上 下
281 / 754
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第371話 迷宮都市 地下14階 『串カツ』&ソース解禁

しおりを挟む
 夕食の準備も終わったのでマジックテント内に移動し、そのままマッピングを使い迷宮タイガーを狩って収納。

 本当にマッピング+アイテムBOXが有能すぎて怖いな……。

 先日、実験したら生き物も入る事が分かったので私は最強かも知れない!
 旭もアイテムBOXの能力があるけど、生き物が入る事を知っているだろうか?
 
 彼は、その発想すら思いつかないかもね~。
 いざという時の為に、教えておいた方が良いのか少し悩んでしまう。
 能力は最大限、かせるようにした方がいいか……。

 特に旭は光魔法が使えるから、重傷患者の輸送に役立つだろう。
 この能力は秘密にするより、夕食後に教えておこうと決めた。

 マッピングの有効範囲内で魔法が使える事は内緒だけどね~。
 私は秘密・・が多い女です!

 兄と旭が戻ってきたので、自宅に移動しトイレ休憩。
 
 テントの外に出ると夕食の準備をしているダンクさんとアマンダさんに、今日のメイン料理は私が作る事を伝えておいた。

 それを聞いた料理担当のリリーさんとケンさんが、スープと『フレンチトースト』にメニューを変更している。
 
 私は3人分の『シチュー』の材料を切り、火が通るまでの間に『ナン』を焼いておく。

 さてメインの『串カツ』を揚げていこう!
 数が多いので、リリーさんとケンさんの3人で225本を揚げる必要がある。
 
 2人に手伝ってもらい、次々と揚げ立てを食べて頂く事にした。
 その際に秘伝の『ソース』の宣伝もちゃっかりしておく。

 これも『焼肉のタレ』と同じで、銀貨3枚(3万円)でお買い上げしてもらいました。

 ぼったくりじゃないのよ~。
 秘伝・・だと言っているから値段設定を安く出来ないだけなの!

 ダンクさんとアマンダさんが、小皿に『ソース』を少し・・入れてメンバーに渡している。
 異世界では塩と胡椒こしょうしか調味料がないので、相変わらず私から購入した物は大切に扱ってくれているようだ。

 付け合わせのキャベツのざく切りは、『串カツ』の串に刺して食べるのが作法ですと伝えるのも忘れない。

 初めて『串カツ』をソースに付けて食べたダンクさんから、「エールが飲みて~」と声が上がる。
 アマンダさんも「ダンジョン攻略中に、酒が飲みたくなるとは……」となげいていた。

「サラちゃん、いつも美味しい料理を教えてくれてありがとう! この『ソース』は、揚げ物によく合うわね~」

 リリーさんが料理担当者として感想を述べる。

「ええ、『迷宮サーモンのフライ』にもオーク肉の『豚カツ』にも合いますよ~」

 私もいい加減、フライ物は『ソース』をつけて食べたかった。
 トマトソースも美味しいけど、『豚カツ』にはソースでしょう?
 
 欲を言えば『味噌カツ』の方が好きだけどね~。
 今回も『串カツ』を、どて煮の中に入れられず残念だった。

 『どて串カツ』も大好きなんだけど、流石さすがに味噌はまだ解禁出来ない。
 いつかカレーと一緒に味噌も解禁する心算つもりでいるんだけど……。

 『肉うどん店』でメニューとして出せるのは、まだ先の話になるだろうなぁ~。

「サラちゃん、この『ソース』なんだがもう1壺分けてくれないか? 『串カツ』は親父が気に入りそうだ」

「いいですよ~。後で、リリーさんに渡しておきますね!」

 ダンクさんに言われて、ジョンさんのパーティー分も追加になった。

 本日の売上、銀貨9枚(9万円)。
 なんてぼろい商売だ!
 中身のソースの値段より、陶器の壺の方が高いとは……。

「それにしても、サラちゃんはいつ夕食の準備をしていたんだい?」

 アマンダさんが不思議そうに尋ねてくる。

 確かに今回は自宅で『串カツ』の下準備を225本分もしていたから、ダンジョン内では料理を作っていない。

 適当に言い訳をしておこう。

「暇だったから、マジックテント内で準備してました」 

「あんたは自由だね~。ダンジョンに薬草採取と料理をしに来てるのかい? まぁ、あたしらは美味い料理が食べられるからそれでもいいんだけどねぇ」

「魔物は兄達が沢山狩ってくるので、私は好きに過ごしてます」

 そう言うと、アマンダさんとダンクさんが「こりゃまいった」と大声で笑う。
 つられてパーティーメンバーも大爆笑だ。

 私は何か笑われる事を言っただろうか? と思いながら、自分達の『串カツ』を揚げて皿に盛る。
 材料に火が入った鍋に『牛乳』と『シチュールー』を入れたら、スープは完成。

 『シチュールー』もホワイトだけじゃなく、ブラウンも解禁して良いかしら?
 ビーフシチューを、ミノタウロスの肉で作ったら美味しそうよね~。

 兄と旭に『串カツ』・『シチュー』・『ナン』を渡して、私達も夕食を食べる。

 ハイオーク肉を使用しているので、本当に黒豚みたいで美味しい!
 そして間に挟まったネギが最高だ!

