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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第413話 迷宮都市 地下14階 コカトリスの乱獲&『グラタン』

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 地下13階の薬草採取はハニーのコロニーに任せ、私は地下14階でいつも通り2匹の迷宮タイガーを狩り、キウイフルーツの収穫と薬草採取にはげむ。

 癒し草を探している間に近付いてくる魔物は、シルバーが倒して持ってきてくれるので安心して地面を見ながら歩いていける。

 時々ハニーから魔力草を見付けた報告を受け、私では探す事が出来ない薬草も採取だ。
 午前中のこの時間は、旭の方も迷宮ウナギを沢山倒して楽しんでいる事だろう。

 兄に至っては、森の中にランダムに生る果物を見付ける事に生き甲斐がいを感じているかも知れない。

 毎日地下11階から地下14階までの果物を根こそぎ収穫するのは、フォレストの背に乗って駆けまわるので随分ずいぶんと短時間で済むようになった。

 お気に入りのフォレストと一緒にいられるので、ダンジョンの攻略中も嬉しいだろうな。
 毎晩一緒のテントで寝るくらいだし、日本では余程ペットが飼いたかったのか……。

 外科医の仕事は不規則だから、ペットを飼う事は難しい。  
 あきらめていた猫を、今は思う存分可愛がっている様子。

 フォレストは大きな虎だけど……。

 3時間が経過したので、シルバーの背に乗って安全地帯まで戻ってくる。
 テント前では、旭が冒険者の治療をしている所だった。

 地下14階では、本当に怪我人が多いようだ。
 この先の階層でも、怪我をする冒険者は増えていくんだろうな……。

 路上生活を余儀よぎなくされる人が出るのは、この怪我の多さが関係している。
 冒険者の仕事は一瞬の油断が、命の危険につながってしまう。

 旭が治療を終えたので、一緒にテントに入りホームの自宅に送った後、地下13階にいた兄を回収する。

 今日のお弁当は、イカフライ・少量のナポリタン・アスパラベーコン巻き・人参しりしり・卵焼き。
 里芋とネギと揚げの味噌汁&ほうじ茶と一緒に頂きます。

 デザートは桃にした。
 いつ食べても、ダンジョン産の果物は甘くて美味しい!

 食後に兄と旭をそれぞれの階層に送り届け、私は今日からコカトリスを優先的に狩る事にする。
 来年の冬には、子供達に羽毛布団をプレゼントしてあげたいので沢山羽毛が必要だからね。

 ハニーを迎えに行き、シルバーと一緒に地下12階へマッピングで移動。
 コカトリスクイーン・キングを見付け瞬殺していく。

 ついでに、見付けたコカトリスクイーンの卵も頂きだ!
 卵はいくつあっても、料理に使用出来るから嬉しい。
 異世界の卵は高すぎるのよ~。

 ダンジョンで見付ければタダなので、あれば当然回収します。
 殻も後で換金出来る所が良い。

 コカトリス、家が建ったら庭で飼いたいんだけど……。
 毎日卵を産んでくれないかしら?

 その前に、2匹も同時にテイムする許可は兄が出してくれないだろうな。
 従魔登録するのも4匹になっちゃうし、残念だけどあきらめよう。

 地下12階は久し振りに来た。
 ヨチヨチ歩きのマジックキノコは、魔石取りの練習相手だ。
 
 地下14階には魔石取りが出来る魔物がいなかったので、ちゃんと魔石を取っておこう。

 A級冒険者になるには実績が10年必要になる。
 それまでに哺乳類系の魔物からも取り出せるようにしておかないとね。
 今の所、私が取り出したのはコボルトだけだ。
 
 出現している全てのコカトリスクイーン・キングを狩って、ハニーを地下13階に送り地下14階に移動。
 テント内で待っている兄達とホームの自宅に戻り、トイレ休憩を済ませ再び地下14階へ。

 私だけホームの自宅に帰って、ナン種とピザ生地を大量に作っておく。
 アイテムBOXに収納しておけば何時いつでも使用出来るので、レベル上げをする必要がない今はこうしてせっせと作り置きをしている。

