自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第656話 迷宮都市 セイさんのパーティー加入&地下15階&ハニー達の大移動

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 購入した生ズワイ蟹と生タラバ蟹を、アイテムBOXに登録し365個増やしておく。
 魔物の蟹は沢山あるけど、まだそのままの大きさでは使用出来ないからね。
 それぞれの蟹を食べやすいよう、ウィンドボールで殻を切る。
 トレントを加工したお陰か、ウィンドボールの精度が上がり使い勝手が良くなった。
 硬い食材なら包丁を使用するより簡単だ。
 後は刺身と蒸し蟹も作っておこう。
 蟹の刺身は甘くて美味しいし、蒸し蟹も蟹鍋とはまた違う味を楽しめる。
 私が蟹の準備をしている間、母はセイさんのために何品か料理を作っていた。

ひじりとの再会に乾杯!」

「乾杯~!」

 父が乾杯の音頭おんどを取り、母と私としずくちゃん以外はビールを飲み始める。
 セイさんは早速さっそく、蒸したタラバ蟹の足にかじりついていた。
 私はズワイ蟹の刺身から頂こう。  
 あ~、甘くて美味しいなぁ。
 お店では少しの量しか出てこないから、今日は一杯食べられるよう沢山準備してある。
 雫ちゃんはセイさんが食べているタラバ蟹の足が気になるらしく、気付いた旭が殻を外してあげていた。

 普段は兄の弟みたいだけど、雫ちゃんに対しては甲斐甲斐かいがいしく世話を焼いている。
 今は2歳しか違わないけど、年の離れた妹が可愛いのだろう。
 母親に至っては自分より年下になってしまったし。
 旭家は私が召喚したいつきおじさん以外、見た目年齢の差が激しい。

 父から親友の樹おじさんの妻が奏伯父さんの娘になっている事や、雫ちゃんと旭が実の子供だと説明を受け、セイさんは大仰おおぎょうに驚いてみせる。
 既に知っている内容だけど、ちゃんとリアクションし演技力を発揮してくれた。 
 皆が蟹鍋を楽しんだ後は雑炊でめる。
 やっぱり鍋の最後は雑炊だよね~。
 セイさんは雑炊を食べ、「お米が恋しかったんです」と満足そうに笑う。
 それからおもむろに話を切り出した。

「あの……、私も同じパーティーに入れてくれませんか? 摩天楼まてんろうのダンジョンで20年活動しSS級冒険者になっているから、足は引っ張らないと思います。正直、異世界の食事は合わなくて……」

 パーティー加入のお願いに父が答えようとした所、何故なぜか樹おじさんが勢いよく返事をする。

「うんうん、分かる! やっぱり日本人だと食事が大変だよなぁ~」

 いつきおじさんは、異世界の料理を一度も食べてないですよね?
 召喚後はホーム内で生活してるし、ダンジョン攻略中も私が料理を作っている。

「儂も小夜さよの作る日本食が恋しかった。その気持ちは、よう理解出来るわい。ひびき君、知り合いなら問題ないじゃろ。一緒にパーティーを組んであげなされ」
 
 祖父の擁護ようごもあり、心配していたセイさんのパーティー加入はあっさり決まった。
 実家を出る際、樹おじさんから渡していたポシェット52個を受け取る。
 やっとコロニー全体がマジックバッグを首に掛けて、薬草採取が出来るよ!

「娘が、そっくりに育って嬉しい~」

 酔っぱらっているのか、樹おじさんにぎゅうぎゅう抱き締められ私は窒息しそうだ。
 いやいや、リーシャの姿になっているから両親とはまったく似ていませんけど!?

「貴方の娘は、こっちです!」

 見ていた雫ちゃんのお母さんが、おじさんを引きがしてくれた。

「おおっ、雫は結花ゆかに似て可愛いなぁ~」 

 今度は雫ちゃんを抱き締めている。
 彼女はお酒の匂いをぷんぷんさせた父親に抱き着かれ、少々迷惑そうにしていた。
 今夜も兄達の家へ泊まると言うセイさんと一緒にマンションへ移動。
 そろそろセイさんの家を準備しないと……。
 
 月曜日。
 今日から5日間またダンジョン攻略。
 地下11・・階で兄&フォレストと別れ、私達は地下15階まで駆け抜けた。
 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
 アマンダさん・ダンクさんに新しいパーティーメンバーの紹介をする。
 セイさんはダンクさんがジョンさんの息子だと知り、「大人になったねぇ」としみじみ呟いていた。
 クランリーダーだったジョンさんの息子に会った事があるらしい。

「サラちゃんのパーティーはどんどん増えていくけど、今何人いるんだい?」

「母を入れて11人です」

 アマンダさんに聞かれ、冒険者は6人パーティーが基本だと思い出す。
 シュウゲンさんは迷宮都市のダンジョンを攻略しないので、メンバーには入れなかった。

「もう2パーティーにした方がいいんじゃないかい?」

 攻略の分配に関しては、それぞれおこなっているので問題ない。

「もう少し後に妹と弟達が合流する予定なので、その時考えます」
 
「サラちゃんには、お兄ちゃんの他にまだ下がいたのか!」

 ダンクさんが話を聞き驚いた顔になる。
 母は若く見られるので、妹と弟がいると知り信じられない様子だ。
 しかも今は妊娠中だしね。
 子供達に『木琴』を教えた話をし、これからは馬車で家まで送迎する事を伝えた。
 
「そりゃいいね、子供達も喜ぶだろう。サラちゃん、ありがとう!」

 アマンダさんは、庶民が高価な楽器を演奏出来る機会はないと分かっているからお礼を言う。

「もしかしたら将来、音楽家になるかも知れませんね~」

 本当に冒険者以外の道が開けるかも?
 貴族じゃないため宮廷演奏家にはなれなくても、音楽活動は可能だ。
 身分関係なく入れるような音楽ホールを建てれば、お金を取り演奏出来るだろう。
 そんな事を思いながら地下16階で果物採取をした後、地下19階のキングビー達をアイテムBOXに収納し、地下14階のハニーのもとへ行く。

 ハニーにコロニーを呼び出してもらい、21個のマジックバッグに入っている薬草をアイテムBOXへ入れ替え、36匹のキングビーを出し残りの52匹の首にポシェットを掛けてあげる。
 ふふふっ、これで72匹が効率よく薬草採取すればポーションの値段が下がり、子供達も購入しやすくなるよね!
 キングビー達を移動させようとした所、またシルバーが私の服を引っ張ってきた。
 前足でハニーを指し、次に地面へ丸い円を描き中心から縦横に線を引く。

 これは前回と同じ意味だろう。
 マジックバッグが増えたので、4階層に分かれて採取したいのかな?
 ハニーに尋ねると首を大きく上下に振られる。
 地下14階に18匹を残して54匹をアイテムBOXへ収納し、冒険者のいない地下19~21階に、それぞれ18匹ずつ移動させ薬草採取をお願いした。
 樹おじさんのLv上げ後に作製したマジックバッグは40㎥になっちゃったけど、1階層で採取出来る薬草の量は決まっているから無理じゃないよね?
 来週の月曜日が楽しみだ。

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