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1章勇者の活動

23話強敵か弱敵か

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「あなた……誰?」

「まさか……この顔を見ても恐れないとはたいした女共だな。ヒャハハハハハハ……魔王復活を目指す教会ぐらい耳にしたことがあるだろ?」

「……」

「ん? 魔王復活を目指す教会だ」

「知らないわ……ルシア様はご存知ですか」

「ううん……全然」

「……まあ良い……この名は轟いているはずだ。大司教にして……教皇様の側近を務める……おれはヤコブ・グリムジャガー」

「……誰」

「ごめんなさい、分かりません」

「ヒャハハハハハハ……随分世間知らずな女共だ。まあ良い……メインデッシュはこっちだ……」

 グリムジャガーは何やら強烈な臭いを発する馬糞タンク機をよいしょと背負い、お目当ての落とし穴にはまった駆の顔を見に行った。
 また、二人の少女のこの臭いは生理的に受け付けないとでも言いたげな表情に快感を覚える。

「おぉ? 引っかかってんやんの? ざまぁぁぁねーわ」

「うぉっ……くさい」

「おい? どうだ落ちた……感想は?」

「お前か俺を落としたのは?」

「ヒャハハハハハハハハハハハハ……プロのおれから見てもかなりの完成度さ……」

「何がプロだよ? ただ落とし穴を掘って人を落として大笑いする悪趣味な悪戯だろ!?」

「これだから素人は……プロの落とし穴の職人は人生かけてやってんだよ……この丁度良い幅と、長年掛けて掘ったような深さ……醍醐味はたっぷり詰まった馬の糞でサプライズだ」

「……何がサプライズだ……我慢出来ねー殴ってやる……出てこいよこっちに」

「ばぁぁぁぁぁぁぁぁぁか……プロの職人が落ちる訳には行かねーんだよ」

「お前、落とされた人の気持ちを考えたことがあんのか!?」

「知る訳ねぇだろ! こっちは落とされた奴の怒りの顔がおもしれぇんだからよぉ」

 陰気な顔で、得意げな表情で話し、おまけに自慢の長い銀髪を揺らす。
 そして、ヘレネが唐突に援護射撃をするかのように、疑問を呈する。

「しかし、こんな完成度の高い落とし穴アイテムなんて聞いたことがないわ」

「ヒャハハハハハよくぞ聞いてくれたな……そこの女」

「一々ムカつくわね……この男」

「おれは落とし穴スキルを持ってる……この国には持っている奴はいなんじゃねーか……まあ唯一無二ってことよ。いわば一級品スキルを手に入れし、大司教ってところか」

「はぁ? あんた何言ってんのよ。確か……それって他のスキルが使えない……雑魚スキルの一種よ……」

「……え……いやまあそれは……」

「くっくっくっ……なんだお前も雑魚スキルの持ち主かよ……糞まみれの俺と一緒だぞ!? だっせぇ笑えるわ」

「一緒にススス……スルナァァァァァ!?」
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