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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第328話 迷宮都市 リースナーの子供達へのプレゼント 1
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リースナーの町に入ると、まずは冒険者ギルドに行く。
旭のアイテムBOXにある2種類の魔物の換金を済ませるためだ。
トレント用に購入した3個のマジックバッグ30㎥を貸して、中に入れられるだけのメタルスライム・オリハルコンゴーレムを詰め込んでもらう。
ハイオーガはマジックバッグでは時間停止機能がないので、換金するのは控えた。
旭には特殊金属を卸してほしいと頼まれた事にする。
解体場のサムおじさんに換金を依頼すると、もろ手を挙げて喜ばれたよ。
ここ1年魔物が出現しなくなりリースナーの冒険者ギルドは収入が落ちていたから、ギルドマスターも嬉しいと思う。
ちょっと気弱だけど、大変気の良いお爺さんだった。
私はとても可愛がられたから、ここで恩返しをしておこう。
旭もかなりの臨時収入が入ってホクホク顔だ。
ハイオーガを換金しない事に疑問を抱いている様子もない。
呑気な性格で良かった。
兄は直ぐに理由に思い至ったのか複雑な表情をしていたけど、沈黙を守ったようだ。
私と同じように旭の事を心配したんだろうな……。
自分がダンジョンから出た後で、3種類の魔物が出現しなくなったと聞けば優しい旭は悩むだろう。
勝手に召喚されてダンジョンマスターになったのだから、責任はないと思うんだけどね。
換金を済ませると子供達の家に行く。
時間は午後3時なので、冒険者の子供達はまだ依頼をこなしている最中だ。
私は人数の確認と夕食を皆で一緒に食べる事を伝えに、1軒ずつ子供達の家を回っていった。
その際、玄関脇にガーゴイルを設置してあげる事も忘れない。
うん、番犬代わりになって良い感じ!
「あ~沙良? そのガーゴイルは必要なのか?」
兄がおかしな事を聞いてくる。
子供達だって、こんな素敵な番犬が玄関に飾ってあったら喜ぶと思うよ?
「勿論必要だよ! 皆が喧嘩しないように、全部の家に設置する心算だから大丈夫!」
ほら見て?
留守番している子供達が玄関を見て動かないじゃない。
きっとガーゴイルを気に入ったんだわ!
そんなにしっかりと眺めてもらえるなんて、やっぱりダンジョンで狩ってきた甲斐があった。
魔石をアイテムBOXで収納したので傷一つついてない良品だからね。
私は自分の仕事に満足し会場となる子供の家へ向かった。
1ケ月前96人だった子供達の人数は、残念ながら98人になっていた。
ここはダンジョンがある町だから冒険者が亡くなる割合も高いので仕方ないとは言え、人数が増えるのは悲しい事だ。
ただ、路上生活をしなくても良い環境を作ってあげられたので、今までよりはましになった筈。
小さな女の子を狙う奴隷商も今はいないし……。
クランリーダー達が、自分の名前の表札が掛けられている家の子供達をきっと可愛がってくれているだろう。
子供達の家の庭に到着すると、簡易テーブルを出して料理開始。
フライパンを5個セットして、兄達に『ナン』を人数分焼いてもらう。
業務用寸胴鍋に入れた野菜の火が通るまでの間に『キッシュ』を次々と作っていく。
オーブン代わりのファイヤーボールが大活躍だ。
ミリオネの倍の人数だから、手際よく進めないと子供達が仕事から帰ってきてしまう。
焼きあがった『キッシュ』をアイテムBOXに収納して、次は迷宮サーモンのフライを揚げる。
昼食と全く同じメニューを続けて食べる事になるけど、別の料理にすると下準備が大変なので兄達には我慢してもらおう。
大量の揚げ物に若干油酔いしそう。
まだ室内じゃないだけ空気が拡散されるけどね……。
迷宮サーモンのフライを揚げたらアイテムBOXに収納。
最後は『フライドポテト』だ。
これが嫌いな子供はまずいない。
〇ックのポテトには中毒性があると思う。
なんであんなに美味しいんだろう?
