4 / 6
1章
3話-まことくん-
しおりを挟む「うう。」
胸がドキドキする。
家に帰って布団に入ってもドキドキは収まらなかった。
2つのドキドキ。
1つはオーディションでの緊張。
もう1つは、、、
あの小学生の男の子の瞳。
どちらも今まで感じたことのない感情で少し困惑してる。
正直オーディションはダメだったと思う。
でもいつも逃げて、クラスで手を挙げることもせず、人前には基本出ないように、目立たないようにしてた、、、
そんな私が勇気を持てたことがすごく嬉しかった。
それも全部あの小学生の男の子の踊っている姿を見たから。
日曜日明日も市民ミュージカルの稽古。
あの男の子に声かけてみようかな。
----------
「おはよう♪杏!」
「おはよう。」
まみは相変わらずいつも元気だ。
ショートカットで明るくボーイッシュな雰囲気をかもちだし、全く嫌味がない。
「今日、出演者全員オーディション終わるから、配役発表だってさ!」
「そ、、、そっかぁ。」
ダメだとわかっていても
配役発表という言葉の響きは緊張する。
「おっはよーさんのさん。」
!!!
あの男の子だ。
憮然とした態度で友人だろうか小学生の子に挨拶をしてる。
声、かけなきゃ、、、。
でもなんて、、。
「おはようーまこと!」
昨日の、、中田くん!!!
中田くんが颯爽とその子に声をかけた。
「なかちゃんまん!」
“なかちゃんまん”、どうやら中田くんの呼び名らしい。
というか、あの男の子は“まこと”くんという名前なんだ。
「中田くん、おはよう!」
「ん?杏ちゃん!おはよう♪」
おおふ、、、。
男の子に自分から声かけてしまった、、!!
でも、これは“まこと”くんと話すため。
しょうがないことなの。
「あ!なかちゃんまんめ!また女を、騙そうとしてるのか!?」
「おい!俺1度でも騙したことないでしょー!」
「だって僕の知らない女の子だもん!」
「あ、、、あの、杏っていいます。」
知ってほしい。その一心で勇気をだして声をかけた。
「、、、、あんちゃんか、よろしくね!僕、まこと。」
「まことくん、よろしくね!」
そのまま、まことくんと空き時間に沢山話が出来た。
松山誠くん。
小学6年生の11歳。
小学6年生にしては少し幼い顔立ちと少し低めの身長。
あまり感情を顔には出さず、真面目な顔で楽しい台詞を言ったりする。
そんなまことくんが笑ったときにはまるで天使だ。
何故かまことくんは中田くんのことが大好きみたいだ。
中田くんといるときは頬が少し緩んでいる。
そして中田くんに常にべったりだ。
男の子同士ってなんかいいな。
ザワ、、、ザワ、、、、
「では!
大人の配役発表の時間です。
決まってなかった役も全て張り出しますので
各自確認して下さい!」
ドキン。
とうとうこの時が。
人がわらわら配役の紙が貼られたホワイトボードに集まる。
頭と頭の間から背伸びをして覗き込む私。
私の名前は、、、。
「杏!!!」
まみが叫ぶ。
あった。
ケイコ…和泉杏
学校の成績が良くて張り出された時よりも
受験で合格した時よりも
胸がときめいた。
私、、、ここで、お芝居をやるんだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる