暗殺者は愛される

うー吉

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顔に風を感じる
あそこには風なんかなかった

手があたたかい 誰

「・・・・・・テ・・・ォ」
「ああ そうだよ 気が付いた」
「・・・テォ・・どこ・・・・・・みえない」
体中が痛い どこも動かない
「イタッ・・やっテオ・・うごかない・・」
「大丈夫 大丈夫 ロク 助かったんだ よく頑張ったな」
助かった
「テオ・・て」
「ああ ちょっと傷があるからにぎれないけど わかるか」
「ん」
「よかった  いま ソウテツを呼ぶから 待ってろ」
ごめんテオ 起きてられない


「ロク 聞こえる ロク」
声が聞こえる ミアの声だ
「・・・・・ん」
「お水飲んでね」
少しずづお水を飲ましてくれる
「お・・いし」
「よかった もう少し飲む」
「ん」
「ゆっくりでいいからね 無理しないでね」


だんだん起きていられる時間が長くなってくる

見えない目 動かない手足 息をするたびに痛む体 
不快感が襲ってくる
「・・・・・・ん・・」
「気持ち悪い?」
首を横に振る これ以上心配かけたくない
「ちょっと動かすぞ」
とテオが俺の体を持ち上げて 横向きに抱いたまま膝の上に座らせてくれる
テオの胸の音を聞く 不快感が少なくなる
「おもくない」
「軽いぐらいだな ずっとこうしていればいい」
「だめ」
「どうして おれはいいぞ」
「はずかしい」
「どうして 俺はうれしい ロクを独り占めできる」
「・・・・・」
「疲れたかな 返事無理にしなくていいからな」
ずっとしゃべってられない 言葉がでてこない 頭が重くなる
目と頭の傷のせいだとソウテツはいう
治るのかな 目も手も足も背中も胸も 治るのか
治らなかったどうしよう
「また 変なこと考えてるだろ」
「いつもいってるだろ 傷はゆっくり治せばいい
生きてくれて たくさんしゃべれないけど ちゃんと返事してくれる
それだけで いいんだ 俺はうれしい チュッ」
ほっぺにキスをされた
「こんなこともできないしな」と嬉しそうな声を出してくれる
コンコンコンとノックの音がする
「どうぞ」とテオがいう
「やだ」と言っても離してくれない
「ロクがイヤそうな顔してるぞ」「私の膝の上にくるかい」
とフェルとクリスだ
「渡すわけないだろう」と真剣な声で反論するテオがおもしろい
「フフッ」と笑うと 
「笑ってる顔が一番だな」とフェルが言ってくれた



しばらく4人でしゃべっていたけど
やっぱり疲れてきて 息が上がってくる
「横になろう 少し眠った方がいい」
「や」
「無理はよくないよ」クリスが頭を撫ででくれる
「この前の本の続きを読もうか?それとも静かに眠りたい?」
「ほんがいい」
「本だね ほら横になって」テオが寝かしてくれる
「じゃあ 続きね」
クリスの落ち着いた声が俺の頭にやさしくはいってくる
ああ きっといつの間にか寝てしまうんだろうな と耳を傾けている

「眠ったな」クリスがロクの頭の傷をなででいる
「かわいいな」フェルが寝顔を覗き込む
「それ言ったら怒るからな 本人には言うなよ」
「そうなんだ それもかわいい」クリスが笑う
静かにノックされドアが開く 「そろそろいいか」ソウテツがミアと一緒に来た
「ああ」と俺たちは部屋を出た

ソウテツに呼ばれていた ロクの今現状とこれから起こり得ることの説明を受ける
「まぁ 現状はわかるだろ」
「目が見えないこと 手足が動かないこと かなりの負担だ
精神的にかなりの負担になっている 言葉が出にくかったり それも原因の一つだ
子持ちが不安定だったり 夜も魘されているしな
もっと本人がしんどいことを訴えてくれたらいいんだが ロクだし 望めん」 
「おっおい」いきなり部屋のドアの方から焦った声が聞こえた
トクジロウがイブを支えている 
「トク 此処へ運べ」トクジロウがイブを抱えてソファーに下ろす
「大丈夫です 大丈夫ですから」とそのまま床に土下座する
「お前がいたとはな なんのつもりだ お前の土下座に何の価値がある
お前がいくら土下座しても ロクの右腕は治らないし 足は動かん
傷の痛みに耐えて 体の不快感と戦っている」
俺は イブを立ち上がれせつかみかかる こいつこんなに痩せていたか 
「テオ」トクジロウが止める
手を放すと ズルズルと崩れ落ち また土下座する
「体調悪いのか」フェルが声をかける
「大丈夫です たいしたことではありません」顔を上げすにイブが答える
「熱がある いざなぎとの戦争からずっと熱が続いているんだ」トクが言う
「トクさんは黙っててください」
「飯も満足に食べれないし 食べても吐いている」
「そうなのか」とソウテツが言う
「本当に大丈夫です たいしたことはありません」
「なら 立ち上がって見ろ」テオが冷たく言う
イブは立ち上がれず崩れ落ちる トクが支えてソファーに寝かせる
ソウテツが質問するが イブは答えない 代わりにトクジロウが答えている
「毎晩 ロクの足さすってるのおまえだろ」皆がイブを見る
「知らないとでも思ってるのか」
「すいません あんなことしかできなくて 眠っているとばかり思ってました」
「気が付いたのつい最近だ 体隠せないほど体調悪かったんだろ」
「・・・・・」
「お前の気はそれで済むだろうが 眠っている間にそんなことされても
ロクは喜ばない 起きている時間に来い」
「・・はい」
「体調を戻してからだ そんな痩せた体で来られても迷惑だ
ちゃんと見張っていろよ トクジロウ いいな」
「ああ ありがとう」
「なんでお前が 礼を言う」








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