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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第583話 迷宮都市 地下15階 『コロッケ』と『カレーうどん』

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 セイさんをホーム内のホテルへ送り、私達は迷宮都市のダンジョン地下15階の安全地帯へと戻る。
 テントからホームへ移動し休憩後、母と食事の準備開始。
 今日の夕食は、『コロッケ』と『カレーうどん』。
 店ではカレーを出せないけど、ダンジョン内で食べるのは解禁にしよう。
 自分達で食べる量なら、香辛料が沢山入った料理でも大丈夫。

 そろそろ主食である『うどん』の種類を増やしたい。
 『肉うどん』と『五目あんかけうどん』だけじゃ飽きるのだ。
 『カレーうどん』作りを母に任せ、私は『コロッケ』を作ろう。
 まずは、じゃが芋を皮付きのまま丸ごとでる。
 火が入るまでの間、玉ねぎをみじん切りにしフライパンでじっくりといためていく。
 しずくちゃんには、ミノタウロスの肉をミンサーで挽肉ひきにくにしてもらった。
 
 フライパンから玉ねぎを取り出し、挽肉の色が変わるまで炒めた後、玉ねぎを戻し入れ、塩・胡椒こしょうを加え混ぜ合わす。
 茹で上がったじゃが芋の皮をき木べらで潰し、炒めた玉ねぎと挽肉を加え全体を混ぜる。
 後は、適当なサイズに成型し衣を付けたら油で揚げるだけ。
 ダンクさんとアマンダさんのパーティー分も作ったので大量だ。

 母の作る『カレーうどん』の匂いが周囲に広がり始めた頃、私も『コロッケ』を揚げていく。
 揚げ立てを2パーティーへお裾分すそわけ。
 『フライドポテト』とは、また違うじゃが芋料理。
 気に入ってくれるかしら?

「お~何だこりゃ、サラちゃん。すげ~旨い!」

 とダンクさんが大絶賛。
 アマンダさんは、熱々の『コロッケ』を口に入れ黙々と食べ進める。

「じゃが芋を使用した『コロッケ』です。作り方は、また後で教えますね」

「あ~、1個じゃ足りね~。リリー、明日は『コロッケ』を沢山作ってくれよ!」

 じゃが芋好きなダンクさんが、早速さっそくリクエストしていた。
 私達の分も揚げ終わり、『カレーうどん』も完成。
 『コロッケ』を『カレーうどん』に載せるかは、各自の好みに任せよう。
 私は上へ載せ、衣がカレーの汁に浸った方が好き。

 少しカレーが続くけど、『カレーライス』と『カレーうどん』は別物だ。
 何なら、『ナン』と食べるインドカレーも違う。
 日本人はカレーが大好きだから、兄達は週2回出しても平気だろう。
 2パーティーのメニューは、スープに『うどん』を入れた物とミノタウロスのステーキだった。
 料理中の匂いが気になったのか、アマンダさんが『カレーうどん』に興味を示す。

「サラちゃん、今日の『うどん』は高そうだね。それを店で出すのは無理かい?」

 公爵令嬢のアマンダさんには、香辛料を使用したカレーが分かるのか高そうと言われてしまった。

「そうですね。少し原価が高いので、販売するとなると銀貨1枚(1万円)くらいになっちゃいます」

 なにせ胡椒こしょうが銀貨10枚(10万円)する世界だ。
 香辛料系は高いだろう。
 実際は日本のカレールーを使用しているから、広告品の100円だけどね。
 アパートの住人さんの家には、大抵カレールーの買い置きがあったため×365分ある。
 各メーカーが勢揃せいぞろいだ。
 兄のマンションに住んでいた人達の食料は、まだ確認していないけど物が違うような気がする。

「冒険者なら銀貨1枚くらい払って食べるだろうよ」

 話を聞いていたダンクさんが、そう言いながら笑う。
 まぁそうだろうけど、食べられない人がいるかも知れないから悩み所だ。
 庶民は食事に銀貨1枚を払えない。
 家族で食べにきていれば、子供が食べたいと言うかも知れないし……。
 『肉うどん店』は、高級料理を提供するお店じゃないから難しいなぁ。

 食後のデザートは、地下16階のランダムで生るパイナップルを出した。
 バナナも大きかったけど、こちらは更に大きい。
 50cmくらいあるだろうか?
 初めて見た冒険者達が、植物系の魔物と勘違いし後退あとずさった。
 確かに表面はうろこに見えない事もないか……。
 葉元と底面を切り落としたら、節ごとにちぎって食べられそう。

 これはスナックパインだね。
 非常に食べやすいので助かる。
 各パーティーへ1個渡し食べ方を教えると、恐る恐る口にしていた。
 それはただの果物ですよ~?
 少し見た目はアレですが……。

 ダンジョン産の果物は完熟しているため、果肉が柔らかく甘くて美味しい。
 このスナックパインは当たりだったな。
 いつもはリーダーのダンクさんへ遠慮しないメンバーも、この果物を食べるのには抵抗があったのか大人しくリーダーが口にするのを待ち、食べ始めたのに笑ってしまった。
 アマンダさんは、逆にケンさんへ先に食べさせている。
 各パーティーの特色が出て、面白い事になっていた。

「サラちゃん。この果物は何というの?」

 甘い物好きなリリーさんが、一口食べて笑顔になる。

「スナックパインです。地下16階にランダムで生る果物ですよ」

「まぁ、じゃあ貴重な物ね。とっても甘くて美味しいわ」

 地下16階の果物は、まだ奏屋かなでやに卸していないから販売価格は分からないけど、きっと高額商品になるだろう。
 雫ちゃんも初めて食べたのか、楽しそうに節からちぎり食べている。
 兄と旭は、手が汚れるのを嫌ったのか1個食べてから手を出さない。
 見ていた雫ちゃんが、旭の口元に持っていき食べさせてあげていた。
 まるでひなの餌やりのようね。

 その姿を冒険者達が微笑ましい様子で見た後、私の方へ視線を向ける。
 いえ、私は兄にしませんよ?
 兄も皆の前で、そんな事をされたら恥ずかしいだろう。
 期待を込めた目で見ないで下さい~!

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