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分かり難い敵
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あれから一週間が過ぎた。僕らは小さな村で、体を休めている。
調べた結果、あの女性は亜人の中の最高戦力、『四天王』と呼ばれる四人組の中の一人だと分かった。名前はアステリア・リオン・エーデルライト。という名前。見た目は公開されているが、年齢、性別、戦闘スタイル等が非公開らしい。名前と姿は明かされているが、それ以外は全く情報が無いのだ。どこで何をしているかを明かさない、謎に包まれた人物として、度々話題になっているそうだ。
小さな村だけで、これだけの情報は集まった。だが、『これ以上はどこに行っても分からない』と、皆が口を揃えて言う。多分、本当に無駄なのだろう。
僕らの方はと言うと、かなりキツイ状況だ。実は、この村に来る前一度だけ、比較的大きな町に着いた。だが、そこで問題が発生した。迷宮を出て数日経ったその日には、もう僕らは指名手配されていた。まあ当たり前だ。あそこで仕留められなかったので、今度は民衆の力を利用しようという事だろう。捕まっては不味いとなった僕らは、その町には寄らずに、ここの村まで来た。
結果、僕らは迷宮の素材を売れずにいる。詰まる所、金が無い。装備の新調もままならないし、冒険者ギルドを利用できない今、金を稼ぐ方法も無い。この村に居れるのも、あと少しかも知れない。
幸いな事に、この村に僕らの手配書は来ていないようだ。田舎だからだろうか。なんにせよ、お陰で僕らは休めた。そろそろこの村をでよう。あの人をどうこうする手立ても無いままだが、そこは仕方が無いだろう。
「聡一、準備できたぞ」
「分かった。行こう」
「お礼言いに行く?」
「勘付かれると嫌だし、泊まっただけの代金だけ置いて行きましょう」
僕らはその後、金だけを置いて村を出た。かなりの痛手だが、払わない訳にも行かない。
今の所、僕らは目的も決まっていない。取り敢えず、あの女性、延いてはこの国の公的機関に見つからないよう、逃げるだけだ。
「目的地……も何も無いよね」
「今は、強くなれるように特訓するのが一番ね」
「つっても、そこらの魔物じゃ、もう階位も真面に上がんねえぞ?」
「技能の熟練度なら上がる。それだけでどうこうなるとは思えないけど……」
あの一発で簡単に分かる。僕らと彼女の間には、絶対的な実力差がある。彼女がその気になったら、象が蟻を踏み潰すように簡単に、僕らは殺されてしまうだろう。
じゃあどうするかとなったら、鍛えるしか無い。僕らの望みは『戦闘』ではなく『交渉』だ。そして僕らには、『交渉』の場に持ち込むだけの力が要る。力が無ければ、自分の言いたい事すら言えない。
僕らは移動を続けながら、魔物や野盗と戦った。人を殺すのは抵抗があったが、それでも、どちらかが生き、もう一方は死ぬしかない事は、少しだけ理解していた。
「階位も上がんねえし、どうするよ?」
「迷宮は無理だし、怪物と戦うのはまず無理」
「怪物はそこそこ階位も上がったのにねえ。人を殺すと階位は上がり易いけど、嫌よね」
「やっぱり、相手が人ってだけで、相当来る物があるね」
装備の新調もままならない僕らは、段々と消耗している。保存食の備蓄も少しずつ減っているし、消耗品は尚更だ。どこかで調達する必要がある。
それでも、やりようが無い。僕らは希望を見出せないまま、旅を続けた。
それから一週間と少し。僕らに転機が訪れた。まあ、良い物とは言えないが。
「『勇者一行に告ぐ。私と正面から戦おう。汝らが勝った暁には、私に可能な限りの事を叶えよう。場所は王都、ヴァネロプ。王立闘技場にて待つ。 アステリア・リオン・エーデルライト』……宣戦布告と見て良いね」
どうやら先方は、正面対決で雌雄を決しようと言いたいらしい。しかも、『可能な限りの事』とは、中々に魅力的だ。もしかしたら、亜人王との対談も叶うかも知れない。
「でも、十中八九罠だよね」
「ああ。だが、このままでもジリ貧だ」
「勝つ見込みも無いのにどうしろって言うのよ」
