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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第695話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階)・王都の王宮へ
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2回の攻略後。
シュウゲンさんをホームの実家へ送り、迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯に戻る。
夕食の準備をしていると、ダンクさんが治療代と貸したマジックバッグを渡しにきた。
「サラちゃん、遅くなったけど治療代とマジックバッグに入っていた物の代金だ。本当に助かったよ」
「いいえ。困った時はお互い様ですから、お役に立ったなら良かったです。それより、マジックバッグは何処にあったんですか?」
「あぁ、それが……。連中、使えもしないマジックバッグを後生大事に持ってたんだ。使用者登録を解除して転売する心算だったらしい。他国の冒険者は、使用者登録の解除が簡単に出来ない事を知らなかったんだろう。カルドサリ王国では、許可なく使用者登録の解除をするのは違法なんだ。バレたらあの世いきだしな。こちらは、探す手間が省けた」
使用者登録はセキュリティーも兼ねている。
マジックバッグやマジックテント、家の鍵が開けられると思えば重罪に値するんだろう。
「ダンクさんを襲った犯人は、他国の人だったんですね。やっぱり、あの噂を聞いてきたんですか?」
「みたいだな。ギルマスから話を聞いたが、サラちゃんとこのメンバーも襲われたそうじゃないか。迷宮都市にいる少女だと、かなり限定されるから注意しろよ」
ダンクさんは最後にそう言い、メンバーの下へ戻った。
噂を聞いて他国からくる冒険者の数は、予想より多いのかも知れないな。
ダンクさん達を襲ったのは12人。
雫ちゃんを狙ったのは6人で、18人が刑に処されている。
誓約書へ署名した通り、実刑を受けた冒険者がいると分かれば安易な行動はしないと思うけど……。
こればかりは、欲に取り付かれた人間がどう考えるか分からない。
安心するのは早いかも……、暫くは奏伯父さんに雫ちゃんを任せよう。
夕食は、ハイオーク肉を使用した『串カツ』を揚げ『豚汁』を作る。
そろそろ味噌も解禁しよう。
ダンクさんとアマンダさんのパーティーは、『コロッケ』を薄く切ったパンに挟んだものと『スープ』のようだ。
千切りキャベツを入れソースで味付けしてある。
夕食を食べ始めると、ダンクさんが『豚汁』に興味を示した。
「サラちゃん。変わった色のスープだな。それは『シチュー』とは違うのか?」
「えぇ、これは『豚汁』です。飲んでみます?」
ダンクさんへ大量に作った『豚汁』をよそい、渡してあげる。
「おお! これは、なんだかほっとする味がする。どうせまた秘伝だろ?」
「はい、秘伝ですね~」
にっこり笑って答えると、ダンクさんが苦笑していた。
私が作る不思議な食べ物は大抵秘伝で片が付く。
冒険者達も店のオーナーだと知っているから、それ以上聞いてこない。
デザートの梨を2個ずつ渡し、食べ終わったら劇の稽古に参加。
サイズ直しをした衣装をアマンダさんに試着してもらい、残りの小人? 役の衣装も渡した。
1週間後に迫った発表に、どちらのパーティーも熱が入っている。
月曜日から、私の睡眠不足は避けられないらしい。
旭へ人魚姫役をお願いしたダンクさんが、心配になったのか衣装を着て見せてほしいと言う。
それを聞いた旭が嫌がり首をふるふると横に振っていたけど、雫ちゃんとお母さんに懇願され渋々テントへ入っていった。
樹おじさんが衣装に着替えた息子を抱いてテントから出てくると、冒険者達から歓声が上がる。
「お兄ちゃん、可愛い~!」
雫ちゃんは目をキラキラさせて、拍手を送っていた。
「やっぱり、似合うと思ったのよ!」
雫ちゃんのお母さんは人魚姫姿の息子を見て、うんうんと頷いている。
それを見た樹おじさんは、微妙な顔をしていたけどね。
「これは拙くないか?」
ダンクさんは旭の姿を見ると、心配そうに兄へ視線を向ける。
そして何かを耳打ちしていた。
兄はダンクさんから言われた内容を否定するように笑い、問題ないと答えているみたい。
皆に見られて恥ずかしそうな旭へ、樹おじさんが少々呆れた表情で口を開く。
「それにしても、お前。胸へ何をこんなに詰め込んだんだ?」
そう言いながら、ごく自然に胸を揉んだので冒険者達がギョッとなった。
樹おじさんにとっては、息子の偽乳をただ触っただけの行為だけど……。
