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第4章 平野
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一台の青い軽自動車は昼下がりの高速道路を颯爽と駆け抜けていた。冷房の風がなだれ込む車内は粘ついた湿気が駆逐され、澄んだ空気を引き締めるようにラジオDJの溌溂とした声がステレオから小さく響いている。白い手指をくすんだ灰色のハンドルに絡ませ、前方を見据えて運転を続ける瑛莉香。勇太はその隣でじっと座り込みながら、静かに鼻息は荒くなっていた。
左足首に包帯を巻きつけながら、いつしか履いていたビーチサンダルを脱いで裸足でペダルを操作していた。瑛莉香が裸足で運転する姿を見るのは初めてだった。足指で直接アクセルを押さえ、他の車に負けまいと奥までベタ踏みして馬力の少ない軽自動車を最大限加速させる。勇太はその姿に興奮を感じずにはいられなかった。形の整った足指で車のペダルを踏み込むたび、勇太の脈は激しい起伏を繰り返した。途切れそうにない荒い息遣いを悟られぬよう、感情を押し殺すようにして、窓越しに長く伸びた無機質なアスファルトを時折見やって瑛莉香の裸足から意識を逸らそうとと努めた。
古びた車は一番左の車線を走り続け、他のレーンよりも少しだけ流れが遅いように感じた。瑛莉香がアクセルを踏み込むたび黒い排気ガスが後続車へ吐き出され、車両の列は後方へ長く連なっている。平坦なアスファルトにもかかわらず振動の激しい車に身体を揺らされながら、勇太は新しい一日に期待と不安を複雑に絡ませていた。
小一時間経つ頃、瑛莉香の華奢な足指がブレーキペダルを徐々に奥へと押し込み、絡めた指先でハンドルを左へ回転させた。減速して進入したサービスエリアには何台もの自動車やトラックが斜め向きの白線と平行になるように停められている。瑛莉香はハンドルに胸を押し当てて、無遠慮に飛び出す歩行者に気を配りながらゆっくりと車のタイヤを転がした。蒸し暑い曇天の下、休息に訪れた人々が表情を綻ばせて賑わう様子がフロントガラス越しに伺えた。
「…よし、着いた」
瑛莉香は売店を目の前に一番前の列に駐車した。ブレーキペダルから離れた右足がビーチサンダルの上に置かれた。
「ちょっとここで休憩しよっか!お腹空いたでしょ?」
シートベルトを外して足指をサンダルの鼻緒に突っかけた彼女の問いかけに勇太はぎこちない返事をした。ちょうどトイレにも寄りたいところだった。
車のエンジンが切られ、財布をポケットに忍ばせて勇太は外に出た。生温かい風がクーラーで冷えた肌に吸い付き、粘ついた不快感に包まれた。
「行こっ」
瑛莉香に手招きされ、勇太は彼女の左側についた。いつもより歩く速度は遅く、包帯を巻いた左足を引きずるようにして一歩一歩アスファルトを踏みしめている。さりげなく肩に手を回す度胸もなく、せめてもの万が一に備えて少しだけ彼女との距離を近づけて歩くことが今の自分に出来る最大限の努力だった。
お互いにトイレ休憩を済ませ、フードコートのある店内へ入っていった。売店の品物を詰め込んだ狭い通路を、人ごみを掻き分けるように進み、飲食用の長テーブルの端っこへ向き合うように腰かけた。
瑛莉香は「勇太君、何がいい?」と間髪入れずに注文を聞き出し、左足に衝撃を与えないよう気を配りながらレジへと向かった。足の負傷にもかかわらず勇太に気を遣わせまいとする彼女の堂々とした後ろ姿を勇太は気まずそうに見つめた。
いよいよ机に置いた呼び出しベルが小刻みに振動し、瑛莉香と勇太は注文した品を取りに行く。冷涼な空調の効いた店内に醤油ラーメンの小さな湯気がゆらゆらと上っていた。瑛莉香が鈍そうに床を踏み、どんぶりに入った汁が大きく揺れた。トレーにこぼれた汁と包帯を巻いた左足首を交互に見ながら、彼女の歩く速度に合わせて席へと戻った。
「…さてさて、いっただきまーす」
瑛莉香が割り箸を勢いよく割り、瞳を見開いた。左右非対称に割れた箸を長い指先で動かし、掴んだ麺に数回息を吹きかけて滑らかに啜った。満足げに小さく頷き、窓の外へ視線を向けながら出汁の絡みついた柔らかい細麺を咀嚼する。
