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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第745話 旭 樹 再召喚 39 娘の白雪姫&魅惑魔法の効果 6
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夕食時、娘がアマンダ嬢へ地下10階の冒険者達を治療した報告をする。
あぁ、やはりガーグ老に先回りして連絡したのは正解だったな。
残念ながら逃げた犯人の行方は分からないそうだが、見知らぬ冒険者がいれば目立つ。
早晩、捕まるだろう。
食後に娘がアマンダ嬢のパーティーへ白雪姫の衣装を渡し、試着をお願いしていた。
白雪姫の衣装に着替えた彼女がテントから出てくる。
「なんだって私の衣装は、こうも似合わない物ばかりなんだろうねぇ」
苦り切った顔で言い、自分が着るのを嫌がってそうだ。
護衛達も、その姿を見て笑いを堪えているように見える。
主人に対し笑ったりは出来ないと、必死に表情を取り繕っている様子。
背が高く体格のいい彼女に、可憐な白雪姫の衣装は合わない。
「サラちゃん、やっぱり私は魔女役をするよ。白雪姫をやってくれないかい?」
すると、アマンダ嬢が娘に突然役を代わってほしいと言い出す。
それを聞いた娘は驚き固まった。
「あの、衣装のサイズはアマンダさんに合わせてあるから変更は……」
彼女の申し出を断ろうする娘の声を遮り、俺は口を挟む。
「おおっ、白雪姫か! うんうん、それなら娘に似合いそうだ。やってみるといい」
人魚姫の衣装は破廉恥だが、白雪姫の衣装を着た娘は見てみたい。
「悪いが、キスシーンは許可出来ん」
白雪姫の内容を思い出した賢也君が、すかさず口を開く。
毒リンゴを食べた白雪姫に、王子様がキスをするシーンがあったな。
あれは、体を起こし毒リンゴを吐き出させ『毒消しポーション』を飲ませればいい。
キスする必要なんてどこにもないし、その意見には俺も大賛成だ。
「あら、じゃあ私が白雪姫をしようかしら?」
娘が白雪姫の役を躊躇していると、妻が自分から立候補する。
いやいや、ここは娘に譲ってくれ。
そもそも自分の年齢を考えてほしい。
外見は20歳だが70歳を超えているじゃないか。
乗り気な結花に駄目出しし、断り切れなかった娘が白雪姫役に決まる。
いや~、劇の発表が楽しみだ!
翌日、火曜日。
地下10階で冒険者を襲った犯人達が捕まった。
そして冒険者ギルドから、新しい通達が発表されたとアマンダ嬢が教えてくれる。
内容を聞き、ギルドマスターのオリビアが相当頭を悩ませた結果だと分かった。
ハイエルフの王族がいる迷宮都市で、これ以上犯罪が増えるのを何としても未然に防ぎたかったんだろう。
処罰が鉱山送りじゃなく斬首刑とは、また思い切ったものだ。
だが、その旨を了承する誓約書に署名すれば、他国から来た冒険者も下手な行動はしまい。
新しい政策が施行され、その後ダンジョン内での犯行はピタリとなくなった。
金曜日に冒険者ギルドで換金後、それぞれの家へ帰る。
俺は夕食後、響と会う約束をし妻の手料理を食べた。
結花……、肉じゃがの味がしょっぱいよ。
砂糖と塩を間違えたな? 見た目で安心したら、とんだ罠が待っていた。
雫が口に入れた瞬間、ご飯を続けて食べている。
味噌汁は、逆に薄かったので丁度良かった……。
待ち合わせの時間に居酒屋へ入ると、響が席に座り待っていた。
軽く片手を上げ、Lv4に上がった魅惑魔法を早速掛ける。
直ぐに効果が出たのか、響が立ち上がり俺を抱き締め耳元で囁く。
「場所を変えよう」
えっ? まだ酒を飲んでもいないのに?
唖然としている間に店から連れ出され、そのまま飛翔魔法で空を飛ぶ。
何処にいく心算なんだ? 10分後、降りた先は市内のホテル前。
最上階のラウンジで飲みたいと言われ仕方なく付いていき、カウンター席でウイスキーを注文しグラスを傾ける。
まぁ、偶にはビール以外の酒もいいか。
響の腕が俺の腰に周り、抱き寄せられている状態だけどな。
密着度が上がっている気がする。
娘が主人公の劇や新しい政策について話をし、そろそろ帰ろうと席を立ったところ首筋に何か感触を覚え、何だろうと思ったら響が吸っていた。
うおおぉ~!! こりゃ拙い。
一気に大人路線へ突入か!?
俺は幾つか残していた妻用の美容ポーションを腕輪から取り出し、首筋から両頬へと何度もキスをしている響の口に、ポーション瓶を突っ込んだ。
飲み干したのを確認して、落ち着いたか様子をみる。
響は一瞬きょとんとした顔をすると、抱き締めていた俺の体を離し頭を撫で右手を繋ぐ。
はぁ~、世界樹の精霊王のレシピで作製したポーションが即効性で助かった。
ホテルに来たのは、最初からそれが目的だったのか……。
魅惑魔法Lv4の効果がヤバ過ぎる。
これじゃ、話を聞き出す前に貞操の危機を迎えそう。
ポーションが効き性衝動がなくなった響は、大人しく帰ってくれた。
ステータスを確認すると、魅惑魔法のLvが5に上がっている。
おかしいなぁ~。
何で、こんな簡単に魔法Lvが上がるんだ?
