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「おかえりなさいませ」とアランが出迎えてくれる
仕事から帰ると ロクの迎えがない
ロクの部屋から笑い声が聞こえる
「ああそうか」今日はイブがくるって朝から言ってたな
「随分楽しそうだ」
「ええ」アランも嬉しそうだ
「俺も フェルやクリスと寮の部屋でああやってしゃべっていたなぁ」
そう 普通の事を普通にしている ふたり
部屋の扉が開き二人が出てくる
「おかえり」
「お邪魔しております」
「もう帰るのか 夕食も食べていけばいいのに」
「迎えがきますので」とイブが言うと
家のチャイムが鳴った
「また あそびに来てやってくれ ロクが喜ぶ
どうだ今度は一緒に遠出でもしないか」
「・・・」
「せっかく誘ってもらったが しばらく入院する事になるから 遊びにはこれないんだ」トクジロウが答える
「ながい?」とロクが聞く
「わからないんだ ごめんね」
「おみまい」
「大丈夫になったら トク兄さんに連絡してもらうね」
ロクが何か言いたそうに イブを見ている
「イブ ミアが帰りにお土産があるから 台所によってと言ってましたから 行きましょうか ロクも一緒に行きましょう」アランが二人を連れて行ってくれた
「とうとうか」
「ああ」トクジロウの顔が曇る
イブが回復してきたと聞いたころ
ソウテツとダイジロウから話があると フェル クリス 俺が呼ばれた
「いざなぎの国で 臓器売買が行われていた形跡がある」とソウテツが切り出した
「ちょっとした違和感だったんだ イブの片肺から音が聞こえなかった
ちょうど右の肺だったから 麻痺の影響かなとも思ったんだけど
呼吸の仕方 熱が出たときの呼吸音とか聞いてると
片肺がないんじゃないかってことになって
で もしかしてと思って ほかの臓器を調べたら
まったくないものや あっても極端に小さいかだった」ダイジロウがため息をつく
「なんのために」フェルが聞く
「どこぞの金持ちが 自分の悪くなった内臓を取り換えるためだろう」ソウテツが吐き捨てる
「そんなことができるのか」クリスが聞く
「不可能じゃない ただ リスクが高すぎて誰もやらん
そんな都合よく 臓器が用意されてないし 設備もない 術後の管理も難しいからな
でも あの国は違う 金を積めば何でもする国だ 臓器が欲しいと言えば用意するんだよ きっと」
「イブが言ってたな 親に売られて その後研究所に買われたと
そんな子を探していたとも」
「それが答えだ イブが 『俺の体を開ければいい』って言うんだ そしたらわかるって」
ソウテツが言う
バァンと机をたたいて フェルが言う
「イブがそんなことしなくても あの国を訴えて 極刑にすることは十分な証拠もあるし
そろっている 問題はない イブにそんなことさせる必要はない」
「俺もそういった イブの体の負担を思えば そんな事許せるはずがない
イブの証言だけで十分だとも言った それなのに あいつ」グッとてを握るダイジロウ
「触診だけでも十分わかる イブの臓器は意図的に取られてる 本人もそれはわかっている
あいつらの罪を世界に知らしめてやってほしい 息子のために頼む」
ソウテツが頭を下げた
「わかっている」フェルが答える
「イブだけだったのか?」
「生き残ったのがイブだけって事らしい
暗殺者として殺されるか 臓器を取られて殺されるか どちらかと言う事だと思う」
「じゃあ ロクは?」
「『№6は特別だからな』と研究所の職員が言ってたらしい
「ロクは特別・・・」
「納得できるわけないだろう」ソウテツがフェルの胸倉をつかんでいる
「すまない ソウテツ」フェル深くうなだれている
「臓器売買の件を立件したければ お前の国で飼っている
つぎはぎだらけの犬を出せ」
いざなぎと一番深く付き合っていたと噂される
新興国アシエカの王がフェルに言ってきたらしい
「なんだと」
「わが国で本当にそうか確かめてやるから 連れてこいと言ってるんだ」
「それが条件なら この話はなしだ 人命をかけてまで
立件する必要ないだろう」
「でっち上げだから 証拠はないんだろ」いやな顔で笑う
「なんだと もう一回言ってみろ」
「まぁまぁお二人とも フェル国王もアシエカの王も落ち着いてください
しかし フェル国王証拠が出せないからと罪状を下げるというのは
国としての考えとしていかがなものかと 罪は罪ではありませんか」
「しかし その証拠を出すのには 国民1人の命がかかってしまいます
国民の命をかけてまで 証拠とおしゃる意味が分かりません
それに資料として その者の状況と医者の見解を提出しておりますが」
「それでは 平等性にかけますね」
「・・・」
「ましてや いざなぎからの密入国者と聞いておりますが」
「だから」
「一人の犠牲で 悪を潰せるのなら 安いもんではありませんか」