「はぁ…………あっ、ねぇねぇ、そういえば勇太君ってキャンプしたことある?」
安堵の溜め息を漏らした後で、勇太の顔を見据えながら尋ねた。
「キャンプですか…?……えと…したことがないです」
勇太はボソボソと答えた。厳密には家族と小さい頃に数回キャンプ場で夏を過ごした記憶は残るが、自ら胸を張って話せるほどにはしたことがない。
「そっか。まぁ、あんまする機会ないよね~。私も大2の時に友達数人と1回だけやったきりで、それ以来全然だなぁ」
箸先で麺を弄びながら呟いた。他愛もない会話の中に勇太が味わったことのない燦然とした青春が顔を覗かせた。
「まぁこれから行くとこはバンガローがあるとこなんだけどね。ほんとはテント張って…ってのもよかったけど、キャンプは予定に入れてなかったし」
勇太の知らぬ間に、新しい目的地を決めていたようだ。自分から旅の継続を提案したものの結局瑛莉香の手間をかけている気がして、申し訳なく思った。
「……あっ、なんか色々とすみません…。何も行き先とか提案出来てなくて…」
「あっ、ううん、いいのいいの。気にしないで。私こういうの得意だから」
麺を頬に溜め込んだまま、瑛莉香が無邪気に微笑した。改めて見せられる無垢な笑顔に思わず紅潮した。
腹を満たして再び蒸し暑い空の下へと身を晒した。瑛莉香のペースに合わせながら、艶めいた新車の間に挟まれた古びた青い軽自動車に向かって歩いていく。
車のロックを解除し、更に蒸した車内へと乗り込んだ。
「あっつ~い。エンジンエンジン」
瑛莉香がビーチサンダルを履いた素足でブレーキペダルを押さえながらキーをひねった。セルがキュルキュルと回転する音がサービスエリアに鳴り響く。エンジンはいつものように1回で掛からず、瑛莉香は再びキーを奥まで回した。弱々しい回転音が車内に響き、車体が小刻みに振動するが、エンジンは点火しない。瑛莉香は片手をヒラヒラと振って汗ばんだ顔を煽りながらもう一度キーを捻った。頑なに回り続けるセルが車体を揺らし、勇太の尻にブルブルと振動が伝わり続けた。
「やだ、早く掛かってよ~?」
3回キーを回してもエンジンが掛からず、瑛莉香がキーシリンダーを覗き込んだ。息遣いの荒くなった勇太を横に、再度キーを回す。キュルキュルと乾いた音が響き出してから一向に鳴り止まない一台の車を怪訝に思った通行人とフロントガラス越しに目が合い、勇太は慌てて目をそらして瑛莉香の素足を見つめた。
瑛莉香はサンダルを突っかけたその足でアクセルを小刻みに踏んで、長く回り続けるセルの回転数を上げた。数秒間回転した後でようやくエンジンが入り、そのまま数回エンジンを吹かした。冷たい風が勢いよく吹き出し、車内の湿気を徐々に駆逐していった。
「よし、行こっか!」
サイドブレーキを外し、ギアを変えてゆっくりと車が動き出した。サービスエリアの出口へ向き、瑛莉香はビーチサンダルで車のアクセルを踏んだ。
高速道路を抜け、等間隔で道なりに続く田畑を横に人通りの少ない下道を車は走り続けた。ペダルを踏む瑛莉香の素足を視界に挟みながら、勇太は都会では見慣れない鄙びた景色に覇気のない瞳を向けていた。
車はやがて細い小道へと入っていき、紆曲の激しい山道へと差し掛かる。森林に覆われた薄暗い坂道で馬力の弱いエンジンが幾度も唸った。ベタ踏みを繰り返す瑛莉香のサンダルを突っかけた右足を、勇太は興奮気味に見つめ続けた。
明かりのない短いトンネルを潜り抜け、舗装されたアスファルトの道から不均等な形の石を詰め込んだ砂利道に変わった時、大きな池が目に飛び込んだ。鬱蒼とした木々に囲まれた山道を走り抜けたせいか、人工的な造作を感じさせるものがやけに心強く思えた。
間もなくして、瑛莉香が車を停めて痛む足を引きずりながら受付に向かい、そのまま一夜を過ごすバンガローの前まで車を運んだ。
「とうちゃーく」
瑛莉香がバンガローの脇へ駐車し、エンジンを切った。外へ出ると、澄んだ空気が露を残す草木の匂いと交じって勇太の鼻腔になだれ込んだ。人影もない寂寥な空間。都会を抜け出してからの旅は瑛莉香との距離が一層縮まったような気がした。コンビニで買った飲食物を詰めたビニール袋を提げて小さなバンガローの中へと入っていった。