 1人15本ずつ揚げたけど、冒険者達は全員完食していた。
 私には少し多かったので8本を食べ、残りはそのままアイテムBOXに収納。

 兄達が晩酌ばんしゃくする時に食べられる様、後で旭のアイテムBOXに入れ替えてもらおう。
 いつも通りわいわいと騒ぎながら食事をして、デザートに梨を渡す。

 ケンさんが皮をいている端から、果物好きなアマンダさんが食べていて笑ってしまう。
 まぁ彼女がリーダーだからね、多少行儀ぎょうぎが悪くても誰からも怒られる事はないだろう。

 うちのメンバー2人は、つまみ食いしたりしない。
 そんな事をしたら、しつけに厳しい兄は旭に説教するだろう。

 なんせ子供の頃、旭のはしの使い方が悪いと大豆100個を皿に移し替えるまで、ご飯を食べさせなかった徹底振りだ。

 大豆を卒業しても、次に小豆が待っていた事に旭は涙目だったよ……。

 私は食事をお預けされている旭を、可哀想かわいそうな子を見る目で見ていた。
 それに対しあかねは、馬鹿にしてゲラゲラ笑っていたわね~。

 何故なぜか、兄の親友なのに旭に対して茜は当たりがキツかったような気がする。

 空手道場で旭の事をボコボコにしてやったと自慢して帰ってきた時は、それは旭が兄の妹だから手加減してくれたんだよと思ったけれど……。

 翌日、兄に泣きついている姿を見て茜の言った事が正しかったと思い直した。

 優しい旭は、本気を出せなかっただけだよね?
 うちの妹が狂暴きょうぼうなだけじゃないと思いたい。 

 よく考えてみると、子供の頃から兄は旭を自分好みの色に染めたかったのかも?
 まるで光源氏の様に気の長い話だけど、さしずめ旭は紫上か……。

 まぁ、2人に年齢差はなく同い年だけどね。
 兄のたくらみは、成功したんじゃないかしら?

 旭はちゃんと外科医になれたし、恋人になったんだから……。
 いやぁ~、怖っ! と思ってしまうのは私だけだろうか?

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される

鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。 レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。 社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。 そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。 レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。 R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。 ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。

最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍
BL
ミリオン=フィッシュ(旧姓:バード)はフィッシュ伯爵家のお飾り嫁で、オメガだけど冴えない男の子。と、いうことになっている。だが実家の義母さえ知らない。夫も知らない。彼が陛下から信頼も厚い美貌の勇者であることを。 幼い頃に死別した両親。乗っ取られた家。幼馴染の王子様と彼を狙う従妹。 白い結婚で離縁を狙いながら、実は転生者の主人公は今日も勇者稼業で自分のお財布を豊かにしています。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました

桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて… 小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。 この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。 そして小さな治療院で働く普通の女性だ。 ただ普通ではなかったのは「性欲」 前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは… その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。 こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。 もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。 特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

姫プレイがやりたくてトップランカー辞めました!

椿原 守
BL
上月千尋(コウヅキチヒロ)は人気VRMMOのランキング上位チームに所属していた戦士だった。 ある日、性別や名前を変更できる課金アイテムが追加された。(※ただし使用は1回切り) ゲームアップデートが無ければ、先行攻略組こと通称ガチ勢はやることが少ない。 ここ最近、マンネリを覚えていたチヒロはこれを機に男キャラから女キャラへ転身を決意。 ちょうど良い機会だからと、ずっとやってみたかった姫プレイ(ネカマプレイ)を始めてみることにした。 あれ? 楽勝ウハウハの貢がれプレイを期待してたのに、なんか思うように上手くいかないんですけど!? ※ムーンライトノベルズにも掲載中です。

愛を知らない僕は死んじゃう前に愛を知りたい

しおりんごん
BL
「そうか、ぼくは18さいでしんじゃうんだ。」 僕、ルティアーヌ・モーリスは いわゆる異世界転生をした元日本人だった   前世の記憶をたどり、、、思い出したことは、、、 ここはBL小説の世界だった そして僕は、誰からも愛されていない 悪役令息 学園の卒業パーティーで主人公を暗殺しようとして失敗した後 自分の中の魔力が暴走して 耐えきれなくなり、、、 誰とも関わりを持たなかった彼は 誰にも知られずに森の中で一人で 死んでしまう。 誰も話してくれない 誰も助けてくれない 誰も愛してくれない 、、、、、、、、、。 まぁ、いいか、、、前世と同じだ 「でも、、、ほんの少しでいいから、、、        、、、愛されてみたい。」 ※虐待・暴力表現があります (第一章 第二章の所々) ※主人公がかなりネガティブで病んでいます(第一章 第二章の所々) ※それでも超超超溺愛のストーリーです ※固定カプは後々決まると思いますが 今現在は主人公総受けの状況です ※虐待・暴力表現など、いろいろなきついシーンがある話には※をつけておきます ※第三章あたりからコメディ要素強めです ※所々シリアス展開があります

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。