バンッと立ち上がり
「気分が悪いので 失礼する」
『スパルガリズの国王はいざなぎ国の臓器売買の証拠を隠滅してるらしい』
『何のために』
『そら 自分の立場が悪くなるからだろう』
一度流れた噂は止めることはできなかった
国王の執務室にソウテツが乗り込んできて フェルの胸倉をつかんでいる
「親父 まて」とトクジロウがソウテツを止めてるが ああなったソウテツは止まらん
「テオ見てないで 手伝え」
「ソウテツ・オガワ殿 大変申し訳ないがあなたの息子を
わが国民のためにお貸し願えないだろうか」
ソウテツがフェルから手を放す
「国のためにイブに犠牲になれと」
「最善は尽くす」
「しばらく 時間をくれ」と帰って行った
それから 3日後
オガワ一家が 王城を訪ねてきた
「先日の申し入れお受けいたします
ただし 条件があります
執刀及び助手は 私と息子であるダイジロウが致します
他の者一切 イブ・オガワに触れることは許しません
立会人として 3名の入室を許可しますが
触れるようなことがあれば 息子トクジロウがその場で殺します
場所は 国立総合病院
この条件を呑んでいただけないのであれば この話はなかったことと
させていただきます よろしいでしょうか
ソウテツが先頭に立ち トクとダイが並ぶ その後ろにハルがイブに寄り添う
フェルが立ち上がり
「ソウテツ殿の条件すべて了解した わが国としてもこれ以上の妥協はない
条件が受け入れられない場合は この話はなかったこととする
そして いざなぎの臓器売買が確認されれば 関係者すべてに極刑を言い渡すよう
進言することを誓う
進言が聞き入れられない場合 スパルガリズは正義として戦うことを
イブ・オガワの勇気に誓う」
フェルがイブの横まで歩いていき 手を取る
「ごめんな イブ本当にごめん」
「いけません 国王が謝ったりしたら」
「今は国王じゃない お前の友人だ」
「大丈夫です 私は死にません 生きて 両親や兄たちともう一度歩きたいんです
父と馬にも乗りたい 母と市場に買い物へ行きたい
トク兄さんとは 一度剣で戦ってみたいし ダイ兄さんとは もっと勉強教えてもらいたい
だから 死にません 大丈夫です」
「ん」
「そんな顔しないでください ほんとに大丈夫ですから」と言葉の残して 一家は帰って行った
「テオ イブにもしもの事があったら あの新興国叩き潰す 準備しておけ」
手術は一か月後に決まった
仕事から帰ると ロクの迎えがない
ロクの部屋から笑い声が聞こえる
「ああそうか」今日はイブがくるって朝から言ってたな
「随分楽しそうだ」
「ええ」アランも嬉しそうだ
「俺も フェルやクリスと寮の部屋でああやってしゃべっていたなぁ」
そう 普通の事を普通にしている ふたり
部屋の扉が開き二人が出てくる
「おかえり」
「お邪魔しております」
「もう帰るのか 夕食も食べていけばいいのに」
「迎えがきますので」とイブが言うと
家のチャイムが鳴った
「また あそびに来てやってくれ ロクが喜ぶ
どうだ今度は一緒に遠出でもしないか」
「・・・」
「せっかく誘ってもらったが しばらく入院する事になるから 遊びにはこれないんだ」トクジロウが答える
「ながい?」とロクが聞く
「わからないんだ ごめんね」
「おみまい」
「大丈夫になったら トク兄さんに連絡してもらうね」
ロクが何か言いたそうに イブを見ている
「イブ ミアが帰りにお土産があるから 台所によってと言ってましたから 行きましょうか ロクも一緒に行きましょう」アランが二人を連れて行ってくれた
「とうとうか」
「ああ」トクジロウの顔が曇る
イブが回復してきたと聞いたころ
ソウテツとダイジロウから話があると フェル クリス 俺が呼ばれた
「いざなぎの国で 臓器売買が行われていた形跡がある」とソウテツが切り出した
「ちょっとした違和感だったんだ イブの片肺から音が聞こえなかった
ちょうど右の肺だったから 麻痺の影響かなとも思ったんだけど
呼吸の仕方 熱が出たときの呼吸音とか聞いてると
片肺がないんじゃないかってことになって
で もしかしてと思って ほかの臓器を調べたら
まったくないものや あっても極端に小さいかだった」ダイジロウがため息をつく
「なんのために」フェルが聞く
「どこぞの金持ちが 自分の悪くなった内臓を取り換えるためだろう」ソウテツが吐き捨てる
「そんなことができるのか」クリスが聞く
「不可能じゃない ただ リスクが高すぎて誰もやらん
そんな都合よく 臓器が用意されてないし 設備もない 術後の管理も難しいからな
でも あの国は違う 金を積めば何でもする国だ 臓器が欲しいと言えば用意するんだよ きっと」
「イブが言ってたな 親に売られて その後研究所に買われたと
そんな子を探していたとも」