室内は6畳ほどの板敷きの部屋が二つ。以前泊まったコテージよりも簡素で天井も低い。ベランダには木造の長テーブルと椅子が設置され、自然に囲まれての食事には打ってつけだと思った。
瑛莉香は室内を大雑把に物色し、納得するように小さく頷いた。彼女との二人だけの空間が訪れる度、勇太の心臓はドクドクと脈打った。車内とはまた違う、プライベートの空間。互いの生活を覗いているようで、興奮と緊張で落ち着かなかった。
「はぁ………あっ、ねえ、あとで釣り行かない?」
「…つ、釣り…ですか?」
安堵の溜め息をついて床に座り込んだ瑛莉香が唐突に口を開いた。胡坐をかいた彼女の足裏に反射的に目が奪われた。どうやら場内にある池で魚釣りが出来るらしく、勇太が承諾すると瑛莉香は「OK~」と柔らかく答えて腑抜けるように寝そべった。
受付を過ぎてすぐに見える大きな池。深緑の丘を背にした水面を滑るようにそよ風が吹いた。勇太は足を引きずる瑛莉香とともに、雨水でふやけた柔らかい地面を踏みしめながら釣りの出来るポイントまで静かに歩いて行った。
車内から持ってきた折り畳み式のキャンピングチェアを広げ、受付で購入した餌を釣り針に刺し、まずは瑛莉香が針の先を遠くへ投げ入れた。背筋の伸び切った美しい姿勢で釣り針の着地点に納得すると、ゆっくりと腰を掛けて勇太に促した。
「こんな感じ!」
釣竿を握りながら瑛莉香が微笑んだ。勇太はぎこちなく会釈し、見よう見まねで餌をつけて釣り糸をしならせた。自信なく投げた糸はそこまで飛距離もなく、ポチャっと跳ねた音がどこか貧相な感じがした。
「あっ、いいかも」
瑛莉香がフォローするように声を漏らした。勇太はそのままゆっくりと椅子に座り、悠然と流れる時間に身を任せた。釣りの醍醐味は静かに待つことだと悟ったのも束の間、瑛莉香の釣竿が早くも上下に振れだした。
「おお、早い…!……痛っ…!」
捻挫した左足のことも忘れ、興奮気味に立ち上がって勢いよくリールを回し、釣り糸を瞬く間に巻き上げた。間もなく激しく揺れる水面から姿を現したのはニジマスだった。小さい頃に見た生き物図鑑の写真と変わりない姿だった。
「わぁ、大きい!」
釣り針にぶら下がりながら空中でじたばたと暴れるニジマスに動揺することもなく、瑛莉香は池の水を張ったプラスチックのケースの中へ移した。
彼女の姿を見つめている間にも、餌をもぎ取ろうとする力が手のひらに伝わった。キィキィと音を立てながら釣竿が上下に揺れて軋む。勇太の全身に緊張が走った。不器用な手つきでリールを回していく。水中で抵抗する力は強く、思わず引きずられそうになった。正体もその大きさも分からないが、尾ひれを素早くうねらせて突き刺さった針から逃れようと藻掻く獲物が確実にいる。激しいしぶきを上げる水面と満足げにケースの中を覗き込む瑛莉香に交互に目配せをしながら細い釣り糸を力ずくで巻き上げることしか出来なかった。
「勇太くーん、回して回して!」
瑛莉香の呼びかけに勇太は弱々しく返事した。慣れない闘いの緊張感と、獲物に逃げられる不安と、無垢な眼差しに晒された恥ずかしさで釣竿がやけに重く感じられた。引っかかった魚はさほど大きくはないはずだが、初めて伝わる生々しい抵抗感に狼狽えた。
手こずる勇太の真横から色白い腕が釣竿へと伸びた。長い指先で竿をとらえると後方へ力強く引っ張った。香水の香りが嗅覚を刺激し、動揺して後ろへ少しバランスを崩すと彼女の柔らかい胸が頼りない背中に触れた。勇太の身体中に血液が駆け巡り、釣り糸を高速で巻いていく。暴れていた獲物が瞬く間に空中へと釣り上げられた。
「おお、やった!釣れたね!」
瑛莉香が瞳を輝かせながら小さく拍手した。釣り糸に引っかかる魚は同じくニジマスだったが、瑛莉香の釣り上げたそれよりも一回り小さいその姿に思わず拍子抜けた。
「す、すみません…ありがとうございます…!」
息を切らしながら、勇太は小さく頭を下げた。あの力強さからは想像できない胴体に脱力したが、釣り上げることが出来た達成感と緊張状態から抜け出した安堵感が心を温かく包み込んだ。
