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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第740話 旭 樹 再召喚 34 魅惑魔法の効果 3&狙われた雫
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居酒屋に入ると、響が席に座り待っていた。
テーブルの上には、注文した生ビールと枝豆が置かれている。
Lv2の魅惑魔法を試してみよう。
魔法を掛けた途端、響の表情が変化し立ち上がり俺に近付き肩を抱く。
おおっ! 熱烈大歓迎だなぁ~。
「ヒルダ、会いたかった」
響は耳元で囁き更に力を込め、ぎゅうぎゅう抱き締めてくる。
魔法の効果で今の姿がヒルダに見えているのか?
「響、痛いって!」
手加減なしに抱き締められ、体が悲鳴を上げる。
「あぁ、すまない」
抗議した瞬間、響が腕を離し今度は俺の顎をクイっと持ち上げてきた。
何をしようとしているか分かり、キスされないよう両手で口を覆う。
突然、少女漫画のワンシーンを再現されるのは困る。
首を振って嫌がる素振りを見せると、響は残念そうに俺から離れた。
それからはダンジョンで襲われたダンクさん達の話をし、犯人について意見を交わす。
大型ダンジョン内で冒険者が同業者を襲うのは、リスクが高すぎる。
これが地方の地下10階程度のダンジョンなら、冒険者Lvも低く稼ぎが少ないので理解出来るが……。
「この件、アシュカナ帝国が関わっていると思うか?」
「可能性として、ないとは言えないな。摩天楼のダンジョンでは、呪具の設置が失敗したばかりだ。当然、次の手を打ってくるだろう」
真剣な表情で話す響だったが、片手はしっかり俺の手に指を絡め握っている。
親友と恋人繋ぎをしながら会話を続けるのに、げっそりしながら口を開いた。
「なら、娘を直接狙う冒険者が出てくるかも知れないよな。『万象』達に警戒を強めるよう言っておくか……」
「まぁ普通の冒険者相手なら、沙良の傍を離れない茜が後れを取る事はないだろう」
確かに、響よりLvの高い茜ちゃんが姉を危険に晒すとは思えない。
ダンクさんのパーティーが襲われたと知り、彼女も注意するだろうし。
勘定を済ませ居酒屋を出ると、
「しっかり掴まってろ」
そう言った響に片腕で抱き寄せられ体が浮く。
そのまま飛翔魔法を使用して空高く飛び上がった。
どうやら空中散歩がしたいらしい。
いや、俺も自分で飛べるけどな!
魅惑魔法を掛けられている間、響は俺となるべく一緒にいたいんだろう。
魔法の効果を調べる必要があるので、もう少し付き合うか。
上を見上げると満天の星が輝いている。
ホーム内は入れる店以外、灯りが付いてないから田舎のように綺麗に見えた。
10分くらい散歩をし、自宅前で降ろされる。
帰り際、右頬に軽くキスされたのは忘れよう。
翌日、金曜日。
ダンクさんのパーティーは予定を繰り上げ、これから地上に帰還すると言う。
茜ちゃんの従魔達がしているポシェットの刺繍に気付き、苦笑している。
黒豹と似ても似つかない可愛い猫のキャラを見比べ、娘が独特のセンスをしていると思ったようだ。
この有名キャラクターを知らなければ、そう思うのも無理はない。
安全地帯を出て、いつもの果物採取へ向かおうとした時、念話の魔道具にガーグ老から連絡が入った。
『姫様。後を付いてくる6人の冒険者がおるようだ』
『そうですか、連絡ありがとう』
早速、4人パーティーの俺達は目を付けられたらしい。
うちの家族は2人アイテムBOX持ちがいるから、マジックバッグはダミー用だ。
俺の腕輪がマジックバッグになっているのは気付けないだろうし。
盗まれたところで痛くもないが、高い金額を払って購入した妻の怒り狂う姿が目に浮かぶ。
事前に対処しよう……。
何も知らない雫がアレクに乗り、森の中をぴょんぴょん移動する。
お目当ての果物が生っている木の下に辿り着き、アメリカンチェリーを楽しそうに採取し出す。
後を付いてきた冒険者達は騎獣の移動速度についてこれず、まだ姿を現さない。
俺は襲ってくる迷宮モンキーを倒しながら、周囲を警戒していた。
1時間後。
漸く追い付いた冒険者達が、俺達の前に姿を現した。
「痛い思いをしたくなかったら、大人しくマジックバッグと少女を渡せ!」
リーダーと思われる男が武器を向け脅してくる。
頭の悪そうな態度と台詞に、帝国人ではなく只の冒険者だと確信した。
しかも、マジックバッグ以外に少女を渡せときた。
4人の内、少女に見えるのは妻と雫の2人。
突然現れた冒険者に妻が警戒し、雫の姿を後ろに隠した。
「隠しても無駄だ。生きてダンジョンを出たいなら、素直に引き渡した方が賢明だぞ?」
欲しがっているのは雫の方か?
