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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第666話 迷宮都市 地下15階&地下7階での槍術上げ&丸い玉の報告
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目を覚ますと私は自分のベッドで寝ていた。
意識を失った後、兄が寝室へ運んでくれたのだろう。
パジャマを着替え部屋から出て、トイレと洗顔を済ませリビングへ向かうと、竜の卵を尻尾に巻き付け寝そべっているシルバーがいた。
一晩中、卵を温めてくれた事にお礼を言い、卵をアイテムBOXへ収納する。
朝食の準備をしているところ、兄が部屋から出てきた。
寝違えでもしたのか両肩を大きく回し肩を叩いている。
「お兄ちゃん、おはよう。昨日はベッドに運んでくれてありがとね」
「あぁ沙良、おはよう。魔力を与えた後に意識を失うのは問題だな」
兄のために淹れたコーヒーを渡すと、そう言って顔を顰めた。
その後も、しきりに首を左右へ倒す仕草をする。
「首、どうかしたの?」
「あ~セイがな……」
と言ったきり黙ってしまう。
うん? セイさんが何?
途中で止められると気になるんですけど?
「……2人の寝相が悪くて大変だった」
夜中に蹴られでもしたの?
3人が、どの位置で寝たのか少し考えてみる。
兄は意外と嫉妬深いから、旭とセイさんを隣同士にはしないだろうな。
となると真ん中に兄、左右に旭とセイさんが寝た筈だ。
別々の布団を敷いても、旭は兄にくっついて眠ってそうね。
それはいつもの事だから、セイさんの寝相はかなり悪いらしい。
朝食が完成する頃、2人が起きてきた。
「沙良ちゃん、おはよ~。今日は和食だね~」
味噌汁と焼き魚の匂いで旭がメニューを当てる。
「沙良さん、おはようございます」
「2人とも、おはよう。昨日は良く眠れた?」
「……ええっと、はい」
セイさんは、兄の方をちらりと見て首を傾げ返事をした。
兄は黙ったまま何も言わず、旭は2人を見ながらニコニコ笑っている。
何だろう? セイさんとは、まだ会って1週間なのに3人はやけに仲がいいな。
朝食を食べたら冒険者の恰好に着替え、実家へ寄り父と一緒に異世界へ移転する。
数が欲しいため直接薬師ギルドへ行き、ポーションとハイエーテルを100個ずつ購入した。
月曜日、今日から5日間またダンジョン攻略。
地下11階で兄&フォレストと別れ、私達は地下11階から地下15階まで駆け抜けた。
安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。
地下14階のハニーの下に行きマジックバッグの中身を回収後、地下19階~21階のキングビー達からも回収。
73個のマジックバッグ分だ、かなりの量がある。
ゼリアさんがポーションの価格を検討すると言ってくれたから、卸す時が楽しみだ。
出来るだけ安くしてほしいな。
槍術Lvが10になり、地下10階まで討伐の許可をガーグ老が出してくれたから、今日は地下7階でミノタウロスの肉を狩ろう。
その前に地下16階の果物採取をして、地下7階へ移動する。
私はシルバーに騎乗したまま発見したミノタウロスへ接近し、浮遊魔法を使用して通常より高く飛び上がったシルバーのお陰で、すり抜けざまに首を槍で薙ぐ事が出来た。
背の低い私が短槍で大型魔物を倒すのは難しいため、従魔が浮遊魔法を習得してくれたのは非常に助かる。
首筋を切られ絶命したミノタウロスをアイテムBOXに収納し、その後も地下7階で槍のLv上げに励んだ。
3時間後、地下15階の安全地帯へ戻りテントからホーム内に移動する。
昨日実験した内容をメンバーへ伝えると、皆が唖然とした表情になり旭がぽつりと呟いた。
「それ、もうLv上げ必要ないじゃん……」
話を聞いた兄は何も言わず、父と一緒に部屋から出ていってしまった。
2人の事は気にせず、雫ちゃんに『MAXポーション』とハイエーテルが変化した玉を幾つか渡し舐めてもらう。
基礎値が12の雫ちゃんは、Lv40になってもHP/MPが492しかないのだ。
毎日1個ずつ摂取すれば30日後、HPが1,500、MPは3,000増えるので、私達とステータスの差がなくなるだろう。
値が増えると知った雫ちゃんは、かなり嬉しそうにしていた。
自分1人だけ低いステータスを気にしていたからね。
変化した玉も、飴みたいに甘くて美味しいと大満足のようだ。
10分後、兄と父が戻ってくる。
「沙良、その玉はパーティーメンバー以外へ絶対渡すなよ!」
兄から怖い顔で迫られ、思わずのけ反った。
もうほんと、近いからっ! 一瞬キスされるのかと焦ったよ!
リーシャの体でファーストキスが兄とか全然笑えない。
「雫ちゃん専用にするから大丈夫!」
そう宣言すると、奏伯父さんがおずおずと手を上げる。
「沙良ちゃん。俺にもくれないかい? 皆と違い、基礎値が15しかないんだよ」
あぁ奏伯父さんは転生組で貴族だから、15歳でLv上げをしたのか……。
転移者である娘の方が73と基礎値が高くなっているものね。
雫ちゃんと同じ2種類の玉を伯父さんに渡すと、それを見た父が何故か俺も欲しいと言い出した。
基礎値が78で一番高いのにどうして?
