上 下
423 / 709
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第559話 迷宮都市 地下15階 結婚式の相談

しおりを挟む
 食事が済んだらデザートの時間。
 今日は地下16階のバナナを2パーティーに渡す。

「サラちゃん。これは何という果物なんだい?」

 するとアマンダさんに、果物の名前を聞かれ驚いた。
 バナナを初めて見るらしい。

「これは、バナナという果物です。こうやって皮をき食べるんですよ~」

 私は食べ方をレクチャーする。
 知らなければ、そのまま食べてしまうかも知れないからね。
 それに逆側からは剥きづらいし……。

「へぇ~、手が汚れなくていいね。うん、なんかすごくもっちりして甘いよ!」

 今までの果物は水分が多目だったけど、バナナは単品で食べるよりお菓子の材料としても良い。
 チョコバナナクレープとか定番だ。
 チョコがなくても、クレープなら牛乳があれば作れるかも?
 今度、子供達に作ってあげよう!

「これは、食べやすくていいなぁ。しかも結構、腹がふくれそうだ」 
 
 とはダンクさん。
 男性冒険者には質より量なんだろう。
 そう、このバナナ。
 アイテムBOXから取り出して分かったんだけど、流石さすがダンジョン産で1本30cmくらいある。

 小さな子供達は、1本だけで1食になりそうな程大きい。
 私達のパーティーは、夕食後だったから半分に切って渡した。
 うちの家族は、食後のデザートにバナナを渡したら微妙な顔をしている。
 まぁ、夕食後に食べる果物ではないよね。
 どちらかというと、朝食に食べるイメージがある。
 しずくちゃんとお母さんは、異世界生活が長かった所為せいか喜んでくれたけど……。

 さて、私も食べてみよう。
 おおっ確かにアマンダさんの言う通り、もっちりして甘い!
 これは、1本で1,000円以上する高級バナナの味だね。
 普段スーパーで売っている物とは段違いに美味しいよ!
 ランダムで生るパイナップルにも期待出来そうだ。

 微妙な顔をしていた兄達も、一口食べると味の違いに気付いたらしく表情が変わった。
 父も母も感心したように食べている。
 バナナは房で生る果物のため、数が多く採れるから得した気分だ。
 パイナップルの方は30個しか採れないけど、今から食べるのが楽しみ~。
 あっ、そうだ結婚式の相談をしておこう。

「アマンダさん。結婚相手が決まったので、結婚式をいつ頃したらいいか相談に乗ってもらえませんか?」

 式は盛大に挙げる心算つもりだから周知の意味も含め、なるべく多くの人に参加してほしい。
 冒険者達はダンジョン攻略中、数ヶ月は地上に帰還しないのでタイミングを合わせる必要がある。
 私達みたいに毎週帰還するパーティーは皆無だ。

「おや、もう決まったのかい? 参考までに、相手の事を教えておくれ」

「え~っと家具職人をしている、かなり・・・年上の男性です。騎士をしていた人だから、狙われても返り討ちに出来る程強いですよ~」

「騎士出身だと、どこかの貴族だろうね。相手のご家族は了承済みかい?」

「はい、実は……その方には5人の息子さんがいるんです。私は4番目の妻になるみたいで……」

「それは……」

 と言ったきり、アマンダさんは絶句ぜっくし口をつぐんでしまう。
 初婚では確かに条件が最悪だけど、重要なのは偽装結婚と納得し自分の身を守れるだけの技量があるかどうかだ。

「まぁ、サラちゃんは子供が5人増えた所で今更問題ないだろう? 今も160人の子供達を面倒見ているようなもんだしな!」

 そうダンクさんが笑い飛ばした。
 いえもう息子さん達は全員成人済みで、私のお世話は必要ないみたいです。
 と言うか四男と五男に至っては、結婚相手のガーグ老と同じ年頃に見えますが……。

「そうだね、次に地上へ帰還するのは3ヶ月後だからその時にしよう。ダンクの所も同じだろう?」

「おお、俺のパーティーもサラちゃん達と攻略階層を合わせているからな。3ヶ月後なら丁度いい」

「なら決まりだね。クランメンバーにも、参加するよう声を掛けておくよ!」

 私の結婚式は3ヶ月後にあっさり決定した。
 アマンダさんのクランメンバーが全員出席したら、100人規模になるだろう。

「じゃあ、場所は私の家でしますね」

 150坪の広い庭とワンフロアーぶち抜きの1階があれば、収容人数には困らない。
 そういえば、いつも庭に移転するから家の中をまだ両親と雫ちゃん達に見せてなかったなぁ。
 ガーグ老達がちゃんとした家具職人だという証拠を、私の部屋にある家具を見せ分かってもらおう。
 とても、あんな繊細な装飾をほどこせるような人達には見えないけど……。

 各属性の精霊王の姿は、まるで美術品のように美しく彫り込まれている。
 天は二物を与えずと言うのに、ガーグ老達は武術と芸術の才能を持ち合わせた天才だった。
 きっと見たら父も驚くに違いない。
 でもあの天蓋てんがい付きのベッドは、横になると速攻そっこうで眠りに落ちてしまう不思議な効果がある。
 旭から、二度とベッドで眠らない方がいいと言われたような?
 不眠症の人には、おすすめのベッドだけどね~。

 その後、全員でテントに入りホームへ戻る。
 両親を実家へ送り、お風呂を済ませた兄達を再び安全地帯のテント内に送り届け私も就寝。
 あれ?
 昨日、買い物用に出した〇ンツを返してもらってないような……。
 それに、何を買ったのか母から聞いてない。
 いつもは購入した物を、お得に買えたと自慢げに見せてくるのに変だなぁ。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
しおりを挟む
感想 2,333

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

udonlevel2
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。