上 下
402 / 755
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第492話 迷宮都市 両親の召喚 8 旭の愛車?&両親のLv上げ 1

しおりを挟む
 取りえず旭のお母さんは、ダンジョンの魔物から魔法を受ければ習得は可能だと思う。
 魅了を覚えてもらえば魔物もテイム出来るし、私達の攻略速度に付いてこれるはず
 MPが高いので2匹同時にテイムしても大丈夫だろう。

 問題は雫ちゃんが、何の魔法も使用出来ない事なんだよね~。
 剣術Lv9って、どの程度の腕なのかな?
 
 ガーグ老の所へ稽古に行った時、確認してみるか……。
 それより魔法の習得をなんとかしたい。
 どうして唱えるだけじゃ発動出来ないんだろう?

 う~ん、私が考えた所でいい案は思いつかないか。
 これは後で兄達に聞いてみる事にしよう。
 旭も妹の雫ちゃんが1人だけ魔法を使用出来ないとなれば、心配するかも知れない。

 私は魔術書を貸してもらい、アイテムBOXに収納しておいた。
 月曜日からダンジョン攻略を開始するので、それまではホーム内でゆっくりして下さいと伝え家を出た。

 夕食は兄達と実家で食べる事にしているので部屋に行くと、旭が落ち込んだ表情をしている。
 今日は新車を購入してくると言って、あんなに張り切っていたのにどうしたんだろう?

「旭、車は買えた?」

「沙良ちゃん……、それが……」

 返事を途中で止めてしまったので、兄の方を見ると首を横に振っている。

「お兄ちゃん、何かあったの?」

「あ~、車は俺のがあるからいいと言って大型バイクを購入したんだが、こいつは普通車の免許しかなくて乗れなかったんだよ」

「……免許がないのにバイクを購入したの?」

「教習所で免許を取る心算つもりだったらしい」

「人がいないのに、誰が教えてくれるの?」

 私が至極当然の事を尋ねると、2人は視線をらす。

「それを言われると……」

 兄達2人は、その事をすっかり忘れバイクに夢中になっていたらしい。 
 男性ってバイクが好きだよね~。

 気になったので何を購入したのか確認すると、ハー〇ーだった。
 そりゃ落ち込む訳だ……。

 かなり奮発して購入したバイクが、ただ置物・・になってしまったのだから……。
 兄達はバイクに乗った事がなく、運転の仕方を全く知らなかったようだ。

「じゃあ、お父さんに教えてもらえば?」

 私が解決策を提案すると旭が食いついてくる。

「沙良ちゃんのお父さん、バイクに乗れるの!?」

「確か、若い頃に乗っていたって聞いた事があるよ」

「本当!? やった~!」

 一瞬で機嫌を直した旭を見て、やれやれと溜息を吐く。

 その後、2人を連れて実家に行き母の料理を食べた。
 勿論もちろん、父の前には迷宮ウナギの蒲焼と肝焼きが添えてある。

 兄が効能の事は上手く誤魔化してくれたらしいので、父は「今日も鰻か?」と美味しそうに食べてくれた。

 今夜こそ、頑張ってね!
 私達は邪魔にならないよう、食事が済んだら早々に退散してきました。

 お母さんは、もっと一緒にいればいいのにと寂しそうだったけど……。
 これから過ごす時間は沢山あるから大丈夫。

 そうそう旭が食事中に、早速さっそく父にバイクの運転の仕方を教えてほしいとお願いしていた。
 兄も便乗していたから、きっとこれからバイクを購入する心算つもりなんだろう。

 父は何のバイクか聞き快くOKを出していたから、もしかしたら自分もハー〇ーに乗りたいのかも?
 3人一緒にツーリング出来るようになるには、ホームの移動距離が短すぎるけどね~。
 実際はホームから半径45Km移動可能だけど、兄達は30Kmだと思っている。 

