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第六話 お宝発見!?ダンジョン探索 ~チャプター6~
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ミスリル鉱山の坑道奥にて、ボスとなる巨大スライムと対峙する俺たち。
ボスを倒すため、メルとシエルは合体魔術の詠唱を始めた。
「其の行く手を阻みし焔の壁よ!」
「彼の者を焔獄へ導く紅蓮の棺となれ!」
「「フレイムウォール・スクウェア!」」
ボススライムの四方を囲むように炎の壁が湧き上る。
そしてそれらはボススライムを圧し潰さんがごとく迫り、やがてそれを飲み込んだ。
「あちっ!あちちっ!」
炎から熱風が漏れ出し、ボスが放っていた小型スライムを巻き込んでいく。
熱風はその小型スライムらと戦闘していた俺とリーナの方まで及んできたので咄嗟にファストシールドで防いだ。
「すごい威力…これなら!」
そして炎が収まる。
残されていた巨大スライムはまるで苦しむように縮み上がった後に勢いよく破裂、四散した。飛び散った破片が俺たちに降りかかってしまう。
「ふえぇ~ん、ドロドロぉ…。」
スライムまみれの姿でメルが嘆く。
「これ…、被ったまんまで大丈夫なのか?」
「そうですねぇ、スライムは強烈な酸を使う事もありますし…。もしかしたら衣服や装備が溶けてしまうかもしれませんね。」
「な!?」
つまり早く洗い流さないとエラい事になるのでは!?
「リ、リーナ!水の魔術で何とか出来ない!?」
「う、うん、えーっと、アクアスプラッシュ!」
俺たちの頭上に大きな水泡が発生すると、それらが一気に降りかかる。
これでスライムのドロドロは洗い流せたが…
「ぶぇっきしゅッ!寒っ…」
「今度はびしょびしょ…」
「早く暖まらないといけないですね。」
周囲を少し探ると照明用の燭台にくべる薪があった。
もしかしたら湿っていて使えないかもと思ったが、火の魔術で着火することが出来た。
「さて、服を乾かさないとだね。」
そう言うとリーナがいきなり服を脱ぎだした。
「ちょ、ちょっと!?」「リーナさん!?」
慌てふためく一同。そしてメルが俺の方をキッとにらみつけ―――
「お…俺あっち行ってっから!」
咄嗟に奥の方へと逃げ込む。
「あ、ユウヤ!?ユウヤも服乾かさないと!」
「俺は後でいぃぃぃょぉぉぉぉぉ!」
「んもぅ。風邪ひいちゃうよ?」
「あのねぇ、リーナさんや。」
「いくら気心が知れた仲とはいえ、男性の前で服を脱ぐのはちょっと…。」
リーナは訝しげな表情を浮かべていた。
「ぜぇ…ぜぇ…、まったく何なんだアイツは…。」
岩陰の方へ逃げ込んだ俺。
さっきといい、出会った初日に平気で一緒のベッドで寝ようとしたりと、リーナの貞操観念は多少危なっかしい。もしかしてそのあたりがお子様のまんま成長したとでも?
