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第四話 二人のお姫様 ~チャプター3~
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「ごきげんよう。屋敷の準備ご苦労だったわね。」
「とんでもございません。長旅お疲れ様でございます。」
ノーラ王女殿下が挨拶するとマリークレアさんが礼を返し、並んでいる侍女たちが一斉に黙礼する。それを見て俺たちも慌てて頭を下げた。
「いいわ。顔を上げなさい。―――で。」
そう言うとノーラ王女がこっちに向かってくる。
「あんた達が今回の護衛役?」
あごに指を当てながらノーラ王女はこちらの面子をじろじろ見ていくと、案の定メルのところで足が止まる。
「ん?ラミア?あんたたちのどっちかが魔獣使いだったりするの?」
「あ、いえ……」
「恐れながら、殿下。こちらのラミアの方は自ら冒険者になったとギルドからも確認頂いてます。」
「へぇ、そう。」
ノーラ王女はまたメルの事をじっと観察するように見ていく。
「あ、あの…、なにかマズかった…ですか?」
俺が気まずそうに訪ねると、
「…いえ、むしろいいわ。ていうかカワイイ。連れて帰りたい。」
「え、えーっと…。」
「殿下。」
「…おほん、失礼。」
マリークレアさんの言葉でノーラ王女は我に返ったようだ。メル、もしかして無自覚で魅了を使えるようになった?いや、相手は同性だが。
「それじゃあ、早速で悪いけど、荷物を運んでもらおうかしら。あなたはこれ。あなたはこれね。ティーセットだから気を付けて持ってね。」
ノーラ王女はメルに日傘を、リーナにティーセットが入ったトランクを持たせる。
「あんたは……、残り全部お願いね。」
ノーラ王女がそう言って親指で背後の馬車の方を指す。馬車の後部の荷台には、豪華なそれにまるで似つかわしくない大量の荷物が積み上げられていた。
これ全部俺が運ぶのかよ……
「じゃ、あとヨロシク。」
そう言い残し、ノーラ王女はリーナとメルを引き連れ屋敷に入っていった。
俺は大量の荷物を前に呆然と立ち尽くしていると、
「私たちもお手伝いいたしますよ。」
「あ、ハイ。スンマセン。」
侍女さんが何人か運ぶのを手伝ってくれた。
***
「ふぃーっ。これで全部…」
荷物を全部屋敷に運び終えたところで―――
「ご苦労。あと、これから私の友達が来るの。もうすぐ着くだろうから、お出迎えするわよ。」
「え……」
「返事!」
「アイマム!」
息つく暇もなくまた玄関の外まで駆り出される。
「お姫様のお友達ってどんな人だろうね。」
「まぁ、この御方のご友人だからな。きっとまたクセがすごい―――」
「何か言った?」
「いえ。滅相もございません。」
小声で話してたつもりだったんだけど、このお姫様は数キロ先の針の落ちる音でも聞こえてそうだ。
「来たようね。」
色々くっちゃべっていると門が開き、これまた豪華な馬車が敷地に乗り入れる。
「あ!あの馬車の紋章って……」
「知っているのかリーナ!?」
って、このやり取りさっきもやったような……。
「あの紋章、魔王国ギリアのものだよ。」
その馬車には、六芒星を背景に大きな角が生えた山羊のような頭部が描かれた紋章が掲げられていた。
魔王国ってことは、乗っているのは魔族!?
馬車が止まり、扉が開く。降りてきたのは、透き通るような白い肌に黒く長い髪の、落ち着いた雰囲気の美しい女性。ただ、その女性の側頭部からは羊のそれのような角が生えていた。
「紹介するわ。彼女はシアリーゼ。魔王国ギリアの王女、つまり魔王の娘君よ。」
魔王の娘!!!???
「魔王国ギリアから参りました、シアリーゼと申します。どうぞよしなに。」
「シアとは和平交渉とかの外交の場で何度も会って、そのうちに仲良くなったのよ。」
魔王の娘をあだ名呼びとは……
けど魔王の娘さんで、なおかつノーラ王女の友人とくればどんなクセつよお嬢様が来るのかと思えば、その挨拶からは礼儀正しさがうかがえる。
「立ち話もなんだし、屋敷に入りましょ。荷物ならげぼ、護衛に運ばせるから。」
おい、いま下僕って言おうとしなかったか?
「ならお願いしようかしら。では、あなたはこれ、それとあなたはこれをお願いします。ティーセットだから気を付けてお持ちくださいね。」
シアリーゼ王女はメルに日傘を、リーナにティーセットが入ったトランクを持たせる。ってこの流れは…。
「残りは…お願いしますね。」
シアリーゼ王女は馬車の方を向いた後俺にそう言った。馬車の後部の荷台には、豪華なそれにまるで似つかわしくない大量の……
って天丼かよ!!