 3時間後、兄達を迎えに行き安全地帯での夕食だ。

 今日のメニューは、『迷宮サーモンのグラタン』・『ナン』・『ポトフ』。

 『ポトフ』はじゃが芋・人参・玉ねぎ・コカトリスの肉を大きめに切って煮込みコンソメで味を付けたスープ。

 初披露ひろうとなる『グラタン』は、各パーティーに試食として1皿ずつ配る心算つもりでいる。 

 玉ねぎを薄切りにして、迷宮サーモンを一口大に切っておく。
 熱したフライパンにバターを入れて、表面にかるく塩を振った迷宮サーモンの両面を焼き一度皿に取り出す。

 2枚のフライパンにバターを入れ、玉ねぎを炒めたら小麦粉を加え更に炒めていく。
 今回はグラタンなので、小麦粉の量は多目がよい。
 牛乳を入れてダマにならないよう素早くかき混ぜ、とろみが付いたら迷宮サーモンを入れ塩・胡椒で味を調える。

 兄達には、別のフライパンで『ナン』を焼いてもらっていた。
 
 最後に、細かく刻んだチーズをたっぷりと掛け表面をファイヤーボールで焼けば完了。
 取り皿に盛り、ダンクさんとアマンダさんに1皿ずつ手渡した。

 2パーティーの食事は、『バーベキュー』とスープらしい。
 皆、『迷宮サーモンのグラタン』に目が釘付けだった。
 作っている間、バターの匂いが充満していたので気になっていたのだろう。

 ダンクさんがスプーンで一口食べると、

「これは『シチュー』より濃厚な感じがするな! パンに乗せて食べたら旨そうだ!」

 そう言って、リリーさんにパンを薄切りにしてくれるよう頼んでいる。

「あぁ、サラちゃん。これも美味しいね~。チーズとの相性バッチリだよ!」

 アマンダさんも、口に合ったようでにこにこしながら食べてくれた。
 残念ながらダンジョン内にはパン焼き窯がないので、火魔法を使えないと美味しく作る事は出来ないだろうなぁ~。

 ケンさんもリリーさんも作り方を見ていたけど、私がファイアーボールを料理に使用していた時点で苦笑していたからね。

 バターや牛乳は、奏屋かなでやで事前に注文すれば手に入るだろう。
 私が果物を卸しているので、王都の本店との定期便を増やしたらしいから……。

 さて、私達も食事にしよう。
 本当は法蓮草かマカロニを入れたかったけど、野菜屋さんで法蓮草は見かけた事がない。
 マカロニはパスタとはまた形状が違うので、お店に出していない物は止めておいたのだ。

 じゃが芋のニョッキなら大丈夫かな?

 『グラタン』のお礼にと、ダンクさんとアマンダさんが兄達に焼いた肉を渡してくれた。
 私はこれ以上は食べる事が出来ないので、気持ちだけもらっておく。

 デザートのキウイフルーツを出した後、クリスマス会をする時にまた演武を披露ひろうしてくれないかと2パーティーにお願いしてみよう。

 前回はアマンダさんのパーティーだけだったので、ダンクさんのパーティーも見たいと思っていたのだ。
 これには両リーダーが簡単にOKしてくれたので、また演武用の衣装をサヨさんと作らないとね。

 ダンクさんのメンバーを採寸して、羊皮紙に数字を書いておく。
 アマンダさんとリリーさんは、着ぐるみパジャマと扇舞の衣装時にサイズを測っておいたので問題ないだろう。

 冒険者達は不摂生ふせっせいをしないから、体型が変わる事はないので前回の数字が変化する事はまずない。

 1ケ月のダンジョン攻略中は、禁酒する事が当たり前だ。
 ある意味、禁欲的な生活を送っていると言える。

 だからダンジョン内での食事が改善される事は、一番嬉しいんじゃないかと思う。
 ケンさんもリリーさんも、新しい料理を作る時は真剣に覚えようと見ているしね。

 ホームの自宅に戻ってお風呂を済ませた2人をテント内に送り、私はマッピングで迷宮タイガーが出現していないか探していく。

 最近少し散財しているので、換金率の高い魔物を狩っておきたい。
 トレントの森中央に2匹を発見。
 脳を石化しアイテムBOXに収納してから、自宅に戻ってきた。

 羽毛布団に必要な羽毛の量はどれくらいだろう?
 羽毛布団の注文はどこにしたらいいのかな?

 私はハニーのコロニーに、薬草採取をお願いしていた事をすっかり忘れ眠ってしまったのだった。 

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 これからもよろしくお願い致します。
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