「ふぇっくしょい!」
それより俺もどうにか暖まらないと…
そうして辺りを探っていくと、壁の方に何かがキラッと光るのが見えた。
何だろうと思いそこまで行ってみると、壁に埋まっている青白い鉱石のようなものが少しばかり顔を出していた。
「これって…」
鞘に収めたままの短剣で、崩落に気を付けながら鉱石の周りを掘っていく。スライムが棲みついていたおかげか割とたやすく掘り進めることが出来た。
ある程度掘りだした後、慎重に鉱石を引き抜く。
出てきたのは直径40cmはあろうかなり大きなものだった。
***
「おーい!もう大丈夫かー!?」
「はーい。もう来てもいいですよー。」
しばらくして俺は皆の所に戻り、先ほど掘り出した鉱石を見せる。
「これがミスリル?」
「そうですね。かなりの大きさな上、見たところ純度も高そうです。まだこれほどの物が残されていたのですね。」
「いい武器や防具が作れそうだね。」
こうして戦利品を獲得し俺たちはギルドへ戻った。
***
ギルドで報酬を受け取った後ミスリル鉱石の事を相談してみると、この町の冒険者たちが信頼を寄せているという鍛冶屋を紹介してもらった。
「ミスリルについてはお三方にお譲りします」というシエルとはここで別れ、3人でその鍛冶屋を訪れた。
カウンターから出迎えてくれたのは20代前半くらいの女性。彼女はここの鍛冶職人の娘で自身も職人として修業中だそう。
採れたミスリルを出して、これで何か作ってもらえないかと依頼した。
「それで、どんなものを作ってほしいの?」
「そうだなぁ……」
しばらく考え込んで―――
「メル。お前の武器を作ってもらえ。」
「へ、私の?」
「この先魔術だけで戦っていくのも難しいだろうし、何か武器はあったほうがいいと思うぞ。」
「ホント!?いいの?」
メルは自分に合いそうな武器を探して店内の武器を物色し始める。
その様子を見守っていた俺だったが…
「っくしょい!」
「ユウヤ大丈夫?」
スライムを倒した後に水を被って以降、俺は寒気がなかなか収まらず帰りの馬車でもくしゃみを繰り返していた。
「悪い、先に宿戻ってる。二人はゆっくり武器を考えていてくれ。」
「う、うん。」
後を任せて俺は鍛冶屋を去る。
「大丈夫なの?ユウヤ。」
「うーん。ゆっくり決めていいって言ってたけど、早めにしよっか。」
再び武器を探り始める二人。
「ねぇ、これとかどう?」
リーナが見つけてきたのは、1mくらいの杖の先に放射状に鉄板をあしらった鉄塊を備えたメイスだ。
「私もいいと思いますよ。このタイプは先端に魔石をはめ込むことが出来て、ロッドとして使えたりもしますね。」
鍛冶屋の娘さんからも勧められる。
「いいじゃん!これにするわ!」
「わかりました、早速父に取り掛かってもらいますね!今は他に急ぎの仕事もないし、2日後には出来ると思いますよ!」
「ありがとう!お願いします!」
こうしてメルは新しい武器・メイスを作ってもらうことになった。どんなものになるか楽しみだ。
ボスを倒すため、メルとシエルは合体魔術の詠唱を始めた。
「其の行く手を阻みし焔の壁よ!」
「彼の者を焔獄へ導く紅蓮の棺となれ!」
「「フレイムウォール・スクウェア!」」
ボススライムの四方を囲むように炎の壁が湧き上る。
そしてそれらはボススライムを圧し潰さんがごとく迫り、やがてそれを飲み込んだ。
「あちっ!あちちっ!」
炎から熱風が漏れ出し、ボスが放っていた小型スライムを巻き込んでいく。
熱風はその小型スライムらと戦闘していた俺とリーナの方まで及んできたので咄嗟にファストシールドで防いだ。
「すごい威力…これなら!」
そして炎が収まる。
残されていた巨大スライムはまるで苦しむように縮み上がった後に勢いよく破裂、四散した。飛び散った破片が俺たちに降りかかってしまう。
「ふえぇ~ん、ドロドロぉ…。」
スライムまみれの姿でメルが嘆く。
「これ…、被ったまんまで大丈夫なのか?」
「そうですねぇ、スライムは強烈な酸を使う事もありますし…。もしかしたら衣服や装備が溶けてしまうかもしれませんね。」
「な!?」
つまり早く洗い流さないとエラい事になるのでは!?