でも冷めると美味しさがかなり半減してしまうので、持ち帰る時には注意が必要だ。
そして持ち帰りの商品を持ってバスに乗ると、乗客の注目を浴びてしまう。
あれ、意外と匂いが広がるんだよね~。
一度、仕事帰りに〇ックに寄り持ち帰りにしたら、夕食時間帯の乗客に見られて恥ずかしい思いをしたのだ。
家の近所にお店がないから、会社の近くで購入する必要があったのよ?
そんなに責めるような視線を投げないで下さい……。
バスに乗ってから自宅まで30分。
冷めてしまったポテトをオーブントースターに重ならないように並べ、3分程焼き直してから美味しく頂きました。
揚げ終わったら塩を振りかけて混ぜアイテムBOXに収納。
スープに『シチュールウ』を入れたら『シチュー』は完成。
後は子供達が来てから、『フィッシュバーガー』を作れば良い。
時間は午後4時50分。
なんとか子供達の帰りに合わせる事が出来た。
ミリオネの町では先にプレゼントを渡したけど、食べる時に邪魔になるので最後に渡そう。
15分後――。
家に帰った子供達が、留守番している子供に話を聞き食器を持参し集まってきた。
「皆久し振り~。私との【約束】を守って生活しているご褒美に、今日は新しい料理を作りました。食べた事ない物ばかりだと思うけど、美味しいから期待して食べてね!」
そう言い、列に並んだ子供達に夕食の料理を配っていく。
「わぁ~楽しみ! お姉ちゃんが作った料理食べるの久し振り!」
料理を受け取った子供達が嬉しそうに笑っている。
ここでもやはり『フィッシュバーガー』に注目が集まっていた。
全員に食事が行き渡ると食事前の挨拶をする。
「頂きます」
「頂きます!」
100人近くいると大合唱のようね~。
元気良く揃った声を聞いて、笑みが自然と零れた。
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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旭のアイテムBOXにある2種類の魔物の換金を済ませるためだ。
トレント用に購入した3個のマジックバッグ30㎥を貸して、中に入れられるだけのメタルスライム・オリハルコンゴーレムを詰め込んでもらう。
ハイオーガはマジックバッグでは時間停止機能がないので、換金するのは控えた。
旭には特殊金属を卸してほしいと頼まれた事にする。
解体場のサムおじさんに換金を依頼すると、もろ手を挙げて喜ばれたよ。
ここ1年魔物が出現しなくなりリースナーの冒険者ギルドは収入が落ちていたから、ギルドマスターも嬉しいと思う。
ちょっと気弱だけど、大変気の良いお爺さんだった。
私はとても可愛がられたから、ここで恩返しをしておこう。
旭もかなりの臨時収入が入ってホクホク顔だ。
ハイオーガを換金しない事に疑問を抱いている様子もない。
呑気な性格で良かった。
兄は直ぐに理由に思い至ったのか複雑な表情をしていたけど、沈黙を守ったようだ。
私と同じように旭の事を心配したんだろうな……。
自分がダンジョンから出た後で、3種類の魔物が出現しなくなったと聞けば優しい旭は悩むだろう。
勝手に召喚されてダンジョンマスターになったのだから、責任はないと思うんだけどね。
換金を済ませると子供達の家に行く。
時間は午後3時なので、冒険者の子供達はまだ依頼をこなしている最中だ。
私は人数の確認と夕食を皆で一緒に食べる事を伝えに、1軒ずつ子供達の家を回っていった。
その際、玄関脇にガーゴイルを設置してあげる事も忘れない。
うん、番犬代わりになって良い感じ!
「あ~沙良? そのガーゴイルは必要なのか?」
兄がおかしな事を聞いてくる。
子供達だって、こんな素敵な番犬が玄関に飾ってあったら喜ぶと思うよ?
