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月芝

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第二の怪 天狗文字の巻物

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 明智麟(あけちりん)の通っている玉川小学校の校舎は横にやたらと長く、校庭は奥にだだっ広い。グラウンドの隅をぐるっとまわったら二キロほどもある。
 おかげでボール遊びをしていて、うっかりうしろに逃がしたらどこまでも転がっていくから、追いかけるのがとってもたいへん!
 あと雨の日には地面がぐちゃぐちゃになるし、カンカン照りで乾燥している日には、西部劇みたいに砂混じりの風がびゅるりと吹く。

 これらは玉川小学校、過去の栄光の名残りであった。
 学区内には全百一棟ものマンモス団地があり、マンションもあり、かつての城下町の面影がちっともない住宅地などもあって、近在随一のベッドタウンだった。
 かつては各学年十クラス以上が当たり前、県下でも屈指の生徒数を誇ったものである。だがしかし、少子化の波にあっさりのみ込まれて、いまや五クラスを切る学年も。
 ちなみに麟が在籍する四年生は、現在六クラスである。
 結果として大きな箱物の中は、スカスカという状態が続いている。
 おかげでちょくちょく統廃合のウワサが聞こえてくるが、どうにか自分が卒業するまではもって欲しいと、麟は願わずにはいられない。

「おはよう、リンちゃん」

 朝の登校時、うしろから元気に駆け寄ってきたのは松永美空(まつながみそら)であった。麟のクラスメイトにて第二編集部の仲間であり、幼稚園からのつきあいで一番の仲良しの子だ。

「ねえ、なにか考えてきた?」

 美空から言われて麟は首を振った。
 ここのところ編集長である六年生の上杉愛理(うえすぎあいり)から「そろそろ次の企画を」とせっつかれており、あちこち当たってはいるのだが、成果はなし。
 麟はお話しを文章にまとめたりするのは、わりと得意である。
 だが、どうやらアンテナの感度が悪いらしく、情報を集めたりするのは苦手なのであった。
 だから途方にくれていたところである。
 しかし美空のほうはというと「ふふん」なにやら自信ありげだ。

「ひょっとしていいネタがあったの、ソラちゃん」
「まあね、うちの蔵をあさってたら、面白いものを見つけたんだ」

 美空の家は代々続くお寺で、けっこう由緒正しい家柄だったりする。いちおう蔵持ちだ。価値の有無はともかくとして、古文書や文献なんぞを多数所有している。

「ねえねえ、何を見つけたの?」
「それは放課後のお楽しみってことで」
「えーっ、そんなぁ」
「ふふふ」

 もったいぶって美空は教えてくれない。
 どうにも気になってしょうがない麟は気もそぞろ。そのせいで、授業中に陽子先生から二度も注意を受けることになって、クラスメイトたちから笑われてしまった。

  ◇

 放課後の第二編集部の部室にて。
 机を寄せ集めて作った台、その上に広げられていたのは巻物であった。
 これは松永美空が家から持ってき品なのだが……。

「なんだ、これ?」

 編集長の上杉愛理は首を傾げた。

「ほう、まるで暗号だな」

 副編集長の村上義明(むらかみよしあき)は、あいかわらずのしかめっ面にて、自分のあごをさすっている。

「地図記号にちょっと似てるかも」

 五年生の里見翔(さとみかける)は、いくつかの箇所を指差し言った。

「呪いの呪文みたい」

 そうつぶやいた明智麟はおっかなびっくりで、やや腰がひけていた。
 上級生たちは、そろって「むむむ」とうなり、眉根を寄せている。
 だがそれもしようがない。なにせ巻物に書かれてあるのは、ミミズがのたくったような文字に、丸、二重丸、三角、四角、星形、ばってん、神社の鳥居を逆さにしたようなもの、歪んだひょうたん、つぶれたまんじゅう、へのへのもへじ、ひよこ、へび、箱、さすまた、水道の蛇口、イガグリ、わかめ、猫の目みたいなもの、奇妙奇天烈な模様がずらずらと。

