上 下
469 / 754
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第559話 迷宮都市 地下15階 結婚式の相談

しおりを挟む
 食事が済んだらデザートの時間。
 今日は地下16階のバナナを2パーティーに渡す。

「サラちゃん。これは何という果物なんだい?」

 するとアマンダさんに、果物の名前を聞かれ驚いた。
 バナナを初めて見るらしい。

「これは、バナナという果物です。こうやって皮をき食べるんですよ~」

 私は食べ方をレクチャーする。
 知らなければ、そのまま食べてしまうかも知れないからね。
 それに逆側からは剥きづらいし……。

「へぇ~、手が汚れなくていいね。うん、なんかすごくもっちりして甘いよ!」

 今までの果物は水分が多目だったけど、バナナは単品で食べるよりお菓子の材料としても良い。
 チョコバナナクレープとか定番だ。
 チョコがなくても、クレープなら牛乳があれば作れるかも?
 今度、子供達に作ってあげよう!

「これは、食べやすくていいなぁ。しかも結構、腹がふくれそうだ」 
 
 とはダンクさん。
 男性冒険者には質より量なんだろう。
 そう、このバナナ。
 アイテムBOXから取り出して分かったんだけど、流石さすがダンジョン産で1本30cmくらいある。

 小さな子供達は、1本だけで1食になりそうな程大きい。
 私達のパーティーは、夕食後だったから半分に切って渡した。
 うちの家族は、食後のデザートにバナナを渡したら微妙な顔をしている。
 まぁ、夕食後に食べる果物ではないよね。
 どちらかというと、朝食に食べるイメージがある。
 しずくちゃんとお母さんは、異世界生活が長かった所為せいか喜んでくれたけど……。

 さて、私も食べてみよう。
 おおっ確かにアマンダさんの言う通り、もっちりして甘い!
 これは、1本で1,000円以上する高級バナナの味だね。
 普段スーパーで売っている物とは段違いに美味しいよ!
 ランダムで生るパイナップルにも期待出来そうだ。

 微妙な顔をしていた兄達も、一口食べると味の違いに気付いたらしく表情が変わった。
 父も母も感心したように食べている。
 バナナは房で生る果物のため、数が多く採れるから得した気分だ。
 パイナップルの方は30個しか採れないけど、今から食べるのが楽しみ~。
 あっ、そうだ結婚式の相談をしておこう。

「アマンダさん。結婚相手が決まったので、結婚式をいつ頃したらいいか相談に乗ってもらえませんか?」

 式は盛大に挙げる心算つもりだから周知の意味も含め、なるべく多くの人に参加してほしい。
 冒険者達はダンジョン攻略中、数ヶ月は地上に帰還しないのでタイミングを合わせる必要がある。
 私達みたいに毎週帰還するパーティーは皆無だ。

「おや、もう決まったのかい? 参考までに、相手の事を教えておくれ」

「え~っと家具職人をしている、かなり・・・年上の男性です。騎士をしていた人だから、狙われても返り討ちに出来る程強いですよ~」

「騎士出身だと、どこかの貴族だろうね。相手のご家族は了承済みかい?」

「はい、実は……その方には5人の息子さんがいるんです。私は4番目の妻になるみたいで……」

「それは……」

 と言ったきり、アマンダさんは絶句ぜっくし口をつぐんでしまう。
 初婚では確かに条件が最悪だけど、重要なのは偽装結婚と納得し自分の身を守れるだけの技量があるかどうかだ。

「まぁ、サラちゃんは子供が5人増えた所で今更問題ないだろう? 今も160人の子供達を面倒見ているようなもんだしな!」

 そうダンクさんが笑い飛ばした。
 いえもう息子さん達は全員成人済みで、私のお世話は必要ないみたいです。
 と言うか四男と五男に至っては、結婚相手のガーグ老と同じ年頃に見えますが……。

