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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第728話 旭 樹 再召喚 22 ヒールの習得&バイクのプレゼント

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 劇の稽古が終ったあと、妻に美容効果が追加されたポーションを手渡した。
 
「あ~、胸はマッサージした方がいいらしい」

 効果を高めるため、精霊王からアドバイスされた刺激・・を実践してもらおうとそう伝えておく。
 妻はやる気に満ちた目でポーションを飲み干し、胸をみ始める。
 いや、そんなサービスは嬉しいが今は勘弁してほしい……。
 俺は、そそくさとその場を抜け出し風呂に入った。

 翌日、火曜日。
 ホーム内での昼食時、沙良ちゃんから従魔が新しく光魔法を覚えたと聞かされた。
 テイムLvが上がれば従魔達は種族特性にちなんだ魔法を習得していくが、蜂の魔物に光魔法の適正はあっただろうか?
 ハニーからヒールを受け俺も光魔法を覚える。
 回復魔法を使える人数が、パーティーの半分を超える冒険者なんていない。
 俺達は安全に関し、どのパーティーよりも恵まれていそうだな。

 しかし、この魔法もしずくは習得出来ないため寂しそうにしていた。
 覚えた魔法以外に使える方法は何かないか?
 雫だけ皆と差がある状態は可哀想かわいそうだ。
 その日の夜。
 ひびきに沙良ちゃんが癒し草と魔力草へヒールを掛けたら、花が咲いたと聞かされた。
 娘の魔法はどうなってるんだ?
 テイム魔法もそうだが光魔法の効果は更におかしい。

 咲いた花はエリクサーの原料になるため、これも秘密にする必要がある。
 怪我人の治療をするのはまずいと考えた娘は、ヒールのLv上げを薬草に掛けてしようと思ったらしい。
 俺は響と一緒に溜息を吐いた。
 巫女姫の能力は予想以上に多いのか……。

 その後は問題なくダンジョン攻略をし、冒険者ギルドで換金を行う。
 ハニー達が採取した薬草の量が心配だった俺は、娘達が解体場へ行っている間にギルドマスターと面会し、もし保管場所に困るようなら直接薬師ギルドへ卸すよう提案した。
 彼女は俺からの言葉を聞き恐縮していたが、もし想定量を超えるようなら、そのようにさせていただきますと頭を下げる。
 まあ、確実にギルドの想定量を超えるだろう。
 何せ渡したマジックバッグは容量が70㎥の物だ。

 土曜日は響に呼び出され、バイク屋へ向かった。
 店内に入ると乗るならどれがいいと聞かれたので、大型の〇-レーを迷わず選ぶ。
 何だ? 買ってくれるのか?
 そう思っている間に、響が電子メニューを操作し会計を済ませる。

「剣のお礼だ」

「えっ!? 本当にいいのか? お前だって、隠れ家を購入してくれていたのに……」

「あれは第二王妃の予算で買った物だから、プレゼントじゃない。バイクに乗りたがっていただろう? 実は俺に息子が〇-レーを購入してくれたんだ。いつかツーリングに行こう」

 20歳で結婚した俺達は直ぐに子供が出来たため、車以外でバイクを持つ余裕がなかった。
 結婚する前、バイクに乗っていた話を覚えていたのか……。
 親友の記憶力の良さを感心すると同時に、さりげなくプレゼントを贈る行為こういに照れてしまう。
 
「あっ、ありがとう!」

「俺も、この剣は気に入ってるよ。ところでいつき、シュウゲンさんに何を約束したんだ?」

「えっ、今それ聞いちゃう?」

 人が感動しているのに、突然水を差すなんて空気が読めない男だな。

「お前、結婚式当日には女性化するんだろう? ヒルダとバレたら、お礼をどうする心算つもりだ」

 懸念けねん事項を言い当てられ、俺は躊躇ためらいがちに口を開く。

「いや、大したお礼じゃないんだけど……。こう何ていうか、男のロマン的な? 顔を……」

「顔を?」

「胸で挟むみたいな……?」

 言葉で予想出来たのか響は盛大に顔をしかめた。 
 次に俺をあきれた顔で見る。

「お前は……、人妻の自覚が足りない! どう考えても、お礼にしてはやり過ぎだ!」

「あの爺さん、武器を作るのしぶってたんだよ。それくらいで気分良く作ってもらえるなら安いもんだろう? まさか、義祖父の関係になるとは思わないし……」

「300年も忘れず、お礼を楽しみに待ってる人だぞ? 俺の妻だったとは言えないから、自分でなんとかしろよ?」

「バレたら、その時は覚悟を決めるよ」

「義祖母には内緒にしておけ」

「うっ……了解」 

 プレゼントされたバイクを腕輪に収納し店を出る。
 感謝の気持ちが半減し足取りが重くなった。
 響が飛翔魔法の練習をすると言うから、一緒に付き合う事にする。
 この魔法は、なるべく早めにLvを上げた方がいいだろう。
 移動手段が多いに越したことはない。
 
 俺達が空を飛んでいると、何かがすごい勢いで近付いてくる。
 ホーム内には俺達以外、誰もいないはずなんだよな?
 警戒し一瞬体を緊張させると、見えてきたのはセイさんだった。
 流石さすが、元竜族! 飛翔魔法は練習の必要もないくらい完璧だ。
 お手本のような速度で俺達を抜き去っていく。

「ありゃ、Lvとか関係ないな。元の種族特性が活かされてるんだろう。セイさんは、明日の武術稽古に来るのか?」

「妻以外、メンバーは全員参加だ。俺は魔法を使用した所しか見てない」

「竜族なら強そうだし、明日が楽しみだなぁ」

 お昼前まで練習し、自宅に戻って妻の手料理を食べる。
 結花ゆか、麻婆豆腐に何を入れた? 辛すぎて目に染みるんだが……。
 雫が涙目になりながら麻婆豆腐を完食し、さっさとダンジョンで採取した果物を食べている。
 俺も沙良ちゃんからもらったという桃にかぶりついたが、舌がしびれて味が分からなかった。

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