 翌日金曜日。
 土曜日にはC級冒険者のスキップ制度を受ける予定なので、今日は1日両親のLv上げをする予定だ。

 兄達と朝食を食べた後、冒険者姿に着替えて両親を迎えにいく。
 昨日Lv上げをすると伝えていたので、両親は既に着替えて待っていてくれた。

 何処どこでLv上げをしようか迷ったけど、余り人がいない場所がいいだろうとミリオネの森にマッピングで移動する。

 最初はスライムからだ。
 この魔物は10歳の子供でも倒す事が出来るので、母に槍で突いてもらった。

 哺乳類じゃないので血が出る事もない。
 母は簡単に倒せる事が分かると、楽しそうにスライムを突きまくっている。

 ステータスを確認して、無事Lvが0から1に上がった事を知り嬉しそうな表情をしていた。
 父にスライムは簡単過ぎるだろうと、つのウサギを倒してもらう事にする。

 角ウサギを見付け、まずはお手本に旭が剣で倒してみせた。
 突進しながら向かってくる角ウサギを避けた瞬間、首を切り落とす。

 ガーグ老達の指導のお陰か、高い剣の効果か……。
 それはもう一閃いっせんと言ってもいいくらい鮮やかな剣術だった。

 父はそれを見てひとつうなずくと、次に発見した角ウサギに向かって駆け出していく。
 この魔物は意外と素早いので注意が必要だ。

 いつでも対応出来るように私達が見守る中、父は突進してくる魔物へ何の動揺も見せず、すれ違いざま角ウサギの首をき切った。

「えっ?」

 これを見た私達全員が、口を大きく開けてポカンとしてしまう。
 どう見たって、素人の動きじゃない。 

 父が倒した角ウサギを片手に持ち帰ってきた。

「お父さん、剣を使うのは初めてじゃないの?」

「あぁ、昔……ちょっと習っていた時期があるんだ」

 そう言われて、私は理由に思い当たった。

 あれは7・8歳頃だったか……。
 今では見慣れた姿だけど、父は銀行マンにしてはかなり体格が良い。

 母が双子達を産む前に、「何か最近、お父さんが体を鍛えているみたいなのよね」とこぼしていたからだ。

 ついでに「夜も元気なの」とあっけらかんとして言われたので、よく覚えていた。
 この頃にはもう、なんとなく意味も分かっている。

 椎名家は結構オープンな家庭だったので、ふ~んとしか思わなかったけど……。
 普通に子供達の前でキスをする両親だったからね。
 これは父が、イギリス人のハーフである事も関係しているのかも知れない。

 剣術は、その頃に習っていたのだろうか?
 でも普通、命を絶つ行為こういにもう少し忌避感きひかんがあるんじゃ?
  
 私は父の知らない一面を見て、少し疑問を感じたのだった。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

断罪されているのは私の妻なんですが?

すずまる
恋愛
 仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。 「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」  ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?  そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯? *-=-*-=-*-=-*-=-* 本編は1話完結です‪(꒪ㅂ꒪)‬ …が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

そんなに幼馴染の事が好きなら、婚約者なんていなくてもいいのですね?

新野乃花(大舟)
恋愛
レベック第一王子と婚約関係にあった、貴族令嬢シノン。その関係を手配したのはレベックの父であるユーゲント国王であり、二人の関係を心から嬉しく思っていた。しかしある日、レベックは幼馴染であるユミリアに浮気をし、シノンの事を婚約破棄の上で追放してしまう。事後報告する形であれば国王も怒りはしないだろうと甘く考えていたレベックであったものの、婚約破棄の事を知った国王は激しく憤りを見せ始め…。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

とある婚約破棄の顛末

瀬織董李
ファンタジー
男爵令嬢に入れあげ生徒会の仕事を疎かにした挙げ句、婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を告げた王太子。 あっさりと受け入れられて拍子抜けするが、それには理由があった。 まあ、なおざりにされたら心は離れるよね。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。