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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第772話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階・119階~131階) 中央大陸の国々&南大陸

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 午後からシュウゲンさんを連れ、摩天楼まてんろうダンジョン31階の安全地帯に移動。
 私とあかねは、引き続き119階から移転先を調べて回る。
 119階は中央大陸のレ・フォン王国。
 120階は中央大陸のウ・フォン王国。
 121階は中央大陸のサ・フォン王国。
 122階は中央大陸のエ・フォン王国。
 123階は中央大陸のス・フォン王国。
 124階は中央大陸のラ・フォン王国。
 125階は中央大陸のワ・フォン王国。
 
 頭が痛くなりそうな名前に辟易へきえきしつつ、地図を埋めていく。
 この世界では国から出て旅行をしないから、似たような名前の国があっても困らないんだろう。
 全ての階層先は地中にあり、ダンジョンへつながっていた。
 
 翌日、木曜日。
 引き続き、魔法陣の移転先を調べる。
 126階は中央大陸のロ・フォン王国。
 127階は中央大陸のオ・フォン王国。
 128階は中央大陸のキ・フォン王国。
 129階は中央大陸のソ・フォン王国。
 130階は中央大陸のテ・フォン王国。
 
 131階へ移動し扉を押す。
 すると、今度は抵抗なく開いた。
 やっと別大陸に変わったのかな?
 小屋の外に出てマッピングを展開。
 あっ、ケスラーの民がいる。
 顔に刺青しせいがある特徴的な種族なので、直ぐ分かった。
 一緒に行動しているはずの、父といつきおじさんとセイさんにガーグ老達の姿がない。
 
「茜。近くにケスラーの民が住んでいるみたい。お父さん達が、何処どこにいるか聞いてみましょ」

「ケスラーの民? 麒麟きりんに騎乗していた者達か……。話をした方がいいな」

 ダイアンとシルバーに乗り、ケスラーの民が住んでいる場所へ降り立った。
 住民達が気付き、誰かを呼びに行く。
 私の姿を見た彼らは一斉に膝を突いた。
 また、ヒルダさんと間違えられているんだろうか?
 誰も何も言わない。
 気まずい沈黙の中、結婚式当日に会った男性が走ってきた。

「姫! 国に帰ると言っておられたのに、どうされたのか?」

 これは樹おじさんだと思われているな。

「母ではありません。娘の沙良です」

「巫女姫様!? 大変失礼致しました。族長の天幕にお越しください」
 
 巫女姫? エルフの王女は、巫女の役目もしているの?
 リーダーだと思われる男性の後を付いて、大きな天幕の中に入る。

「族長。巫女姫様がいらっしゃいました」

「おおっ、先日はエルフの姫が訪れたばかりだと言うに……。巫女姫様、お会い出来光栄です」

 紹介された族長は、そう言って片膝を突き頭を下げる。
 ここは、話を合わせておこう。

「沙良と申します。あの、両親とセイさんは何処どこにいますか?」

「姫達は娘の救出に協力してくれたあと、国へ帰られました」

 人質にされていた娘さんが解放されたと知り安心する。
 
「それはいつの事でしょう?」

「2日前です」

 今日が木曜日なので、2日前なら火曜日だ。
 そして、もうここにはいないらしい。

「そうでしたか。入れ違いになったようですね」

「巫女姫様をアシュカナ帝国の王が探しております。ここにいるのは危険ですから、護衛の方と早く移動された方がよろしいかと……」

 族長のそばにいた女性が、心配そうな顔をして言葉にする。
 彼女が救出された娘さんだろうか?

「ここは、アシュカナ帝国に近い場所なのかい?」

 茜がケスラーの民がいる大陸を特定しようと、女性に声を掛けた。

「隣接している訳ではありませんが、麒麟で移動すれば数時間の距離です」

 それなら同じ南大陸だろう。
 もう少し話をしたかったけど、帝国人に姿を見られるのはまずいな。

「両親もいないようなので、おいとましますね」

「はい、お気を付けてお帰り下さい」

 天幕から出た族長とケスラーの民達に見送られ、私達は小屋へ戻った。
 131階からは、南大陸に移動出来そう。
 ただ、アシュカナ帝国がある大陸だ。
 安易に行動しない方がいい。
 この先は父達が戻ってから調べた方がよさそうね。

 摩天楼ダンジョン31階の安全地帯のテント内に戻り、通信の魔道具を取り出すとセイさんから連絡が入っていた。
 アシュカナ帝国からカルドサリ王国へ無事帰還したと返事がある。
 女性化した樹おじさんの冒険者登録をし、明日迷宮都市に帰ると書かれていた。
 皆が無事で良かった。
 本当にアシュカナ帝国へ行ったとは思わなかったけど……。
 詳しい事は明日聞いてみよう。
 その後は、至って大人しくテント内から魔物を倒した。

 金曜日。
 冒険者ギルドで換金を終え、家に入ると父とセイさんの姿がある。
 私は駆け出して父に抱き着いた。 

「お父さん! 心配したのよ!」

「あぁ、悪かった。母さんは大丈夫か?」

「旭のお母さんと一緒にすごく怒ってるよ!」

「……だよな」

いつきおじさんは?」

 1人だけ姿が見えない。
 父から離れ、あちこち視線を動かすと家の中から女性のままでいる樹おじさんが出てきた。
 少し目が赤くなっているような? それに、かなり疲れた表情をしている。
 夫の姿を見た旭のお母さんが駆け寄り抱き締めた。
 
「もう心配かけないで!」 
  
結花ゆか……ごめん」

「謝っても許しません!」

 言葉と同時に派手な音が響く。
 おっと、ここは見ない振りをしよう。
 セイさんから連絡をもらった時点で皆には無事だと報告しているけど、勝手にいなくなったのは怒られても仕方ない。
 父も覚悟した方がいいだろう。
 ホームの実家に戻ると、待ち構えていた母が父の顔を見て安心したのか涙をこぼす。

美佐子みさこ、ただいま」

「おかえりなさい。あなた、ちょっと話があるわ」

 父は帰宅早々、母に2階へ連行されていった。
 あ~、これは邪魔しない方がよさそうだ。
 話を聞くのは明日にしよう。
 私達は自宅に帰り、夕食の準備を始めた。

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