「勿論必要だよ! 皆が喧嘩しないように、全部の家に設置する心算だから大丈夫!」
ほら見て?
留守番している子供達が玄関を見て動かないじゃない。
きっとガーゴイルを気に入ったんだわ!
そんなにしっかりと眺めてもらえるなんて、やっぱりダンジョンで狩ってきた甲斐があった。
魔石をアイテムBOXで収納したので傷一つついてない良品だからね。
私は自分の仕事に満足し会場となる子供の家へ向かった。
1ケ月前96人だった子供達の人数は、残念ながら98人になっていた。
ここはダンジョンがある町だから冒険者が亡くなる割合も高いので仕方ないとは言え、人数が増えるのは悲しい事だ。
ただ、路上生活をしなくても良い環境を作ってあげられたので、今までよりはましになった筈。
小さな女の子を狙う奴隷商も今はいないし……。
クランリーダー達が、自分の名前の表札が掛けられている家の子供達をきっと可愛がってくれているだろう。
子供達の家の庭に到着すると、簡易テーブルを出して料理開始。
フライパンを5個セットして、兄達に『ナン』を人数分焼いてもらう。
業務用寸胴鍋に入れた野菜の火が通るまでの間に『キッシュ』を次々と作っていく。
オーブン代わりのファイヤーボールが大活躍だ。
ミリオネの倍の人数だから、手際よく進めないと子供達が仕事から帰ってきてしまう。
焼きあがった『キッシュ』をアイテムBOXに収納して、次は迷宮サーモンのフライを揚げる。
昼食と全く同じメニューを続けて食べる事になるけど、別の料理にすると下準備が大変なので兄達には我慢してもらおう。
大量の揚げ物に若干油酔いしそう。
まだ室内じゃないだけ空気が拡散されるけどね……。
迷宮サーモンのフライを揚げたらアイテムBOXに収納。
最後は『フライドポテト』だ。
これが嫌いな子供はまずいない。
〇ックのポテトには中毒性があると思う。
なんであんなに美味しいんだろう?
でも冷めると美味しさがかなり半減してしまうので、持ち帰る時には注意が必要だ。
そして持ち帰りの商品を持ってバスに乗ると、乗客の注目を浴びてしまう。
あれ、意外と匂いが広がるんだよね~。
一度、仕事帰りに〇ックに寄り持ち帰りにしたら、夕食時間帯の乗客に見られて恥ずかしい思いをしたのだ。
家の近所にお店がないから、会社の近くで購入する必要があったのよ?
そんなに責めるような視線を投げないで下さい……。
バスに乗ってから自宅まで30分。
冷めてしまったポテトをオーブントースターに重ならないように並べ、3分程焼き直してから美味しく頂きました。
揚げ終わったら塩を振りかけて混ぜアイテムBOXに収納。
スープに『シチュールウ』を入れたら『シチュー』は完成。
後は子供達が来てから、『フィッシュバーガー』を作れば良い。
時間は午後4時50分。
なんとか子供達の帰りに合わせる事が出来た。
ミリオネの町では先にプレゼントを渡したけど、食べる時に邪魔になるので最後に渡そう。
15分後――。
家に帰った子供達が、留守番している子供に話を聞き食器を持参し集まってきた。
「皆久し振り~。私との【約束】を守って生活しているご褒美に、今日は新しい料理を作りました。食べた事ない物ばかりだと思うけど、美味しいから期待して食べてね!」
そう言い、列に並んだ子供達に夕食の料理を配っていく。
「わぁ~楽しみ! お姉ちゃんが作った料理食べるの久し振り!」
料理を受け取った子供達が嬉しそうに笑っている。
ここでもやはり『フィッシュバーガー』に注目が集まっていた。
全員に食事が行き渡ると食事前の挨拶をする。
「頂きます」
「頂きます!」
100人近くいると大合唱のようね~。
元気良く揃った声を聞いて、笑みが自然と零れた。
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