「お父さんには必要ないでしょ?」
「いや、樹との差が……」
樹おじさんと同じ年なのに何を言ってるんだろう。
しかもLv55でLv40のおじさんより高いのに……。
当然、却下すると父はシュンとなってしまった。
落ち込む理由が分からず樹おじさんの方を見ると、ニヤニヤと笑っている。
2人は親友同士で仲がいいけど、おじさんは少し意地悪そうな顔をしていた。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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意識を失った後、兄が寝室へ運んでくれたのだろう。
パジャマを着替え部屋から出て、トイレと洗顔を済ませリビングへ向かうと、竜の卵を尻尾に巻き付け寝そべっているシルバーがいた。
一晩中、卵を温めてくれた事にお礼を言い、卵をアイテムBOXへ収納する。
朝食の準備をしているところ、兄が部屋から出てきた。
寝違えでもしたのか両肩を大きく回し肩を叩いている。
「お兄ちゃん、おはよう。昨日はベッドに運んでくれてありがとね」
「あぁ沙良、おはよう。魔力を与えた後に意識を失うのは問題だな」
兄のために淹れたコーヒーを渡すと、そう言って顔を顰めた。
その後も、しきりに首を左右へ倒す仕草をする。
「首、どうかしたの?」
「あ~セイがな……」
と言ったきり黙ってしまう。
うん? セイさんが何?
途中で止められると気になるんですけど?
「……2人の寝相が悪くて大変だった」
夜中に蹴られでもしたの?
3人が、どの位置で寝たのか少し考えてみる。
兄は意外と嫉妬深いから、旭とセイさんを隣同士にはしないだろうな。
となると真ん中に兄、左右に旭とセイさんが寝た筈だ。
別々の布団を敷いても、旭は兄にくっついて眠ってそうね。
それはいつもの事だから、セイさんの寝相はかなり悪いらしい。
朝食が完成する頃、2人が起きてきた。
「沙良ちゃん、おはよ~。今日は和食だね~」
味噌汁と焼き魚の匂いで旭がメニューを当てる。
「沙良さん、おはようございます」
「2人とも、おはよう。昨日は良く眠れた?」
「……ええっと、はい」
セイさんは、兄の方をちらりと見て首を傾げ返事をした。
兄は黙ったまま何も言わず、旭は2人を見ながらニコニコ笑っている。
何だろう? セイさんとは、まだ会って1週間なのに3人はやけに仲がいいな。
朝食を食べたら冒険者の恰好に着替え、実家へ寄り父と一緒に異世界へ移転する。
数が欲しいため直接薬師ギルドへ行き、ポーションとハイエーテルを100個ずつ購入した。
月曜日、今日から5日間またダンジョン攻略。
地下11階で兄&フォレストと別れ、私達は地下11階から地下15階まで駆け抜けた。
安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。
地下14階のハニーの下に行きマジックバッグの中身を回収後、地下19階~21階のキングビー達からも回収。
73個のマジックバッグ分だ、かなりの量がある。
ゼリアさんがポーションの価格を検討すると言ってくれたから、卸す時が楽しみだ。
出来るだけ安くしてほしいな。
槍術Lvが10になり、地下10階まで討伐の許可をガーグ老が出してくれたから、今日は地下7階でミノタウロスの肉を狩ろう。
その前に地下16階の果物採取をして、地下7階へ移動する。
私はシルバーに騎乗したまま発見したミノタウロスへ接近し、浮遊魔法を使用して通常より高く飛び上がったシルバーのお陰で、すり抜けざまに首を槍で薙ぐ事が出来た。
背の低い私が短槍で大型魔物を倒すのは難しいため、従魔が浮遊魔法を習得してくれたのは非常に助かる。
首筋を切られ絶命したミノタウロスをアイテムBOXに収納し、その後も地下7階で槍のLv上げに励んだ。
3時間後、地下15階の安全地帯へ戻りテントからホーム内に移動する。
昨日実験した内容をメンバーへ伝えると、皆が唖然とした表情になり旭がぽつりと呟いた。
「それ、もうLv上げ必要ないじゃん……」
話を聞いた兄は何も言わず、父と一緒に部屋から出ていってしまった。
2人の事は気にせず、雫ちゃんに『MAXポーション』とハイエーテルが変化した玉を幾つか渡し舐めてもらう。
基礎値が12の雫ちゃんは、Lv40になってもHP/MPが492しかないのだ。
毎日1個ずつ摂取すれば30日後、HPが1,500、MPは3,000増えるので、私達とステータスの差がなくなるだろう。
値が増えると知った雫ちゃんは、かなり嬉しそうにしていた。
自分1人だけ低いステータスを気にしていたからね。
変化した玉も、飴みたいに甘くて美味しいと大満足のようだ。
10分後、兄と父が戻ってくる。
「沙良、その玉はパーティーメンバー以外へ絶対渡すなよ!」
兄から怖い顔で迫られ、思わずのけ反った。
もうほんと、近いからっ! 一瞬キスされるのかと焦ったよ!
リーシャの体でファーストキスが兄とか全然笑えない。
「雫ちゃん専用にするから大丈夫!」
そう宣言すると、奏伯父さんがおずおずと手を上げる。
「沙良ちゃん。俺にもくれないかい? 皆と違い、基礎値が15しかないんだよ」
あぁ奏伯父さんは転生組で貴族だから、15歳でLv上げをしたのか……。
転移者である娘の方が73と基礎値が高くなっているものね。
雫ちゃんと同じ2種類の玉を伯父さんに渡すと、それを見た父が何故か俺も欲しいと言い出した。
基礎値が78で一番高いのにどうして?
「お父さんには必要ないでしょ?」
「いや、樹との差が……」
樹おじさんと同じ年なのに何を言ってるんだろう。
しかもLv55でLv40のおじさんより高いのに……。
当然、却下すると父はシュンとなってしまった。
落ち込む理由が分からず樹おじさんの方を見ると、ニヤニヤと笑っている。
2人は親友同士で仲がいいけど、おじさんは少し意地悪そうな顔をしていた。
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