正直、罠だろう。相手も焦っている可能性だってあるが、まあそれは基本無いだろう。そうなったら、正面対決するメリットが無い。わざわざ民衆に、内緒にしていた手の内を明かしてまで殺そうとするより、兵を使って捕らえさせた方が楽だし、確実だ。よりにもよって、正面対決を選ぶ理由が無い。
ただ、ここらでウロウロしていてもジリ貧なのは事実だ。ここで勝てれば、この状況を、ほぼ確実に打開できる。更に、僕らの旅も、大きく前進する。どちらを取るかという問題だが、これはほぼ、一択しか無い。
「これ、僕らの状態も考えて来てるだろうな」
「それは確実ね。ここまで時間を与えて、体は回復させつつ、経済面で追い込む。とんでもない人だわ」
「だけど、これじゃただの公開処刑だよ」
「だがなあ……行かない事には変わらない……けど勝ちようも無い……」
僕らは頭を悩ませ、どうするかを話し合った。彼女の戦い方が分からない以上、対策のしようが無い。いくら魔術で体を強化しても、それには限界がある。今の僕らで、あの速さを捉えられるとは思えない。
僕らは話し合いの結果、このままでは変わらないという結論を出し、亜人の国の王都、ヴァネロプに向かう事にした。勝ち目も見つけられないが、このままでは何もできない。やるしか無い。
「それじゃ、作戦……も、真面に機能しないだろうな」
「取り敢えず、四人全員がそれぞれに、身体強化を使おう。四重に掛ければ、多少マシになるかも」
「聡一の目にも留まらぬ速さだったんでしょ?まあ、気休めにはなるかも」
「受け止められれば、ワンチャンあんだろ」
微かに魔力は感じた。だが、魔術を使っているようには見えなかった。いや、見えないように使っていたのか?そんな相手に勝てるのか?兎も角、王都に着くまではまだ一か月ある。そこまでに、何か掴まなければ。
今の僕らは、技能もそこそこ多くある。最初の方からある技能の熟練度は、既に二桁を突破している。だが、それでも彼女に勝てるビジョンが見えない。瞬きの間とか、そういう次元じゃなく、まるで点から点への移動かと見紛う程の、それ程の『速さ』だった。
「雷系統の魔術も、姿が捉えられないんだったら当てようが無いしな」
「私はデバフ得意じゃないし、どうしようか」
「私が足場を崩す事もできるけど、それだと私達の方も行動が制限されるわね」
「動きを止める術を探そう。全方位広範囲の魔術を当てるかな?」
僕らは思い付く限りの案を出した。それも、気休めの為の物だった訳だが。
二日後の夜中。僕らは少し大きな町の近くまで着いた。もし懸賞金が取り下げられていたら、ここで多少補給できるかも知れない。
「でも、見張りに気付かれる訳には行かない」
「どうする?聡一」
「忍び込むのが一番良いけど、そう上手く行くかな?」
「やるしか無いでしょ?行くわよ」
僕らは夜の暗闇に隠れて、見張りの兵士を避けながら、町に入った。どうやら気付かれてはいないらしい。少なくとも、捕まりはしなかった。
街中を見て回ると、僕らの懸賞金は取り下げられたようで、僕らの写真付きの張り紙は、一つも無かった。
それを見た僕らは少し安心して宿を取った。
「大丈夫みたいだね。部屋別にしたのは正解だったよ」
「そうね。二人にはこの一週間、色々やってもらっちゃったし、今日一日、ゆっくりやりたい事やってほしいわね」
この一週間、二人は僕の補助とかを、多くやってもらった。一週間とは言え、若干鈍ってしまった僕の体を、二人は動かしやすくしてくれた。感謝しかない。
僕らは同じベッドに座り、話し始める。
「こうして二人きりって、なんか久し振りな気がするわね」
「そうだね。基本四人で固まってたし。二人も色々溜まってたのかね」
隣の部屋から二人の声がする。僕らはその声を聞き慣れているし、大してなにも思わない。
「聡一は違うって?」
前言撤回。やはり僕も人間だな。それも思春期の健全な男だ。悪い事ではない。
「そうは言ってない。諒子もだろ?」
「まあね」
僕はそう答える諒子と抱きしめ合い、お互いの体温を感じながら、ベッドに横たわった。
翌日。しっかり寝る事ができた僕らは、今日何をやるかを話し合っている。
「で、どうする?」
「まず装備の新調は必須。あの人と戦うなら、今の装備じゃ心許ない」
