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2章英雄と龍魔王

早朝

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 翌朝、アタマカラは木漏れ日の光で目が覚めた。
 それにしても、防具を外さなくても、ぐっすり寝られる程、かなり馴染んいるな。
 ぐっと伸びをし、ベットを降りると、開いた扉の隙間から甘い匂いがしてきた。
 
「料理かな?」

 アタマカラは首を傾げながら、匂いのする右側の廊下をずっと進むと、煙の原因の場所に到着した。
 そこにまた、あの子がいた。
 床に悲しそうな顔をした銀髪のイリスが素足を出しながら、座っていた。
 アタマカラは不思議そうに挨拶をする。

「おはよう?」

 はっと我に返る銀髪のイリス。
 頬を赤くするも、表情筋は動かない。
 ゆっくり、立ち上がり、アタマカラに寄ってくる。
 白いエプロン姿のイリスはことの事情を説明をしようか迷ってる様子で、紅の焦点を合わせようとはしない。
 見かねたアタマカラは優しく問い掛ける。

「どうした?」

「お客さんに食事……作った……けど、落としてしまったの」

「ああ、そうか。わざわざありがとう。あっそこに?」

 視線を向ける先には床にピザと思しき白い生地と丸ごとのこんがりイカが無惨に散らばっていた。
 アタマカラはそれを手に取ると、イリスは首を振って、小さな声で制止する。

「駄目」

「大丈夫さ」

「お腹壊すかもしれない」

「ふんっ……よく言うね君は……昨日冷水を俺に掛けてといて、あれこそ風邪を引くさ」

 アタマカラは冗談混じりに笑って、そのピザ焼きを防具越しに入れ、口の中へと入れた。
 笑顔で、

「おいしい、おいしい」

 そう大袈裟に言うも、イリスは首を傾げ、冷たい紅の両眼で見つめる。

「どうしてあなたはずっと白い仮面を被ってるの?」

 アタマカラは突然のその問いに押し黙る。
 確かに最もな疑問だと思う。
 短絡的には顔がミイラ状態になっていて、人様に魅せれるものではない。
 訝しむような細い両眼をする彼女。
 彼女の真意はあなたは何者なのという疑問が含まれている。
 でも、実のところ、何故かと言われても、自身も良く分かってはいない。
 徐々にではあるが、頭の中で記憶がわだかまりのように漂っているとはいえ、記憶は喪失しているのだ。

「それは……」

「あっ……アタマカラは武器に取りに行くんじゃないの?」

 意外にも疑惑の空気を追いやるのは小さくハッとするイリスだった。
 アタマカラは安心した顔を一瞬した後、

「あっ! そうだ、そうだ。行かないとな!」
 
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