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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第775話 摩天楼ダンジョン 魔法陣の移転先&世界地図

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「131階はケスラーの民がいる集落に行けるけど……。同じ南大陸は危険だから、それ以上調べなかったの」

「その判断は正しい。どの階層が、アシュカナ帝国につながっているか分からないからな」

「出来れば、この先の階層を調べたいんだけど132階へ移転してもいい?」

 父達の帰りを待ち、一緒に行こうと思っていたのだ。
 なるべく早く、全部の階層先を把握しておきたい。
 父は私の提案に少し考え込む様子を見せ、いつきおじさんへ耳打ちする。
 おじさんは首を横に振り、賛成出来かねるといった表情になった。

「沙良、今日は止めよう。この人数じゃ心許こころもとない。方法を考えてみるから、絶対2人で行くんじゃないぞ?」

「うん、分かった。じゃあ、迷宮都市に戻るね」

 3人をアイテムBOXへ入れ、摩天楼まてんろうのダンジョンから迷宮都市へ移転して外に出す。

「これから商業ギルドに向かうけど、お父さん達はどうする?」

「商業ギルドか……、担当者から地図を貰ったんだよな。俺も会いたいと思っていたから一緒に行こう」

「儂は武器製作に取り掛かりたい。甲羅こうらを出してくれんかの」

 貴重な素材を目にしたシュウゲンさんは、早く武器を作りたいようだ。
 甲羅を取り出し渡すと一瞬で目の前から消える。
 いつの間にかシュウゲンさんの腕に、父と同じ腕輪が着けられていた。
 樹おじさんがマジックバッグにした腕輪だろう。

「ホームまで送りましょうか?」

「いや、特殊な道具が必要になりそうじゃ。一度、国へ戻る」

 シュウゲンさんしか使えない魔法陣で移転するのかな?
 どの場所にあるかは聞かないでおこう。
 あれ? でもダンジョンで発見した魔法陣は、100階層を超えるダンジョン付近しか行けないよね?
 迷宮都市には、ないんじゃないかしら……。
 
「えっと、じゃあ16時に家に集合でいいですか?」

「あぁ、それでよい」

 シュウゲンさんと別れ、4人で商業ギルドへ向かう。
 受付嬢が私と樹おじさんを見た瞬間、あわてて走り出す。
 その場に残された私達が待っていると、息を切らせた彼女とカマラさんがやってきた。

「お待たせして、申し訳ありません」

 2人が深々と一礼した後、別室へ案内される。
 カマラさんは、どこか落ち着かない様子でそわそわしているように見えた。

「本日は、どのようなご用件でいらしたのでしょうか?」

「世界地図があれば、購入出来ないかと思ってきました。あっ、両親と妹です」
 
 3人は初対面だと気付き紹介する。

「サラ様を担当させて頂いております。カマラと申します」

「娘がいつも世話になっている。父のひびきだ」

「母の樹です」

「妹のあかねです」

 簡単な自己紹介を済ませると、カマラさんは茜に驚いていた。
 樹おじさんの姿は、私に似ているから母だと言われ納得したんだろう。
 私と茜は姉妹に見えないしね。

「世界地図ですか……。別大陸の国が記載された物ですね。少し、お待ち下さい」

 カマラさんは一度席を外し、羊皮紙を丸めた物を手に戻ってきた。

「こちらが、各大陸の詳細な地図になります」

 渡された羊皮紙を広げてみると、今まで調べた国の位置がはっきりと分かる。
 流石さすが、商業ギルド。
 大陸を隔てた国と交易もしているんだろう。
 この世界で一番他国に詳しいのは、商人なのかも知れないな。

「お幾らになりますか?」

 金額が高くても、この地図は欲しい。
 すると、カマラさんは樹おじさんの方を見ながら答えた。

「いえ、お金は……。サラ様の、ご両親にお会い出来光栄です」

 高価な地図はタダでくれるらしい。
 カルドサリ王国の地図も貰ったのに、いいのかな?

「この国の商業ギルド職員・・・・・・・は、とても優秀なのね。地図は、ありがたく頂くわ。娘が迷惑を掛けるかも知れないけど、これからもよろしくお願いします」

 すると父ではなく樹おじさんが母親として返事をした。
 その言葉を聞いたカマラさんは、何故なぜか恐縮したように頭を下げる。

「はい、サラ様の期待に応えられるよう尽力致します」

 私が迷惑を掛ける前提で話が進んでいるんだけど……。
 商業ギルドで、そんな無茶振りした覚えはないよ。
 世界地図をくるくると巻き戻し、アイテムBOXに収納。
 カマラさんに見送られ商業ギルドを後にした。

「沙良。ガーグ老の工房へ寄ろう。相談したい件がある」

「じゃあ、お昼はガーグ老達と一緒に食べる?」

「あぁ、悪いが食事を作ってほしい」

「了解!」

 ガーグ老の工房へシルバーに騎乗して移動する。
 樹おじさんは、父と泰雅たいがに2人乗りしていた。
 最近マリーに乗っていないからねない?
 工房へ到着すると、ポチとタマが樹おじさん目掛け飛んでくる。
 10匹のガルム達も、私を見るなり駆け寄ってきた。
 事前に連絡が入っていたのか、ガーグ老達は庭で整列し待機している。
 その顔が久し振りにポーションまみれになっていた。
 仕事を再開したのかしら?

「こんにちは。稽古日じゃないですけど、お邪魔しますね」

「いつでも大歓迎しますぞ!」

「ガーグ老、相談がある。少し話をしたい」

「では、工房内で聞こうかの」

 父と樹おじさんは、ガーグ老と一緒に工房内へ入っていく。
 私は皆の昼食を何にしようか考え始めた。

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