「久々に良い物も食いてえな。金余ってたらの話だけど」
「それも良いわね。体力の回復は急務よ」
僕らはそんな事を言い合いながら、町の鍛冶屋に向かった。どうやら小人族がやっているらしく、人間の鍛冶屋よりも良い物が多いとの事だ。
小人族の特徴は、他の種族に比べて背が低い。人類なら十歳程度の子供位の背が平均的らしい。そして力が強い。他の種族の大人程もある巨大な岩を、一人で軽々と持ち上げられるらしい。オーガスタスさんは前に会った事があると言っていたが、「二度とあいつらと腕相撲はしない」と言っていた。
少し歩くと、直ぐにその建物は見えて来た。『シータラ鍛冶屋』とある。ここで間違い無いだろう。僕らは建物の中へ入り、中の様子を見る。
「暗いな。品物はある」
「鎧に剣、槍、斧、杖まであるんだ」
「誰も居ない……?」
「いや、人は居る。こんにちは!鎧や武器を買いたいんですけど!」
僕がそう言うと、建物の奥の方から、髭を生やした小人族が出て来た。寝起きのようで、まだ眠そうだ。
「なんだい?客か?」
「はい。装備の新調に来ました」
「そうか。まあ好きに見ててくれ。儂は一旦奥に戻るが、用があったら呼べ」
それだけ言って、彼は戻って行った。どうやら、好きに選んで良いらしい。僕らはそれぞれの装備を選び始める。
僕が買いたいのは、鎧と剣と、あとガントレットみたいなのだ。鎧は面積が少なくても良いから軽い物、剣は前のと似通った奴、ガントレットは勝手が分からないし、多少あの人に聞くしか無いか。僕は周りの物を見て回ったが、どうしても値段が気になってしまう。どれが良いんだろう。
そうしている僕の目に、一つのカゴが目に入った。『均一百ゴルド』とある。安物だが、まあ最悪それでも……
待て。一つ、気になる物がある。僕は目に留まった一振りを手に取り、鞘から抜く。錆び付いているようだが、何か気になる。これにしようか。
よし。鎧も無難そうなのを選んだし、次はガントレットだ。僕は店の奥に居るであろう彼を呼び、話を聞こうとする。
「店主さん!ちょっとお聞きしたい事が!」
「そんな大声出さんでも聞こえる。なんだ?」
僕はガントレットを買いたい事と、自分がやりたい事を伝えた。どうやら良いのがあるらしく、店主は一旦店の奥へ戻り、何やら大きな箱を持って来た。なんだか、やたら気になる。
「何ですかコレ?」
「その剣を選んだっちゅう事は、お前さん方、例の勇者一行だろ」
僕らはその一言で、彼に対する警戒度を一気に上げた。剣?何の事だ?特別な物だったのか?なんで?分からない。
そんな僕らを見た彼は、「がっはっは!」と大声を上げて笑った。
「吹っ掛けてみたが、図星か。安心しろ。通報なんてしねえ。お前らみてえなのは好きだからな!」
オイ。吹っ掛けたって。一応客だぞ。客相手にそういう事言うなよ。そんな事も言えずにいると、彼は話を続けた。
「冗談はさておき、その剣は所謂、『曰く付き』って奴でな。噂じゃ、それを打った鍛冶師が、次の日に自殺したとか。それで皆気味悪がってやがる。ウチにそれを売りに来た奴も、酷く衰弱した目をしてたよ。まあ、なんてこたあ無い。ただの剣さ」
ふむ。どうやら、物騒な物ではあったらしい。打った翌日に自殺ねえ。今更だが、まるで創作物のお話だな。ただまあ、気になる物はしょうが無い。僕はこれを買う。
「余談はそこまででお願いします。この箱、一体何が入ってるんです?」
「お前さんが欲しがってた品は、ウチじゃ取り扱いが少なくてな。これが唯一の品だ。まあ、殆ど骨董品だが……お前さん、魔力は使えるか?」
僕が頷くと、彼は「なら良い」と言って、箱を開けた。その中には、肩まで覆われる、右腕用のガントレットがあった。
「これ、魔道具ですか?」
「若干違う。コレは、お前さんの魔力で動く物だからな。魔道具の定義に当て嵌まらん。機能が知りたきゃ、一回使ってみると良い。裏にスペースがある」
僕は彼に案内されるまま、店の裏へ回った。少し広い空き地がある。僕はガントレットを装着して、軽く構える。
「ソイツに魔力を流してみろ。やれる事が分かる筈だぜ!」
僕は言われるまま魔力を流すと、ガントレットの掌の部分から、衝撃波が放たれた。僕の体は、反動で少し後ろによろける。
