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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第554話 迷宮都市 ゼンさんへ内緒のお願い&子供達への炊き出し
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実家で夕食を食べた後マンションの自宅に戻り、ガーグ老の長男へ繋がる通信の魔道具を握り締める。
今日は午前中にガーグ老の工房へいき、ご老人達と会ったばかりだ。
その日の午後、王都にいるのは幾らなんでも不自然すぎる。
ゼンさんには内緒にしてもらう必要があった。
『夜分遅くにすみません。今、お時間大丈夫ですか?』
すると、相手からやや戸惑い気味の声が返ってくる。
『サラ……さん。こんな時間に何かありましたか?』
『今日の誘拐騒ぎの件で、少しお願いが……』
『安心して下さい。犯人には必ず、それ相応の処分を受けさせますから』
ゼンさんは近衛の立場から、貴族相手に訴えを起こしてくれるらしい。
『あぁ、えっと……それは、ありがとうございます。そのぉ、今回の件はガーグ老へ内緒にしてほしいんですけど大丈夫ですか?』
『……。サラ……さんが、知られたくないと仰るのでしたら父には内緒にします』
『出来れば王都で会ったのも、言わないでくれると助かるんですけど……』
『分かりました。私は王都でサラ……さんと、お会いしていない事にします』
『すみません、変なお願いをして。それと犯人の屋敷にあった私そっくりな肖像画は、もう証拠品として押収されたのでしょうか?』
犯人の少年は、屋敷を購入したばかりだと言っていた。
なら損傷の酷い肖像画は、私がモデルではないだろう。
リーシャの母親を描いた物かも知れない。
それにしては、かなり恨みがあったように思われる。
もし屋敷の持ち主だった人物がまだ生きているのなら、よく似た私は危害を加えられる可能性がありそうだ。
危険を回避するため、事前に情報を集めた方が良い気がする。
『既に回収されていると思います』
『そうですか……。少し気になったので以前の屋敷の持ち主が、もし分かれば教えて下さいませんか?』
『調べて、お伝えします』
通信の魔道具は魔力消費が高いから、この世界の人間であるゼンさんにはそろそろ限界だろう。
もう一度お礼を伝え会話を終了した。
それにしても、私の名前は言い難いのかしら?
ガーグ老もそうだけど、名前の後に毎回妙な間があるんだよね~。
まぁこれで明日、ガーグ老の稽古にいっても問題ないだろう。
屋敷の持ち主が誰かは連絡を待てばいい。
誘拐の件は、兄達と相談して母へは内緒にすると決めた。
それは無暗に心配させないためでもある。
子供の頃から何度も誘拐されかけているから、母は誘拐の2文字に敏感だ。
アシュカナ帝国の王に狙われているだけでも母にとっては憂う事態なのに、これ以上心痛の種を増やしたくない。
あっ、結婚相手が決まったと言うのを忘れてたよ!
明日、兄達にも知らせないと……。
お風呂から出ると、リビングのソファーに座り兄が待っていた。
私の姿を見て立ち上がり、「今日は、よく頑張った」と言いながら抱き締めてくれる。
時空魔法があるから、いつでも逃げ出せると思い怖くはなかったけれど……。
誘拐された件は、やはり思う所もあった。
そのまま一緒に寝てくれると言うので、私は旭に遠慮せず兄を借りる事にする。
背中をポンポンと叩かれている内に、安心し眠ってしまった。
日曜日、朝7時。
パーティーメンバー全員&従魔達を連れ、異世界の家へ移転。
『肉うどん店』の母親達と一緒に、子供達の炊き出し準備を始める。
今日のスープは牛乳を入れた『シチュー』にし、コカトリスの卵を使用して砂糖を入れた玉子焼きも追加。
人数が多いから、玉子焼きは母が手伝ってくれた。
旭のお母さんには、子供達がきたらパンを配ってもらおう。
そう、卵焼きは危険すぎる!
