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3章最悪な旅行
2章1話別荘
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まさか、青空に浮かぶ雲を突き抜ける経験をこの人生ですることになることは思わなかった。
澄み渡る綺麗な青空、幻想的なモクモクとした雲の中を巨大な鳥が駆け抜ける。
その巨大な鳥のような飛行機という乗り物に私は乗っている。
不思議で堪らなく、興奮が醒めない。
すると、隣でクッキーを口にしながら、くつろぐレイカが私のそんな態度に鼻で笑う。
「なんか大の大人がそんなことではしゃいで恥ずかしいないの?」
「レイカ。旅行というものは楽しまなければいけないわ」
人間のお姉さんっぽいことを言ってみた。
レイカは呆れているようだったが。
今日はレイカの家の別荘で二泊三日の旅行だ。
同行者は私とレイカも含め、オリビア、キルギス、ヘレナはもちろん招待されているというか、強制的に参加させられている。
また、スルガも加わり、もう1人参加者が現れた。。
スルガの冴えない顔というより、陰気な髪型もそうだが、隣のこれまた冴えない、陰気な男を紹介された。
伸ばしきった黒髪、前髪は片目が隠れ、陰気な漂う男だった。
そいつは、挙動不審に目を合わせず、ぼそぼそと挨拶して、頭を下げた。
「僕の友人だ……」
「ク……クロム」
怪訝な顔で、扇子を仰ぎながら、文句を言うレイカ。
「スルガ! 何であんたも来てるのよ? 招待した覚えはないのよ」
「叔父さんに頼まれたんだよ」
「ミアがいれば充分よ。子供扱いしないでくれる?」
「まあ、実はその旅行したいというか。なんというか」
「だったら、あんたの恋人、友達誘えば良いじゃない。あっ、あんた、恋人も友達もいないんだっけ」
「やめてくれ! それを言うな!」
「そんなことより……あんたはまだしも……その暗い気持ち悪い男誰なのよ」
「レイカ。そんな酷いことを言わないでくれよ。僕の大切な唯一の友達なんだ。夏休みぐらい僕だって友達と旅行してもいいじゃないか」
「勝手に二人で行きなさいよ。何であんたの思い出に付き合わないといけないのよ!」
「人間は多い方がいいじゃないか! どうとでも罵ってくれ! 今日は楽しい旅行にしたいんだ」
「まさか、あんた私や夏休みを口実に使って、ミアを誘惑しようとか思ってるんじゃないでしょうね!」
「いや……そういう訳じゃ」
「言っておくけど、あんたらは血は繋がってはいないけど、一応兄弟なのよ」
「わ……分かってるさ」
*
アストレア家ではロメルダは機嫌が悪い表情で、自室にて、行ったり来たりを繰り返していた。
「レイカ達はどこに行ったの」
執事総支配人ギルバートが険しい表情で返答する。
「オークランドシティにある別荘です」
「なんでよりにもよって、あの馬小屋のミアも同行してるのよ」
「レイカ様がだいぶ懐いています」
ロメルダは硬直し、鋭い目つきと、低い声で言う。
「ミアを殺しなさい」
「もしかしたら、スルガ、レイカ様に危険が及ぶかもしれませんぞ」
「だから、あなたを呼んだのよ。あなたなら絶対失敗は犯さない」
「かしこまりました」
ギルバートは腰を落とし、怖い顔で、頭を下げる。
澄み渡る綺麗な青空、幻想的なモクモクとした雲の中を巨大な鳥が駆け抜ける。
その巨大な鳥のような飛行機という乗り物に私は乗っている。
不思議で堪らなく、興奮が醒めない。
すると、隣でクッキーを口にしながら、くつろぐレイカが私のそんな態度に鼻で笑う。
「なんか大の大人がそんなことではしゃいで恥ずかしいないの?」
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そいつは、挙動不審に目を合わせず、ぼそぼそと挨拶して、頭を下げた。
「僕の友人だ……」
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怪訝な顔で、扇子を仰ぎながら、文句を言うレイカ。
「スルガ! 何であんたも来てるのよ? 招待した覚えはないのよ」
「叔父さんに頼まれたんだよ」
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「まあ、実はその旅行したいというか。なんというか」
「だったら、あんたの恋人、友達誘えば良いじゃない。あっ、あんた、恋人も友達もいないんだっけ」
「やめてくれ! それを言うな!」
「そんなことより……あんたはまだしも……その暗い気持ち悪い男誰なのよ」
「レイカ。そんな酷いことを言わないでくれよ。僕の大切な唯一の友達なんだ。夏休みぐらい僕だって友達と旅行してもいいじゃないか」
「勝手に二人で行きなさいよ。何であんたの思い出に付き合わないといけないのよ!」
「人間は多い方がいいじゃないか! どうとでも罵ってくれ! 今日は楽しい旅行にしたいんだ」
「まさか、あんた私や夏休みを口実に使って、ミアを誘惑しようとか思ってるんじゃないでしょうね!」
「いや……そういう訳じゃ」
「言っておくけど、あんたらは血は繋がってはいないけど、一応兄弟なのよ」
「わ……分かってるさ」
*
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「もしかしたら、スルガ、レイカ様に危険が及ぶかもしれませんぞ」
「だから、あなたを呼んだのよ。あなたなら絶対失敗は犯さない」
「かしこまりました」
ギルバートは腰を落とし、怖い顔で、頭を下げる。
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