「今のは?」
「衝撃波。そのブツに込められた魔術だ。殺傷能力は無いが、距離を取る時、牽制、或いは傷つけずに攻撃する時なんかは、結構便利だぜ」
前方広範囲に衝撃波を放てるようだ。これなら、彼女にも多少効果があるかも知れない。良い物を貰った。
「これ、いくらですか?」
「元々儂のじゃねえし、邪魔だったんだ。タダでくれてやる」
おお。なんとも気前が良い。それなら、喜んで頂こう。
「それとお前さん、買うのはそれだけかい?」
「はい。装備は軽くしたいですし」
僕がそう答えると、彼は腕を組んで悩み、その後、僕に一つの提案をして来た。
「追加料金が掛かるが、その曰く付きの剣、儂が研いでやろう」
「お、いくらですか?」
「話が早えな。まあざっと……十ゴルドで良い。やるなら、明日取りに来い」
かなり安いが、それで大丈夫なんだろうか。まあ、厚意は受け取っておこう。僕は彼に、鎧、剣の代金に加え、剣を研磨してもらう為の代金を払った。金を受け取った彼は、早速仕事に取り掛かるようで、建物へと戻って行った。
僕はもう少し、コレに慣れておこう。僕はガントレットを腕に付けたまま、訓練を始めた。僕は頭の中にある、やれそうな事、やってみたい事を、片っ端から試して行く。
気付くと、もう日は傾き、皆が空き地へ来た。
「お、良いのがあったみてえだな」
「ああ。ちょっと試してた所。皆は?良いのあった?」
「バッチリ。この杖、元のより使い易いよ」
「私は買う物も少なかったしね。鎧も邪魔でしかない」
諒子は刀を使う戦い方をしていく内に、重い鎧が邪魔に感じるようになっていたらしい。この機会に、売り払ってしまおうとの事だった。二束三文にしかならなかったらしいが、まあ気にする事でもない。
僕らは再び宿へ戻り、各々が買った物の確認と、彼女と戦うに当たっての話し合いをした。まあ、彼女に有効かどうかは定かではない訳だが。
翌日。僕はあの剣を受け取る為、彼の店へと戻った。
「店主さん居るかい?受け取りに来たよ」
「おお来たか。終わってるぞ」
彼は店の奥から顔を出し、僕に手招きをした。僕は誘われるがままに店の奥へ向かう。そして完成品を見た僕は、思わず「おお」と、声を漏らした。
「どうだい?中々だろ?」
「凄いですね。あんな錆だらけだった剣が、たった一晩で……」
「小人族に代々受け継がれている技術、舐めんじゃねえぞ?」
あの、錆び付いて、鞘から抜くのにも相当な力が要るような剣が、それはもう見事な、新品と見紛う程の、美しい輝きを放っている。小人族の技術力、恐るべし。
僕はその剣を受け取ると、彼にお礼を言って、店を後にした。ああいう人の事を、『職人堅気』なんて言ったりするんだろうな。
僕らはその後合流し、亜人の国の王都、『ヴァネロプ』へ向かう事にした。未だ不安を抱える僕らは、次の町へと歩みを進める。
次が、旅の終着になる事も知らずに。
調べた結果、あの女性は亜人の中の最高戦力、『四天王』と呼ばれる四人組の中の一人だと分かった。名前はアステリア・リオン・エーデルライト。という名前。見た目は公開されているが、年齢、性別、戦闘スタイル等が非公開らしい。名前と姿は明かされているが、それ以外は全く情報が無いのだ。どこで何をしているかを明かさない、謎に包まれた人物として、度々話題になっているそうだ。
小さな村だけで、これだけの情報は集まった。だが、『これ以上はどこに行っても分からない』と、皆が口を揃えて言う。多分、本当に無駄なのだろう。
僕らの方はと言うと、かなりキツイ状況だ。実は、この村に来る前一度だけ、比較的大きな町に着いた。だが、そこで問題が発生した。迷宮を出て数日経ったその日には、もう僕らは指名手配されていた。まあ当たり前だ。あそこで仕留められなかったので、今度は民衆の力を利用しようという事だろう。捕まっては不味いとなった僕らは、その町には寄らずに、ここの村まで来た。
結果、僕らは迷宮の素材を売れずにいる。詰まる所、金が無い。装備の新調もままならないし、冒険者ギルドを利用できない今、金を稼ぐ方法も無い。この村に居れるのも、あと少しかも知れない。
