暗殺者は愛される

うー吉

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「おはよう ミア」
「おはよう ちょうどよかった 朝食できてるわ食べましょう
アランを呼んできてくれる」
「ん」と歩行器を押して台所を出る
玄関に向かうと 声をかける前に
玄関で手紙を持ったアランが俺に気が付く
「おはよう」
「おはよう・・・」つぎの言葉が出ない
アランが待ってくれる
「・・・ちょうしょく たべる」
「呼びに来てくれたのですね ありがとう」
コクリとうなずく
「歩行器 だいぶうまく使えるようになりましたね 」
「・・ん」
テオが家を出た次の日 歩行器と手紙をクリスが届けてくれた

『くれぐれも無理をしないように 体調や気分がすぐれないときは必ずミアかアランに言う事
我慢をしない事 無理をしない事 病院にはきちんと行くこと 食事はきちんととること
夜はきちんと眠ること 怖かったり 不安になったら いつでも何時でもいいから 早便で連絡する事
飛んで帰るからね 好きだよ』

ごめんねテオ テオが悪いわけじゃないのに
手紙を握りしめて泣いてしまった  
クリスに返事書いてあげたら 喜ぶと思うよと言われ返事を書いた

 『歩行器ありがとう たくさん練習するね 無理はしません 我慢もしません
ごはんもしっかり食べます 約束します きっと元気になるから待っててね 好きだよ』

それから毎日 手紙のやり取りをしている

「はい きょうのお手紙ですよ」とアランが渡してくれた
「ありがとう」 と受け取った

朝食を食べながら 今日の予定の話をする
「今日はダイジロウ様がいらしゃる日ですよ」
「うん」
「無理しなくていいのよ」
「ごめんね」先に謝っておく
「ロクが嫌な思いしてほしくないの」
「だいじょうぶ」
「でも」ミアが言いたいことはわかる

テオが家を出てから考えた なぜテオが怖くなってしまったか 
テオを怖いと思うなんて自分がわからない 時間が解決してくれるとテオは言うけど 
怖くなくなるのは いつ 明日なのか1年後なのか 
それともそのままなのかも知れないと思ったら 怖くなった 
このままテオと離れ離れなんて 考えられなかった だからダイジロウ先生に治療をお願いした 

「ミア ごめんね」心配ばっかりかけてるね

「今日の体調はどうかな」とダイジロウ先生が聞く
「だいじょうぶ」と答える 大丈夫じゃなかったら 治療はできない
じっと俺の顔を見てから 先生が「じゃ始めようか」と言う
「何が1番イヤだった?」
「・・・・からださわる」
「体触られるのイヤだったの?」
「なんにんもくる」「いたいの」「やめてていった」
「なぐられた」「おさえられて」「むり・・に」
体押さえられて 無理矢理・・・
そう 俺の中に入ってきて 痛くて痛くて 何人も来て 
俺の中に入ってきて 吐き出していくんだ 
おれは 

『お前は汚れてるんだよ 元帥閣下に可愛がられてるみたいだけど 
こんな姿見たらどう思うだろうな 男にケツに突っ込まれて 
アンアン言って 気持ちいいだろ なぁ 気持ちいいよな お前 汚れてるんだよ』

「おれ よごれてる」
「汚れてなんかないよ ロクは何にも悪くない」
先生に抱きしめられてる
「せんせい よごれるよ」
「ロクは何にも悪くない」

治療の後は しばらく動けない
長椅子に横になる
「ゆっくり休むんだよ」と先生は帰った
「ロク 気分悪くない」ミアがお水を持ってきてくれる
「ごめんね」
「もう 謝ってばかりね」
「だって・・・めいわく・・・かけてる」
「いつも言ってるでしょ 迷惑なんて思ってない ロクの事はなんだってしてあげたいし
なんだったら ごはんだって本当はアーンってしてあげたいぐらいよ」
頭を撫でてくれる
「心配できる事はうれしいわ あなたがいてくれないと心配もできない
アランと旦那様 3人だったらこの家はつまらないわ
ロクと一緒にあんなことしよう こんなことしようって考えるの とてもうれしいの
がんばっているロクも好きだけど 何もできないロクも好きよ どんなロクも好き 
たぶんみんなそうなんじゃないかしら
みんな大好きよ どんなロクでも」おでこにキスをくれる
「・・・・・」
「少し眠った方がいいわ おやすみ ロク」
「おやすみ」
「いい夢見てね」またキスをくれた













 
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