しょっぱいか激甘の物が出来上がりそうだ。
朝食を食べた筈なのに、雫ちゃんが子供達用の玉子焼きを食べたそうにしていたよ……。
今朝のメニューが何だったかは、聞かない方がいいだろう。
私は、そっと雫ちゃんの口に卵焼きを入れてあげた。
すると嬉しそうに笑みを浮かべ、食べている姿が可愛い。
おまけに、もうひとつ食べさせてあげよう。
8時30分になると子供達が家へやってくる。
増えた従魔達に皆が興味津々だ。
出来上がるまで、シルバー・フォレスト・泰雅・ボブの背中に兄達が乗せ遊ばせている。
アレクと源五郎はフォレストウサギなので、子供達が乗るのは危険だと判断したらしい。
迷宮都市の近くには森がないから、ウサギの魔物を子供達は知らず食肉だとは思わなかったようだ。
可愛いね~と言いながら撫でている。
2匹を見たミリオネとリースナーの子供達は、どう思うんだろう。
私は水族館で蟹や魚を見ると、つい美味しそうと思ってしまうんだけど……。
9時になったので、子供達へ『シチュー』と玉子焼きを配り始める。
この家は塀が高く外からは見えないため、何を食べさせても大丈夫。
初めて甘い玉子焼きを食べた子供達が笑顔になり、「美味しい!」と言ってくれた。
スープも『シチュー』にしたから喜んでいる。
固いパンもなんとかしたい所だけど、パン屋の売上にも貢献しないといけない。
子供達も食べ慣れているから、当分は変更しないままにしよう。
アプリコット入りの巾着を交換し最後に兄がみかんを渡し見送った後、7人でガーグ老の家具工房へ向かう。
今日は長男のゼンさんがいないから、旭の相手が1人減る。
まぁ増えたお嫁さんが強そうだから1人減っても、あまり変わりはないかも知れないけど……。
工房へいく途中、報告するのを忘れていた結婚相手を皆に話すと、兄と旭が満足そうに頷いている。
他の3人はガーグ老と聞き微妙な顔をしていた。
どう考えても、歳の差があり過ぎるよね!
兄達には問題ないらしい。
変な気を起こさない程、年上のご老人だから?
私的には、やっぱり長男のゼンさんが良かったよ!
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今日は午前中にガーグ老の工房へいき、ご老人達と会ったばかりだ。
その日の午後、王都にいるのは幾らなんでも不自然すぎる。
ゼンさんには内緒にしてもらう必要があった。
『夜分遅くにすみません。今、お時間大丈夫ですか?』
すると、相手からやや戸惑い気味の声が返ってくる。
『サラ……さん。こんな時間に何かありましたか?』
『今日の誘拐騒ぎの件で、少しお願いが……』
『安心して下さい。犯人には必ず、それ相応の処分を受けさせますから』
ゼンさんは近衛の立場から、貴族相手に訴えを起こしてくれるらしい。
『あぁ、えっと……それは、ありがとうございます。そのぉ、今回の件はガーグ老へ内緒にしてほしいんですけど大丈夫ですか?』
『……。サラ……さんが、知られたくないと仰るのでしたら父には内緒にします』
『出来れば王都で会ったのも、言わないでくれると助かるんですけど……』
『分かりました。私は王都でサラ……さんと、お会いしていない事にします』
『すみません、変なお願いをして。それと犯人の屋敷にあった私そっくりな肖像画は、もう証拠品として押収されたのでしょうか?』
犯人の少年は、屋敷を購入したばかりだと言っていた。
なら損傷の酷い肖像画は、私がモデルではないだろう。
リーシャの母親を描いた物かも知れない。
それにしては、かなり恨みがあったように思われる。
もし屋敷の持ち主だった人物がまだ生きているのなら、よく似た私は危害を加えられる可能性がありそうだ。
危険を回避するため、事前に情報を集めた方が良い気がする。
『既に回収されていると思います』
『そうですか……。少し気になったので以前の屋敷の持ち主が、もし分かれば教えて下さいませんか?』
『調べて、お伝えします』
通信の魔道具は魔力消費が高いから、この世界の人間であるゼンさんにはそろそろ限界だろう。
もう一度お礼を伝え会話を終了した。
それにしても、私の名前は言い難いのかしら?