戸惑いながら釣り上げたニジマスは、そのまま調理して夕飯の食卓に並んだ。どこで身につけたのかは分からないが、瑛莉香は魚を手際よく捌いてあっという間に塩焼きにしてしまった。コンビニで買った弁当に釣り上げた魚の塩焼き。都会の味気ない食事に加わる野生の刺激がやけに新鮮だった。
そして食事を終えると、瑛莉香が手持ち花火の入った袋を取り出した。ここへ来る途中に買っていたものだ。使い終わった紙皿をポリ袋へ入れ、部屋の電灯を消して瑛莉香とともに再び外へ出た。
「行くよ~」
瑛莉香が鮮やかな筒の先に火をつけた。赤色の眩い閃光が勢いよく吹き出し、静まり返った暗闇に美麗な色を付け始めた。
「やば~、めっちゃキレイ~!」
勇太に火を分けた瑛莉香が2本に伸びる火花を見て無邪気にはしゃぐ。無垢な顔が赤と緑の閃光に鮮明に照らし出された。
何年ぶりだろうか。夏空の下、手持ち花火で遊んでいる。年上の女性と二人きり。数少ない青春の1ページが更新されたようだった。
遊び終えたものから水を張ったバケツの中へ投げ入れ、新しい花火を順番に取り出しては点火する。一直線に放つだけでは飽き足りず、空中で弧を描いたり閃光を交差させたりと変化を入れ始めた。何も考えずに目の前のことに夢中になれたことが、どこか懐かしく感じた。瑛莉香が見せる純粋な振る舞いと澄んだ声色に勇太の心は浮き立つばかりだった。一人の女性と二人きりで過ごせるこの時間と空間が何よりの幸福だった。花火は瞬く間にバケツの中へ放り込まれ、最後に残ったのは線香花火だった。
「やっぱこれだよねぇ」
キャンピングチェアに座り、提灯からパチパチと弾ける橙色の結晶をお互いじっと見つめていた。鈴虫の鳴く声と風に吹かれた木々のさざめきが静穏な闇夜に流れた。
「花火なんて久々だよ、私」
瑛莉香が優しく目じりを下げながら呟いた。「僕もです」と同調するように勇太は口を開いた。
「大人になるとさ、こういう時間って取れなくなっていくじゃん?
なんか、もったいないよね~。こういう遊びも楽しいのにさ」
ふとした瞬間に感傷に浸るのが彼女の癖だった。それだけ鬱積しているものがあるのかもしれない。勇太はこれと言って冴えた台詞は言えなかったが、彼女と過ごす一瞬一瞬を全身で噛み締められていることに疑いはなかった。
「こういう日常がずーっと続けられればいいけど……あっ、落ちちゃった~」
花びらを散らせた火球がこぼれ、湿った雑草の上で溶けていった。続くように勇太の持つ線香花火もエネルギーを使い果たして球は垂直に落ちていった。
「…さて、戻ろっか!」
遊び終えたゴミを綺麗に回収し、左足を引きずって歩く瑛莉香とともにバンガローの中へと戻っていった。
ひと時の晩酌を終え、勇太は瑛莉香とともに寝室に入った。平たいシーツを床の上に敷いて、今日も蒸した一夜を過ごすことになる。ただ車内で椅子に座りながら眠ることに比べればずっと解放感に満ちていて心地よかった。そして、瑛莉香の使うシーツと横並びにすると思いのほかその距離が近かった。隙間がほとんどない状態で一夜を過ごすことは初めてかもしれない。
「さてさて、寝よう寝よう」
身体にお酒を回らせながら、瑛莉香は1枚の薄い掛布団を腹部にかけた。
「………今日も楽しかったね」
しばらくの沈黙の後、瑛莉香が勇太へ顔を向けた。勇太はいつも通りぎこちなく返事した。
「…私、やっぱ勇太君と一緒に旅が出来て良かったよ。ほんとに」
化粧を落としきった大人びた顔が淡い常夜灯の下に映し出された。大好きなビールで頬や目元を赤く染めながらも毅然とした凛々しい微笑みに勇太の交感神経が刺激された。
「ぼ、僕もです…!」
緊張で顔を強張らせながらも、自分の本音をしっかりと伝えた。瑛莉香は照れるように口角を上げて勇太の方へ身体を寄せた。何か、勇太も彼女の方へ近づかなければいけない気がした。酒のニオイが仄かに香った。
「ありがとう。勇太君…」
不意に、唇で唇を塞がれた。柔らかい感触が口先からなだれ込むように伝わり続けた。激しく脈打つ鼓動とは裏腹に、全身を硬直させながらこの上ない快感にひ弱な筋肉が崩れるように腑抜けた。生温かい口先の温度と肩に回した彼女の手のぬくもりが勇太を内側から掻き立てた。
時間が全て止まったようだった。何もかもを手に入れたような心地だった。本田瑛莉香が今、初めて自分の一部になったような気がした。