幸いな事に、この村に僕らの手配書は来ていないようだ。田舎だからだろうか。なんにせよ、お陰で僕らは休めた。そろそろこの村をでよう。あの人をどうこうする手立ても無いままだが、そこは仕方が無いだろう。
「聡一、準備できたぞ」
「分かった。行こう」
「お礼言いに行く?」
「勘付かれると嫌だし、泊まっただけの代金だけ置いて行きましょう」
僕らはその後、金だけを置いて村を出た。かなりの痛手だが、払わない訳にも行かない。
今の所、僕らは目的も決まっていない。取り敢えず、あの女性、延いてはこの国の公的機関に見つからないよう、逃げるだけだ。
「目的地……も何も無いよね」
「今は、強くなれるように特訓するのが一番ね」
「つっても、そこらの魔物じゃ、もう階位も真面に上がんねえぞ?」
「技能の熟練度なら上がる。それだけでどうこうなるとは思えないけど……」
あの一発で簡単に分かる。僕らと彼女の間には、絶対的な実力差がある。彼女がその気になったら、象が蟻を踏み潰すように簡単に、僕らは殺されてしまうだろう。
じゃあどうするかとなったら、鍛えるしか無い。僕らの望みは『戦闘』ではなく『交渉』だ。そして僕らには、『交渉』の場に持ち込むだけの力が要る。力が無ければ、自分の言いたい事すら言えない。
僕らは移動を続けながら、魔物や野盗と戦った。人を殺すのは抵抗があったが、それでも、どちらかが生き、もう一方は死ぬしかない事は、少しだけ理解していた。
「階位も上がんねえし、どうするよ?」
「迷宮は無理だし、怪物と戦うのはまず無理」
「怪物はそこそこ階位も上がったのにねえ。人を殺すと階位は上がり易いけど、嫌よね」
「やっぱり、相手が人ってだけで、相当来る物があるね」
装備の新調もままならない僕らは、段々と消耗している。保存食の備蓄も少しずつ減っているし、消耗品は尚更だ。どこかで調達する必要がある。
それでも、やりようが無い。僕らは希望を見出せないまま、旅を続けた。
それから一週間と少し。僕らに転機が訪れた。まあ、良い物とは言えないが。
「『勇者一行に告ぐ。私と正面から戦おう。汝らが勝った暁には、私に可能な限りの事を叶えよう。場所は王都、ヴァネロプ。王立闘技場にて待つ。 アステリア・リオン・エーデルライト』……宣戦布告と見て良いね」
どうやら先方は、正面対決で雌雄を決しようと言いたいらしい。しかも、『可能な限りの事』とは、中々に魅力的だ。もしかしたら、亜人王との対談も叶うかも知れない。
「でも、十中八九罠だよね」
「ああ。だが、このままでもジリ貧だ」
「勝つ見込みも無いのにどうしろって言うのよ」
正直、罠だろう。相手も焦っている可能性だってあるが、まあそれは基本無いだろう。そうなったら、正面対決するメリットが無い。わざわざ民衆に、内緒にしていた手の内を明かしてまで殺そうとするより、兵を使って捕らえさせた方が楽だし、確実だ。よりにもよって、正面対決を選ぶ理由が無い。
ただ、ここらでウロウロしていてもジリ貧なのは事実だ。ここで勝てれば、この状況を、ほぼ確実に打開できる。更に、僕らの旅も、大きく前進する。どちらを取るかという問題だが、これはほぼ、一択しか無い。
「これ、僕らの状態も考えて来てるだろうな」
「それは確実ね。ここまで時間を与えて、体は回復させつつ、経済面で追い込む。とんでもない人だわ」
「だけど、これじゃただの公開処刑だよ」
「だがなあ……行かない事には変わらない……けど勝ちようも無い……」
僕らは頭を悩ませ、どうするかを話し合った。彼女の戦い方が分からない以上、対策のしようが無い。いくら魔術で体を強化しても、それには限界がある。今の僕らで、あの速さを捉えられるとは思えない。
僕らは話し合いの結果、このままでは変わらないという結論を出し、亜人の国の王都、ヴァネロプに向かう事にした。勝ち目も見つけられないが、このままでは何もできない。やるしか無い。
「それじゃ、作戦……も、真面に機能しないだろうな」
「取り敢えず、四人全員がそれぞれに、身体強化を使おう。四重に掛ければ、多少マシになるかも」
「聡一の目にも留まらぬ速さだったんでしょ?まあ、気休めにはなるかも」
「受け止められれば、ワンチャンあんだろ」
