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1章魔獣になりましょう

39話大物の暗殺

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 丸太椅子が円形に並び、その真ん中に焦げた黒い灰がある。どうやらここで一夜を過ごすようだ。
 そして、真ん中に炎がぼわっと灯り、皆で丸太に座り囲み、食事の時間が始まった。
 それにしても、あまり居心地の良いものではない。
 入団したとはいえ、この蜥蜴を仲間と呼ぶべきなのか甚だ疑問でありというより呼びたくはない。
 なぜなら、親交という距離感はかなり離れている気がするし、これから縮まるとも思わない。
 それに先程敵対していた間柄、いつ襲いかかってもおかしくはないという警戒心が一向に拭い去れない。
 しかしながら、蜥蜴が陽気に食べろと差し出した最高級のビーフの串カツを差し出され、無碍に拒否するのも失礼だろう。
 小さな礼をして、ありがたく頂いた。
 それは他の二人も同様に頂く。
 どうやらこの辺りで狩られた名産の子牛で、栄養満点で一度食べれば三日持ち、滅多に食べられない代物ということ。
 また、肉厚な割にとろけるような食感で、まさに最高級に相応しい。
 不思議と険悪だった表情も、穏やかになっていく。
 蜥蜴がパイプを吹かし、一服し、話始めた。

「そういえば名を名乗ってなかったな……鬼団15番隊長カイザーだ……よろしくな」

「宜しくや」

「よろしくお願いします」

「宜しく……」

「で……そこの羊女ちゃんの名は?」

「シエ……ラ」

「……シエラちゃんね……さてと早速明日の仕事を説明させて貰うとするか」
 
 鬼団上層部から下された今回の依頼は百熊一族の長である恐熊《アラカンタラ》の暗殺。
 明日恐熊が妖精が棲む森林の奥地で共食い狩りを行うという情報を手にした鬼団は急遽、この近辺で入団試験を開催してる15番隊に白羽の矢が立った。
 ちなみに、この辺りでは恐熊は既に滅亡してしまったが全盛期の闘牛に匹敵する程の大物で、よその領地を奪ったり、食料を強奪したりと厄介な魔獣として有名であり、近年共食いに手を染め始めている。
 しかし、共食いを生業とする鬼団にとって、餌を奪われればこちらが迷惑を被るのは必然。
 したがってこのような新興勢力は脅威の種で、早めに芽を摘みたいというのが鬼団上層部の思惑。
 アタマカラはそんな大物相手に即席チームである自身達に荷が重過ぎるのではないか疑問を呈す。

「いやぁ……心配ねぇーよ。鬼団から隊長クラスの強者がスケットとして派遣してるからよ……正直言ってこんだけ集まっても今回の大物を潰せるかどうか疑わしい……」

「恐熊は確か……攻撃、魔力、敏捷に特化した攻撃タイプや……恐らく闘牛の三段階程の上の強化版ってところやな」

「だからこそ……常に逃げれる準備はしとけ……」
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