「お父さんが、これは天狗文字だって言ってました」
「「「「てんぐもじぃーっ!」」」」

 美空の言葉に一同そろって素っ頓狂な声をあげた。
 天狗文字とは、文字通りの意味である。天狗が書いたとされるもの。
 でもって美空の家である慶瑞寺(けいずいじ)には、天狗にまつわる言い伝えが残っている。それに関係しているのが、この巻物なんだそう。

「えー、こほん」軽くせき払いをしてから美空は言った。「その言い伝えというのはですねえ――」

  ◇

 それはずっと昔のことじゃった。
 この地の北東にある瑞山(ずいざん)には、暴れん坊の天狗が住んでおり、気まぐれに里へとおりてきては悪さばかりして、里の者たちをたいそう困らせておった。
 そこで里の者たちは、慶瑞寺の住職になんとかしてくれと泣きついた。
 これを受けて住職は、暴れん坊の天狗を法力にて調伏した。
 すると天狗は泣きながら「もう悪さはしないからかんべんしてくれ」と許しを乞う。
 よくよく反省していることだし、「ならば二度とするなよ」と住職は縄を解いてやった。
 だがしかし、解き放たれたとたんに天狗は空へと逃げては嘲笑する。

「はははは、誰が反省なんぞするもんか。みておれ、もっとみんなを困らせてやる!」

 と、言ってはぺぺぺとツバを吐き、さらには下半身をさらして小便をぶち撒けるという暴挙に出る。
 これにブチっと切れたのが、頭から小便をかけられた住職であった。
 手にした独鈷杵(どっこしょ)を天にかざし、「なうまく、さんまんだ、ぼだなん、いんだらや、そわか」と帝釈天の真言を唱えるなり、にわかに黒雲が発生し空を覆った。そして、ピカゴロどしゃん!
 幾筋もの蒼い雷光が雲間より閃き、向かったのはケラケラ哄笑していた天狗のところ。
 雷の直撃を喰らって、きゅうと目を回した天狗は、ぽとりと落ちて、ふたたびお縄となった。

「さぁて、この恩知らずの阿呆をどうしてくれようか」

 殺気立っている里の者どもは、こめかみに青筋を浮かべては、指をばきぼき鳴らしている。
 このままでは袋叩きにされて、重石をつけて池にでも沈められかねない。
 いかに憎たらしい相手とはいえ、さすがに殺生は見すごせない。
 そこで住職は、いきなり天狗の鼻をむんずと掴むなり、これをポキリと折ってしまった。
 自慢の長鼻をもがれて「うぎゃっ」と身悶える天狗の姿に、里の者たちもあんぐりするばかり。
 そして住職は天狗に告げた。

「これは罰としてわしが預かっておく。いい子にしておれば、いずれ返してやろう」

 かくして天狗と住職の間で詫び証文が交わされた。
 それが天狗文字の巻物なのであった。

  ◇

 悪戯者の天狗が住職にこらしめられる。
 という言い伝えは、絵本にもなっており、玉川小学校の図書室にも置いてあるから、地元民ならばわりと知っている話だった。
 とはいえそこはそれ、現代風の上品な絵本なので、内容はかなりマイルドに脚色されている。公序良俗に反するような部分はがっつりカットだ。
 だから松永美空が語った原作の内容は、ちょっと過激であった。

「最低だな、クソ天狗」
「……変態」
「でも、いきなり鼻をへし折る住職もたいがいだよね」
「ソラちゃんのご先祖さま、すごい」

 おもいおもいの感想を口にする第二編集部員たち。
 美空が次の企画は、この天狗文字の解読と瑞山の天狗伝説をからめた内容をと提案すれば、「いいね、おもしろそうだ」と上杉愛理も乗り気になり、みなも同意した。
 かくして第二編集部は総力をあげて、天狗文字の解読に挑むことになったのだけれども……

「やっべー、もう解けちゃったよ」
「スマホ、すごいな」
「スマホっていうか、すごいのは翻訳アプリなんだけどね」
「まさか開始十分で調査が終了するだなんて……。ねえ、リンちゃん、記事にできそう?」
「う~ん、まとめられなくはないとおもう。けど、山場がなさすぎて、ちょっと盛り上がりに欠けるかも」

