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第六話 お宝発見!?ダンジョン探索 ~チャプター3~
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「私ね、小さい頃病気になって、死んじゃうところだったんだ。」
ダンジョン攻略の道すがら、俺たちはリーナの過去の話を聞くことになったが、その出だしは意外なものだった。
「そうだったのですか!?今の姿からは想像もつきません…。」
「どうやって助かったの!?」
「うんとね、その時に旅の魔導師さまが偶然町に来ていて、その人に助けてもらったんだ。」
「重い病を治せるほどの魔術の使い手ですか。さぞ高名な魔導師の方なのでしょうね。」
「うーん、あまり目立ちたがらない人だったから、知ってる人はそんなにいないと思うよ。」
「…てことは、その人がリーナの師匠?」
「うん。その人の魔術に感動して、私も魔導師になりたくなったんだ。最初は断られたけど、その人が町にいる間に何度も何度もお願いして、弟子にしてもらえたんだよ。」
「きっとリーナさんの思いが本物だと認めて頂けたのでしょうね。」
「うーん、そうだったらいいな。それで、魔術を教えてもらいながら、師匠と一緒に旅をすることになったんだ。」
そうしてリーナは、その魔導師と共に大陸中を旅して回っていったそうだ。リーナが魔術の腕だけでなく知識も豊富であるのは、その旅によって得たものだろう。
「それで、その修行はどのくらいまで続けられたのですか?」
「いまから3年位前かな。師匠から自分が教えられることは全部授けたって言われて、そこでお別れしたんだ。」
「なんかあっけないわね。」
「そうでもないかな。私が将来どうなりたいかはもう決めていたし。師匠が私にそうしてくれたように、自分の魔術で誰かの助けになりたいって。」
「立派な事だと思います。ねぇ、ユウヤさん?」
シエルが俺に話を振ったその時だった。
「ゴボボ…ガボ…ゴボ…」
「ユウヤさん!?」
皆がリーナの話に夢中になってる最中、俺はスライムに襲われ顔面に張り付かれていた。
「メルさん!火の魔術を!」
「う、うん!ファイアバレット!」
メルが放ったファイアバレットが顔面のスライムに命中し、俺はスライムから解放された。
「ぶはッ!ゲホッゲホッ……」
「ユウヤゴメン!全然気が付かなくて…」
皆が俺に申し訳なさそうにするが…
「今はいい!それより―――」
周囲を見回すと、俺たちはスライムの大群にすっかり囲まれてしまっていた。
「思ったより数が多いですわね…」
すると―――
「任せて!私が片づける!フレイムウォール!」
俺たちを囲むように炎の壁が湧き上る。
「いつの間にこんな大技を!?」
「メル、お休みの間も魔術の練習していたんだよ。」
そして炎の壁がどんどん広がっていき、俺たちを囲んでいたスライムをどんどん巻き込んでいく。
やがて炎は収まり、スライムは跡形もなく消え去っていた。
「どんなもんよ!」
「すごいですわ、メルさん!」
と、喜んだのも束の間―――
「?…なんだ?」
天井からミシミシと軋むような音がした。
「危ない!みんなここから離れて!」
俺たちは急いでその場からダッシュで離れると、天井が崩れ通路が土砂で埋もれてしまう。
そして俺とシエル、リーナとメルで別々の方向へ逃げてしまったため、二組に分断されてしまった。
「危なかった…。」
「きっとスライムが棲みついてしまったことで、壁や天井が腐食して崩れやすくなってしまったようですね…。」
「そんな状態で大技つかったからか…」
「おーい!」
向こうの方からリーナの声が聞こえた。
「私もメルも無事だよー!そっちはー?」
「こっちも二人とも大丈夫だー!」
互いの無事を確認した後、マップを広げ位置とルートを確認する。
リーナとメルがいるのは俺たちが目指しているボス部屋がある方で、俺とシエルがいるのは入り口方向だ。だが俺たちの側からでも迂回すればボス部屋まで行くことが出来るようだ。
「そっちはそのままボス部屋を目指してくれ!俺たちも迂回してボス部屋まで行く!」