「リ、リーナ!水の魔術で何とか出来ない!?」
「う、うん、えーっと、アクアスプラッシュ!」
俺たちの頭上に大きな水泡が発生すると、それらが一気に降りかかる。
これでスライムのドロドロは洗い流せたが…
「ぶぇっきしゅッ!寒っ…」
「今度はびしょびしょ…」
「早く暖まらないといけないですね。」
周囲を少し探ると照明用の燭台にくべる薪があった。
もしかしたら湿っていて使えないかもと思ったが、火の魔術で着火することが出来た。
「さて、服を乾かさないとだね。」
そう言うとリーナがいきなり服を脱ぎだした。
「ちょ、ちょっと!?」「リーナさん!?」
慌てふためく一同。そしてメルが俺の方をキッとにらみつけ―――
「お…俺あっち行ってっから!」
咄嗟に奥の方へと逃げ込む。
「あ、ユウヤ!?ユウヤも服乾かさないと!」
「俺は後でいぃぃぃょぉぉぉぉぉ!」
「んもぅ。風邪ひいちゃうよ?」
「あのねぇ、リーナさんや。」
「いくら気心が知れた仲とはいえ、男性の前で服を脱ぐのはちょっと…。」
リーナは訝しげな表情を浮かべていた。
「ぜぇ…ぜぇ…、まったく何なんだアイツは…。」
岩陰の方へ逃げ込んだ俺。
さっきといい、出会った初日に平気で一緒のベッドで寝ようとしたりと、リーナの貞操観念は多少危なっかしい。もしかしてそのあたりがお子様のまんま成長したとでも?
「ふぇっくしょい!」
それより俺もどうにか暖まらないと…
そうして辺りを探っていくと、壁の方に何かがキラッと光るのが見えた。
何だろうと思いそこまで行ってみると、壁に埋まっている青白い鉱石のようなものが少しばかり顔を出していた。
「これって…」
鞘に収めたままの短剣で、崩落に気を付けながら鉱石の周りを掘っていく。スライムが棲みついていたおかげか割とたやすく掘り進めることが出来た。
ある程度掘りだした後、慎重に鉱石を引き抜く。
出てきたのは直径40cmはあろうかなり大きなものだった。
***
「おーい!もう大丈夫かー!?」
「はーい。もう来てもいいですよー。」
しばらくして俺は皆の所に戻り、先ほど掘り出した鉱石を見せる。
「これがミスリル?」
「そうですね。かなりの大きさな上、見たところ純度も高そうです。まだこれほどの物が残されていたのですね。」
「いい武器や防具が作れそうだね。」
こうして戦利品を獲得し俺たちはギルドへ戻った。
***
ギルドで報酬を受け取った後ミスリル鉱石の事を相談してみると、この町の冒険者たちが信頼を寄せているという鍛冶屋を紹介してもらった。
「ミスリルについてはお三方にお譲りします」というシエルとはここで別れ、3人でその鍛冶屋を訪れた。
カウンターから出迎えてくれたのは20代前半くらいの女性。彼女はここの鍛冶職人の娘で自身も職人として修業中だそう。
採れたミスリルを出して、これで何か作ってもらえないかと依頼した。
「それで、どんなものを作ってほしいの?」
「そうだなぁ……」
しばらく考え込んで―――
「メル。お前の武器を作ってもらえ。」
「へ、私の?」
「この先魔術だけで戦っていくのも難しいだろうし、何か武器はあったほうがいいと思うぞ。」
「ホント!?いいの?」
メルは自分に合いそうな武器を探して店内の武器を物色し始める。
その様子を見守っていた俺だったが…
「っくしょい!」
「ユウヤ大丈夫?」
スライムを倒した後に水を被って以降、俺は寒気がなかなか収まらず帰りの馬車でもくしゃみを繰り返していた。
「悪い、先に宿戻ってる。二人はゆっくり武器を考えていてくれ。」
「う、うん。」
後を任せて俺は鍛冶屋を去る。
「大丈夫なの?ユウヤ。」
「うーん。ゆっくり決めていいって言ってたけど、早めにしよっか。」
再び武器を探り始める二人。
「ねぇ、これとかどう?」
リーナが見つけてきたのは、1mくらいの杖の先に放射状に鉄板をあしらった鉄塊を備えたメイスだ。
「私もいいと思いますよ。このタイプは先端に魔石をはめ込むことが出来て、ロッドとして使えたりもしますね。」
鍛冶屋の娘さんからも勧められる。
「いいじゃん!これにするわ!」
「わかりました、早速父に取り掛かってもらいますね!今は他に急ぎの仕事もないし、2日後には出来ると思いますよ!」
「ありがとう!お願いします!」
こうしてメルは新しい武器・メイスを作ってもらうことになった。どんなものになるか楽しみだ。
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