そっと唇を離し、瑛莉香は「ふふっ、ごめん、おやすみ」と残して勇太に背を向けた。勇太は突然の出来事に何も言えなかった。彼女の微かな寝息を聞きながら、陽が昇るまでドクドクと脈打つ心臓を落ち着かせることが出来なかった。
左足首に包帯を巻きつけながら、いつしか履いていたビーチサンダルを脱いで裸足でペダルを操作していた。瑛莉香が裸足で運転する姿を見るのは初めてだった。足指で直接アクセルを押さえ、他の車に負けまいと奥までベタ踏みして馬力の少ない軽自動車を最大限加速させる。勇太はその姿に興奮を感じずにはいられなかった。形の整った足指で車のペダルを踏み込むたび、勇太の脈は激しい起伏を繰り返した。途切れそうにない荒い息遣いを悟られぬよう、感情を押し殺すようにして、窓越しに長く伸びた無機質なアスファルトを時折見やって瑛莉香の裸足から意識を逸らそうとと努めた。
古びた車は一番左の車線を走り続け、他のレーンよりも少しだけ流れが遅いように感じた。瑛莉香がアクセルを踏み込むたび黒い排気ガスが後続車へ吐き出され、車両の列は後方へ長く連なっている。平坦なアスファルトにもかかわらず振動の激しい車に身体を揺らされながら、勇太は新しい一日に期待と不安を複雑に絡ませていた。
小一時間経つ頃、瑛莉香の華奢な足指がブレーキペダルを徐々に奥へと押し込み、絡めた指先でハンドルを左へ回転させた。減速して進入したサービスエリアには何台もの自動車やトラックが斜め向きの白線と平行になるように停められている。瑛莉香はハンドルに胸を押し当てて、無遠慮に飛び出す歩行者に気を配りながらゆっくりと車のタイヤを転がした。蒸し暑い曇天の下、休息に訪れた人々が表情を綻ばせて賑わう様子がフロントガラス越しに伺えた。
「…よし、着いた」
瑛莉香は売店を目の前に一番前の列に駐車した。ブレーキペダルから離れた右足がビーチサンダルの上に置かれた。
「ちょっとここで休憩しよっか!お腹空いたでしょ?」
シートベルトを外して足指をサンダルの鼻緒に突っかけた彼女の問いかけに勇太はぎこちない返事をした。ちょうどトイレにも寄りたいところだった。
車のエンジンが切られ、財布をポケットに忍ばせて勇太は外に出た。生温かい風がクーラーで冷えた肌に吸い付き、粘ついた不快感に包まれた。
「行こっ」
瑛莉香に手招きされ、勇太は彼女の左側についた。いつもより歩く速度は遅く、包帯を巻いた左足を引きずるようにして一歩一歩アスファルトを踏みしめている。さりげなく肩に手を回す度胸もなく、せめてもの万が一に備えて少しだけ彼女との距離を近づけて歩くことが今の自分に出来る最大限の努力だった。
お互いにトイレ休憩を済ませ、フードコートのある店内へ入っていった。売店の品物を詰め込んだ狭い通路を、人ごみを掻き分けるように進み、飲食用の長テーブルの端っこへ向き合うように腰かけた。
瑛莉香は「勇太君、何がいい?」と間髪入れずに注文を聞き出し、左足に衝撃を与えないよう気を配りながらレジへと向かった。足の負傷にもかかわらず勇太に気を遣わせまいとする彼女の堂々とした後ろ姿を勇太は気まずそうに見つめた。
いよいよ机に置いた呼び出しベルが小刻みに振動し、瑛莉香と勇太は注文した品を取りに行く。冷涼な空調の効いた店内に醤油ラーメンの小さな湯気がゆらゆらと上っていた。瑛莉香が鈍そうに床を踏み、どんぶりに入った汁が大きく揺れた。トレーにこぼれた汁と包帯を巻いた左足首を交互に見ながら、彼女の歩く速度に合わせて席へと戻った。
「…さてさて、いっただきまーす」
瑛莉香が割り箸を勢いよく割り、瞳を見開いた。左右非対称に割れた箸を長い指先で動かし、掴んだ麺に数回息を吹きかけて滑らかに啜った。満足げに小さく頷き、窓の外へ視線を向けながら出汁の絡みついた柔らかい細麺を咀嚼する。
「はぁ…………あっ、ねぇねぇ、そういえば勇太君ってキャンプしたことある?」
安堵の溜め息を漏らした後で、勇太の顔を見据えながら尋ねた。
「キャンプですか…?……えと…したことがないです」
勇太はボソボソと答えた。厳密には家族と小さい頃に数回キャンプ場で夏を過ごした記憶は残るが、自ら胸を張って話せるほどにはしたことがない。