Lv5の魅惑魔法を掛けたら、次こそ親友に襲われそうな気がする。
このまま実験を続けて大丈夫だろうか……。
ポーションは、まだ幾つか残っているがタイミング良く飲ませられないかも知れない。
どうしたものかと悩みながら、解決策を見出せないまま眠りに就いた。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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あぁ、やはりガーグ老に先回りして連絡したのは正解だったな。
残念ながら逃げた犯人の行方は分からないそうだが、見知らぬ冒険者がいれば目立つ。
早晩、捕まるだろう。
食後に娘がアマンダ嬢のパーティーへ白雪姫の衣装を渡し、試着をお願いしていた。
白雪姫の衣装に着替えた彼女がテントから出てくる。
「なんだって私の衣装は、こうも似合わない物ばかりなんだろうねぇ」
苦り切った顔で言い、自分が着るのを嫌がってそうだ。
護衛達も、その姿を見て笑いを堪えているように見える。
主人に対し笑ったりは出来ないと、必死に表情を取り繕っている様子。
背が高く体格のいい彼女に、可憐な白雪姫の衣装は合わない。
「サラちゃん、やっぱり私は魔女役をするよ。白雪姫をやってくれないかい?」
すると、アマンダ嬢が娘に突然役を代わってほしいと言い出す。
それを聞いた娘は驚き固まった。
「あの、衣装のサイズはアマンダさんに合わせてあるから変更は……」
彼女の申し出を断ろうする娘の声を遮り、俺は口を挟む。
「おおっ、白雪姫か! うんうん、それなら娘に似合いそうだ。やってみるといい」
人魚姫の衣装は破廉恥だが、白雪姫の衣装を着た娘は見てみたい。
「悪いが、キスシーンは許可出来ん」
白雪姫の内容を思い出した賢也君が、すかさず口を開く。
毒リンゴを食べた白雪姫に、王子様がキスをするシーンがあったな。
あれは、体を起こし毒リンゴを吐き出させ『毒消しポーション』を飲ませればいい。
キスする必要なんてどこにもないし、その意見には俺も大賛成だ。
「あら、じゃあ私が白雪姫をしようかしら?」
娘が白雪姫の役を躊躇していると、妻が自分から立候補する。
いやいや、ここは娘に譲ってくれ。
そもそも自分の年齢を考えてほしい。
外見は20歳だが70歳を超えているじゃないか。
乗り気な結花に駄目出しし、断り切れなかった娘が白雪姫役に決まる。
いや~、劇の発表が楽しみだ!
翌日、火曜日。
地下10階で冒険者を襲った犯人達が捕まった。
そして冒険者ギルドから、新しい通達が発表されたとアマンダ嬢が教えてくれる。
内容を聞き、ギルドマスターのオリビアが相当頭を悩ませた結果だと分かった。
ハイエルフの王族がいる迷宮都市で、これ以上犯罪が増えるのを何としても未然に防ぎたかったんだろう。
処罰が鉱山送りじゃなく斬首刑とは、また思い切ったものだ。
だが、その旨を了承する誓約書に署名すれば、他国から来た冒険者も下手な行動はしまい。
新しい政策が施行され、その後ダンジョン内での犯行はピタリとなくなった。
金曜日に冒険者ギルドで換金後、それぞれの家へ帰る。
俺は夕食後、響と会う約束をし妻の手料理を食べた。
結花……、肉じゃがの味がしょっぱいよ。
砂糖と塩を間違えたな? 見た目で安心したら、とんだ罠が待っていた。
雫が口に入れた瞬間、ご飯を続けて食べている。
味噌汁は、逆に薄かったので丁度良かった……。
待ち合わせの時間に居酒屋へ入ると、響が席に座り待っていた。
軽く片手を上げ、Lv4に上がった魅惑魔法を早速掛ける。
直ぐに効果が出たのか、響が立ち上がり俺を抱き締め耳元で囁く。
「場所を変えよう」
えっ? まだ酒を飲んでもいないのに?
唖然としている間に店から連れ出され、そのまま飛翔魔法で空を飛ぶ。
何処にいく心算なんだ? 10分後、降りた先は市内のホテル前。
最上階のラウンジで飲みたいと言われ仕方なく付いていき、カウンター席でウイスキーを注文しグラスを傾ける。
まぁ、偶にはビール以外の酒もいいか。
響の腕が俺の腰に周り、抱き寄せられている状態だけどな。
密着度が上がっている気がする。
娘が主人公の劇や新しい政策について話をし、そろそろ帰ろうと席を立ったところ首筋に何か感触を覚え、何だろうと思ったら響が吸っていた。
うおおぉ~!! こりゃ拙い。
一気に大人路線へ突入か!?
俺は幾つか残していた妻用の美容ポーションを腕輪から取り出し、首筋から両頬へと何度もキスをしている響の口に、ポーション瓶を突っ込んだ。
飲み干したのを確認して、落ち着いたか様子をみる。
響は一瞬きょとんとした顔をすると、抱き締めていた俺の体を離し頭を撫で右手を繋ぐ。
はぁ~、世界樹の精霊王のレシピで作製したポーションが即効性で助かった。
ホテルに来たのは、最初からそれが目的だったのか……。
魅惑魔法Lv4の効果がヤバ過ぎる。
これじゃ、話を聞き出す前に貞操の危機を迎えそう。
ポーションが効き性衝動がなくなった響は、大人しく帰ってくれた。
ステータスを確認すると、魅惑魔法のLvが5に上がっている。
おかしいなぁ~。
何で、こんな簡単に魔法Lvが上がるんだ?
Lv5の魅惑魔法を掛けたら、次こそ親友に襲われそうな気がする。
このまま実験を続けて大丈夫だろうか……。
ポーションは、まだ幾つか残っているがタイミング良く飲ませられないかも知れない。
どうしたものかと悩みながら、解決策を見出せないまま眠りに就いた。
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