上 下
606 / 709
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第739話 旭 樹 再召喚 33 襲われたダンクさんのパーティー

しおりを挟む
 年内最後の投稿です。
 今年一年、読んで下さりありがとうございます(≧▽≦)
 1月1日~1月4日は、お休みを頂きますので次回の更新は1月5日になります。
 とはいえ何も更新しないのは寂しいため期間限定で、お蔵入り状態の旭の話をUPします!
 こちらは1月5日24時に削除する予定なので、見つけた方はラッキーかも?

 それでは、皆さま良いお年をお迎え下さい。
 来年も、よろしくお願い致します。 
 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 3時間後、昼食を食べにホームへ戻る。
 食事の最中、しずくが付与魔石の魔法を使用した事を興奮気味に話し出した。

「沙良お姉ちゃん、もう本当にすごかったの。ピカって光ったあと、空から雷が落ちてきたんだよ!」

 聞いていたひびきが、溜息を吐き俺をあきれた目で見る。
 し、仕方ないんだよ!
 付与魔法は、習得した魔法Lvしか付与出来ないんだから……。

「雫、回数が少ない魔法はあまり使用しない方がいい。少し、効果が高いかも知れないからな」
 
 一応、息子にも言われたし使用は控えるよう注意しておいた。

「え~、私も皆と同じ魔法を使いたいよ!」

 付与魔石を安易に使用するなと言われた雫は、当然不満顔をして抗議する。

「魔物の損傷が激しいと、換金額が下がるぞ?」

「あら、それは駄目よ。雫、お父さんの言う事を聞いた方がいいわ」

 妻にまで駄目出しされた娘は、完全に不貞腐ふてくされプイッと横を向いてしまった。
 そんな雫に、沙良ちゃんがフォローのためかケーキを出している。
 自分だけデザートを貰えたので、少し機嫌を直したようだ。

 午後から2回の攻略を終え安全地帯へ戻ると、テント前にダンクさんパーティーが運ばれていた。
 それを見た結花ゆかが急いで治療を始める。
 パーティー全員が怪我をするなんて、何が起きたんだ?
 俺もヒールは使用出来るが、治癒術師が何人もいるのは不自然なので手を出せない。
 賢也けんや君達がくるのを待つしかないな。

 妻が治療を始めて5分後、沙良ちゃん達も安全地帯に戻ってきた。
 テント前に怪我人が複数いるのを知り、賢也君と尚人なおとが駆け寄ってくる。
 2人は医者の顔になると、怪我人の状態を素早く確認し対応に当たった。
 リーダーのダンクさんは意識がない。
 その間に、沙良ちゃんが軽傷なリリーさんへポーション掛け状況を聞き出している。

「突然、見た事のない冒険者達が襲ってきたんです。相手は12人だったから、人数が多くマジックバッグを盗られてしまい、治療出来ずに安全地帯へ戻ってきました。リーダーは私達を逃がそうと最後尾に付いていたんですが、毒矢を受け意識がない状態に……」

 ダンジョンで冒険者が襲ってきただと?
 バレたら冒険者資格を失うどころか、処罰されるのに?
 沙良ちゃんが、話を聞いて『毒消しポーション』を取り出した。
 ダンクさんに飲ませるためだろうが相手は意識がない。
 何をしようとしているか気付き止めようとした時には、響が娘から取り上げ『毒消しポーション』を口に含み、ダンクさんへ口移しで飲ませていた。
 良かった……、治療行為と分かっていても娘が男性とキスする場面は見たくない。
 直ぐに毒消しの効果が表れたダンクさんが意識を取り戻し、自分が口を塞がれた状態で相手が誰か確認した瞬間にね起きた。