尚人が魔法を発動させる前に雫が付与魔石を握り締め、
「サンダーボルト!」
冒険者に向かって落雷を落とす。
あああぁ、それは幾らなんでも人に対して使っちゃ駄目なやつ!
雷を受け地面に倒れ伏した6人の冒険者はピクリとも動かない。
話を聞く必要があるのに死なれたら困ると、俺は息子と一緒に慌てて駆け寄った。
「尚人、全員生きてるか!?」
「感電してるから、どうかな……」
そう言いながら脈を取り、なんらかの治療を施している。
即死を免れても脳や内臓が損傷していそうだ。
6人全員を見終わった尚人から無事だと報告を受けたので、俺はガーグ老へ合図を送り犯人を身動き出来ない状態にするよう指示を出した。
影衆達は『迷彩』で姿を見せず、次々と犯人達を簀巻きにする。
見慣れているのか、妻が「妖精さんの仕業ね~」と言い手を叩く。
気絶したまま目を覚まさない犯人は邪魔だからと、結花がアイテムBOXに収納してしまった。
そして何事もないように、アメリカンチェリーの採取を再開する。
青い顔をしている息子とは対照的に、雫と妻は動じた様子がない。
王都のダンジョンは2人で攻略していたから、同じような事があったのかも知れないな。
冒険者に襲われたが、本人が撃退し俺の出番はなかった。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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魔法を掛けた途端、響の表情が変化し立ち上がり俺に近付き肩を抱く。
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「ヒルダ、会いたかった」
響は耳元で囁き更に力を込め、ぎゅうぎゅう抱き締めてくる。
魔法の効果で今の姿がヒルダに見えているのか?
「響、痛いって!」
手加減なしに抱き締められ、体が悲鳴を上げる。
「あぁ、すまない」
抗議した瞬間、響が腕を離し今度は俺の顎をクイっと持ち上げてきた。
何をしようとしているか分かり、キスされないよう両手で口を覆う。
突然、少女漫画のワンシーンを再現されるのは困る。
首を振って嫌がる素振りを見せると、響は残念そうに俺から離れた。
それからはダンジョンで襲われたダンクさん達の話をし、犯人について意見を交わす。
大型ダンジョン内で冒険者が同業者を襲うのは、リスクが高すぎる。
これが地方の地下10階程度のダンジョンなら、冒険者Lvも低く稼ぎが少ないので理解出来るが……。
「この件、アシュカナ帝国が関わっていると思うか?」
「可能性として、ないとは言えないな。摩天楼のダンジョンでは、呪具の設置が失敗したばかりだ。当然、次の手を打ってくるだろう」
真剣な表情で話す響だったが、片手はしっかり俺の手に指を絡め握っている。
親友と恋人繋ぎをしながら会話を続けるのに、げっそりしながら口を開いた。
「なら、娘を直接狙う冒険者が出てくるかも知れないよな。『万象』達に警戒を強めるよう言っておくか……」
「まぁ普通の冒険者相手なら、沙良の傍を離れない茜が後れを取る事はないだろう」
確かに、響よりLvの高い茜ちゃんが姉を危険に晒すとは思えない。
ダンクさんのパーティーが襲われたと知り、彼女も注意するだろうし。
勘定を済ませ居酒屋を出ると、
「しっかり掴まってろ」
そう言った響に片腕で抱き寄せられ体が浮く。
そのまま飛翔魔法を使用して空高く飛び上がった。
どうやら空中散歩がしたいらしい。
いや、俺も自分で飛べるけどな!