「わかったー!」
こうして俺たちは別々にボスの元まで進むことになった。
ダンジョン攻略の道すがら、俺たちはリーナの過去の話を聞くことになったが、その出だしは意外なものだった。
「そうだったのですか!?今の姿からは想像もつきません…。」
「どうやって助かったの!?」
「うんとね、その時に旅の魔導師さまが偶然町に来ていて、その人に助けてもらったんだ。」
「重い病を治せるほどの魔術の使い手ですか。さぞ高名な魔導師の方なのでしょうね。」
「うーん、あまり目立ちたがらない人だったから、知ってる人はそんなにいないと思うよ。」
「…てことは、その人がリーナの師匠?」
「うん。その人の魔術に感動して、私も魔導師になりたくなったんだ。最初は断られたけど、その人が町にいる間に何度も何度もお願いして、弟子にしてもらえたんだよ。」
「きっとリーナさんの思いが本物だと認めて頂けたのでしょうね。」
「うーん、そうだったらいいな。それで、魔術を教えてもらいながら、師匠と一緒に旅をすることになったんだ。」
そうしてリーナは、その魔導師と共に大陸中を旅して回っていったそうだ。リーナが魔術の腕だけでなく知識も豊富であるのは、その旅によって得たものだろう。
「それで、その修行はどのくらいまで続けられたのですか?」
「いまから3年位前かな。師匠から自分が教えられることは全部授けたって言われて、そこでお別れしたんだ。」
「なんかあっけないわね。」
「そうでもないかな。私が将来どうなりたいかはもう決めていたし。師匠が私にそうしてくれたように、自分の魔術で誰かの助けになりたいって。」
「立派な事だと思います。ねぇ、ユウヤさん?」
シエルが俺に話を振ったその時だった。
「ゴボボ…ガボ…ゴボ…」
「ユウヤさん!?」
皆がリーナの話に夢中になってる最中、俺はスライムに襲われ顔面に張り付かれていた。
「メルさん!火の魔術を!」
「う、うん!ファイアバレット!」
メルが放ったファイアバレットが顔面のスライムに命中し、俺はスライムから解放された。
「ぶはッ!ゲホッゲホッ……」
「ユウヤゴメン!全然気が付かなくて…」
皆が俺に申し訳なさそうにするが…
「今はいい!それより―――」
周囲を見回すと、俺たちはスライムの大群にすっかり囲まれてしまっていた。
「思ったより数が多いですわね…」
すると―――
「任せて!私が片づける!フレイムウォール!」
俺たちを囲むように炎の壁が湧き上る。
「いつの間にこんな大技を!?」
「メル、お休みの間も魔術の練習していたんだよ。」
そして炎の壁がどんどん広がっていき、俺たちを囲んでいたスライムをどんどん巻き込んでいく。
やがて炎は収まり、スライムは跡形もなく消え去っていた。
「どんなもんよ!」
「すごいですわ、メルさん!」
と、喜んだのも束の間―――
「?…なんだ?」
天井からミシミシと軋むような音がした。
「危ない!みんなここから離れて!」
俺たちは急いでその場からダッシュで離れると、天井が崩れ通路が土砂で埋もれてしまう。
そして俺とシエル、リーナとメルで別々の方向へ逃げてしまったため、二組に分断されてしまった。
「危なかった…。」
「きっとスライムが棲みついてしまったことで、壁や天井が腐食して崩れやすくなってしまったようですね…。」
「そんな状態で大技つかったからか…」
「おーい!」
向こうの方からリーナの声が聞こえた。
「私もメルも無事だよー!そっちはー?」
「こっちも二人とも大丈夫だー!」
互いの無事を確認した後、マップを広げ位置とルートを確認する。
リーナとメルがいるのは俺たちが目指しているボス部屋がある方で、俺とシエルがいるのは入り口方向だ。だが俺たちの側からでも迂回すればボス部屋まで行くことが出来るようだ。
「そっちはそのままボス部屋を目指してくれ!俺たちも迂回してボス部屋まで行く!」
「わかったー!」
こうして俺たちは別々にボスの元まで進むことになった。
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