「あ~出来れば治療のお礼は、お金だけにしてほしい」

 言われた響は怪訝けげんそうな顔をして意味が分かった瞬間、渋面じゅうめんになる。
 まぁ、そんなお礼は受け取りたくないだろうな。
 
「ダンクさん。父に、お礼は必要ありません」

 娘が苦笑しながら言うとダンクさんは、ほっと安心した表情を見せた。
 この治療のお礼ってやつは、同性間でも成立するのか……。
 俺はヒールが使えない事にした方が良さそうだ。
 今まで尚人は大丈夫だったか、少し心配になってしまう。
 背が低く可愛らしい容姿の息子は、男性冒険者に言い寄られたりしてないだろうか?
 賢也君と結婚してるから大丈夫だよな……。
 パーティー全員の治療が済むと、ダンクさんが頭を下げ娘にお礼を言う。

「悪い、マジックバッグを盗られたから手元に金がないんだ。治療代は地上へ帰還した後でいいか?」

「ええ、いつでも大丈夫ですよ。それより大変でしたね。犯人達を捕まえないと!」

「迷宮都市に他領の人間が来ていたのは知っていたが、直接襲ってくるとはな。やるなら、『MAXポーション』の転売くらいかと思ってたよ。サラちゃん達も気をつけるんだ」

「はい、うちは大人数パーティーだから問題ありません。襲ってきたら返り討ちにしてやります」

「まぁ、従魔が15匹もいるパーティーを襲おうとは思わないだろうがな」

 従魔がいるだけで、テイムする技量があると相手は知る。
 魅了みりょう魔法でテイムしたとは分からないだろう。
 普通は戦力の差を考え襲おうとはしないはずだ。 
 
「ダンク、クラン内に通達を出すよ。同じ冒険者を襲うなんて、どこから来たやつらだろうね。早く捕まえないと、落ち落ちダンジョン攻略も出来やしない。ギルドに報告も入れた方がいいね」

 話を聞いたアマンダ嬢が真剣な顔をして割り込んできた。
 メンバーの護衛達がピリピリしているな。
 王族である彼女が襲われるのを危惧きぐしているようだ。
 
「あぁ、顔はバッチリ覚えている。明日、帰還したらギルドに人相書きを作成してもらう心算つもりだ」

 荷物を盗まれたダンクさんのために、沙良ちゃんが必要な物を詰めたマジックバッグを手渡していた。

「サラちゃん、悪いな助かるよ。マジックバッグを取り返したら、ちゃんとお礼をするから待っててくれ」

「ダンクさん、中身はもうないかも知れませんよ?」

「サラちゃん達と階層の移動を続けたお陰で、かなり稼いだから使用者登録付きのマジックバッグを購入したんだ。今頃、犯人達は盗んだマジックバッグから何も取り出せず悔しがっているだろうさ。使用者登録の解除は、ちゃんとした理由がない限り頼めないしな。既に使用者登録してあるマジックバッグは売れないから、犯人にしてみれば只の荷物だ。その辺に捨てているかも知れないが、魔法士が探せば見付かるから安心していい」

 使用者登録付きのマジックバッグなんかあるのか。
 俺が空間魔法で作るのには付いてない。
 まぁ、持っているのはほとんど従魔達だから盗まれる心配はないだろう。
 何もなくなってしまったダンクさんのパーティーに、娘がアイテムBOXから作り置きしたチーズハンバーガーセットを出し渡していた。
 おおっ、美味しそうだな~。
 俺達も同じメニューかと期待したら違っている。
 今日のメインはミートパスタらしく、響が残念そうな顔をしていた。

 夕食後。
 尚人が人魚姫役をすると知った茜ちゃんは、息子の演技を見て大笑いしていた。
 本人も恥ずかしがっているから、そんなに笑ってやるなよ。
 彼女は息子が嫌いなのか? 
 一緒に空手を習っていたので、子供の頃は好きだと思っていた。
 息子より強くなり、姉のボディーガードは絶対に譲らなかったけど……。
 劇の稽古が終了するまで見学し、俺達はホームへ戻った。
 響に視線を送り居酒屋で待っていると伝える。
 昨日掛けた魅惑魔法の効果は切れたようだから、今夜も試してみよう。
 今朝確認するとLv2に変化していたので、もう少し強い効果が出るんじゃないかと期待していた。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 ------------------------------------- 
しおりを挟む
感想 2,333

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。