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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第536話 椎名 響 14 スキップ申請 2&バイクの教習

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 ダンジョンに到着すると、今回はスキップ制度を受けるためパーティー全員分の入場料は不要だと言われる。
 沙良に確認すると、迷宮都市のダンジョンは入場料が銀貨1枚(1万円)掛かるそうだ。

 摩天楼まてんろうのダンジョンは、銀貨3枚(3万円)だったが……。

 あちらは大型ダンジョンで、攻略する冒険者がA級以上の猛者もさばかりだから入場料が高かったのかも知れん。
 一度潜ると半年以上は地上に帰還しないから、入場料なんて気にもしないだろう。

 沙良から事前に地下1階の地図を渡されていたが、1階層が摩天楼のダンジョンより狭い気がする。
 地図を確認すると、迷路状になっているようだ。

「これから、ファングボアとリザードマンを見付けて1匹ずつ討伐する様子を見ます。制限時間はありませんので準備が出来次第、移動を開始して下さい」 

 ギルドマスターの言葉を聞き、俺が先頭になり移動を始める。
 妻はダンジョンを攻略するのが初めてだから、討伐対象以外の魔物はなるべく俺が倒す事にしよう。

 道中に出現する魔物を剣で倒し、出現したファングボアを見付け走り出す。
 すれ違いざま首をき切った。

 この魔物は換金に本体も必要なので、魔石取りの必要はない。
 沙良から借りたマジックバッグに収納すれば、俺の試験は終了だ。

 次に妻がリザードマンの眉間を遠距離から魔法で撃つ。
 倒れて動かなくなった魔物の首を槍で突き刺し、血抜き処理も完了。

 俺達は2人ともギルドマスターから合格判定を受け、無事C級冒険者となる事が出来た。
 妻が魔法を使用した際、少しだけ驚いた表情をギルドマスターはしていたが……。

 呪文を唱えなかった所為せいだろうか?

 まだダンジョンに残り魔物を狩る予定のため、ギルドマスターには先に帰ってもらう事にしたようだ。
 その後、沙良にスライムから魔法を受け4属性魔法を覚えるよう言われる。

 俺は不審に思われないよう、4匹の属性スライムから一度魔法を身に受けた。
 魔物から魔法を避けずに受けるのは、心理的にかなり抵抗があるが……。

 そしてステータスを確認する。

 もう既に覚えている魔法だから変化はないだろう、そう思っていたが……。
 なんと、魔法Lvが10から20へ変化している!
 
 これは一体どういう事なんだ?
 魔術書で覚えた魔法には、Lv制限が掛けられていたのか?

 いよいよ、教会組織が怪しくなってきたな。
 これが意図する事は魔法の弱体化だろう。

 態々わざわざ、呪文を唱えないと発動しない魔法に儀式と魔術書のセットか……。
 かなり闇が深そうだ。

 次は移動に使用する騎獣を妻にテイムさせるらしい。
 現在、沙良がテイムしている魔物は3匹いて、シルバーウルフとハニービーに迷宮タイガーだそうだ。

 うん?
 ハニービーだと?
 あれは群れを成す魔物じゃないか?

 統率する魔物のテイムは、非常に難しいと聞いた覚えがある。
 沙良が何でもない事のように、コロニーが54匹いると言った瞬間った。

 なんでそんなに多いんだ!
 もう戦闘集団を形成しているじゃないか!

 俺が沙良のテイムした魔物に青ざめていると、妻がケンタウロスをテイムしたいと言い出しあわてて反対した。

 それだけは止めてくれ……。
 どうして上半身が人型の魔物を選ぶんだ。

 そんな騎獣は嫌過ぎる。

 俺達全員から必死の説得を受け、妻は納得いかない様子でシルバーウルフをテイムした。
 初めて魅了魔法を使用したテイム方法を見たが、簡単すぎやしないか?

