暗殺者は愛される

うー吉

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「ロク」呼ばれたような気がして 目を覚ました
テオがいない
ミアが気がついてくれて お水飲むと聞いてくれた
「テオは」
「旦那様は 休まれてるわ」
「なにかあったの」
「心配しなくても大丈夫よ 大丈夫」
「ミア 隠し事はイヤだよ」
俺は ミアの顔をじっと見る ミアがため息ついて
そうよね イヤよね と言った
「旦那様ね 少し熱を出されているわ たぶん風邪だろうて ソウテツ様がおしゃって ロクに移すといけないから 別の部屋でお休みになられてる」
「ひどいの熱?」起きあがろうとする俺 まだダメよとミアが俺をベットに戻そうとする
「離してミア テオのところに行かせて」
「落ち着いて お願いだから 大丈夫だから」
「痛っ」ベットから立ちあがろうとしたが 足に痛みが走った ああそうだった 自分でやったんだ 立ち上がれない 体に力が入らない 
そのまま ミアに倒れ込んだ
「・・・・・」言葉が出ない
「旦那様に会いたいわよね」
うなずく
待っててね 動かないでね とミアが部屋をでて
車椅子を持ってきてくれた
「少しだけよ」とミアが笑って テオが眠ってる部屋まで連れて行ってくれた
テオが ベットで寝ていた ハァハァと熱を含んだ寝息が聞こえる
目の下のクマ
痩せた頬
伸ばしたままの無精髭
毎日見てたはずなのに 全然気が付かなかった
「ごめんね テオ 俺自分の事ばっかりだったね」
手を握る 「ごめんね」
ぎゅっと手を握り返されて
テオが俺の顔を見る
「ごめん 起こしちゃった?」
「笑って」
「えっ」
「俺は笑ってるロクの顔が好き だから笑って
大丈夫 俺がずっと守るから」
それだけ言うと テオは目を閉じて 眠った
「テオ 待っててね 
テオの横で笑えるようになるからね 待ってってね」
しばらく テオの手を離さないでいると
「そろそろ 部屋に戻りましょうね 体がつらくなってしまうわ」
ミアに促される
「でも」
「部屋に戻って きちんと休んで 明日朝食を食べれたらね」
「ほんと?」
「ミアは嘘はつきません」
「わかった テオ 明日必ず来るからね」
「明日はきっと旦那様も起きてらっしゃいますよ」
「そうだといいな」


次の日
ミアが朝食を持ってきてくれた
小さなカップに少しのスープが入ってあった
無理はしないでね と
一口一口 ゆっくり飲む
温かいスープが体に染みていく
最後まで飲み干すと よくがんばりました とミアが褒めてくれた
せっかくですからねと ミアが着替えを出してくれて手伝ってくれる
ちょっと前まで着ていた服なのに だぼだぼになってた
キリッと胃に痛みが走る ばれたらテオに会えなくなる
大丈夫と自分に言い聞かせる

車椅子をミアが押してくれる
テオは隣の部屋 俺が日ごろ使っている部屋にいた
「旦那様の熱は昨日よりは下がっているみたいよ」
よかったわね とミアが言う
ミアが ドアをノックしてくれる
「旦那様 ロクを連れてまいりました」
「ああ」
テオはベットに座っていた 少し気だるそうに見えるのは熱のせいだと思う
「あ 起きていて大丈夫なの」声が震える
「大丈夫 ロクよりは元気だと思うぞ」
「手がすごく熱かった 息も苦しそうだったし クマもひどかった」
涙が勝手に流れ出す
「心配かけた 悪かった」
テオの手が俺の涙を拭いてくれる
「うんん テオが熱を出したの俺のせいだよね
俺が心配かけたから 熱出たんだよね」
テオが俺の顔をグイと上げて デコをピンッとはじいた
「痛い」
「そう思うなら もう心配させるな」
車椅子から俺を抱き上げて ベットに下ろされる
「お前がいないとよく眠れない
何度も何度も目が覚めた そのたびにロクを探してしまう
1人で寝るのがこんなに寂しいと思わなかった」

「ロク 一緒に生きてくれるな」
涙が止まらない
「俺でいいの?」
「ロクがいいの ロクじゃなきゃダメなの 
一緒に乗り越えていこう 一緒に生きていこう」
「うん うん」
「ロク 愛してるよ」
「うん」

目が合って 唇を寄せ合い 抱きしめあう

 
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