なんとなく悪口を言ったことは伝わったのか顔を真っ赤にして怒っている。
セラフィナが正面を向くとクライドの隣に美しい女性が座っているのが目に入る。本来は入室した時から気付いていたのだが、興味がないので特に何も聞かなかった。
清らかな空気を身に纏わせた彼女は説明されなくてもわかる……西の聖女だろう、とセラフィナは思った。
「はじめまして、私オリビア・バークリーと申します。西で聖女を務めさせていただいておりました。あなたは……東で聖女を?」
「はい。私、東の聖女です。あ……元」
「ねえ?これから私たち一緒に暮らすのだもの……仲良くやっていきたいわ?セラフィナ様……こうしてまた一緒に食事できると嬉しく思います」オリビアはそう言うとふわりと笑った。
女神様みたい……
セラフィナは見たことはない架空の存在にオリビアを当てはめた。
崇拝するものを見えない者たちのために具現化した存在だ。
神も、女神も……天使も。
皆容姿が美しい。
本来セラフィナに見えているものは違った。
セラフィナはキラキラと輝く空間をぼんやりと眺める。
形はない、ただ、そこにいる。
セラフィナは「加護」と表現しているが、自分に対しての「それ」とオリビアに対しての「それ」は形が違う気がしていた。
自分の「加護」は「死なないようにしている」に過ぎない気がする。
オリビアを纏う優しい加護を感じセラフィナは心の中で毒づく。
(平等ではない、神でさえも)
オリビアは確かに護られている。
温かく、壊れ物を扱うように。
自分はそうではない。
クライドもそれを感じたのではないか、とセラフィナは思った。だから私たちが釣り合わないことに気がついたのだ。
それにこの契約婚はきっとオリビアも知っている。
事情を知っていなければ新婚夫婦と共に暮らすことなど普通はできないだろう。
この結婚にこの先も愛など存在しないであろうことをオリビアは知っているのだ。
そんなことを微塵も感じさせない程ニコニコと笑うオリビアを見てセラフィナは悪態をつきそうになったが、にっこり笑うと「はい、そうですね。仲良くやりましょう」と言った。それを聞いたオリビアは満足そうに微笑むとクライドに目をやった。
「……あー……あのな。あの……夜会が……」
クライドはオリビアの方を向いたまま話し出したのでセラフィナは自分はもう関係ない、と再び食事を進めた。
(一緒に暮らすのか……でも、この旦那と二人きりよりいいか!息が詰まるもの!)
「サラダは一口分だけフォークで刺して、口に運びます」
「わかってるってば」セラフィナはリリスの囁やきに口を尖らせるとサラダの葉物をザクザクとフォークに刺した。
「…………おい」
「……おい」
「おい!」
クライドがテーブルをドンッと叩いたのでセラフィナはちらりとそちらを見て「……ったく……なんて下品な男なの?テーブルを叩くのはよしなさいな」そう呟くとサラダを再び口に入れる。
「話を聞いているのか!?」
「私?聞いてないわ。人の話に聞き耳を立てるようなこと……私しないもの」セラフィナはえっへんと胸を張るとリリスが小さくパチパチと拍手をしてくれたのでヘラリと笑う。
「人の話?何を言ってるんだ!これはお前と俺の話だ!一週間後に夜会があるから準備をしておけよ!」
「え?」
「や、夜会だ!夜会!……別に俺は出席したくないが……う、上がうるさいんだよ!……チッ……面倒くさいことをさせるもんだ」
クライドは腕を組みながら椅子の背もたれに寄りかかり面倒くさそうにそう言った。
「む……無理よ。夜会って夜でしょ?私……夜は出かけられないもの」セラフィナは下を向いてそう言った。
「いや……しかし、国が主催したもので……我々の婚姻を各国に披露するための……」
「む……無理……時間を早めてもらうか、代役を立ててもらうしかないわ。私が夜出かけられないのは東が知ってるはず……掛け合っていただけませんか?」
そう言って顔をゆっくり上げたセラフィナの顔は元々色白なのも相まって完全に血の気を失っていた。
それを見たクライドは思わず頭を縦に振ることしかできなかったのだ。
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