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87 奔走
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王国の王位と政権の保障を確約した書状は、宰相のブラストさまが忙しい合間に、サラサラっと流麗な文字にて書き上げてくれました。
お願いして、一番金ぴかで偉そうな紙にて仕上げてもらいました。こういうのって格式ばったほうが、貰った相手もへいこらすると思うんですよね。
そこに魔王様の署名を筆頭にして、世界六十一カ国の代表の方々の署名を集める行脚が始まります。
時間もあまりなさそうなので、私は単独にて全力疾走にて大地を駆け抜けます。一応は影の中にセラーさんが護衛として潜んでいますが。
完全にアポなしの突撃裏口訪問、ときに会議の場に乱入し、ときに揉めてる現場を強引に鎮静させ、ときに食事時にお邪魔してご馳走になり、ときに寝室に押しかけ夫婦の営みに水を差し、ときにメイドさんとの密会現場を押さえ、ときに正妻と愛人との修羅場に遭遇する。何気に人間領の王族には痴情のもつれが多い気もしますが、そんなことは気にしない。
場の空気なんてお構いなしに、淡々と王国再建案を説明しては、署名を書いてもらうを繰り返す。
私の健脚をもってしても人間領の国のすべてを奔走するのに、三週間近くかかってしまいました。
ヘロヘロな市松人形を見かねて、リースさんが「アルティナに頼めばよろしいのに」と言ってくれましたが、紅いドラゴンなんかで乗りつけたら、相手がパニックを起こしてしまいます。フェンリルたちも同様、面倒ですがこればっかりは自分の足で行うしかないのです。
各地を巡るついでに皇帝さんには、なんとか王国のクサレ王子の身柄を預かってもらえるように拝み倒し、お婆ちゃん女王さまには、ビッチ姫様の徹底詰め込み再教育を正式に依頼しました。渋る女王さまには王国の未開地に眠るであろう、諸々の資源の情報を流すことで了承してもらいました。調べてみると色々と埋まってたんですよね。開墾するにもいい土地がけっこうありましたし、将来的な旨味を提示することで、なんとか引き受けてもらえました。
こうして政治側の下準備は着々と進行していたのですが、敵は思わぬところに潜んでいました。
それは宗教です。召喚の儀を執り行った神官らの所属する教会が、王国内にて政治が混乱しているのをいいことに、裏で勢力を拡大していたのです。乱れた世相と人心につけ込み、影響力をドンドンと増していました。このままでは王国を再建したところで、絶対に邪魔になります。かといって、叩けばいいというものでもありません。なにせ、ことは思想信条に関わることなので。
彼らってドMな集団ですから、叩けば叩くほどに興奮して燃え上がるのです。対処を誤ると蜘蛛の子を散らして逃走の後に、各地で拡散して被害範囲が尋常ではなくなってしまいます。
悩んだ私は、とりあえず連中の総本山となっている、王国内の神殿を覗いてみることにしました。
王都より馬で一日ほど東に向かったところにある、山を削って築かれた神殿は荘厳で立派なモノでした。これをすべて信者たちが長い年月をかけてコツコツ、ノミと杭で造ったというのですから、やはり信仰のチカラというものは侮れません。
もっとも拝まれている当の女神さま、ちょっとガッカリさんですが。
門から本殿にたどり着くまでに階段が三千もあるとか、お年寄りには優しくない造りです。
苦労して登ったところで参拝客らを出迎える、大きな女神像。足元に設けられた祭壇にはお供え物が山積みです。
ふむ。どうやらこれがここのシンボルのようですね。
よく出来てはいますが、さすがにあのバインバインを、完全に再現するには至っていないようです。もっともあんなモノを再現したら、きっと自重に耐えきれずに胸だけがボロっと落ちてしまうことでしょう。
お願いして、一番金ぴかで偉そうな紙にて仕上げてもらいました。こういうのって格式ばったほうが、貰った相手もへいこらすると思うんですよね。
そこに魔王様の署名を筆頭にして、世界六十一カ国の代表の方々の署名を集める行脚が始まります。
時間もあまりなさそうなので、私は単独にて全力疾走にて大地を駆け抜けます。一応は影の中にセラーさんが護衛として潜んでいますが。
完全にアポなしの突撃裏口訪問、ときに会議の場に乱入し、ときに揉めてる現場を強引に鎮静させ、ときに食事時にお邪魔してご馳走になり、ときに寝室に押しかけ夫婦の営みに水を差し、ときにメイドさんとの密会現場を押さえ、ときに正妻と愛人との修羅場に遭遇する。何気に人間領の王族には痴情のもつれが多い気もしますが、そんなことは気にしない。
場の空気なんてお構いなしに、淡々と王国再建案を説明しては、署名を書いてもらうを繰り返す。
私の健脚をもってしても人間領の国のすべてを奔走するのに、三週間近くかかってしまいました。
ヘロヘロな市松人形を見かねて、リースさんが「アルティナに頼めばよろしいのに」と言ってくれましたが、紅いドラゴンなんかで乗りつけたら、相手がパニックを起こしてしまいます。フェンリルたちも同様、面倒ですがこればっかりは自分の足で行うしかないのです。
各地を巡るついでに皇帝さんには、なんとか王国のクサレ王子の身柄を預かってもらえるように拝み倒し、お婆ちゃん女王さまには、ビッチ姫様の徹底詰め込み再教育を正式に依頼しました。渋る女王さまには王国の未開地に眠るであろう、諸々の資源の情報を流すことで了承してもらいました。調べてみると色々と埋まってたんですよね。開墾するにもいい土地がけっこうありましたし、将来的な旨味を提示することで、なんとか引き受けてもらえました。
こうして政治側の下準備は着々と進行していたのですが、敵は思わぬところに潜んでいました。
それは宗教です。召喚の儀を執り行った神官らの所属する教会が、王国内にて政治が混乱しているのをいいことに、裏で勢力を拡大していたのです。乱れた世相と人心につけ込み、影響力をドンドンと増していました。このままでは王国を再建したところで、絶対に邪魔になります。かといって、叩けばいいというものでもありません。なにせ、ことは思想信条に関わることなので。
彼らってドMな集団ですから、叩けば叩くほどに興奮して燃え上がるのです。対処を誤ると蜘蛛の子を散らして逃走の後に、各地で拡散して被害範囲が尋常ではなくなってしまいます。
悩んだ私は、とりあえず連中の総本山となっている、王国内の神殿を覗いてみることにしました。
王都より馬で一日ほど東に向かったところにある、山を削って築かれた神殿は荘厳で立派なモノでした。これをすべて信者たちが長い年月をかけてコツコツ、ノミと杭で造ったというのですから、やはり信仰のチカラというものは侮れません。
もっとも拝まれている当の女神さま、ちょっとガッカリさんですが。
門から本殿にたどり着くまでに階段が三千もあるとか、お年寄りには優しくない造りです。
苦労して登ったところで参拝客らを出迎える、大きな女神像。足元に設けられた祭壇にはお供え物が山積みです。
ふむ。どうやらこれがここのシンボルのようですね。
よく出来てはいますが、さすがにあのバインバインを、完全に再現するには至っていないようです。もっともあんなモノを再現したら、きっと自重に耐えきれずに胸だけがボロっと落ちてしまうことでしょう。
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