「それが答えだ イブが 『俺の体を開ければいい』って言うんだ そしたらわかるって」
ソウテツが言う
バァンと机をたたいて フェルが言う
「イブがそんなことしなくても あの国を訴えて 極刑にすることは十分な証拠もあるし
そろっている 問題はない イブにそんなことさせる必要はない」
「俺もそういった イブの体の負担を思えば そんな事許せるはずがない
イブの証言だけで十分だとも言った それなのに あいつ」グッとてを握るダイジロウ
「触診だけでも十分わかる イブの臓器は意図的に取られてる 本人もそれはわかっている
あいつらの罪を世界に知らしめてやってほしい 息子のために頼む」
ソウテツが頭を下げた
「わかっている」フェルが答える
「イブだけだったのか?」
「生き残ったのがイブだけって事らしい
暗殺者として殺されるか 臓器を取られて殺されるか どちらかと言う事だと思う」
「じゃあ ロクは?」
「『№6は特別だからな』と研究所の職員が言ってたらしい
「ロクは特別・・・」
「納得できるわけないだろう」ソウテツがフェルの胸倉をつかんでいる
「すまない ソウテツ」フェル深くうなだれている
「臓器売買の件を立件したければ お前の国で飼っている
つぎはぎだらけの犬を出せ」
いざなぎと一番深く付き合っていたと噂される
新興国アシエカの王がフェルに言ってきたらしい
「なんだと」
「わが国で本当にそうか確かめてやるから 連れてこいと言ってるんだ」
「それが条件なら この話はなしだ 人命をかけてまで
立件する必要ないだろう」
「でっち上げだから 証拠はないんだろ」いやな顔で笑う
「なんだと もう一回言ってみろ」
「まぁまぁお二人とも フェル国王もアシエカの王も落ち着いてください
しかし フェル国王証拠が出せないからと罪状を下げるというのは
国としての考えとしていかがなものかと 罪は罪ではありませんか」
「しかし その証拠を出すのには 国民1人の命がかかってしまいます
国民の命をかけてまで 証拠とおしゃる意味が分かりません
それに資料として その者の状況と医者の見解を提出しておりますが」
「それでは 平等性にかけますね」
「・・・」
「ましてや いざなぎからの密入国者と聞いておりますが」
「だから」
「一人の犠牲で 悪を潰せるのなら 安いもんではありませんか」
バンッと立ち上がり
「気分が悪いので 失礼する」
『スパルガリズの国王はいざなぎ国の臓器売買の証拠を隠滅してるらしい』
『何のために』
『そら 自分の立場が悪くなるからだろう』
一度流れた噂は止めることはできなかった
国王の執務室にソウテツが乗り込んできて フェルの胸倉をつかんでいる
「親父 まて」とトクジロウがソウテツを止めてるが ああなったソウテツは止まらん
「テオ見てないで 手伝え」
「ソウテツ・オガワ殿 大変申し訳ないがあなたの息子を
わが国民のためにお貸し願えないだろうか」
ソウテツがフェルから手を放す
「国のためにイブに犠牲になれと」
「最善は尽くす」
「しばらく 時間をくれ」と帰って行った
それから 3日後
オガワ一家が 王城を訪ねてきた
「先日の申し入れお受けいたします
ただし 条件があります
執刀及び助手は 私と息子であるダイジロウが致します
他の者一切 イブ・オガワに触れることは許しません
立会人として 3名の入室を許可しますが
触れるようなことがあれば 息子トクジロウがその場で殺します
場所は 国立総合病院
この条件を呑んでいただけないのであれば この話はなかったことと
させていただきます よろしいでしょうか
ソウテツが先頭に立ち トクとダイが並ぶ その後ろにハルがイブに寄り添う
フェルが立ち上がり
「ソウテツ殿の条件すべて了解した わが国としてもこれ以上の妥協はない
条件が受け入れられない場合は この話はなかったこととする
そして いざなぎの臓器売買が確認されれば 関係者すべてに極刑を言い渡すよう
進言することを誓う
進言が聞き入れられない場合 スパルガリズは正義として戦うことを
イブ・オガワの勇気に誓う」
フェルがイブの横まで歩いていき 手を取る
「ごめんな イブ本当にごめん」
「いけません 国王が謝ったりしたら」
「今は国王じゃない お前の友人だ」
「大丈夫です 私は死にません 生きて 両親や兄たちともう一度歩きたいんです
父と馬にも乗りたい 母と市場に買い物へ行きたい
トク兄さんとは 一度剣で戦ってみたいし ダイ兄さんとは もっと勉強教えてもらいたい
だから 死にません 大丈夫です」
「ん」
「そんな顔しないでください ほんとに大丈夫ですから」と言葉の残して 一家は帰って行った
「テオ イブにもしもの事があったら あの新興国叩き潰す 準備しておけ」
手術は一か月後に決まった
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