微かに魔力は感じた。だが、魔術を使っているようには見えなかった。いや、見えないように使っていたのか?そんな相手に勝てるのか?兎も角、王都に着くまではまだ一か月ある。そこまでに、何か掴まなければ。
今の僕らは、技能もそこそこ多くある。最初の方からある技能の熟練度は、既に二桁を突破している。だが、それでも彼女に勝てるビジョンが見えない。瞬きの間とか、そういう次元じゃなく、まるで点から点への移動かと見紛う程の、それ程の『速さ』だった。
「雷系統の魔術も、姿が捉えられないんだったら当てようが無いしな」
「私はデバフ得意じゃないし、どうしようか」
「私が足場を崩す事もできるけど、それだと私達の方も行動が制限されるわね」
「動きを止める術を探そう。全方位広範囲の魔術を当てるかな?」
僕らは思い付く限りの案を出した。それも、気休めの為の物だった訳だが。
二日後の夜中。僕らは少し大きな町の近くまで着いた。もし懸賞金が取り下げられていたら、ここで多少補給できるかも知れない。
「でも、見張りに気付かれる訳には行かない」
「どうする?聡一」
「忍び込むのが一番良いけど、そう上手く行くかな?」
「やるしか無いでしょ?行くわよ」
僕らは夜の暗闇に隠れて、見張りの兵士を避けながら、町に入った。どうやら気付かれてはいないらしい。少なくとも、捕まりはしなかった。
街中を見て回ると、僕らの懸賞金は取り下げられたようで、僕らの写真付きの張り紙は、一つも無かった。
それを見た僕らは少し安心して宿を取った。
「大丈夫みたいだね。部屋別にしたのは正解だったよ」
「そうね。二人にはこの一週間、色々やってもらっちゃったし、今日一日、ゆっくりやりたい事やってほしいわね」
この一週間、二人は僕の補助とかを、多くやってもらった。一週間とは言え、若干鈍ってしまった僕の体を、二人は動かしやすくしてくれた。感謝しかない。
僕らは同じベッドに座り、話し始める。
「こうして二人きりって、なんか久し振りな気がするわね」
「そうだね。基本四人で固まってたし。二人も色々溜まってたのかね」
隣の部屋から二人の声がする。僕らはその声を聞き慣れているし、大してなにも思わない。
「聡一は違うって?」
前言撤回。やはり僕も人間だな。それも思春期の健全な男だ。悪い事ではない。
「そうは言ってない。諒子もだろ?」
「まあね」
僕はそう答える諒子と抱きしめ合い、お互いの体温を感じながら、ベッドに横たわった。
翌日。しっかり寝る事ができた僕らは、今日何をやるかを話し合っている。
「で、どうする?」
「まず装備の新調は必須。あの人と戦うなら、今の装備じゃ心許ない」
「久々に良い物も食いてえな。金余ってたらの話だけど」
「それも良いわね。体力の回復は急務よ」
僕らはそんな事を言い合いながら、町の鍛冶屋に向かった。どうやら小人族がやっているらしく、人間の鍛冶屋よりも良い物が多いとの事だ。
小人族の特徴は、他の種族に比べて背が低い。人類なら十歳程度の子供位の背が平均的らしい。そして力が強い。他の種族の大人程もある巨大な岩を、一人で軽々と持ち上げられるらしい。オーガスタスさんは前に会った事があると言っていたが、「二度とあいつらと腕相撲はしない」と言っていた。
少し歩くと、直ぐにその建物は見えて来た。『シータラ鍛冶屋』とある。ここで間違い無いだろう。僕らは建物の中へ入り、中の様子を見る。
「暗いな。品物はある」
「鎧に剣、槍、斧、杖まであるんだ」
「誰も居ない……?」
「いや、人は居る。こんにちは!鎧や武器を買いたいんですけど!」
僕がそう言うと、建物の奥の方から、髭を生やした小人族が出て来た。寝起きのようで、まだ眠そうだ。
「なんだい?客か?」
「はい。装備の新調に来ました」
「そうか。まあ好きに見ててくれ。儂は一旦奥に戻るが、用があったら呼べ」
それだけ言って、彼は戻って行った。どうやら、好きに選んで良いらしい。僕らはそれぞれの装備を選び始める。
僕が買いたいのは、鎧と剣と、あとガントレットみたいなのだ。鎧は面積が少なくても良いから軽い物、剣は前のと似通った奴、ガントレットは勝手が分からないし、多少あの人に聞くしか無いか。僕は周りの物を見て回ったが、どうしても値段が気になってしまう。どれが良いんだろう。
