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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第465話 迷宮都市 クリスマス会 1 椅子取りゲーム
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日曜日。
今日はクリスマス会と兄達のサプライズ結婚式がある。
子供達も2人も、きっと喜んでくれるだろう。
アマンダさんとダンクさんパーティーとは9時に教会で待ち合わせ、子供達と一緒に新居へ移動する事になっている。
朝食の準備を済ませても起きてこない兄達を呼びに隣の部屋に行くと、いつも兄の腕で寝ている旭の姿がない。
旭だけ起きているんだろうか?
兄の肩を軽く揺すり起こしてあげると、
「重い……」
と言って、布団を跳ねのけた。
そこに旭の姿を見付けて、どんな寝相だと逆に感心してしまう。
兄のお腹に頭を乗せ、くっついて眠っていたのだ。
完全に布団の中に潜ったまま寝て息苦しくなかったんだろうか?
兄が旭の頭を叩き乱暴に起こすと、旭はその衝撃で目が覚めたみたいだ。
「……あれ? 沙良ちゃん、おはよう。何か……頭が痛いんだけど?」
「お前が変な寝方をするからだ!」
「あ~、2人とも時間がないから早く起きて準備して!」
朝から痴話喧嘩を聞いている余裕はない。
私は、さっさと自分の部屋に戻り兄のためにコーヒーを淹れた。
それにしても……。
2人はパジャマを着ていたから問題なかったけど、裸の状態だったら非常に際どい位置だったよね~。
一瞬、イケナイ事を想像してしまった。
いやもう、結婚する2人だからおかしな事じゃないし大人だし……。
これからは、あまり起こしに行かない方が良いかしら?
朝7時。
教会の炊き出しに向かう。
母親達と一緒に今日は子供達もきていて、シルバーとフォレストの背中に乗り遊んでいる。
店の子供達は教会の炊き出しに並ぶ事はなく、2匹の背中に乗る機会が少ないためはしゃいでいた。
9時にいつも通りパンと具沢山スープを配り子供達に食べさせた後、時間通りに来ていたアマンダさんとダンクさん、それにジョンさんのパーティーと一緒に新居へ移動を開始。
新居は教会から歩いて30分程の場所にある。
道中、久し振りに会うダンクさんの両親と挨拶を交わし2匹の紹介をしておいた。
テイムされた魔物を見るのは珍しいのか、父親のジョンさんは大分腰が引けていたけどね。
母親のルイスさんは、シルバーの毛色の違いに驚いていたようだ。
30分後、要塞のような塀に囲まれた新居へ到着。
それを見た全員が絶句していた。
「サラちゃん、この家は何を想定して建てたんだい? こんなに高い塀は初めて見たよ!」
アマンダさんに言われた事は、私を含め全員が思っているだろう。
カマラさんが気を使い、10mもある塀を付けてくれたのだ。
「えぇっと、子供達が集まるので騒音防止みたいです?」
「まぁ大人数だし、声が住人達の迷惑にならないようにってのは理解出来るが……」
塀を見上げてダンクさんが呆れた声を出す。
「家が探し易くていいですよね!」
遠くからでも、塀を見れば子供達だけでも迷わずにこれるだろう。
呆気に取られている皆へ、門の魔石に登録が必要だからと細い針で親指を刺してもらった。
冒険者達は怪我に慣れているので治療は必要ないと断られたけど、子供達には兄達がすかさずヒールを掛けて回っている。
小さな子供達が泣いてしまわないか心配していたのに、異世界の子供達は平気だったらしい。
門から入って直ぐ、今は何もない広い庭と後方に建てられた2階建ての新居が見える。
中央の玄関から入ってもらい、「靴を脱いで靴箱に入れ、足を用意したお湯の入った盥の中で綺麗にして下さい」と伝えると、普段慣れている子供達から順番に靴を脱いで盥に足を入れていく。
盥の中には、非常に細く柔らかい突起が付いた物を入れておいた。
子供達はその感触が楽しいのか、何度も足踏みして遊んでいる。
その後、吸収性の良い珪藻土バスマットの上を歩いている内にある程度足は乾くだろう。
最後に用意してある手拭いで足を拭いたら、スリッパに履き替えて室内に入ってもらった。
子供達の家によく行く2パーティーは、家の中が土足厳禁だと知っているので問題ない。
ジョンさんのパーティーは、靴を脱いで部屋に入るのが初めてだったのか戸惑っている様子。
「こりゃまた、広い部屋だな……」
仕切りの一切ない室内を見て、ダンクさんがそう零す。
天井も高いので、余計広く見えるのだろう。
室内は暖かいため上着を脱いで、壁際に設置した服掛けの木製ハンガーに掛けてもらった。
さて、いよいよクリスマス会の開始だ!
