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68 生活保障付お仕事

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 久しぶりに中央塔の最上階にある自室にて、リースさんたちと寛いでいると、ブルタス先生が見えられました。創成魔法で作った武器を望まれたので、ハンドガンタイプを幾つかだすと、何故だかコメカミに銃口を向けてバンバン、魔王様もそうでしたが心臓に悪いので止めて欲しいです。しかしお爺ちゃん先生は、更に斜め上を行きました。銃口をお口に咥えてバンバンしました。そしてしばらくお口の中をモゴモゴとしてから、ぺっと弾丸を吐き出し、「ふむ、良くできた玩具じゃな」と言いました。もっと凄いのを所望されたのですが、それは魔王様の許可がいるので、またの機会にと諦めてもらいました。

 お茶を飲みながら話していると、話題は私が連れてきた異世界人に移ります。
 どうやら私が方々をほっつき歩いているうちに、宮原さんの各種能力テストも実施なさっていたようです。結果は「大したことない」の一言で片づけられてしまいました。普通の人間よりは、ちょっと上だけど、鍛え上げた人間よりかは下、ということらしいです。
 ちなみに彼女が女神さまから貰ったチカラは、「見極め」です。べつに敵の技を見切ったりするのではなくて、モノの良し悪しを見切るという意味での見極め、目利きの卵みたいなものです。戦闘にはまったく役に立ちません。これで勇者組として戦場に行けって、王国の上層部もかなり悪辣です。

「花蓮殿のようにオモシロイ子は中々おらんのぉ」

 どうやらお爺ちゃんの中で、私はオモシロおかしい子として認定されていたようです。ちょっとショック……。

「花蓮さまは特別ですから、そうそう居ては困ります」

 傷心の私をリースさんが慰めてくれます。いいぞ、もっと甘やかしておくれ。

「花蓮さまほど、容赦なく同胞を屠れる者が、そうそういてたまるもんですか」

 なんとも不穏なことを口走るセラーさん。私の銃口はあくまで害虫にだけ向かうのです。人聞きの悪いことを言わないように。

「そういえば、魔族の方の庇護欲の基準って、どうなっているんですか? 少なくとも宮原さんには、みなさま普通に接しておられるように見えるのですが……」と私。
「ふむ。それは単純にあの娘が、『守ってあげたくなるタイプ』ではないだけだろう」

 じじい、身も蓋もない言い方をした。
 たぶん悪意はないんだろうけど、絶対に本人に言うなよ、泣くぞ。

「個人的には可愛らしい人だと思うのです」

 乙女の名誉を守るために、肯定的な意見を述べるも、お三方の反応はイマイチ。
 これが人間と魔族との感性の差でしょうか。すみません、宮原さん、私の力が及びませんでした。これで貴女は、「魔族領にて守るほどでもない女」として認知されていくことでしょう。

「まぁ、今後も気が向いたら異世界人を拾ってくるので、そのときはお願いしますね」

 とりあえず先生に頭を下げておきます。みんながみんな、宮原さんのような天職を持ち合わせているワケじゃありません。ですがこれで、最悪でも実験動物としての職は確保されるハズ、ちょっとした実験と年寄りの愚痴に付き合うだけで、衣食住が保障されるのですから、慣れない魔族領でも、なんとかやっていけることでしょう。

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