そうしている僕の目に、一つのカゴが目に入った。『均一百ゴルド』とある。安物だが、まあ最悪それでも……
待て。一つ、気になる物がある。僕は目に留まった一振りを手に取り、鞘から抜く。錆び付いているようだが、何か気になる。これにしようか。
よし。鎧も無難そうなのを選んだし、次はガントレットだ。僕は店の奥に居るであろう彼を呼び、話を聞こうとする。
「店主さん!ちょっとお聞きしたい事が!」
「そんな大声出さんでも聞こえる。なんだ?」
僕はガントレットを買いたい事と、自分がやりたい事を伝えた。どうやら良いのがあるらしく、店主は一旦店の奥へ戻り、何やら大きな箱を持って来た。なんだか、やたら気になる。
「何ですかコレ?」
「その剣を選んだっちゅう事は、お前さん方、例の勇者一行だろ」
僕らはその一言で、彼に対する警戒度を一気に上げた。剣?何の事だ?特別な物だったのか?なんで?分からない。
そんな僕らを見た彼は、「がっはっは!」と大声を上げて笑った。
「吹っ掛けてみたが、図星か。安心しろ。通報なんてしねえ。お前らみてえなのは好きだからな!」
オイ。吹っ掛けたって。一応客だぞ。客相手にそういう事言うなよ。そんな事も言えずにいると、彼は話を続けた。
「冗談はさておき、その剣は所謂、『曰く付き』って奴でな。噂じゃ、それを打った鍛冶師が、次の日に自殺したとか。それで皆気味悪がってやがる。ウチにそれを売りに来た奴も、酷く衰弱した目をしてたよ。まあ、なんてこたあ無い。ただの剣さ」
ふむ。どうやら、物騒な物ではあったらしい。打った翌日に自殺ねえ。今更だが、まるで創作物のお話だな。ただまあ、気になる物はしょうが無い。僕はこれを買う。
「余談はそこまででお願いします。この箱、一体何が入ってるんです?」
「お前さんが欲しがってた品は、ウチじゃ取り扱いが少なくてな。これが唯一の品だ。まあ、殆ど骨董品だが……お前さん、魔力は使えるか?」
僕が頷くと、彼は「なら良い」と言って、箱を開けた。その中には、肩まで覆われる、右腕用のガントレットがあった。
「これ、魔道具ですか?」
「若干違う。コレは、お前さんの魔力で動く物だからな。魔道具の定義に当て嵌まらん。機能が知りたきゃ、一回使ってみると良い。裏にスペースがある」
僕は彼に案内されるまま、店の裏へ回った。少し広い空き地がある。僕はガントレットを装着して、軽く構える。
「ソイツに魔力を流してみろ。やれる事が分かる筈だぜ!」
僕は言われるまま魔力を流すと、ガントレットの掌の部分から、衝撃波が放たれた。僕の体は、反動で少し後ろによろける。
「今のは?」
「衝撃波。そのブツに込められた魔術だ。殺傷能力は無いが、距離を取る時、牽制、或いは傷つけずに攻撃する時なんかは、結構便利だぜ」
前方広範囲に衝撃波を放てるようだ。これなら、彼女にも多少効果があるかも知れない。良い物を貰った。
「これ、いくらですか?」
「元々儂のじゃねえし、邪魔だったんだ。タダでくれてやる」
おお。なんとも気前が良い。それなら、喜んで頂こう。
「それとお前さん、買うのはそれだけかい?」
「はい。装備は軽くしたいですし」
僕がそう答えると、彼は腕を組んで悩み、その後、僕に一つの提案をして来た。
「追加料金が掛かるが、その曰く付きの剣、儂が研いでやろう」
「お、いくらですか?」
「話が早えな。まあざっと……十ゴルドで良い。やるなら、明日取りに来い」
かなり安いが、それで大丈夫なんだろうか。まあ、厚意は受け取っておこう。僕は彼に、鎧、剣の代金に加え、剣を研磨してもらう為の代金を払った。金を受け取った彼は、早速仕事に取り掛かるようで、建物へと戻って行った。
僕はもう少し、コレに慣れておこう。僕はガントレットを腕に付けたまま、訓練を始めた。僕は頭の中にある、やれそうな事、やってみたい事を、片っ端から試して行く。
気付くと、もう日は傾き、皆が空き地へ来た。
「お、良いのがあったみてえだな」
「ああ。ちょっと試してた所。皆は?良いのあった?」
「バッチリ。この杖、元のより使い易いよ」
「私は買う物も少なかったしね。鎧も邪魔でしかない」