旭は雫ちゃんとお母さんの兄で、樹おじさんは妹の夫という立場だ。
義理の兄へ対し、それは行き過ぎた行為に感じらたのだろう。
樹おじさんは、すっかり設定を忘れてしまっているようだ。
父が、慌てて止めに入る。
旭家はややこしい関係になっているから、気をつけて下さいね。
衣装のお披露目が済んだ後は、普段通り稽古を再開し寝落ち寸前の旭を兄が抱き抱え家まで運んだ。
その後5日間、何事もなく攻略は終了。
冒険者ギルドで換金しホームの自宅に戻る。
土曜日。
奏屋で果物を卸した後、雫ちゃんのお母さんを連れ薬師ギルドへ。
マジックバッグを3個用意したゼリアさんは、経費が嵩むのぅと呟いていた。
その甲斐あってか、ハニー達が採取した薬草は全て換金済み。
薬草だけで、かなりの金額になった。
午後からは、奏伯父さんにお願いされ王都へ向かう予定。
王宮へいきたいそうだ。
迷宮都市しか知らない茜も一緒に連れていこう。
何故か、父と樹おじさんも王都へいきたいらしい。
2人は別行動すると言い3時間後、冒険者ギルドで待ち合わせる事にした。
「伯父さん、王宮へは直ぐに入れるの?」
「貴族の身分証があれば問題ない。王に謁見する訳じゃないからな。少し、王族の肖像画を見てくるだけだ」
「エルフの第二王妃だった方?」
「あぁ、少し気になる」
「リーシャに似てるらしいよ?」
「確かめてみよう。2人は、付き添いという事にすれば一緒に入れるから心配いらない」
公爵令嬢であるリーシャの顔を知っている人間は、王宮内にいないだろう。
彼女は、12歳までお茶会に参加した経験がない。
魔法学校にも通っていないから、知り合いが誰もいないのだ。
茜と2人、奏伯父さんの後を付いて王宮の門を潜る。
門を通る際、貴族の身分証であるカードを見せていた。
これも魔道具なのだろう。
偽造出来ないようになっているらしい。
王都から見えていた王宮は、かなり大きかった。
ただ日本のお城のように襲撃へ備えた作りはしておらず、高い塀も堀もない。
魔法のある世界だから、何か違う細工が施してあるのかな?
目に見えない結界とか?
中に入ると、最初に目につくのは広々とした庭園。
次に映るのは沢山の建物だった。
一番奥にある大きく豪華な建物が、王族の住んでいる場所だろう。
王宮内には、貴族の服装をした人々や騎士が多くいる。
その中でも一際目立つ恰好をした一団とすれ違った。
純白のマントを着たその人達は、宮廷魔術師だと伯父さんが教えてくれる。
そのまま通り過ぎようとした所で声を掛けられた。
「お待ち下さい。少し話を伺いたいわ」
そう口にしたのは、綺麗な容姿をした女性だった。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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夕食の準備をしていると、ダンクさんが治療代と貸したマジックバッグを渡しにきた。
「サラちゃん、遅くなったけど治療代とマジックバッグに入っていた物の代金だ。本当に助かったよ」
「いいえ。困った時はお互い様ですから、お役に立ったなら良かったです。それより、マジックバッグは何処にあったんですか?」
「あぁ、それが……。連中、使えもしないマジックバッグを後生大事に持ってたんだ。使用者登録を解除して転売する心算だったらしい。他国の冒険者は、使用者登録の解除が簡単に出来ない事を知らなかったんだろう。カルドサリ王国では、許可なく使用者登録の解除をするのは違法なんだ。バレたらあの世いきだしな。こちらは、探す手間が省けた」
使用者登録はセキュリティーも兼ねている。
マジックバッグやマジックテント、家の鍵が開けられると思えば重罪に値するんだろう。
「ダンクさんを襲った犯人は、他国の人だったんですね。やっぱり、あの噂を聞いてきたんですか?」
「みたいだな。ギルマスから話を聞いたが、サラちゃんとこのメンバーも襲われたそうじゃないか。迷宮都市にいる少女だと、かなり限定されるから注意しろよ」
ダンクさんは最後にそう言い、メンバーの下へ戻った。
噂を聞いて他国からくる冒険者の数は、予想より多いのかも知れないな。
ダンクさん達を襲ったのは12人。
雫ちゃんを狙ったのは6人で、18人が刑に処されている。
誓約書へ署名した通り、実刑を受けた冒険者がいると分かれば安易な行動はしないと思うけど……。
こればかりは、欲に取り付かれた人間がどう考えるか分からない。
安心するのは早いかも……、暫くは奏伯父さんに雫ちゃんを任せよう。
夕食は、ハイオーク肉を使用した『串カツ』を揚げ『豚汁』を作る。
そろそろ味噌も解禁しよう。
ダンクさんとアマンダさんのパーティーは、『コロッケ』を薄く切ったパンに挟んだものと『スープ』のようだ。
