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2章英雄と龍魔王
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その頃、イリスも、頭部にヘルムが構築し、美しい銀色の防具を輝かせ、一瞬で、同心円状の磁場を発生させ、歪な空間とさせていた。
プリンセスの印象を与える銀色の防具から想像が出来ない程の恐ろしい磁力を発生させる様は怪物を超えている。
ヘルムからV字の隙間から見える深紅の両眼は敵しか目に入らず、殺すことに集中している。
アタマカラの必死な声は届かない。
銀の女王はどこか手に届かない、我々とは全く別次元の地にいるような気がしてならない。
「イリス……」
「あんた下がりな」
「あっ……ああ」
一方、こちらも、ティアが銃弾を打ち続けながら、龍鹿との戦闘に追われていた。
アタマカラはティアの邪魔しては悪いと思い、下がりながら、戦闘を注視していた。
すると、ティアがアタマカラの方に後退し、笑みを浮かべ、囁く。
「イリスなら大丈夫よ」
「分かってるけど」
「グラード王国で一、ニを争う強さを持つ英雄よ。もしかしたら、潜在能力では七大国じゃ最強かもね。この程度に負けるはすがないわ」
金髪のツインテールの少女は面白げにそう語る。
もちろん、彼女は強さは良く知っている。
だが、誰だって、弱さはあるはずだ。
「そうか」
「はぁ……何暗い目をしてるのよ。もし仮に彼女が不利な状況になったとしたら、うちらがいるわ。この七英雄団をなめないで貰いたいわね」
そもそも、七英雄団の強さがいまいち良く分かってはいない。
そして、この世界の情勢や政治、経済、常識すら分かっていないのだ。
呆れたようなサファイアの両眼をするティア。
「グラード王国は昔……少し退避するわね」
「ああ」
森の奥地へとティアとアタマカラは龍鹿を誘い込む。
これはイリスの邪魔にならないため。
「昔……弱小の小国に過ぎなかった。そして、独裁も行われていて、貧しい国だった。けれど、他国からやってきた現一英雄のロイス様と、現老英雄の長がこの国を改革した。独裁も終わり、経済も発展し、大国の仲間入りを果たすことができたの。そのおかげは紛れもない英雄なの。グラード王国は英雄が強い国と言ってもいいわ」
プリンセスの印象を与える銀色の防具から想像が出来ない程の恐ろしい磁力を発生させる様は怪物を超えている。
ヘルムからV字の隙間から見える深紅の両眼は敵しか目に入らず、殺すことに集中している。
アタマカラの必死な声は届かない。
銀の女王はどこか手に届かない、我々とは全く別次元の地にいるような気がしてならない。
「イリス……」
「あんた下がりな」
「あっ……ああ」
一方、こちらも、ティアが銃弾を打ち続けながら、龍鹿との戦闘に追われていた。
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すると、ティアがアタマカラの方に後退し、笑みを浮かべ、囁く。
「イリスなら大丈夫よ」
「分かってるけど」
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金髪のツインテールの少女は面白げにそう語る。
もちろん、彼女は強さは良く知っている。
だが、誰だって、弱さはあるはずだ。
「そうか」
「はぁ……何暗い目をしてるのよ。もし仮に彼女が不利な状況になったとしたら、うちらがいるわ。この七英雄団をなめないで貰いたいわね」
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そして、この世界の情勢や政治、経済、常識すら分かっていないのだ。
呆れたようなサファイアの両眼をするティア。
「グラード王国は昔……少し退避するわね」
「ああ」
森の奥地へとティアとアタマカラは龍鹿を誘い込む。
これはイリスの邪魔にならないため。
「昔……弱小の小国に過ぎなかった。そして、独裁も行われていて、貧しい国だった。けれど、他国からやってきた現一英雄のロイス様と、現老英雄の長がこの国を改革した。独裁も終わり、経済も発展し、大国の仲間入りを果たすことができたの。そのおかげは紛れもない英雄なの。グラード王国は英雄が強い国と言ってもいいわ」
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