諒子は刀を使う戦い方をしていく内に、重い鎧が邪魔に感じるようになっていたらしい。この機会に、売り払ってしまおうとの事だった。二束三文にしかならなかったらしいが、まあ気にする事でもない。
僕らは再び宿へ戻り、各々が買った物の確認と、彼女と戦うに当たっての話し合いをした。まあ、彼女に有効かどうかは定かではない訳だが。
翌日。僕はあの剣を受け取る為、彼の店へと戻った。
「店主さん居るかい?受け取りに来たよ」
「おお来たか。終わってるぞ」
彼は店の奥から顔を出し、僕に手招きをした。僕は誘われるがままに店の奥へ向かう。そして完成品を見た僕は、思わず「おお」と、声を漏らした。
「どうだい?中々だろ?」
「凄いですね。あんな錆だらけだった剣が、たった一晩で……」
「小人族に代々受け継がれている技術、舐めんじゃねえぞ?」
あの、錆び付いて、鞘から抜くのにも相当な力が要るような剣が、それはもう見事な、新品と見紛う程の、美しい輝きを放っている。小人族の技術力、恐るべし。
僕はその剣を受け取ると、彼にお礼を言って、店を後にした。ああいう人の事を、『職人堅気』なんて言ったりするんだろうな。
僕らはその後合流し、亜人の国の王都、『ヴァネロプ』へ向かう事にした。未だ不安を抱える僕らは、次の町へと歩みを進める。
次が、旅の終着になる事も知らずに。
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死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……
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主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです
(カクヨム、小説家になろうでも公開中です)
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
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「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
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鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
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第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
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アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
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巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
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とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
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世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
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異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
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