「とんでもございません。長旅お疲れ様でございます。」
ノーラ王女殿下が挨拶するとマリークレアさんが礼を返し、並んでいる侍女たちが一斉に黙礼する。それを見て俺たちも慌てて頭を下げた。
「いいわ。顔を上げなさい。―――で。」
そう言うとノーラ王女がこっちに向かってくる。
「あんた達が今回の護衛役?」
あごに指を当てながらノーラ王女はこちらの面子をじろじろ見ていくと、案の定メルのところで足が止まる。
「ん?ラミア?あんたたちのどっちかが魔獣使いだったりするの?」
「あ、いえ……」
「恐れながら、殿下。こちらのラミアの方は自ら冒険者になったとギルドからも確認頂いてます。」
「へぇ、そう。」
ノーラ王女はまたメルの事をじっと観察するように見ていく。
「あ、あの…、なにかマズかった…ですか?」
俺が気まずそうに訪ねると、
「…いえ、むしろいいわ。ていうかカワイイ。連れて帰りたい。」
「え、えーっと…。」
「殿下。」
「…おほん、失礼。」
マリークレアさんの言葉でノーラ王女は我に返ったようだ。メル、もしかして無自覚で魅了を使えるようになった?いや、相手は同性だが。
「それじゃあ、早速で悪いけど、荷物を運んでもらおうかしら。あなたはこれ。あなたはこれね。ティーセットだから気を付けて持ってね。」
ノーラ王女はメルに日傘を、リーナにティーセットが入ったトランクを持たせる。
「あんたは……、残り全部お願いね。」
ノーラ王女がそう言って親指で背後の馬車の方を指す。馬車の後部の荷台には、豪華なそれにまるで似つかわしくない大量の荷物が積み上げられていた。
これ全部俺が運ぶのかよ……
「じゃ、あとヨロシク。」
そう言い残し、ノーラ王女はリーナとメルを引き連れ屋敷に入っていった。
俺は大量の荷物を前に呆然と立ち尽くしていると、
「私たちもお手伝いいたしますよ。」
「あ、ハイ。スンマセン。」
侍女さんが何人か運ぶのを手伝ってくれた。
***
「ふぃーっ。これで全部…」
荷物を全部屋敷に運び終えたところで―――
「ご苦労。あと、これから私の友達が来るの。もうすぐ着くだろうから、お出迎えするわよ。」
「え……」
「返事!」
「アイマム!」
息つく暇もなくまた玄関の外まで駆り出される。
「お姫様のお友達ってどんな人だろうね。」
「まぁ、この御方のご友人だからな。きっとまたクセがすごい―――」
「何か言った?」
「いえ。滅相もございません。」
小声で話してたつもりだったんだけど、このお姫様は数キロ先の針の落ちる音でも聞こえてそうだ。
「来たようね。」
色々くっちゃべっていると門が開き、これまた豪華な馬車が敷地に乗り入れる。
「あ!あの馬車の紋章って……」
「知っているのかリーナ!?」
って、このやり取りさっきもやったような……。
「あの紋章、魔王国ギリアのものだよ。」
その馬車には、六芒星を背景に大きな角が生えた山羊のような頭部が描かれた紋章が掲げられていた。
魔王国ってことは、乗っているのは魔族!?
馬車が止まり、扉が開く。降りてきたのは、透き通るような白い肌に黒く長い髪の、落ち着いた雰囲気の美しい女性。ただ、その女性の側頭部からは羊のそれのような角が生えていた。
「紹介するわ。彼女はシアリーゼ。魔王国ギリアの王女、つまり魔王の娘君よ。」
魔王の娘!!!???
「魔王国ギリアから参りました、シアリーゼと申します。どうぞよしなに。」
「シアとは和平交渉とかの外交の場で何度も会って、そのうちに仲良くなったのよ。」
魔王の娘をあだ名呼びとは……
けど魔王の娘さんで、なおかつノーラ王女の友人とくればどんなクセつよお嬢様が来るのかと思えば、その挨拶からは礼儀正しさがうかがえる。
「立ち話もなんだし、屋敷に入りましょ。荷物ならげぼ、護衛に運ばせるから。」
おい、いま下僕って言おうとしなかったか?
「ならお願いしようかしら。では、あなたはこれ、それとあなたはこれをお願いします。ティーセットだから気を付けてお持ちくださいね。」
シアリーゼ王女はメルに日傘を、リーナにティーセットが入ったトランクを持たせる。ってこの流れは…。
「残りは…お願いしますね。」
シアリーゼ王女は馬車の方を向いた後俺にそう言った。馬車の後部の荷台には、豪華なそれにまるで似つかわしくない大量の……
って天丼かよ!!
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