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関八州王

長野業正の死 中州会談

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「氏政の増援がたった200だと?そんなはずはあるまい・・・少なくとも5000・・・いや数万は来ているはずだ」

謙信は本庄房長の報告に耳を疑っていた。

氏繁本陣の盛り返し、斎藤朝信隊を引き上げさせた実績・・どう見ても200ぽっちの兵ではありえない話で合った


「うーん得体のしれぬ北条軍よ!房長引き続き探ってまいれ・・実際はいくつの軍が来たのかもう一度調べよ」

「は!」


----------------------

 沼田城には多くの者が詰めかけていた

『沼田の黄班』は上野の父でもある、上野各衆の正室に業正の娘が入り、義理の父親なので実際そうである、さらにその行動力に上野の衆は従い上野沼田衆の心の柱でもある男である。

「父上・・・死んではなりませぬ!」

凜が業正の元で泣き叫ぶ・・・

「父上様!・・・越後兵などにやられる父上ではござらぬ!立ち上がらぬか・・・うぅ」

菊始め業正の娘たちも大怪我で倒れる業正に涙する・

「すまぬ・・・我らが来ていながら」
利家と秀胤も顔を下ろす

「業盛・・・おるか」

「はいここに」

「箕輪は任せる・・我が娘・・・千代を氏政様に嫁がせよ・・・歳も悪くないであろう・・・それに業盛・・・北条に従え・・・沼田の未来は北条と共にあれ・・・よいな」

「はい」

「氏政様・・・もう一度お会いしたかったのぅ・・・氏康殿がうらやましい・・・業盛・・お前も氏政様のように育て・・兄吉業より強くなれ・・・」

「はい・・・」

「凛!」

「はい!」

「知っておるぞ・・・綱房殿!」

「はい!」

「凜を頼む・・・今度こそ凜を幸せにしてやって欲しい」

「心に誓おう!」

「そうか・・・うういい義息ができた・・・さらに氏政様にも言いたいのぅ・・」


------

沼田の父である長野業正が亡くなってから三日間、喪に付する事も出来なく、前線では小競り合いが続く。

そして遅れること3日で北条氏政率いる本軍が合流する事となった。

沼田城の屋敷に長野業正は静かに眠っていた

「父の言葉があります。沼田衆はこれからも北条と共にこの関東を守っていく所存・・・」

「そうか・・ありがとう」

長野業盛はどこか悔し気に目を伏せている、兄を殺し、父の願いむなしく救援に間に合わなかったのは、この俺だ・・・

「氏政様」

「綱房か?どうした」

「俺・・いや拙者・・長野殿の娘、凛殿を室に迎え、名を長野綱房と名乗り等ございます、一族衆から抜ける事、お許し願いたい」

「わかった・・・業盛を盛り立ててくれ」

「は!」

「氏繁」

「は!」

「そなたはこの後、玉縄に戻る事となる。北上野は氏秀、南は長野業盛によって収めてもらういいな」

「はい・・しかしまずは上杉を」

「おい!氏繁・・氏政様が来たのである悲観するな・・お前はこの後玉縄の総代を継ぐ、俺を楽にしてくれよ」
綱成が直ぐに声をかける

「しかし業正・・・いい顔でないか、強者と飲む酒は美味い・・・悲しむな・・強者なら悲しむな」

綱成は業正の横で酒を煽る、
「綱房!業盛はまだ若い、そなたやっと室を迎えたのである、存分に上野の役に立て」

「ああ!兄者・・」

「それでは氏政殿、明日は総攻撃か?」

「いや・・・業正の仇を取りたいところだが、上野の安泰に越後と争うのはよくない。」

「ほぅ」

「貞運!」

「あちゃ~・・・またっすか・・・わかりました行きますよ・・・」

「うむ・・半蔵、貞運と共にしろ、使者の命を取るような者であればその時は滅ぼす」

「は!」


-------------------


「何?氏政からの使者だと?」

謙信は信じられぬという感じでその報告を待つ、だが特戦隊が到着し・・攻めあぐねていると北条約本軍3万が到着し、数の上でもほぼ互角となる。

下野の情勢や常陸の情勢も悪く、戦を早く収めないと収穫の時期が近づいてしまう

しかし敵に背を向ければ撤退戦となり関東に負けた事になるそれだけは出来ない事でもあった


「通せ」

貞運と半蔵が通される

貞勝はこういう場面で氏政の代役を務めることには慣れていた、むしろ半蔵は周りに殺気を振りまきいつでも殺し合いになる準備をしている。

ただ貞運は幼少より氏政に鍛えられている男である、特選隊に入れば一騎当千の活躍が見込まれる男でもある。半蔵がいなくてもいざとなれば死地を逃れることは出来るかもしれないが、忍の道具を使いこなす半蔵がいることでそれは確実なものであるといえる。



「ほぅ・・・この戦場で会談であるか・・・・面白い、氏政と会ってみようではないか」


会談は薄根川と利根川合流地点の陣で行い

北条側5人 上杉側は何人でも構わないという書状であった・・・

これで大軍で向かえば上杉の名は地に落ちる物である



------

上杉謙信
斎藤朝信
直江景綱
北条房長
長尾政景

上杉方の5人は川の合流地点に張られた陣を見る

見渡す限りに北条兵はなし、北条側もだまし討ちをすることがない事を確認する。

河の合流地点は河原が広く、見晴らしがいい、その中洲に陣が貼ってあるので目立つ者であった、川のせせらぎが流れる音が聞こえるほどに静寂であり陣の中に人影も見えた。

「ごめん!」

斎藤朝信がまず陣に入る

「ようこそおいで下さった 北条氏政でございます」

そこの中央に座る人物を謙信は見据える

数々の噂とは想像から離れるほどの整った顔立ちの男・・どこか違う世界の雰囲気を醸し出していた・・
気に入った・・・この男・・・


-------


「ごめん」

そういうと大きな男が陣に入ってくる、その男の目つきは鋭く殺気を帯びている・・そしてその男の後ろから面長の整った顔立ちの男にそして覆面を被った・・・・・女だろ?

男の出で立ちをしているが、前世界から培った人を見る目で男と女ぐらいは一目で見破れる・・・

「謙信は女だったの・・・・早く終わらせて御飯にしたい」
女はただ一人碧のみと思っていたが・・・謙信が女だったとは・・・確かそんな疑惑もあったが・・歴史上の与太話だと思っていた・・・

こうして会談は始まるのであった














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