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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第633話 迷宮都市 樹おじさんの召喚 9 新しい魔物のテイムと従魔登録 

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 これから産科の勉強をすると言う兄と旭を先にホーム内へ送り、女性陣だけでダンジョンへ向かう。
 しずくちゃんのお母さんに、一応何の魔物をテイムする予定か聞くと案の定フォレストウサギだった。
 1匹だけ種類が違っていたら可哀想かわいそうだという理由らしい。
 せめてもう少し強い雪ウサギにしてあげたかったけど、摩天楼まてんろうのダンジョンに出現する魔物の従魔登録をする訳にはいかないだろう。
 地下14階で雫ちゃんのお母さんがフォレストウサギに魅了を掛ける。
 獰猛どうもうな魔物の顔付きが変化し、ヒョコヒョコと歩いてきた。
 まぁ、見ている分には可愛い魔物だよね。
 私は乗りたいと思わないけど……。

「貴方の名前は、ブラッディ・マリーよ!」

 また変わった名前を……。
 それはカクテルの名称ですよね?
 しかも呼びにくそうだ。

「お母さん、微妙に長いよ!」

 雫ちゃんが抗議する。

「じゃあ、呼ぶ時はマリーにしましょ」

 おすですけど……?
 そうしていつきおじさんの騎獣は、フォレストウサギのマリーに決まった。
 ダンジョンから出て冒険者ギルドへ。
 1匹増えたフォレストウサギを見て、受付嬢が「従魔登録ですね」とにこやかに言い会議室まで案内してくれる。
 会議室で待っていると、程なくしてオリビアさんが入ってきた。

「ええっと、今回はユカさんがテイムされたんですね。またウサギを……」

 増えた従魔を見て、オリビアさんの顔が引きっている。
 渡された首輪をマリーに着け、従魔登録の用紙を雫ちゃんのお母さんが記入後に返却した。

「これで3匹目……」

 そう呟くオリビアさんの表情は、疲労の色が濃い。
 疲れているようだったから、私はドライフルーツ入りのショートブレッドを渡してあげた。
 甘い物を食べ、疲れを癒して下さいね。
 冒険者ギルドを出て、ガーグ老の工房へ戻る。
 早速さっそく、雫ちゃんのお母さんが樹おじさんに従魔を紹介していた。

「俺の騎獣もウサギなの!?」

 体格の良い樹おじさんが、体長1mのフォレストウサギに乗る姿はシュールだ。
 でも地下14階の魔物で主人のLvが30あれば、成人男性でも問題なく乗せられる。
 くるときは、2人乗りしても大丈夫だったしね。

結花ゆか……。もっと格好いい魔物はいなかったのか?」

「あら、可愛い方がいいでしょ?」

「いや、俺は……」

 雫ちゃんお母さんの目が笑っていない事に気付き、樹おじさんが口籠くちごもる。
 妻の方が強いのは、どこの夫婦も同じらしい。

「あ~、マリーだっけ? これからよろしくな!」

 樹おじさんはあきらめたのか、マリーに挨拶し頭をポンポンとでた。
 両肩に乗っている2匹の白ふくろうも、マリーに向かい頭を上下させている。
 従魔同士は意志の疎通そつうが出来るんだろうか?
 ガーグ老とシュウゲンさんの対局がどうなったか聞くと、シュウゲンさんが3連勝中のようだ。
 そもそもイギリス人の祖父に将棋を教えたのは、シュウゲンさんだと聞いている。
 日本で亡くなるまで指導を受けていた祖父から、父も兄も将棋を習ったのだ。
 師匠には勝てないだろう。
  
 当然、父親から手ほどきを受けたかなで伯父さんも強い。
 父とは良い対戦相手だったようだ。
 樹おじさんは、まぁそこそこ強い感じだろうか?
 ガーグ老達は4人に一度も勝てず、うなっている。
 私は現在対局中の人達が終了するまで待ち、皆と一緒に家まで帰った。
 それからシュウゲンさんを王都に送り、ホーム内へ戻る。

 勉強中の兄達の邪魔をしないよう、夕食は片手で食べられるお握りを作り机の上に置いて部屋へ戻った。
 母の出産まであまり時間がないからか、2人は真剣な表情で参考資料を読んでいる。
 出産に備え万全な態勢でのぞんでほしい。
 旭、頑張ってね!

 月曜日。
 今日から5日間またダンジョン攻略。
 地下1階から地下11・・階の魔物から、樹おじさんに魔法を受けてもらう。
 最初、魔物から無防備な状態で魔法を受ける事に難色を示していたけど、奥さんから「怪我をしたら治療してあげるわよ!」と背中を叩かれ渋々しぶしぶ受けていた。
 ステータスを確認して魔法を習得出来たと分かったのに、ちっとも嬉しそうじゃないなぁ。

 ただコカトリスから石化魔法を習得した時と、リッチから闇魔法を習得した時は喜んでいた。
 その差が分からない。
 また、魅惑みわく魔法を覚えた時は悪そうな顔をしニヤリと笑っている。
 ええっと、悪い事には使用しないで下さいね?

 兄&フォレストと別れ、私達は再び地下11階から地下15階まで移動した。
 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。
 パーティーメンバーに旭のの旦那さんが加わると紹介する。
 アマンダさんとダンクさんが雫ちゃんのお母さんが既婚者である事に驚き、樹おじさんを見て年齢差に苦笑していた。
 増えた従魔を一緒に紹介すると、少し同情したような目を向けられる。
 乗り心地、悪そうだもんね~。

 旭家は4人で果物採取へ。
 樹おじさんは、ダンジョン攻略を楽しみにしていたのに果物採取をすると言われ、がっかりした表情を隠せないようだ。
 冒険者の仕事じゃないと叫んでいたけど奥さんから「何か問題が?」と言われ、すごすごと引き下がった。
 ダンジョン産の果物は甘くて美味しいし、王都では高級フルーツとして販売されている。
 毎日タダで収穫出来るなら、雫ちゃんもお母さんも採りたいだろう。

 私も地下16階の果物を収穫しよう。
 バナナは子供達に人気の果物だ。
 ダンジョン産の果物は1ヶ月程日持ちがするので、皮が黒くなったりもしない。
 ランダムに生るパイナップルも完熟状態で美味しいんだよね~。
 果物の収穫後、地下13階に移動しハニーから薬草の入ったマジックバッグを受け取る。
 あれ?
 しま模様の色が、クインビーとそっくりになっている。
 コロニーのキラービーも、キングビーに進化してるようだ。

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