 天狗文字について部員総出で手分けして調べてみようということになり、自分のスマートフォンを所持している上杉愛理、里見翔らが巻物をパシャリ、パシャリと撮影していたのだが、その途中で上杉愛理がふとおもいついた。

「そうだ、翻訳アプリを試してみよう」

 使用するアプリは、音声だけでなく文章にも対応しており、写せばたちまち日本語になおしてくれる。もっとも正確な翻訳はまだむずかしいらしく、ちょっと文章がおかしくなるのはご愛敬だ。
 で、ダメもとでやってみたら、あっさり解けちゃった!
 古代のナゾも現代文明の敵ではなかった。
 そういえば誰かが云っていた。

『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』と。

 けれども、とんだ興ざめにて一同は「うーん」と腕組み、口をへの字にした。
 ロマンもへったくれもありゃしない。
 こうして現代語訳された天狗の巻物の内容だが、いまいち誠意を感じられない謝罪の言葉がだらだら続いたあと、最後にこのようなことが書かれてあった。

『証文を瑞山の天狗岩に捧げよ。さすれば約定は成す』

 とどのつまり、この巻物を天狗岩に供えろということらしい。

  ◇

 よく晴れた次の日曜日、町の北東部にある瑞山のふもとにいたのは、明智麟と松永美空、村上義明の三人であった。
 学級だよりの企画の趣旨は、検証することにある。
 せっかく天狗文字の解読に成功したことだし、とりあえず試してみようということになったのだが、あいにくとスケジュールがあわずに上杉愛理と里見翔は欠席であった。

「ここにくるの、ひさしぶり」
「私も」
「俺もだ。幼稚園の頃に遠足できて以来かな」

 瑞山は名前こそは立派であるが、ちんまい山で、小高い丘ぐらいの大きさしかない。傾斜はゆるやか、年寄りや子どもの足でも頂上まで十五分とかからない。おかげで地元の幼稚園の定番遠足スポットになっている。
 もっとも、ちびっ子たちからは不評である。
 なぜなら、上までのぼっても、天狗の鼻みたいな大岩がにょきっと生えているだけだからだ。
 景色を愉しめるほど高くもないし、遊べる公園もない。校長先生の寂しい頭みたいな原っぱに、ススキがちょろっと生えているだけである。

 まぁ、そんな場所ゆえに、わざわざのぼろうとする者は稀だ。
 日曜日だというのに、麟たち以外に人の姿はなかった。
 そんなわけでサクサクのぼった三人は、あっというまに頂上に到着した。
 だが問題はここからである。

「巻物を供えろっていうけど、どこにだろう?」

 美空はきょろきょろする。
 祠でもあればよかったのだが、天狗岩の周囲にはそれらしきものはない。
 試しに岩の根元に巻物を立てかけてみたのだけれども、風が吹いたひょうしに、こてんと倒れた。
 そのときのことであった。カチャカチャと音がしたもので、三人がそちらを見れば、音の正体は鎖であった。
 天狗岩の天辺から鎖がだらりと垂れていた。なんのために設置されてあるのかはわからない。けれども、これを使えば上までいける。
 だが鎖で岩をよじのぼるのはとてもたいへんだ。
 なにせ天狗岩は、高さが五メートルほどもあるのだから。
 か弱い四年生の女子には、とても無理である。
 そこで麟と美空からじーっと見つめられた村上義明は嘆息した。

「はぁ、わかったよ。俺が行けばいいんだろう」

 六年生ながらに中学生ばりの体躯、少年野球チームで鍛えた鋼の肉体を持つ先輩に、ここはまかせることにした四年生コンビは「はい、これ」「がんばって」と、巻物とデジカメを託す。

 村上義明が鎖を掴み、ガンガンのぼっていく。まるでサルのように身軽で、ゴリラのごとく逞しい。
 その身体能力の高さに麟と美空は「おぉーっ」「すごいねえ」と感心する。
 苦もなく、ものの数分で岩をのぼりきった村上義明が、上からひょこっと顔をみせ、言った。

