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3章最悪な旅行

2章5話戦慄

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「強盗が入ってきた時、一応訓練はしとかないと行けないんだよね。でも、驚かせて悪かったよ」

「申し訳ございませんでした」

 管理人に続き、頭を下げるのは黒服を着た従業員達。
 けれど、レイカはキリッと睨み、更に追い詰める。

「よりにもよって、なぜその訓練が今日なのよ?」

「それは……」

「私達が来ることは分かっていたはずよ!」

 テーブルを激しく叩くレイカ。
 管理人は怯えたように、そっとリモコンを取り出し、テレビを点けた。

「これを見れば、分かります」
 
 テレビ画面に映るのはキングストン王国のニュース番組。
 赤の衣装を身につけた女子アナウンサーがニュースを読み上げる。

『速報です。今日午後、キングストン王国オークランドシティの三番街で市民数十人が何者かに包丁で腹や腕や脚を斬られる事件が起きました。犯人はいまだ逃走中で、騎士団が捜索に当たっています……』

「オークランドシティってここの近くじゃない?」

「だからね、いざ来た時、どうしようかってね訓練してた訳だよ。まあ、用心に越したはないから、みんなも気をつけるように」

「私帰るわ!」

 レイカは怖くなって、そう叫ぶが、管理人のおじさんは困った顔で、

「ごめんよ。レイカちゃん、ヘリ今修理中で、明日の朝までになら何とか飛ぶことが出来るんだけど」

「はぁぁああああ!? じゃあ何? 私今日帰れないって訳?」

「まあ、そうなるかな」

「本当使えない禿ね」

 レイカは睨み、そう吐き捨て、二階の階段へ登って行った。 

          *
 そして、暗い空気のまま、夕食を終え、就寝した。
 満月の明かりが窓から差し込み、温かな夜風が窓の隙間から入り込み、心地良く私はベットで熟睡してた最中だった。 
 夜12時を回ったその時、きゃぁぁぁぁという悲鳴で私は目が覚めた。
 
「……何この声?」

 起きたのは私だけではない、同室の間を介してベットで熟睡していたレイカもだ。
 レイカは目をこすりながら、機嫌悪そうな顔で、上半身を起こした。

「何なのよ」 

「今、下から人の悲鳴が聞こえなかった?」

「聞こえたわね。こんな夜中に何やってるのよ」

 その時、ドンドンドンドンドンと玄関の扉を叩く音がし、ガチャガャガャとドアノブが動く。
 一気に恐怖の緊張が高まった。

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