でもその前に、私達はサンタの衣装に着替えよう。
流石にあの恰好で、街中を歩いてくる訳にはいかない。
2パーティーを2階へ案内して、男女別に分かれ衣装に着替える。
提供したのは私専用以外の家具が設置された部屋だ。
あんな王族仕様の家具を見られたら困ってしまう。
アマンダさんとリリーさんは、ワンピースの下にスボンを穿いている。
私が黒いスパッツのまま部屋を出ようとしたら、2人に止められ無理矢理スボンを穿かされてしまった。
うゔっ、折角の可愛い衣装が台無しだよ!
1階に降りてサンタの衣装姿を見せると、それだけで子供達がわくわくした表情になった。
今日は何があるんだろうと期待しているのかな?
それとも、赤い色を見て興奮させてしまったかしら?
異世界にクリスマスは無いので、この衣装の理由は分からないだろうけどね。
最初にするのは、椅子取りゲームだ。
作製した丸椅子を円状に並べ、2パーティーと兄達に見本となってもらう。
私は先日購入したピアノによく似た楽器を設置し、子供達も知っているオクラホマミキサーの楽曲を弾く事にした。
簡単なルールなので、内容は直ぐに理解出来るだろう。
次に10歳以上の子供達だけ集まり、その人数から椅子を10個分引いた状態でゲーム開始。
最終的に1つの椅子になるまで繰り返す。
椅子の数が減っていく度に曲の速さを変え、ゲームをしている子供や見ている側も楽しめるようにした。
最後に残った子供には、ご褒美のドーナツを渡す。
もらった子供は、喜んで一緒に住んでいる兄妹達と分け合って食べている。
独り占めしない姿を見ると、本当に思いやりの心が育っているんだなぁと思う。
勝ったのは自分だからと、1人で食べてしまうのが普通の子供なのにね。
ドーナツ1個を10人で分けてしまったら、ほんの一口分しかない。
私はそんな心温まる姿を見て、ドーナツは2個渡す事にした。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今日はクリスマス会と兄達のサプライズ結婚式がある。
子供達も2人も、きっと喜んでくれるだろう。
アマンダさんとダンクさんパーティーとは9時に教会で待ち合わせ、子供達と一緒に新居へ移動する事になっている。
朝食の準備を済ませても起きてこない兄達を呼びに隣の部屋に行くと、いつも兄の腕で寝ている旭の姿がない。
旭だけ起きているんだろうか?
兄の肩を軽く揺すり起こしてあげると、
「重い……」
と言って、布団を跳ねのけた。
そこに旭の姿を見付けて、どんな寝相だと逆に感心してしまう。
兄のお腹に頭を乗せ、くっついて眠っていたのだ。
完全に布団の中に潜ったまま寝て息苦しくなかったんだろうか?
兄が旭の頭を叩き乱暴に起こすと、旭はその衝撃で目が覚めたみたいだ。
「……あれ? 沙良ちゃん、おはよう。何か……頭が痛いんだけど?」
「お前が変な寝方をするからだ!」
「あ~、2人とも時間がないから早く起きて準備して!」
朝から痴話喧嘩を聞いている余裕はない。
私は、さっさと自分の部屋に戻り兄のためにコーヒーを淹れた。
それにしても……。
2人はパジャマを着ていたから問題なかったけど、裸の状態だったら非常に際どい位置だったよね~。
一瞬、イケナイ事を想像してしまった。
いやもう、結婚する2人だからおかしな事じゃないし大人だし……。
これからは、あまり起こしに行かない方が良いかしら?
