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「1ヶ月経ちました?」
「いや…その…いや」
週末お部屋で寛いでいるとブライアン様がやってきた。
私はなんだか先週会ったような気がするけど…と頭を傾げる。
でも歳を重ねると時間の流れが早くなるものだから、と私はぼんやり考えた。
「どうなさったのですか?」
「あ、あ、あの…あのあのあの…め…めめめメメシヲクイニイカナイカ」
「え?メシヲクイニ?ご飯を食べに行くのですか?私とブライアン様が?なぜですか?」
ブライアン様はコクコクと頷いている。
…やだなぁ…なんか…
ブライアン様はソワソワとズボンに手を擦り付けている。
「あ、あ、あの…し、知り合いが…み、店を、……ミセヲ…」
「え?知り合いの方がお店を始めたのですか?」
「そ…ソウナンダ」
ブライアン様はコクコクと頷くとちらりとこちらを見てまた俯いた。
車に乗り込むと小指が触れ合ってしまったので慌てて脚の間に手を挟む。やだやだ!私ったら本当にだらしのない…腕が横に広がりやすいタイプなんだわ…もー…「す、すいません…触りたいわけではなくて…誤解されてしまうかもなのですが…私本当にブライアン様に触りたくないんです…信じてくださいませ…」泣きそう!
「…触りたくない…」
「はい。本当なんです。本当に触りたくないんです!嘘じゃないんです…」お願い。ブライアン様…信じて
私は目が合うとまた気持ち悪いと思われたら…と俯きながらそう言った。私ったら!本当いやだわ。
「ぐ…うぅ…わ、わ、ワカッタ…スマナカッタ…」誤解は解けたようです!よかった…
「あ、あの、あの、エ…エスコート…ヲ…」
車から降りるとブライアン様が手を差し出してきました。
「え…?あの…エスコート…?だ、大丈夫です」車に乗る前やパーティーならわかるけど…街中でエスコート?……恥ずかしい!!無理よ!そんな!!
「誤解されたら困るので…」街なら誰かに見られてるかもしれないのに…なんとなく前で手を重ねた。
「わ…ワカッタ…」じゃあ着いてきて、とブライアン様は私の前を歩く。…広い背中だなぁ、背も高いし。私はぼんやりとブライアン様を見上げた。
ブライアン様はチラチラと時折私の動向を確認していて目が合いそうになったので慌てて俯いた。
…いけない…また見てると思われちゃう…まあ、今回は見てたんだけど…
しばらく歩いて路地裏を抜けると真新しい建物があってブライアン様はそのドアをそっと開ける。
「いらっしゃいませ」女性店員の透き通った声がする。
「こんにちは」ブライアン様は軽く会釈をすると挨拶をした。…この女性が知り合いなのかな?
女性店員は厨房に声を掛けるとそこから屈強な男性がノシノシとやってきた。「よお、ブライアン」「お久しぶりです」ブライアン様は腕まくりをしながらやってきた男性に頭を下げて挨拶をした。男性がこちらをじっと見つめてる…
「あ、わ、私…」
「自分の婚約者です」ブライアン様は頭をポリポリ掻くと私を手で指し示しそう言った。
「あー!なるほど!そうか!ふふふ…ブライアンめ」男性はニコニコ笑うと火を着けっぱなしだ!と慌ててまた厨房に戻って行った。
「うちはビュッフェ方式になっていて…」女性店員が仕組みを説明してくれる。私がそのやり方に戸惑っていると「お、お、俺が…俺がトッテコヨウカ…?」とブライアン様が言った。
「あ…いいんですか?」
「こ、こ、こ、こ、ここは…職場のど、ど、ど、同僚とき、来たことが…あ、あ、あ、アルンダ…」
先に席に着いていて。と言われてお言葉に甘える。
一番隅の観葉植物の隣にそっと腰掛ける。
ブライアン様はお皿を持つとせっせと食べ物を盛り付けている。私はそれをぼーっと眺めた。
…なんか…ブライアン様は背が高いので、背を丸めて一生懸命…
……カッコ悪い…
彼は食事の盛り付けが完了したのかお皿を持ってキョロキョロし始めた。………私がどこにいるのかわからないんだわ!!