「おーい、なんか妙なくぼみがあるぞ」

 ちょうど巻物をはめ込むのによさげな、大きさのくぼみだという。
 その報告を受けて美空が「村上先輩、いちおう写真を撮っておいてください」と頼んだ。

「了解」

 麟たちが見上げていると、岩の上にてカメラのフラッシュがぴかぴか、三度光ってから「じゃあ置いてみるぞー」との先輩の声が降ってきた。

「巻物を置いたら、それも撮ってくださいね」との美空に「わかってる」と返事。

 直後のことであった。
 急に耳がキーンとなって、空気ががらりと変わったとおもったら、瑞山全体がざわめき、轟っと突風が吹く。
 舞う木の葉や砂塵、麟と美空は「きゃっ」と顔を伏せた。
 そんなふたりの耳に聞こえたのが「あっ」という村上義明の声だった。
 いま、彼は一人、高所にいる。そんな不安定なところで、あんな強い風にあおられたら、どうなるのかなんて考えるまでもない。

「「先輩っ!」」

 あわてて麟たちは顔をあげた。
 だが見上げた先に、村上義明の姿はなかった。
 てっきり落ちたとおもった麟たちは、おそるおそる視線をさげてゆく。
 が、いない。ひょっとしたら天狗岩の向こう側に落ちたのかもしれない。
 最悪の事態を想像し、震えながらも、ふたりはおずおずと天狗岩の裏側をたしかめようとする。
 けれども、ちょっと進んだところで、背後から聞こえてきた「あいたたた」という声に、びくりっ!
 ふり返れば、デジカメ片手に尻もちをついている村上義明の姿があった。
 麟と美空は目が点となって固まる。
 だって、ついさっきまで天狗岩の上にいたはずの先輩が、いきなり自分たちのうしろにあらわれたのだもの。
 当人も「あれ?」ときょとんとしており、先輩が無事だとわかったとたんに、麟たちは驚きと安堵で腰が抜けてへたり込んでしまった。

 何が起きたのやら、わけがわからない。
 しばらく呆けていた三人、ようやくしゃんとしたところで「あっ、天狗文字の巻物!」と美空が騒ぎ出した。たとえ子どもの落書きみたいな内容とはいえ、家の蔵から持ち出した品を失くしたり破いたりしたら、親から怒られる。
 するとここで「やん」と麟が悲鳴をあげ、自分の頭をおさえた。
 どこぞより降ってきた巻物が、コツンと頭に当たったせいであった。
「うー」と涙目の麟には悪いが、巻物が無事とわかって美空はほっとひと安心する。けれども巻物を手にしたとたんに「うん?」と首を傾げた。

「どうした? ひょっとして壊れたのか」

 心配する村上義明に「いえ、それは大丈夫です。でも、なんだか軽くなったような気がして」と美空は言った。
 だから村上義明もたしかめてみると、たしかに前よりずいぶんと軽くなっている。
 そうしたら自分の頭をさすっていた麟が、あることに気がついた。

「あれ、巻物のはしっこが、ちょっと浮いてるよ」

 言われてみればたしかにその通りであった。
 美空がためしに巻物の軸の端を掴んで引っぱってみたら、きゅぽんと抜けた。どうやら軸の中は空洞になっていたらしい。巻物が軽くなったのは、そこに入っていた何かが消え失せたせいか。
 では、いったい何が入っていたのであろうか?

「……まさか」
「……まさかねえ」
「……まさかだろう」

 三人はそろってたらりと冷や汗をかいた。
 太さといい、長さといい、ちょうどアレが、ぴったりおさまりそうなのだけれども――

  ◇

 月曜日、瑞山に行った三人から報告を受けた上杉愛理は、取材原稿を受け取り「とりあえずケガがなくてよかった」と言いつつ、デジタルカメラのモニターをじっとにらんでいた。
 天狗岩にのぼった村上義明が撮影したものの中に、一枚だけ不可解な画像が写っていたのである。
 それは最後の一枚にて、いつのまにか村上義明が岩の上から下に落ちていたときに、はずみでシャッターを切ったときのもの。
 写っていたのは青い空と白い雲、それから画面の端を黒い鳥のような何かがサッと横切る姿であった。


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