上 下
33 / 48

第六話 お宝発見!?ダンジョン探索 ~チャプター5~

しおりを挟む
道行く先を塞ぐように現れたスライムたち。どうやらボス部屋に近づいてきたようだ。

俺は武器を構え臨戦態勢に入ったが―――

(しまった…、俺じゃあスライムにダメージを与えられない…。)

俺の持ってる武器ではスライムに対して有効打にならないし、攻撃魔術も使えない。
戦闘を全部シエルに押し付けてしまうのもなんだか忍びないが…。

「ユウヤさん、武器をこちらに向けてください。」

シエルには何か対策があるようなので、言う通り武器を向けてみる。

「アタッチフレイム。」

すると、刀身が赤いオーラのようなものに包まれる。

「これは…?」
「武器に火属性を付与しました。これでスライムにダメージを通せる筈です。」

ここに生息しているスライムの特性として、物理攻撃やその他の属性の攻撃を受けてもすぐ再生してしまうが、火属性の攻撃を受けると身体を保てなくなるようだ。

「ありがとうございます!よーっし―――」

援護を受け、スライムの懐に攻め入る!

「うおりゃッ!」

思いっきり短剣を振るい、スライムに切れ込みを入れる。
さっきまでならそこからすぐ再生されたが、切れ込みは焼き切れたような跡がつき塞がらずにいた。

(よし、これなら…)

こうしてやっと役割を与えられた俺は、ボス部屋へ向かって行く手を阻むスライムを薙ぎ払いながらシエルと共に進んでいく。

そして、俺たちはボスが待ち構える坑道の奥へとたどり着いた。
待ち受けていたのはやはりというか、直径5mはあろう巨大なスライムであった。どうもモンスターというのは身体が大きければボスになるという習わしでもあるのだろうか。

「ユウヤ!シエル!」

リーナとメルもボス部屋まで来ていた。二人が通っていたルートなら早めにここにたどり着けていたはずだが、俺たちが到着するまで様子を見ながら待機していたようだ。

「どうだ様子は?」
「うん、かなり手ごわそうだね。しかもボスから小さい個体がどんどん分裂してる。」

あのボススライムを放置しておけばスライムがどんどん数を増しいずれ周辺の人里に被害が及んでしまう。なんとかして倒さないと…。

ボススライムの中心辺りに色が濃くなっている箇所がある。恐らくあそこが核となる部分だろう。しかし手持ちの武器だと核まで攻撃が届かない。火属性を付与してもらったとしても核の部分まで削っている間に反撃を喰らってしまう。

となるとやはり…。

「魔術で倒すしかないですね。それも強力なものでないと…。」

幸いここ最奥は広く掘られておりさっきのように大きい魔術で崩落することはないだろう。

「わたくしとメルさんで炎の合体魔術を試みます。」
「え!?私やったことないけど…」
「心配いりません。わたくしがメルさんに合わせます。」
「魔術の発動まで時間がかかるから、ユウヤと私で二人を守るよ!」「わかった!」
「二人ともお願いします!」

魔術を放つ上で最も重要視されているのは、術者によるイメージだそうだ。この世界に来て幾度となく魔術を目の当たりにしてきたが、みな『詠唱』という行為をほとんどせず即座に術を放って見せている。

ただ、場合によっては詠唱を行うことがあり、それには2パターンの理由があるという。
ひとつは、強力な術を放つ際、口に出して詠唱し術のイメージをより強固なものにするために行う事があるという。
もうひとつは、二人以上で協力して合体魔術を放つ際に術者同士のイメージを共有するためだという事だ。

そして、詠唱を行うとなれば当然隙が生じてしまうので、その間術者を護る必要が出てくるわけである。
先日のゴブリン退治の時はノルンとシエルは短い詠唱で合体魔術を放って見せたが、まだ合体魔術が未経験のメルがそれを行うには相当な時間を要するはずだ。その間、俺とリーナでスライムを相手しなければならない。

「来るよ!」

リーナが警告したのち大量のスライムが襲いかかってきた!

(くそっ!めちゃくちゃ多い!)

俺は武器にまだシエルが掛けてくれたアタッチフレイムの効果が残っていたので応戦することが出来たが、圧倒的な数を一人で対応するのは無理だ。
リーナの方は…

「やぁっ!」

リーナは火属性の魔術を使うことは出来ないが、ロッドに火の魔石を装着して攻撃しているようだ。スライム退治と聞いてあらかじめ用意していたのだろう。

しかし二人で相手するにしても数が多すぎる。いつまで持ちこたえられるだろうか…。


「大丈夫かなぁ、また崩れたりしたら…。」
「落ち着いてください、ここは広いので心配いりませんよ。先ほどのようにまたフレイムウォールを唱えてください。わたくしも合わせます!」
「…うん、わかった。」

そうして二人は詠唱を開始した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男女比崩壊世界で逆ハーレムを

クロウ
ファンタジー
いつからか女性が中々生まれなくなり、人口は徐々に減少する。 国は女児が生まれたら報告するようにと各地に知らせを出しているが、自身の配偶者にするためにと出生を報告しない事例も少なくない。 女性の誘拐、売買、監禁は厳しく取り締まられている。 地下に監禁されていた主人公を救ったのはフロムナード王国の最精鋭部隊と呼ばれる黒龍騎士団。 線の細い男、つまり細マッチョが好まれる世界で彼らのような日々身体を鍛えてムキムキな人はモテない。 しかし転生者たる主人公にはその好みには当てはまらないようで・・・・ 更新再開。頑張って更新します。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

クラス転移したひきこもり、僕だけシステムがゲームと同じなんですが・・・ログアウトしたら地球に帰れるみたいです

こたろう文庫
ファンタジー
学校をズル休みしてオンラインゲームをプレイするクオンこと斉藤悠人は、登校していなかったのにも関わらずクラス転移させられた。 異世界に来たはずなのに、ステータス画面はさっきやっていたゲームそのもので…。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

神様に転生させてもらった元社畜はチート能力で異世界に革命をおこす。賢者の石の無限魔力と召喚術の組み合わせって最強では!?

不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ファンタジー
●あらすじ ブラック企業に勤め過労死してしまった、斉藤タクマ。36歳。彼は神様によってチート能力をもらい異世界に転生をさせてもらう。 賢者の石による魔力無限と、万能な召喚獣を呼べる召喚術。この二つのチートを使いつつ、危機に瀕した猫人族達の村を発展させていく物語。だんだんと村は発展していき他の町とも交易をはじめゆくゆくは大きな大国に!? フェンリルにスライム、猫耳少女、エルフにグータラ娘などいろいろ登場人物に振り回されながらも異世界を楽しんでいきたいと思います。 タイトル変えました。 旧題、賢者の石による無限魔力+最強召喚術による、異世界のんびりスローライフ。~猫人族の村はいずれ大国へと成り上がる~ ※R15は保険です。異世界転生、内政モノです。 あまりシリアスにするつもりもありません。 またタンタンと進みますのでよろしくお願いします。 感想、お気に入りをいただけると執筆の励みになります。 よろしくお願いします。 想像以上に多くの方に読んでいただけており、戸惑っております。本当にありがとうございます。 ※カクヨムさんでも連載はじめました。

処理中です...