私はそんなブライアン様を眺める。
ああ…キョロキョロしてる…キョロキョロしてる…お皿を持ってオロオロしてる…
私は胸がギュッと締め付けられる思いがした。
…か…カッコ悪い…
なんてカッコ悪いのかしら…
やっと隅にいる私に気付いたのかこちらにカクカクしながらやってきた。…カッコ悪い…先ほどキョロキョロしていたのは気づかれていない体でキリッとした顔でこちらにやってきたわ…
「お…オマタセ…」
「あ…はい。あ、ありがとうございます」
お皿に載った食事はどれも私の好きなものばかりで美味しそう…
ブライアン様は自分のも取りに行くと席を立った。
私はまたその背中を見つめる。
…やっぱりお皿にちまちまと盛り付ける様がカッコ悪い…
食事はどれも美味しくてお腹がいっぱいになった。
私がお金を払おうとすると「お、お、俺の…上司のミセダカラ…」とお金を支払ってくれた。……なんだか悪いなぁ…そう思いお店を出たところで財布を出すとそこで王女様にばったり会ったので(ああ、ブライアン様は王女様と待ち合わせの時間潰しに私とご飯を食べたのね)と胸がギュッとなった。
なんだかそんな二人を見ていられなくて私は「失礼します」とその場を後にしたのだけれど…私の帰り方が良くなかったのかその後ブライアン様が訪問されましたが、なんとなく気持ちの整理がつかなくて私は寝たふりをして帰ってもらうよう使用人に伝えた。
その日ベッドに入り、天井を見上げるとブライアン様がお皿を持ってキョロキョロしていたのを思い出す。
……
………
私は胸がキュンキュンするのを誤魔化すためにあくびをして目をそっと瞑った。
…気のせい…気のせいよ…そんなわけないわ…
ブライアン様には王女様がいらっしゃるのよ…
「いや…その…いや」
週末お部屋で寛いでいるとブライアン様がやってきた。
私はなんだか先週会ったような気がするけど…と頭を傾げる。
でも歳を重ねると時間の流れが早くなるものだから、と私はぼんやり考えた。
「どうなさったのですか?」
「あ、あ、あの…あのあのあの…め…めめめメメシヲクイニイカナイカ」
「え?メシヲクイニ?ご飯を食べに行くのですか?私とブライアン様が?なぜですか?」
ブライアン様はコクコクと頷いている。
…やだなぁ…なんか…
ブライアン様はソワソワとズボンに手を擦り付けている。
「あ、あ、あの…し、知り合いが…み、店を、……ミセヲ…」
「え?知り合いの方がお店を始めたのですか?」
「そ…ソウナンダ」
ブライアン様はコクコクと頷くとちらりとこちらを見てまた俯いた。
車に乗り込むと小指が触れ合ってしまったので慌てて脚の間に手を挟む。やだやだ!私ったら本当にだらしのない…腕が横に広がりやすいタイプなんだわ…もー…「す、すいません…触りたいわけではなくて…誤解されてしまうかもなのですが…私本当にブライアン様に触りたくないんです…信じてくださいませ…」泣きそう!
「…触りたくない…」
「はい。本当なんです。本当に触りたくないんです!嘘じゃないんです…」お願い。ブライアン様…信じて
私は目が合うとまた気持ち悪いと思われたら…と俯きながらそう言った。私ったら!本当いやだわ。
「ぐ…うぅ…わ、わ、ワカッタ…スマナカッタ…」誤解は解けたようです!よかった…
「あ、あの、あの、エ…エスコート…ヲ…」
車から降りるとブライアン様が手を差し出してきました。
「え…?あの…エスコート…?だ、大丈夫です」車に乗る前やパーティーならわかるけど…街中でエスコート?……恥ずかしい!!無理よ!そんな!!