魅惑魔法を掛けられている間、響は俺となるべく一緒にいたいんだろう。
魔法の効果を調べる必要があるので、もう少し付き合うか。
上を見上げると満天の星が輝いている。
ホーム内は入れる店以外、灯りが付いてないから田舎のように綺麗に見えた。
10分くらい散歩をし、自宅前で降ろされる。
帰り際、右頬に軽くキスされたのは忘れよう。
翌日、金曜日。
ダンクさんのパーティーは予定を繰り上げ、これから地上に帰還すると言う。
茜ちゃんの従魔達がしているポシェットの刺繍に気付き、苦笑している。
黒豹と似ても似つかない可愛い猫のキャラを見比べ、娘が独特のセンスをしていると思ったようだ。
この有名キャラクターを知らなければ、そう思うのも無理はない。
安全地帯を出て、いつもの果物採取へ向かおうとした時、念話の魔道具にガーグ老から連絡が入った。
『姫様。後を付いてくる6人の冒険者がおるようだ』
『そうですか、連絡ありがとう』
早速、4人パーティーの俺達は目を付けられたらしい。
うちの家族は2人アイテムBOX持ちがいるから、マジックバッグはダミー用だ。
俺の腕輪がマジックバッグになっているのは気付けないだろうし。
盗まれたところで痛くもないが、高い金額を払って購入した妻の怒り狂う姿が目に浮かぶ。
事前に対処しよう……。
何も知らない雫がアレクに乗り、森の中をぴょんぴょん移動する。
お目当ての果物が生っている木の下に辿り着き、アメリカンチェリーを楽しそうに採取し出す。
後を付いてきた冒険者達は騎獣の移動速度についてこれず、まだ姿を現さない。
俺は襲ってくる迷宮モンキーを倒しながら、周囲を警戒していた。
1時間後。
漸く追い付いた冒険者達が、俺達の前に姿を現した。
「痛い思いをしたくなかったら、大人しくマジックバッグと少女を渡せ!」
リーダーと思われる男が武器を向け脅してくる。
頭の悪そうな態度と台詞に、帝国人ではなく只の冒険者だと確信した。
しかも、マジックバッグ以外に少女を渡せときた。
4人の内、少女に見えるのは妻と雫の2人。
突然現れた冒険者に妻が警戒し、雫の姿を後ろに隠した。
「隠しても無駄だ。生きてダンジョンを出たいなら、素直に引き渡した方が賢明だぞ?」
欲しがっているのは雫の方か?
尚人が魔法を発動させる前に雫が付与魔石を握り締め、
「サンダーボルト!」
冒険者に向かって落雷を落とす。
あああぁ、それは幾らなんでも人に対して使っちゃ駄目なやつ!
雷を受け地面に倒れ伏した6人の冒険者はピクリとも動かない。
話を聞く必要があるのに死なれたら困ると、俺は息子と一緒に慌てて駆け寄った。
「尚人、全員生きてるか!?」
「感電してるから、どうかな……」
そう言いながら脈を取り、なんらかの治療を施している。
即死を免れても脳や内臓が損傷していそうだ。
6人全員を見終わった尚人から無事だと報告を受けたので、俺はガーグ老へ合図を送り犯人を身動き出来ない状態にするよう指示を出した。
影衆達は『迷彩』で姿を見せず、次々と犯人達を簀巻きにする。
見慣れているのか、妻が「妖精さんの仕業ね~」と言い手を叩く。
気絶したまま目を覚まさない犯人は邪魔だからと、結花がアイテムBOXに収納してしまった。
そして何事もないように、アメリカンチェリーの採取を再開する。
青い顔をしている息子とは対照的に、雫と妻は動じた様子がない。
王都のダンジョンは2人で攻略していたから、同じような事があったのかも知れないな。
冒険者に襲われたが、本人が撃退し俺の出番はなかった。
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