朝7時。
教会の炊き出しに向かう。
母親達と一緒に今日は子供達もきていて、シルバーとフォレストの背中に乗り遊んでいる。
店の子供達は教会の炊き出しに並ぶ事はなく、2匹の背中に乗る機会が少ないためはしゃいでいた。
9時にいつも通りパンと具沢山スープを配り子供達に食べさせた後、時間通りに来ていたアマンダさんとダンクさん、それにジョンさんのパーティーと一緒に新居へ移動を開始。
新居は教会から歩いて30分程の場所にある。
道中、久し振りに会うダンクさんの両親と挨拶を交わし2匹の紹介をしておいた。
テイムされた魔物を見るのは珍しいのか、父親のジョンさんは大分腰が引けていたけどね。
母親のルイスさんは、シルバーの毛色の違いに驚いていたようだ。
30分後、要塞のような塀に囲まれた新居へ到着。
それを見た全員が絶句していた。
「サラちゃん、この家は何を想定して建てたんだい? こんなに高い塀は初めて見たよ!」
アマンダさんに言われた事は、私を含め全員が思っているだろう。
カマラさんが気を使い、10mもある塀を付けてくれたのだ。
「えぇっと、子供達が集まるので騒音防止みたいです?」
「まぁ大人数だし、声が住人達の迷惑にならないようにってのは理解出来るが……」
塀を見上げてダンクさんが呆れた声を出す。
「家が探し易くていいですよね!」
遠くからでも、塀を見れば子供達だけでも迷わずにこれるだろう。
呆気に取られている皆へ、門の魔石に登録が必要だからと細い針で親指を刺してもらった。
冒険者達は怪我に慣れているので治療は必要ないと断られたけど、子供達には兄達がすかさずヒールを掛けて回っている。
小さな子供達が泣いてしまわないか心配していたのに、異世界の子供達は平気だったらしい。
門から入って直ぐ、今は何もない広い庭と後方に建てられた2階建ての新居が見える。
中央の玄関から入ってもらい、「靴を脱いで靴箱に入れ、足を用意したお湯の入った盥の中で綺麗にして下さい」と伝えると、普段慣れている子供達から順番に靴を脱いで盥に足を入れていく。
盥の中には、非常に細く柔らかい突起が付いた物を入れておいた。
子供達はその感触が楽しいのか、何度も足踏みして遊んでいる。
その後、吸収性の良い珪藻土バスマットの上を歩いている内にある程度足は乾くだろう。
最後に用意してある手拭いで足を拭いたら、スリッパに履き替えて室内に入ってもらった。
子供達の家によく行く2パーティーは、家の中が土足厳禁だと知っているので問題ない。
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でもその前に、私達はサンタの衣装に着替えよう。
流石にあの恰好で、街中を歩いてくる訳にはいかない。
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今日は何があるんだろうと期待しているのかな?
それとも、赤い色を見て興奮させてしまったかしら?
異世界にクリスマスは無いので、この衣装の理由は分からないだろうけどね。
最初にするのは、椅子取りゲームだ。
作製した丸椅子を円状に並べ、2パーティーと兄達に見本となってもらう。
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簡単なルールなので、内容は直ぐに理解出来るだろう。
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最終的に1つの椅子になるまで繰り返す。
椅子の数が減っていく度に曲の速さを変え、ゲームをしている子供や見ている側も楽しめるようにした。
最後に残った子供には、ご褒美のドーナツを渡す。
もらった子供は、喜んで一緒に住んでいる兄妹達と分け合って食べている。
独り占めしない姿を見ると、本当に思いやりの心が育っているんだなぁと思う。
勝ったのは自分だからと、1人で食べてしまうのが普通の子供なのにね。
ドーナツ1個を10人で分けてしまったら、ほんの一口分しかない。
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