千切りキャベツを入れソースで味付けしてある。
夕食を食べ始めると、ダンクさんが『豚汁』に興味を示した。
「サラちゃん。変わった色のスープだな。それは『シチュー』とは違うのか?」
「えぇ、これは『豚汁』です。飲んでみます?」
ダンクさんへ大量に作った『豚汁』をよそい、渡してあげる。
「おお! これは、なんだかほっとする味がする。どうせまた秘伝だろ?」
「はい、秘伝ですね~」
にっこり笑って答えると、ダンクさんが苦笑していた。
私が作る不思議な食べ物は大抵秘伝で片が付く。
冒険者達も店のオーナーだと知っているから、それ以上聞いてこない。
デザートの梨を2個ずつ渡し、食べ終わったら劇の稽古に参加。
サイズ直しをした衣装をアマンダさんに試着してもらい、残りの小人? 役の衣装も渡した。
1週間後に迫った発表に、どちらのパーティーも熱が入っている。
月曜日から、私の睡眠不足は避けられないらしい。
旭へ人魚姫役をお願いしたダンクさんが、心配になったのか衣装を着て見せてほしいと言う。
それを聞いた旭が嫌がり首をふるふると横に振っていたけど、雫ちゃんとお母さんに懇願され渋々テントへ入っていった。
樹おじさんが衣装に着替えた息子を抱いてテントから出てくると、冒険者達から歓声が上がる。
「お兄ちゃん、可愛い~!」
雫ちゃんは目をキラキラさせて、拍手を送っていた。
「やっぱり、似合うと思ったのよ!」
雫ちゃんのお母さんは人魚姫姿の息子を見て、うんうんと頷いている。
それを見た樹おじさんは、微妙な顔をしていたけどね。
「これは拙くないか?」
ダンクさんは旭の姿を見ると、心配そうに兄へ視線を向ける。
そして何かを耳打ちしていた。
兄はダンクさんから言われた内容を否定するように笑い、問題ないと答えているみたい。
皆に見られて恥ずかしそうな旭へ、樹おじさんが少々呆れた表情で口を開く。
「それにしても、お前。胸へ何をこんなに詰め込んだんだ?」
そう言いながら、ごく自然に胸を揉んだので冒険者達がギョッとなった。
樹おじさんにとっては、息子の偽乳をただ触っただけの行為だけど……。
旭は雫ちゃんとお母さんの兄で、樹おじさんは妹の夫という立場だ。
義理の兄へ対し、それは行き過ぎた行為に感じらたのだろう。
樹おじさんは、すっかり設定を忘れてしまっているようだ。
父が、慌てて止めに入る。
旭家はややこしい関係になっているから、気をつけて下さいね。
衣装のお披露目が済んだ後は、普段通り稽古を再開し寝落ち寸前の旭を兄が抱き抱え家まで運んだ。
その後5日間、何事もなく攻略は終了。
冒険者ギルドで換金しホームの自宅に戻る。
土曜日。
奏屋で果物を卸した後、雫ちゃんのお母さんを連れ薬師ギルドへ。
マジックバッグを3個用意したゼリアさんは、経費が嵩むのぅと呟いていた。
その甲斐あってか、ハニー達が採取した薬草は全て換金済み。
薬草だけで、かなりの金額になった。
午後からは、奏伯父さんにお願いされ王都へ向かう予定。
王宮へいきたいそうだ。
迷宮都市しか知らない茜も一緒に連れていこう。
何故か、父と樹おじさんも王都へいきたいらしい。
2人は別行動すると言い3時間後、冒険者ギルドで待ち合わせる事にした。
「伯父さん、王宮へは直ぐに入れるの?」
「貴族の身分証があれば問題ない。王に謁見する訳じゃないからな。少し、王族の肖像画を見てくるだけだ」
「エルフの第二王妃だった方?」
「あぁ、少し気になる」
「リーシャに似てるらしいよ?」
「確かめてみよう。2人は、付き添いという事にすれば一緒に入れるから心配いらない」
公爵令嬢であるリーシャの顔を知っている人間は、王宮内にいないだろう。
彼女は、12歳までお茶会に参加した経験がない。
魔法学校にも通っていないから、知り合いが誰もいないのだ。
茜と2人、奏伯父さんの後を付いて王宮の門を潜る。
門を通る際、貴族の身分証であるカードを見せていた。
これも魔道具なのだろう。
偽造出来ないようになっているらしい。
王都から見えていた王宮は、かなり大きかった。
ただ日本のお城のように襲撃へ備えた作りはしておらず、高い塀も堀もない。
魔法のある世界だから、何か違う細工が施してあるのかな?
目に見えない結界とか?
中に入ると、最初に目につくのは広々とした庭園。
次に映るのは沢山の建物だった。
一番奥にある大きく豪華な建物が、王族の住んでいる場所だろう。
王宮内には、貴族の服装をした人々や騎士が多くいる。
その中でも一際目立つ恰好をした一団とすれ違った。
純白のマントを着たその人達は、宮廷魔術師だと伯父さんが教えてくれる。
そのまま通り過ぎようとした所で声を掛けられた。
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