ガーグ老もそうだけど、名前の後に毎回妙な間があるんだよね~。
まぁこれで明日、ガーグ老の稽古にいっても問題ないだろう。
屋敷の持ち主が誰かは連絡を待てばいい。
誘拐の件は、兄達と相談して母へは内緒にすると決めた。
それは無暗に心配させないためでもある。
子供の頃から何度も誘拐されかけているから、母は誘拐の2文字に敏感だ。
アシュカナ帝国の王に狙われているだけでも母にとっては憂う事態なのに、これ以上心痛の種を増やしたくない。
あっ、結婚相手が決まったと言うのを忘れてたよ!
明日、兄達にも知らせないと……。
お風呂から出ると、リビングのソファーに座り兄が待っていた。
私の姿を見て立ち上がり、「今日は、よく頑張った」と言いながら抱き締めてくれる。
時空魔法があるから、いつでも逃げ出せると思い怖くはなかったけれど……。
誘拐された件は、やはり思う所もあった。
そのまま一緒に寝てくれると言うので、私は旭に遠慮せず兄を借りる事にする。
背中をポンポンと叩かれている内に、安心し眠ってしまった。
日曜日、朝7時。
パーティーメンバー全員&従魔達を連れ、異世界の家へ移転。
『肉うどん店』の母親達と一緒に、子供達の炊き出し準備を始める。
今日のスープは牛乳を入れた『シチュー』にし、コカトリスの卵を使用して砂糖を入れた玉子焼きも追加。
人数が多いから、玉子焼きは母が手伝ってくれた。
旭のお母さんには、子供達がきたらパンを配ってもらおう。
そう、卵焼きは危険すぎる!
しょっぱいか激甘の物が出来上がりそうだ。
朝食を食べた筈なのに、雫ちゃんが子供達用の玉子焼きを食べたそうにしていたよ……。
今朝のメニューが何だったかは、聞かない方がいいだろう。
私は、そっと雫ちゃんの口に卵焼きを入れてあげた。
すると嬉しそうに笑みを浮かべ、食べている姿が可愛い。
おまけに、もうひとつ食べさせてあげよう。
8時30分になると子供達が家へやってくる。
増えた従魔達に皆が興味津々だ。
出来上がるまで、シルバー・フォレスト・泰雅・ボブの背中に兄達が乗せ遊ばせている。
アレクと源五郎はフォレストウサギなので、子供達が乗るのは危険だと判断したらしい。
迷宮都市の近くには森がないから、ウサギの魔物を子供達は知らず食肉だとは思わなかったようだ。
可愛いね~と言いながら撫でている。
2匹を見たミリオネとリースナーの子供達は、どう思うんだろう。
私は水族館で蟹や魚を見ると、つい美味しそうと思ってしまうんだけど……。
9時になったので、子供達へ『シチュー』と玉子焼きを配り始める。
この家は塀が高く外からは見えないため、何を食べさせても大丈夫。
初めて甘い玉子焼きを食べた子供達が笑顔になり、「美味しい!」と言ってくれた。
スープも『シチュー』にしたから喜んでいる。
固いパンもなんとかしたい所だけど、パン屋の売上にも貢献しないといけない。
子供達も食べ慣れているから、当分は変更しないままにしよう。
アプリコット入りの巾着を交換し最後に兄がみかんを渡し見送った後、7人でガーグ老の家具工房へ向かう。
今日は長男のゼンさんがいないから、旭の相手が1人減る。
まぁ増えたお嫁さんが強そうだから1人減っても、あまり変わりはないかも知れないけど……。
工房へいく途中、報告するのを忘れていた結婚相手を皆に話すと、兄と旭が満足そうに頷いている。
他の3人はガーグ老と聞き微妙な顔をしていた。
どう考えても、歳の差があり過ぎるよね!
兄達には問題ないらしい。
変な気を起こさない程、年上のご老人だから?
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