「そっか。まぁ、あんまする機会ないよね~。私も大2の時に友達数人と1回だけやったきりで、それ以来全然だなぁ」
箸先で麺を弄びながら呟いた。他愛もない会話の中に勇太が味わったことのない燦然とした青春が顔を覗かせた。
「まぁこれから行くとこはバンガローがあるとこなんだけどね。ほんとはテント張って…ってのもよかったけど、キャンプは予定に入れてなかったし」
勇太の知らぬ間に、新しい目的地を決めていたようだ。自分から旅の継続を提案したものの結局瑛莉香の手間をかけている気がして、申し訳なく思った。
「……あっ、なんか色々とすみません…。何も行き先とか提案出来てなくて…」
「あっ、ううん、いいのいいの。気にしないで。私こういうの得意だから」
麺を頬に溜め込んだまま、瑛莉香が無邪気に微笑した。改めて見せられる無垢な笑顔に思わず紅潮した。
腹を満たして再び蒸し暑い空の下へと身を晒した。瑛莉香のペースに合わせながら、艶めいた新車の間に挟まれた古びた青い軽自動車に向かって歩いていく。
車のロックを解除し、更に蒸した車内へと乗り込んだ。
「あっつ~い。エンジンエンジン」
瑛莉香がビーチサンダルを履いた素足でブレーキペダルを押さえながらキーをひねった。セルがキュルキュルと回転する音がサービスエリアに鳴り響く。エンジンはいつものように1回で掛からず、瑛莉香は再びキーを奥まで回した。弱々しい回転音が車内に響き、車体が小刻みに振動するが、エンジンは点火しない。瑛莉香は片手をヒラヒラと振って汗ばんだ顔を煽りながらもう一度キーを捻った。頑なに回り続けるセルが車体を揺らし、勇太の尻にブルブルと振動が伝わり続けた。
「やだ、早く掛かってよ~?」
3回キーを回してもエンジンが掛からず、瑛莉香がキーシリンダーを覗き込んだ。息遣いの荒くなった勇太を横に、再度キーを回す。キュルキュルと乾いた音が響き出してから一向に鳴り止まない一台の車を怪訝に思った通行人とフロントガラス越しに目が合い、勇太は慌てて目をそらして瑛莉香の素足を見つめた。
瑛莉香はサンダルを突っかけたその足でアクセルを小刻みに踏んで、長く回り続けるセルの回転数を上げた。数秒間回転した後でようやくエンジンが入り、そのまま数回エンジンを吹かした。冷たい風が勢いよく吹き出し、車内の湿気を徐々に駆逐していった。
「よし、行こっか!」
サイドブレーキを外し、ギアを変えてゆっくりと車が動き出した。サービスエリアの出口へ向き、瑛莉香はビーチサンダルで車のアクセルを踏んだ。
高速道路を抜け、等間隔で道なりに続く田畑を横に人通りの少ない下道を車は走り続けた。ペダルを踏む瑛莉香の素足を視界に挟みながら、勇太は都会では見慣れない鄙びた景色に覇気のない瞳を向けていた。
車はやがて細い小道へと入っていき、紆曲の激しい山道へと差し掛かる。森林に覆われた薄暗い坂道で馬力の弱いエンジンが幾度も唸った。ベタ踏みを繰り返す瑛莉香のサンダルを突っかけた右足を、勇太は興奮気味に見つめ続けた。
明かりのない短いトンネルを潜り抜け、舗装されたアスファルトの道から不均等な形の石を詰め込んだ砂利道に変わった時、大きな池が目に飛び込んだ。鬱蒼とした木々に囲まれた山道を走り抜けたせいか、人工的な造作を感じさせるものがやけに心強く思えた。
間もなくして、瑛莉香が車を停めて痛む足を引きずりながら受付に向かい、そのまま一夜を過ごすバンガローの前まで車を運んだ。
「とうちゃーく」
瑛莉香がバンガローの脇へ駐車し、エンジンを切った。外へ出ると、澄んだ空気が露を残す草木の匂いと交じって勇太の鼻腔になだれ込んだ。人影もない寂寥な空間。都会を抜け出してからの旅は瑛莉香との距離が一層縮まったような気がした。コンビニで買った飲食物を詰めたビニール袋を提げて小さなバンガローの中へと入っていった。
室内は6畳ほどの板敷きの部屋が二つ。以前泊まったコテージよりも簡素で天井も低い。ベランダには木造の長テーブルと椅子が設置され、自然に囲まれての食事には打ってつけだと思った。
瑛莉香は室内を大雑把に物色し、納得するように小さく頷いた。彼女との二人だけの空間が訪れる度、勇太の心臓はドクドクと脈打った。車内とはまた違う、プライベートの空間。互いの生活を覗いているようで、興奮と緊張で落ち着かなかった。
