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1章魔獣になりましょう
86話閃光馬の策略
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まだ虎帝は地蔵堂にたどり着くことは出来ずに、困惑をし、彷徨い走っていた。
進む度に霧が深くなり、視界を妨害してくる。
血気盛んな虎帝は森林の中に放り出された迷子のような気持ちに襲われ、その焦りから苛立ちを露わにする。
しかも、相棒であるはずの後目もいなくなってしまう、非常事態。
誰かの策略にはまっているのではないという疑問が徐々に湧いてくる。
その予想は的中するかのように、前方の濃霧に光の影が現れる。
虎帝よりは体格が劣るが、綺麗な出で立ちをし、魔獣として力量を示すように、光の魔力が円環状の現象を作り出し、神々しさを現していた。
その霧から現れたのは一度だけ会ったことがある程度だが、忘れるはずもない魔獣。
虎帝は目を見張り、驚きで地べたに尻餅をついてしまう。
「なぜあなたがここに……」
三鬼である閃光馬《ロシュラン》。白い白馬の魔獣。容姿は馬人間。両手からは煌めく光の魔力を放っている。
紳士的で、僧のような声を発する。
けれど、大きな両眼がキリッと睨みつけ、圧倒的な力量を感じさせる重み、冷徹さがあった。
「虎でしたか」
「これは……現三鬼様がこのような所に来るとは珍しいですね」
「怯えるな虎……お主に頼みたいことがある」
「はい?」
「恐熊が鬼童子を逃がしたことを知ってるな」
「ええ」
「だが、もう一人逃がしていた。雲の大きな魔獣だ」
「雲の大きな魔獣?」
「情報によれば、銃羊と連んでいるらしい」
「あっ……そういえば。いたな。まさかあいつが取り逃がした奴とは」
「そこでだ、虎……お主がその雲奴を始末しろ……成功した暁にはお主を次期四鬼として推薦する」
「いいのですか……しかし、どうしてそこまで雲野郎を始末しなければならないのですか?」
進む度に霧が深くなり、視界を妨害してくる。
血気盛んな虎帝は森林の中に放り出された迷子のような気持ちに襲われ、その焦りから苛立ちを露わにする。
しかも、相棒であるはずの後目もいなくなってしまう、非常事態。
誰かの策略にはまっているのではないという疑問が徐々に湧いてくる。
その予想は的中するかのように、前方の濃霧に光の影が現れる。
虎帝よりは体格が劣るが、綺麗な出で立ちをし、魔獣として力量を示すように、光の魔力が円環状の現象を作り出し、神々しさを現していた。
その霧から現れたのは一度だけ会ったことがある程度だが、忘れるはずもない魔獣。
虎帝は目を見張り、驚きで地べたに尻餅をついてしまう。
「なぜあなたがここに……」
三鬼である閃光馬《ロシュラン》。白い白馬の魔獣。容姿は馬人間。両手からは煌めく光の魔力を放っている。
紳士的で、僧のような声を発する。
けれど、大きな両眼がキリッと睨みつけ、圧倒的な力量を感じさせる重み、冷徹さがあった。
「虎でしたか」
「これは……現三鬼様がこのような所に来るとは珍しいですね」
「怯えるな虎……お主に頼みたいことがある」
「はい?」
「恐熊が鬼童子を逃がしたことを知ってるな」
「ええ」
「だが、もう一人逃がしていた。雲の大きな魔獣だ」
「雲の大きな魔獣?」
「情報によれば、銃羊と連んでいるらしい」
「あっ……そういえば。いたな。まさかあいつが取り逃がした奴とは」
「そこでだ、虎……お主がその雲奴を始末しろ……成功した暁にはお主を次期四鬼として推薦する」
「いいのですか……しかし、どうしてそこまで雲野郎を始末しなければならないのですか?」
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