「誤解されたら困るので…」街なら誰かに見られてるかもしれないのに…なんとなく前で手を重ねた。
「わ…ワカッタ…」じゃあ着いてきて、とブライアン様は私の前を歩く。…広い背中だなぁ、背も高いし。私はぼんやりとブライアン様を見上げた。
ブライアン様はチラチラと時折私の動向を確認していて目が合いそうになったので慌てて俯いた。
…いけない…また見てると思われちゃう…まあ、今回は見てたんだけど…
しばらく歩いて路地裏を抜けると真新しい建物があってブライアン様はそのドアをそっと開ける。
「いらっしゃいませ」女性店員の透き通った声がする。
「こんにちは」ブライアン様は軽く会釈をすると挨拶をした。…この女性が知り合いなのかな?
女性店員は厨房に声を掛けるとそこから屈強な男性がノシノシとやってきた。「よお、ブライアン」「お久しぶりです」ブライアン様は腕まくりをしながらやってきた男性に頭を下げて挨拶をした。男性がこちらをじっと見つめてる…
「あ、わ、私…」
「自分の婚約者です」ブライアン様は頭をポリポリ掻くと私を手で指し示しそう言った。
「あー!なるほど!そうか!ふふふ…ブライアンめ」男性はニコニコ笑うと火を着けっぱなしだ!と慌ててまた厨房に戻って行った。
「うちはビュッフェ方式になっていて…」女性店員が仕組みを説明してくれる。私がそのやり方に戸惑っていると「お、お、俺が…俺がトッテコヨウカ…?」とブライアン様が言った。
「あ…いいんですか?」
「こ、こ、こ、こ、ここは…職場のど、ど、ど、同僚とき、来たことが…あ、あ、あ、アルンダ…」
先に席に着いていて。と言われてお言葉に甘える。
一番隅の観葉植物の隣にそっと腰掛ける。
ブライアン様はお皿を持つとせっせと食べ物を盛り付けている。私はそれをぼーっと眺めた。
…なんか…ブライアン様は背が高いので、背を丸めて一生懸命…
……カッコ悪い…
彼は食事の盛り付けが完了したのかお皿を持ってキョロキョロし始めた。………私がどこにいるのかわからないんだわ!!
私はそんなブライアン様を眺める。
ああ…キョロキョロしてる…キョロキョロしてる…お皿を持ってオロオロしてる…
私は胸がギュッと締め付けられる思いがした。
…か…カッコ悪い…
なんてカッコ悪いのかしら…
やっと隅にいる私に気付いたのかこちらにカクカクしながらやってきた。…カッコ悪い…先ほどキョロキョロしていたのは気づかれていない体でキリッとした顔でこちらにやってきたわ…
「お…オマタセ…」
「あ…はい。あ、ありがとうございます」
お皿に載った食事はどれも私の好きなものばかりで美味しそう…
ブライアン様は自分のも取りに行くと席を立った。
私はまたその背中を見つめる。
…やっぱりお皿にちまちまと盛り付ける様がカッコ悪い…
食事はどれも美味しくてお腹がいっぱいになった。
私がお金を払おうとすると「お、お、俺の…上司のミセダカラ…」とお金を支払ってくれた。……なんだか悪いなぁ…そう思いお店を出たところで財布を出すとそこで王女様にばったり会ったので(ああ、ブライアン様は王女様と待ち合わせの時間潰しに私とご飯を食べたのね)と胸がギュッとなった。
なんだかそんな二人を見ていられなくて私は「失礼します」とその場を後にしたのだけれど…私の帰り方が良くなかったのかその後ブライアン様が訪問されましたが、なんとなく気持ちの整理がつかなくて私は寝たふりをして帰ってもらうよう使用人に伝えた。
その日ベッドに入り、天井を見上げるとブライアン様がお皿を持ってキョロキョロしていたのを思い出す。
……
………
私は胸がキュンキュンするのを誤魔化すためにあくびをして目をそっと瞑った。
…気のせい…気のせいよ…そんなわけないわ…
ブライアン様には王女様がいらっしゃるのよ…
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