「はぁ………あっ、ねえ、あとで釣り行かない?」
「…つ、釣り…ですか?」
安堵の溜め息をついて床に座り込んだ瑛莉香が唐突に口を開いた。胡坐をかいた彼女の足裏に反射的に目が奪われた。どうやら場内にある池で魚釣りが出来るらしく、勇太が承諾すると瑛莉香は「OK~」と柔らかく答えて腑抜けるように寝そべった。
受付を過ぎてすぐに見える大きな池。深緑の丘を背にした水面を滑るようにそよ風が吹いた。勇太は足を引きずる瑛莉香とともに、雨水でふやけた柔らかい地面を踏みしめながら釣りの出来るポイントまで静かに歩いて行った。
車内から持ってきた折り畳み式のキャンピングチェアを広げ、受付で購入した餌を釣り針に刺し、まずは瑛莉香が針の先を遠くへ投げ入れた。背筋の伸び切った美しい姿勢で釣り針の着地点に納得すると、ゆっくりと腰を掛けて勇太に促した。
「こんな感じ!」
釣竿を握りながら瑛莉香が微笑んだ。勇太はぎこちなく会釈し、見よう見まねで餌をつけて釣り糸をしならせた。自信なく投げた糸はそこまで飛距離もなく、ポチャっと跳ねた音がどこか貧相な感じがした。
「あっ、いいかも」
瑛莉香がフォローするように声を漏らした。勇太はそのままゆっくりと椅子に座り、悠然と流れる時間に身を任せた。釣りの醍醐味は静かに待つことだと悟ったのも束の間、瑛莉香の釣竿が早くも上下に振れだした。
「おお、早い…!……痛っ…!」
捻挫した左足のことも忘れ、興奮気味に立ち上がって勢いよくリールを回し、釣り糸を瞬く間に巻き上げた。間もなく激しく揺れる水面から姿を現したのはニジマスだった。小さい頃に見た生き物図鑑の写真と変わりない姿だった。
「わぁ、大きい!」
釣り針にぶら下がりながら空中でじたばたと暴れるニジマスに動揺することもなく、瑛莉香は池の水を張ったプラスチックのケースの中へ移した。
彼女の姿を見つめている間にも、餌をもぎ取ろうとする力が手のひらに伝わった。キィキィと音を立てながら釣竿が上下に揺れて軋む。勇太の全身に緊張が走った。不器用な手つきでリールを回していく。水中で抵抗する力は強く、思わず引きずられそうになった。正体もその大きさも分からないが、尾ひれを素早くうねらせて突き刺さった針から逃れようと藻掻く獲物が確実にいる。激しいしぶきを上げる水面と満足げにケースの中を覗き込む瑛莉香に交互に目配せをしながら細い釣り糸を力ずくで巻き上げることしか出来なかった。
「勇太くーん、回して回して!」
瑛莉香の呼びかけに勇太は弱々しく返事した。慣れない闘いの緊張感と、獲物に逃げられる不安と、無垢な眼差しに晒された恥ずかしさで釣竿がやけに重く感じられた。引っかかった魚はさほど大きくはないはずだが、初めて伝わる生々しい抵抗感に狼狽えた。
手こずる勇太の真横から色白い腕が釣竿へと伸びた。長い指先で竿をとらえると後方へ力強く引っ張った。香水の香りが嗅覚を刺激し、動揺して後ろへ少しバランスを崩すと彼女の柔らかい胸が頼りない背中に触れた。勇太の身体中に血液が駆け巡り、釣り糸を高速で巻いていく。暴れていた獲物が瞬く間に空中へと釣り上げられた。
「おお、やった!釣れたね!」
瑛莉香が瞳を輝かせながら小さく拍手した。釣り糸に引っかかる魚は同じくニジマスだったが、瑛莉香の釣り上げたそれよりも一回り小さいその姿に思わず拍子抜けた。
「す、すみません…ありがとうございます…!」
息を切らしながら、勇太は小さく頭を下げた。あの力強さからは想像できない胴体に脱力したが、釣り上げることが出来た達成感と緊張状態から抜け出した安堵感が心を温かく包み込んだ。
戸惑いながら釣り上げたニジマスは、そのまま調理して夕飯の食卓に並んだ。どこで身につけたのかは分からないが、瑛莉香は魚を手際よく捌いてあっという間に塩焼きにしてしまった。コンビニで買った弁当に釣り上げた魚の塩焼き。都会の味気ない食事に加わる野生の刺激がやけに新鮮だった。
そして食事を終えると、瑛莉香が手持ち花火の入った袋を取り出した。ここへ来る途中に買っていたものだ。使い終わった紙皿をポリ袋へ入れ、部屋の電灯を消して瑛莉香とともに再び外へ出た。