「そうだね、次に地上へ帰還するのは3ヶ月後だからその時にしよう。ダンクの所も同じだろう?」

「おお、俺のパーティーもサラちゃん達と攻略階層を合わせているからな。3ヶ月後なら丁度いい」

「なら決まりだね。クランメンバーにも、参加するよう声を掛けておくよ!」

 私の結婚式は3ヶ月後にあっさり決定した。
 アマンダさんのクランメンバーが全員出席したら、100人規模になるだろう。

「じゃあ、場所は私の家でしますね」

 150坪の広い庭とワンフロアーぶち抜きの1階があれば、収容人数には困らない。
 そういえば、いつも庭に移転するから家の中をまだ両親と雫ちゃん達に見せてなかったなぁ。
 ガーグ老達がちゃんとした家具職人だという証拠を、私の部屋にある家具を見せ分かってもらおう。
 とても、あんな繊細な装飾をほどこせるような人達には見えないけど……。

 各属性の精霊王の姿は、まるで美術品のように美しく彫り込まれている。
 天は二物を与えずと言うのに、ガーグ老達は武術と芸術の才能を持ち合わせた天才だった。
 きっと見たら父も驚くに違いない。
 でもあの天蓋てんがい付きのベッドは、横になると速攻そっこうで眠りに落ちてしまう不思議な効果がある。
 旭から、二度とベッドで眠らない方がいいと言われたような?
 不眠症の人には、おすすめのベッドだけどね~。

 その後、全員でテントに入りホームへ戻る。
 両親を実家へ送り、お風呂を済ませた兄達を再び安全地帯のテント内に送り届け私も就寝。
 あれ?
 昨日、買い物用に出した〇ンツを返してもらってないような……。
 それに、何を買ったのか母から聞いてない。
 いつもは購入した物を、お得に買えたと自慢げに見せてくるのに変だなぁ。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。

亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません! いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。 突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。 里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。 そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。 三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。 だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。 とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。 いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。 町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。 落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。 そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。 すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。 ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。 姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。 そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった…… これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。 ※ざまぁまで時間かかります。 ファンタジー部門ランキング一位 HOTランキング 一位 総合ランキング一位 ありがとうございます!

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。 他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。 その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。 教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。 まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。 シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。 ★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ) 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

【2話完結】両親が妹ばかり可愛がった結果、家は没落しました。

水垣するめ
恋愛
主人公、ウェンディ・モイヤーは妹のソーニャに虐められていた。 いつもソーニャに「虐められた!」と冤罪を着せられ、それを信じた両親に罰を与えられる。 ソーニャのことを溺愛していた両親にどれだけ自分は虐めていないのだ、と説明しても「嘘をつくな!」と信じて貰えなかった。 そして、ウェンディが十六歳になった頃。 ソーニャへの両親の贔屓はまだ続いていた。 それだけではなく、酷くなっていた。 ソーニャが欲しいと言われれば全て与えられ、ウェンディは姉だからと我慢させられる。 ソーニャは学園に通えたが、ウェンディは通わせて貰えなかったので、自分で勉強するしかなかった。 そしてソーニャは何かと理由をつけてウェンディから物を奪っていった。 それを父や母に訴えても「姉だから我慢しろ」と言われて、泣き寝入りするしかなかった。 驚いたことに、ソーニャのウェンディにしていることを虐めだとは認識していないようだった。 それどころか、「姉だから」という理由で全部無視された。 全部、ぜんぶ姉だから。 次第に私の部屋からはベットと机とソーニャが読むのを嫌った本以外には何も無くなった。 ソーニャのウェンディに対しての虐めは次第に加速していった。 そしてある日、ついに両親から「お前は勘当する!」と追放宣言をされる。 両親の後ろではソーニャが面白くて堪えられない、といった様子でウェンディが追放されるのを笑っていた。 あの空っぽの部屋を見てもまだウェンディがソーニャを虐めていると信じている両親を見て、この家にいても奪われ続けるだけだと悟ったウェンディは追放を受け入れる。 このモイヤー家に復讐すると誓って。

【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」

まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。 気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。 私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。 母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。 父を断罪できるチャンスは今しかない。 「お父様は悪くないの!  お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!  だからお父様はお母様に毒をもったの!  お願いお父様を捕まえないで!」 私は声の限りに叫んでいた。 心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 ※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※タイトル変更しました。 旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。