 魅了を掛けた瞬間に、魔物が尻尾を振り妻に駆け寄ってくる。

「あなたの名前は『ボブ』よ!」

 そして、妻のネーミングセンスはゼロらしい。
 沙良の安易あんいな名付けもどうかと思うが、こちらは更にひどかった。

 『ボブ』と呼ばれたシルバーウルフが、心なしか意気消沈しているように見えるのは気の所為せいじゃないだろう。
 魔物に人名を付ける妻のセンスが理解出来ない。

 本日の予定を消化したので、ダンジョンを出た。
 昼食はC級冒険者の昇格祝いを兼ねて、蟹懐石をしずくちゃんと結花ゆかさんを呼び一緒に食べる。

 ここは沙良のおごりらしい。
 B級冒険者として随分ずいぶん稼いでいるんだな。

 沙良は、午後から雫ちゃんと結花さんを連れて教会へ儀式を受けに行くらしい。
 それを聞いた尚人なおと君から、バイクの運転の仕方を教えてほしいとお願いされた。

 特に予定もないので了解すると賢也もバイクに乗りたいそうだ。
 俺達は賢也の運転する車に乗り、〇ーレーを購入出来る店へ行く。

 おおっ!
 結婚してからあきらめたあこがれのバイクが目の前にある。

 賢也が何にしようか楽しそうに迷っている姿をながめながら俺も欲しいなと思っていると、息子が俺に託した預金が増えていたから好きなのを選んでいいと言ってくれた!

 俺はその申し出を喜んで受け、同じように夢中でバイクを見て回る。
 どうせならと、後ろに人を乗せる仕様の物にした。

 若返った体なら、ツーリングにもいけるだろう。
 いずれ双子の雅人まさと遥斗はるとが召喚された時、体が小さい状態になるから後ろに乗せてやればいい。

 賢也も同じ事を考えたのか、後部座席がある物にしたようだ。

 電子メニューから購入する商品を選びお金を支払った後、バイクを尚人君がアイテムBOXに収納する。
 それから広い道路へ移動し、最初にバイクを傷が付かないよう横倒しにして起こし方から教えた。

 これが出来ないと転倒した時に困るからな。
 持ち上げるコツを教えたが、2人はLvが高く筋力値もある所為せいかコツは不要であったようだ。

 まぁ、俺も片手で起こせるんだが……。

 2人は車の免許を持っているから、そこまで詳しい説明は不要だった。
 要はアクセルとブレーキにハンドル操作さえ覚えれば、バイクを運転する事は難しくない。

 2人共、3時間もすれば乗れるようになった。
 今から何処どこにツーリングに行こうか話している。

 いやいや、気が早すぎる。
 もう少し練習してからにしろよ?

 それに沙良のホーム内は、半径30Kmしか移動出来ないんじゃなかったか?
 これは最初にホーム設定した、自宅アパートからの距離なんだろうか……。

 それとも、既に2ケ所設定済みの場所からも半径30Km移動出来るのか?
 その場合は沙良のアパートから賢也のマンションまで30Km離れているため、移動可能なのは直線距離だと90Kmになる。

 沙良は調べてないだろうから、後で聞いておくか……。

 その日の夕食は、再び家族がそろった状態での食事となった。
 沙良が日本酒を飲み出した俺に、鰻の肝焼きを出してくれる。
 
 おお、気が利くな~。
 鰻は毎日食べても飽きないぞ!
 
 明日は早朝から子供達に炊き出しをした後、家具職人に稽古を付けてもらう予定らしい。
 沙良達がお世話になっているご老人は、どんな方達だろうか?

 異世界には道場などないから、無料で稽古を付けてくれるとはかなり奇特なご老人達のようだ。
 親として、お礼をしなければならんな。

 沙良達が帰った後、再び元気になった体で頑張ってしまった。
 若返りの反動はしばらく続くらしい。

 賢也も大変だったと言っていた。
 あいつの場合は相手がいないから、さぞかし困ったに違いない。

 俺は妻と一緒に召喚されて良かったな。 
 独りだったら、毎晩卵型のお世話になる所だった。

 まぁ、美佐子も嫌がってはいないから夜は問題ないだろう。

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