自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第320話 迷宮都市 地下14階 アイテムBOXの機能

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 彼らがこの先どうなろうとも知った事ではないので、私はトレントの森からホームで自宅に戻った。

 残りの作業を始めるか。
 トマトソースとタルタルソースの2種類を作っていこう。

 大量に作ってアイテムBOX内に収納しておけば、いつでも使用出来るので便利だしね。
 
 3時間後、2つのソースを作り終えてホームでトレントの森にシルバーと戻り安全地帯に走っていった。

 テント前までシルバーの背に乗っていくと、怪我人を治療している旭と兄の姿が見える。
 やはり地下14階は魔物が強いんだろう。

 知らない顔の冒険者2人だったけど、担架たんかで運ばれてきていたので迷宮都市の人達だ。
 トレントを狩ろうとして魔法にやられたみたいで、服が引き裂かれ皮膚から出血している状態だった。

 兄と旭は水を掛け、傷口の状態を確認して素早く治療する。
 男性冒険者2人は、治療のあまりの早さに痛みでうなっていた表情が唖然あぜんとしたものに変わった。

 兄達の治療を受けたのが初めてだったんだろう。

 地下10階で仲良くしていた冒険者達は、拠点にしていた3ケ月の間に何度も治療している姿を見ているからあまり驚かなくなっていたんだよね。

 準備が整ってさえいれば、10秒くらいで治療は終わる。
 怪我人だった2人は狐につままれでもしたかのように首をかしげ、お礼を言って金貨16枚を兄と旭に渡して帰っていった。

 兄達とテントに入り自宅でトイレ休憩。
 テントから出て3回目の攻略開始。

 2人はこれからLv上げのフルマラソンだろう。
 いや兄のマンゴーの収穫が先か?

 今日はトレントの森中央に生っていたから、先程見かけた3人の冒険者と鉢合わせしないといいけど……。

 私は安全地帯を出てからシルバーの背に乗って地下13階に移転。
 ハニーを呼ぶと直ぐに上空から降りてくる。

 これから2匹を連れて、地下7階のガーゴイルを狩りに行くのだ。
 リースナーの町と迷宮都市の町の子供達の家の分が、まだ少し足りない。
 
 全部で26体分必要だからね。
 2匹と一緒に地下7階に移転しマッピングでガーゴイルを索敵。
 
 そのまま移動しなくても倒して収納出来るけど、それじゃあつまらないので発見したガーゴイルの下に走って昏倒させる。
 
 あっ、しまった!
 ガーゴイルは解体ナイフで魔石が取り出せないよ!

 いつも兄達に魔石の場所を教え電子切開してもらっていたんだっけ……。
 マッピングで体内を調べて魔石を確認したら、アイテムBOXに収納出来ないかな?

 まっ考えているよりやってみましょ。
 体内の魔石のみを収納と念じながらアイテムBOXを使う。

 結果、収納された……。
 
 何このヤバイ能力!
 魔法なんて使わなくても、マッピングとアイテムBOXだけで無双出来るじゃん!

 しかもMP消費は0だ。
 実質、魔物を倒すのに私はMPが不要になった。  

 だって魔物は魔石を取り出したら死ぬんだから、しかも傷が一切付かない状態で……。
 あぁでも血抜き処理が必要な魔物もいるから、魔石を取り出した後に処理が必要か。

 この能力の事は兄達には黙っておこう。
 人間相手に使用したら伝説の暗殺者アサシンになれそうだよ。

 そう例えば心臓を収納すれば、相手は死ぬ事になる。
 35km先の人間を殺しても足は絶対に付かないだろう。

 そして時間停止の機能がついたアイテムBOX内では、生きた・・・心臓が保管される。

 この能力で……。
 私は少しだけしずくちゃんの事を思い出した。
 
 間に合わなかった心臓移植、どうしてもドナーが必要だから順番待ちになる。
 倫理的に許される事じゃないと分かっていても、旭は欲しかっただろうな……。

 彼女は今、どこかで幸せに暮らしているだろうか?
 最近夢で見た妹の香織ちゃんを思って不安になった。

 夢とは思えない訴えかけるような内容に、未だ胸が締め付けられる。
 2人とも、次の人生が良いものであるといいな。


 実はアイテムBOXでもうひとつ気になっている事がある。
 それは生き物を収納出来るかという事だ。

 手紙には何も書かれていなかった。
 小説だと『ただし生き物は入りません』とか注意書きがある事が多い。

 これは万が一の時を考えて実験しておくべきか……。

 いきなり人間で試すのは怖すぎるので、まずは魔物からと思い2匹を見てみるとシルバーとハニーが思いっきり首をブンブン横に振っていた。

 どうやらこの子達には言葉に出さなくても、私が思っている事が伝わるらしい。
 なんだろう……念話みたいな感じなのかしら?

 地下7階の魔物をマッピングで探しミノタウロスを発見。
 その場で収納と念じると、マッピングから消えた!

 アイテムBOXを確認すると、タブが1つ増えている。
 【生き物】ってそのまんまじゃないか!
 ミノタウロス 1体 とある。
 
 わ~なんだろう。
 本当に能力の取り扱い説明書が欲しい。

 中に入っているミノタウロスはどうなっているのかな?
 アイテムBOX内は時間停止がついているから、本人? には自覚が無いのかも?

 これなら人間も入れられるだろうなぁ。

 中の人間は時間が停止したままなので、下手したら取り出すタイミングによって浦島太郎状態になりかねない。
 コールドスリープなんて比較にならない程、状態の良いまま何十年と保管する事も可能だ。

 輸送手段として使用すれば、本人は一瞬で違う場所に着いたと思うだろう。

 カルドサリ王国は他国と戦争をしていないけど、戦時中には兵士の大量移動がコスパ0で出来る危険な能力だ。

 なにせ移動に必要な兵糧が不要なのだから……。
 この事は絶対に知られないようにしないと、私の身があやうい。 

 ダンジョン内で収納すれば、生きた状態の魔物を外に連れ出せる。

 うん?

 これ、旭がダンジョンマスターだった時に使えば、召喚しなくてもダンジョンから出られたんじゃないかしら?
 でもその場合は私の年齢に合わせた若返りは無いから、45歳のままで私達と一緒に冒険者をする事になっちゃうか……。
 
 子供だった私達には大人が必要だったから丁度良いと思うけど、兄は思い切り嫌がりそうな状況だなぁ。

 旭に保護者役は務まらないだろうし、なにより恋人と年齢が違い過ぎると色々大変そうだ。
 何がとは言わないでおく。
 
 思った以上にアイテムBOXの能力が物騒だという事に気が付いて、あまり多用しないようにしようと固く心に誓った。

 ただ怪我人の輸送には時間停止した状態で運べるので、とても有効な活用方法だと思う。

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