「行くよ~」
瑛莉香が鮮やかな筒の先に火をつけた。赤色の眩い閃光が勢いよく吹き出し、静まり返った暗闇に美麗な色を付け始めた。
「やば~、めっちゃキレイ~!」
勇太に火を分けた瑛莉香が2本に伸びる火花を見て無邪気にはしゃぐ。無垢な顔が赤と緑の閃光に鮮明に照らし出された。
何年ぶりだろうか。夏空の下、手持ち花火で遊んでいる。年上の女性と二人きり。数少ない青春の1ページが更新されたようだった。
遊び終えたものから水を張ったバケツの中へ投げ入れ、新しい花火を順番に取り出しては点火する。一直線に放つだけでは飽き足りず、空中で弧を描いたり閃光を交差させたりと変化を入れ始めた。何も考えずに目の前のことに夢中になれたことが、どこか懐かしく感じた。瑛莉香が見せる純粋な振る舞いと澄んだ声色に勇太の心は浮き立つばかりだった。一人の女性と二人きりで過ごせるこの時間と空間が何よりの幸福だった。花火は瞬く間にバケツの中へ放り込まれ、最後に残ったのは線香花火だった。
「やっぱこれだよねぇ」
キャンピングチェアに座り、提灯からパチパチと弾ける橙色の結晶をお互いじっと見つめていた。鈴虫の鳴く声と風に吹かれた木々のさざめきが静穏な闇夜に流れた。
「花火なんて久々だよ、私」
瑛莉香が優しく目じりを下げながら呟いた。「僕もです」と同調するように勇太は口を開いた。
「大人になるとさ、こういう時間って取れなくなっていくじゃん?
なんか、もったいないよね~。こういう遊びも楽しいのにさ」
ふとした瞬間に感傷に浸るのが彼女の癖だった。それだけ鬱積しているものがあるのかもしれない。勇太はこれと言って冴えた台詞は言えなかったが、彼女と過ごす一瞬一瞬を全身で噛み締められていることに疑いはなかった。
「こういう日常がずーっと続けられればいいけど……あっ、落ちちゃった~」
花びらを散らせた火球がこぼれ、湿った雑草の上で溶けていった。続くように勇太の持つ線香花火もエネルギーを使い果たして球は垂直に落ちていった。
「…さて、戻ろっか!」
遊び終えたゴミを綺麗に回収し、左足を引きずって歩く瑛莉香とともにバンガローの中へと戻っていった。
ひと時の晩酌を終え、勇太は瑛莉香とともに寝室に入った。平たいシーツを床の上に敷いて、今日も蒸した一夜を過ごすことになる。ただ車内で椅子に座りながら眠ることに比べればずっと解放感に満ちていて心地よかった。そして、瑛莉香の使うシーツと横並びにすると思いのほかその距離が近かった。隙間がほとんどない状態で一夜を過ごすことは初めてかもしれない。
「さてさて、寝よう寝よう」
身体にお酒を回らせながら、瑛莉香は1枚の薄い掛布団を腹部にかけた。
「………今日も楽しかったね」
しばらくの沈黙の後、瑛莉香が勇太へ顔を向けた。勇太はいつも通りぎこちなく返事した。
「…私、やっぱ勇太君と一緒に旅が出来て良かったよ。ほんとに」
化粧を落としきった大人びた顔が淡い常夜灯の下に映し出された。大好きなビールで頬や目元を赤く染めながらも毅然とした凛々しい微笑みに勇太の交感神経が刺激された。
「ぼ、僕もです…!」
緊張で顔を強張らせながらも、自分の本音をしっかりと伝えた。瑛莉香は照れるように口角を上げて勇太の方へ身体を寄せた。何か、勇太も彼女の方へ近づかなければいけない気がした。酒のニオイが仄かに香った。
「ありがとう。勇太君…」
不意に、唇で唇を塞がれた。柔らかい感触が口先からなだれ込むように伝わり続けた。激しく脈打つ鼓動とは裏腹に、全身を硬直させながらこの上ない快感にひ弱な筋肉が崩れるように腑抜けた。生温かい口先の温度と肩に回した彼女の手のぬくもりが勇太を内側から掻き立てた。
時間が全て止まったようだった。何もかもを手に入れたような心地だった。本田瑛莉香が今、初めて自分の一部になったような気がした。
そっと唇を離し、瑛莉香は「ふふっ、ごめん、おやすみ」と残して勇太に背を向けた。勇太は突然の出来事に何も言えなかった。彼女の微かな寝息を聞きながら、陽が昇るまでドクドクと脈打つ心臓を落ち着かせることが出来なかった。
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